地元貢献のため、女性の活躍と身近なICT改革を進める総合建設業 保坂組(新潟県)
2022年05月10日 06:00
この記事に書いてあること
制作協力
産経ニュース エディトリアルチーム
産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。
女性社員の活躍の推進などで建設業界をめぐる新しい潮流に対応する新潟県の建設会社、保坂組が、オフィス環境の整備や働き方改革、工事現場などさまざまな分野でICTの活用を進めている。
地域とともに歩む建設会社
1939年に創業した保坂組は、豪雪地帯の新潟県妙高市で地域を支えながら歩んできた総合建設会社だ。国土交通省や新潟県から表彰を受けるなど豊富な実績を誇る道路、橋といったインフラストラクチャ―から学校、病院などの公共施設、工場、社屋、住宅のほか神社、寺院の建築まで施工分野は幅広い。地元の人に知られた、地域に根差した企業としての強みを生かし、土木と建築、それぞれの事業をバランスよく手掛けている。
女性の働きやすさ推進―2時間単位の有給制度導入
社員数は48人。一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士、一級機械施工技士、宅地建物取引士といった資格の取得に前向きな社員が多い。地方の企業にとって若い人材の獲得が大きな課題になる中、保坂組も積極的に動いている。地元の高校を対象に会社の説明会や現場の見学会を定期的に開催するほか、中学生を対象にした職場体験も実施している。「地域を支える取り組みや社風を知ってほしいとの思いを込めて活動に取り組んでいます」と経営企画部長を務める水嶋貴之取締役は話した。
その中で、近年力を入れているのが、女性社員の採用と活躍推進だ。2014年に国土交通省と建設5団体が、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定するなど業界内の女性の就業環境は徐々に改善しており、この流れにしっかり乗っていきたいと考えている。子育てをしながらでも働き続けやすい環境を整えようと2時間単位で有給休暇を取得できるように人事制度を改正したのもその意識の表れだ。この制度により、子どもを病院に連れていく、子どもの行事に参加するなど短時間で済む用事に活用でき、とても助かると女性社員から評価が高い。
また、女性社員の声を反映して女性用のユニフォームやヘルメットも新調した。男性からはわからない様々な工夫があり、水嶋取締役も改めて女性目線での女性が働きやすい環境づくり重要性を感じたという。
女性社員の声を反映した女性用のユニフォームを着用
「現場で活躍している女性社員を地元メディアが取り上げてくれたり、女子高生が先輩の女性社員に憧れて入社を決めてくれるなど少しずつ動きが生まれています。ICTは、女性が活躍できるフィールドをさらに広げてくれるように思います。建設の現場に女性が増えることで女性が働きやすい環境整備がさらに進むという好循環が生まれることを期待しています」と水嶋取締役は話した。
「私書箱」機能で無駄のない印刷
働きやすさの観点から、数年前から業務を効率化しようとオフィスの環境整備に取り組んでいる。「パソコンから複合機に複数枚の印刷指示を出して、しばらく時間を置いて取りにいくと、他の人の印刷物に紛れて持っていかれてしまい、見つからずに探さなければならないことがよくありました。他にも枚数を間違えて多めに印刷してしまったりするなど一つひとつは小さなことでも積み重なることで大きな無駄になっていました」と水嶋取締役は以前のオフィスの様子を説明した。
そこで導入したのが、複合機に設定する「私書箱」と呼ばれる利用者ごとの保存場所にパソコンからの印刷指示を蓄積するアプリケーションだった。
モニターのトップ画面から自分の「私書箱」を探して選択し、その中に蓄積されている文書をタッチすることでプリントアウトを実行する。複合機の操作パネルを使って、印刷枚数を変更、削除することも可能なので、プリントアウト前に再確認することでミスプリントを減らすことができるようになった。操作パネルでは片面、両面の選択や、カラー、白黒の印刷選択をすることもできる。管理ツールを使うことによって枚数削減によるコスト削減効果を把握することも可能だ。
広幅複合機のパネルでチェックしているところ
「印刷前に複合機のパネルで一旦チェックしてから出力できるので非常に助かっています。スキャナーで読み取った文書のデータを登録したメールアドレスに送信する機能も重宝しています。以前は、スキャナーからパソコンに一旦取り込んでからメールに添付して送信していたのですが、新しい機能のおかげで手間を削減することができました。積み重なることで大きな業務改善につながっています」と水嶋取締役は感想を述べた。
3D-CADやサーモグラフィカメラも活用
ハンディタイプの赤外線サーモグラフィカメラ
そのほかにもさまざまなICTを活用している。今後、個人住宅の請負拡大を視野に入れる中、お客様への提案に効果的な3Dモデリングの作成機能に優れた3D-CADを活用している。
また、建築物の内外の温度分布を可視化できるハンディタイプの赤外線サーモグラフィカメラを導入し、外壁タイルの診断や雨漏りのチェック、窓周辺の気密性の確認といった業務に使っている。
勤怠管理システムで働き方改革に対応
建設業界に猶予されていた労働時間の上限規制が2024年4月以降に適用されるため、勤怠管理は今後、ICT導入を急がなければならない分野だ。現在、社員のほとんどは紙製のタイムカードを本社のタイムレコーダーで打刻し、給与計算もタイムカードの記録をエクセルに入力する方法で処理している。
今後、働き方改革を進めるため、本社から離れた現場からでも出勤、退勤の記録が可能な勤怠管理システムのほか、建設業界に特化した積算から見積作成、原価管理までを連動できるシステムの導入も検討している。
調査、設計、施工、維持管理など建設業の仕事にICTを積極的に導入して効率化を図るICT
施工への対応も今後の大きな課題だ。従来は複数人で行っていた現場での位置出しや丁張の設置、施工段階のチェックなどを一人でも行うことを可能にするシステムの活用を検討していきたいという。ドローンを活用した業務の拡大も視野に入れている。
保坂組本社
「ドローンで撮影した写真情報やレーザースキャナーを活用することで、高精度で安全にも配慮した測量が可能になります。建設業界でのICT導入が今後、ますます加速していくことを考え、これからは建築や土木の枠にとらわれることなく、ICTに関心を持った人が活躍できる仕事を増やしていきたいと思っています。若い人材に選んでもらえる会社にできるように引き続きICTの活用方法を研究していきます」と抱負を語る水嶋取締役。保坂組が今後、ICTをどのように導入していくのかに注目していきたい。
事業概要
会社名
株式会社保坂組
本社
新潟県妙高市大字上四ツ屋274番地
電話
0255-72-4121
設立
1939年4月
従業員数
48人
事業内容
建築物の設計、施工及び土木構造物の施工、住宅の建設および販売、住宅の改修、不動産の売買・交換・賃貸
記事タイトルとURLをコピーしました!