先端ICTで、お客様と一緒に創る理想の家の実現にまた一歩近づいた あめりか屋(京都府)
2021年03月22日 06:00
この記事に書いてあること
執筆者
フジサンケイビジネスアイ
産経新聞グループの日本工業新聞社が発行する日刊ビジネス情報紙。我が国経済の成長を盛り上げると同時に、経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。
「ハイカラな住宅会社であったあめりか屋は、ハイカラさ、つまり新しさを好む体質、新しさに対する好奇心はいまでも変わらず持ち続け、現在では会社のアイデンティティーとさえなっています。ハイカラな精神とは言い換えれば時代の感性や社会のニーズに敏感であることだと信じております。」とホームページで語っているように、伝統を守りながら、常に時代性をいち早く取り入れてお客様に提案していく企業にとってICTはまたとない武器だった。
その場で完成イメージを表示しながら商談
あめりか屋において、お客様との距離を格段に縮めたのが新しいプレゼンテーションシステムだ。
従来は、お客様のご要望を反映して、予想図をお持ちするのに最低でも1週間かかっていた。その間にお客様のご要望が変化し、その変化を一生懸命追いかけ、結果商談が長引くだけでなく、お客様もどこかで妥協が働いていた。当然満足度も下がってしまう。
それが、わずか半日で完成予想図やプレゼンテーションシート、見積書をスピーディに作成できるようになった。また商談中にお客様のご要望を聞きながら、その場で完成イメージを表示することが可能だ。お客様に提案するというよりも一緒に創っていく感覚で、お客様も未来のご自分の家を肌で感じながら話をしてくれるので営業担当社員も「思わず嬉しくなって自分の事のような感覚になる」とのこと。
これはBIM(ビルディング・インフォーメーション・モデリング)という従来の2次元CADから3次元CADを作製していくという積み上げ方式ではなく、最初に3Dモデリングからスタートするので、最初からお客様に見える形で話が進む。しかも見積書も出来てしまうという、従来の発想ではできなかったシステムで、今建築業界で最も注目されているシステムだ。
お客様と共に作っていくうち、いつしか競合先もなくなり、結果として受注率も上がり売上も増えていった。実際に建物を建て始めても、お客様にIDとパスワードを送って、ホームページからそれぞれの現場で撮影した進捗状況の写真を見てもらうサービスも今年から実施している。
このサービス自体は昔からあるが、お客様も細部にわたり3Dモデルで確認した様々なCGが、現実のものとして出来上がっていく様子を確認するのは、完成に向けた期待度が高まっていくこの上なく楽しい時間に違いない。
情報発信も自在に加工できるホームページ作成ソフトで万全
変更した情報をリアルタイムで必要に応じて出力できる中小企業向けのホームページ作成ソフトは、会社案内や人材募集に活用している。
ホームページでは、オフィスビル、店舗、医療施設、戸建て住宅、工場、旅館、医療・福祉施設の施工事例の外観や内装をさまざまな角度から撮影した豊富な写真を掲載している。
所在地、工事区分、設計、構造、階数、竣工時期といった詳細なデータも添えている。社内で編集できるので、更新を頻繁に行えるのも魅力だ。
このホームページ作成ソフトは、ホームページだけでなく、入力した文章や画像をそのまま会社案内や製品案内のカタログとして作成できる。
従来は、印刷物で会社の実績をアピールしようとすると、印刷物を外部に発注してから手元に届くまで時間がかかるだけでなく、新しい情報を盛り込むのも簡単ではなかった。
この作成ソフトを使えば、外部に発注する必要はなくなり、社内で随時更新し、配布に必要な枚数を印刷するだけで済む。会社の実績を効果的にアピールする点で大きな効果が出ているという。
DX本格時代に備え、役員と若手のICT勉強会を定期的に実施
改革はまだ完了したわけではない。今後、デジタル化が加速していくことが予想される中で、ハード、ソフトの両面で取り組みを強化していかなくてはならない。役員と若手のICTスキルの向上のために月1回の勉強会を開催しているのもその意識の表れだ。
また、4月までに現場に出る社員全員にデジタルリテラシーを高めたうえでタブレット端末を配布し、本社のサーバーとつないで写真や文書を常に共有することを目指している。現場で業務を完結できるようにすることで現場と自宅との直行直帰を可能にし、働き方改革にもつなげていきたい考えだ。
2023年に創業100年を迎える。「京都では100年程度の歴史ではまだまだです。理想としている永続性のある美と快適さを追求し、会社を存続、発展させていく上でICTは重要な鍵になると確信しています。デジタル化の新しい動きにこれからも積極的に対応していきたい」と山本英夫社長は話す。
京都では2022年にも文化庁が移転して本格的な業務を開始し、日本の文化面における情報発信の機能が高まる。2025年には大阪で「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに万博も開催される。今、京都には大きな追い風が吹いている。京都の建築会社としてあめりか屋が、ICTを活用した新しい建築文化を世界にどのように発信していくかにも注目したい。
会社概要
会社名
株式会社あめりか屋
本社
京都市左京区下鴨松原町20番地
電話
075-781-3151
設立
1948年6月(1923年10月創業)
従業員数
29人
事業内容
総合建設業(戸建て住宅、店舗、ビル、マンション、福祉施設などの設計・施工・内装、住宅のリフォーム)
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