サービス業

7万2000枚の文書をデジタル化。過去の修理記録を探す時間、大幅短縮へ 山市車輛(愛知県)

From: 中小企業応援サイト

2022年01月31日 06:00

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文書や帳票のデジタル化は、企業にとって保管に使っていた空間を劇的に縮小することが可能になるなど大きなメリットがある。愛知県の山市車輛は、7万2000枚の紙文書をデジタル化してワークプレイスを改善し、今後、検索機能を使いこなすことで業務の効率化を実現しようとしている。

フォークリフトのことならなんでもおまかせ


愛知県の南西部に位置し、自動車部品製造や瓦の生産に携わる数多くの工場が立地する高浜市。名鉄三河線吉浜駅を降りてすぐ近くの幹線道路沿いに山市車輛の本社兼工場はある。

山市車輛は荷物の積み降ろしや運搬に使う小型車両、フォークリフトの販売、修理、リース、レンタルを手掛けている。取材に訪れた2022年1月中旬、約650平方メートルの敷地内には十数台のフォークリフトがぎっしりと並び、作業エリアでは社員たちが修理やメンテナンスにいそしんでいた。

整備に取り組む山市車輛の社員

整備に取り組む山市車輛の社員


百合草(ゆりくさ)雅彦社長は、14年前から山市車輛の経営を担っている。リーマンショック以降、企業の間で保有資産を圧縮する「持たざる経営」の動きが進み、周辺でも新規のフォークリフト購入を控える動きが出てきたことを受けて、レンタル・リース事業を強化するなどさまざまな手を打ってきた。「長いおつきあいを大切にすることが、事業を継続していく一番大事な要素と思っています。フォークリフトのことならなんでも相談していただけたら」と百合草社長は穏やかな表情で話した。

百合草雅彦社長

百合草雅彦社長

7万2000枚の保管文書が積みあがっていた


山市車輛が保管している文書は、会社名、フォークリフトの品番、日付、金額などを記入した伝票や請求書の控え、検査を行った際の記録表など多岐に渡る。その量は法律で保存が義務付けられている帳票関係の7年分だけで7万2000枚にのぼる。お客様との取引が広がれば広がるほど文書の量は増えていくが、2階建てオフィスのスペース(約250平方メートル)は限られている。レイアウトを工夫し、執務用のデスクや応接用のテーブルとイス、複合機などを1階に配置し、文書を収めた数十個にのぼる段ボール箱やプラスチックケースは2階に集めている。

文書を収めた段ボール箱やプラスチックケース

文書を収めた段ボール箱やプラスチックケース

「フォークリフトのメンテナンスや修理のための場所を優先しなければならないことから文書の保管場所をこれ以上拡張する余裕はありません。そのため、文書のデジタル化には以前から関心を持っていました。少しずつ準備を進めていたのですが、1年半ほど前、社会全体でデジタル化への動きが加速し始めたことを受けて、一気に動くことにしました」。文書管理を担当している業務主任の三浦千香さんは、1メートル以上に積みあがった「文書の山」を見ながらそう説明した。

1年かけてデジタル化を実現 職場環境が変わった


早速導入したのが、複合機のスキャン機能と連動して文書をデジタル化するソフトウェアだ。パソコンで作った文書管理用のフォルダが複合機のパネルにそのまま表示されるので、紙文書をスキャンする時点で振り分けを効率的に行うことができるなどさまざまな機能を備えている。

7万2000枚の紙文書をバインダーからはずして複合機で1枚、1枚スキャンした後、元通りに収納するのは手間のかかる作業だったが、アルバイトを一人採用して地道に進めていった。1年にわたるデジタル化作業の結果、大量の文書データは、両手で抱えられるほどの小さなサイズのストレージ(データを長期間保管しておくための補助記憶装置)に収まった。

7万2000枚分の文書データを収めているストレージ

7万2000枚分の文書データを収めているストレージ


デジタル化の進展を受けて職場環境の向上に着々と乗り出している。既に1階にあった文書保管用のキャビネットは撤去し、空いたスペースには以前からニーズが高かった社員の個人ロッカーとコーヒーマシンを設置した。

空いたスペースに設置されたコーヒーマシンと社員の個人用ロッカー

空いたスペースに設置されたコーヒーマシンと社員の個人用ロッカー


「文書の保存は長年の大きな悩みでしたが、デジタル化が完了したことで、今後は処分することが可能になりました。これから先の保存場所を心配する必要がなくなったのも本当にありがたいですね。2階のスペースも有効活用できるのでわくわくしています」と三浦さんはうれしそうに話した。

注文の9割以上はリピート


山市車輛への検査やメンテナンス、修理の注文は、長年取引実績のあるお客様からのリピートが9割以上を占める。そのため、作業に取り掛かる際には、フォークリフトのタイプや修理箇所などお客様からの過去の注文情報を最初にしっかりと把握することが重要になる。

情報を調べて現場に伝える仕事は三浦さんが担当している。「注文がある度に、会計ソフトでまとめている月ごとのフォルダから必要な情報を探しているのですが、複数のフォルダを確認しなければならないこともあって、見つけるのに1件あたり数分から10分程度かかります」と三浦さんは話す。月当たりのオーダー数は平均約100件にのぼる。1件あたりは短い時間のため見過ごしがちだが、積み重なることで大きな時間ロスになっている。

「数年ぶりのお客様からのオーダーだと探すのにさらに時間がかかることがあります。ほかの仕事で席をはずしていることもありますし、その間は、現場も作業にとりかかることができないという課題がありました」(三浦さん)。効率的に必要な情報を見つけることができるように今後活用していく検索機能に期待をかけている。

検索機能の使いこなしを目指す


検索には、スキャンした画像上の文字をデジタル活用できるようにテキスト化する技術、OCR(Optical Character Recognition 光学的文字認識)が大きな役割を果たしている。スキャンした文書の中で類似の表記が多いため、少ないキーワードで検索をかけたときに結果が表示されるまで時間がかかるという課題が浮上したが、ファイル名や属性情報を見直すなど改善を進めることで、少ないキーワードを打ち込むだけで誰でも短時間で検索できるようにしていきたいという。

社員はメンテナンスや修理だけでなく営業の仕事もこなしている。出先で手元のスマートフォンやタブレット端末から過去の情報を検索できるようになれば、さらに仕事がはかどり、お客様にもより迅速なサービスが提供できるようになる。過去の注文内容などの問い合わせにも手間をかけず素早く対応できるようになる。

振り分け先のフォルダが表示される複合機のディスプレイ

振り分け先のフォルダが表示される複合機のディスプレイ

OCRは会計管理にも有効


紙に書かれた文字をデジタルデータとして活用するために必要だった入力作業を省略してくれるOCRは文書だけでなく、伝票や帳簿などのデータ管理にも効果を発揮する。百合草社長は今後、会計管理のソフトウェアの導入も検討していきたいという。

山市車輛本社外観

山市車輛本社外観


フォークリフトにはエンジン式と電動式があり、山市車輛はエンジン式を得意としているが、脱炭素化の動きの中で今後は電動式への流れが加速することが予測されている。「エンジン式フォークリフトの需要動向をしっかりと分析しながら、変化にしっかりと対応して乗り切っていきたい。ICTを活用することで新しい取り組みのきっかけを探していきたいと思っています」と百合草社長は力強く語った。山市車輛にとって経営環境の変化に柔軟に対応する上でもICTは大きな効果を発揮するはずだ。

事業概要

会社名

山市車輛株式会社

本社

愛知県高浜市新田町三丁目7番地27

電話

0566-53-3453

設立

1971年10月

従業員数

9人

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