サービス業

未来を創る バーチャルスタジオとライブ配信ネットワーク ソルメディエージ(新潟県)

From: 中小企業応援サイト

2022年06月13日 06:00

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

信濃川の脇に立つ建物にライトが当たって、石造りの外壁が浮かび上がる。昭和の初めに作られただけあって、重厚な佇まいを持ったその建物の壁面が、サウンドとともに光で彩られ、次々と表情を変えていく。プロジェクションマッピングだ。

「2014年に『みなと新潟春フェスタ 2014~光の響演~』というイベントで、新潟市歴史博物館みなとぴあ(旧新潟税関)で行ったものです」と振り返る、ソルメディエージの丸山健太社長。建物などの壁面を立体的なスクリーンに見立て、さまざまな映像をコンピュータで制御してプロジェクターから投影するプロジェクションマッピングの目新しさに、大勢の観客が集まって光と音によるパフォーマンスを楽しんだ。

VJ(ビジュアルジョッキー)の経験が表現の豊かさに

手がけたソルメディエージは、新潟県出身の丸山社長が2003年に仲間たちと地元で設立したデザイン会社だ。「企業の広告デザインやWebサイトのコンテンツ制作、映像制作を行って来ました」。そうした中で、丸山社長がプロジェクションマッピングで最先端の映像パフォーマンスを実現できたのはなぜか、それは、丸山社長が映像表現の分野に通じていて、豊富な技術を持っていたからだ。

「学生時代からVJ(ビジュアルジョッキー)をやっていたんです」。群馬県の大学に通っていた1990年代後半、桐生市にあるクラブでDJをやり、照明や映像などもいっしょに演出するVJへと活動を広げていく中で、映像や光を使った空間の演出に興味を持った。卒業後は東京にある照明演出の会社に就職し、VJとしての活動も続けていたが2年ほどで退社。地元に帰ってアルバイトのようなことをする中で、「チラシや映像を作ったり、ウエブの管理をしたりしていました」。

ソルメディエージの丸山健太社長

ソルメディエージの丸山健太社長

やはりクリエイティブな仕事が合っていたのだろう。仲間たちと3人で今のソルメディエージにつながる会社を立ち上げた。以来、20年近く新潟県で活動していく中で、ドローンを使った空撮など、新しい映像表現にチャレンジしてきた。プロジェクションマッピングを手がけたのも、こうしたチャレンジの一環。「映像を使って演出するパフォーマンスが話題になっているというので、自分でネットから情報を集めたり、雑誌を読んだりして始めてみました」

もともと、VJとして映像で表現することに長けていた。照明・映像の会社で働いたこともあって、プロジェクターの取り扱いにも手慣れていた。自社で仕組みを作って、最初のうちは結婚式やパーティーの場を飾っていたところ、評判となって新潟の夜を彩るパフォーマンスを任された。現在もプロジェクションマッピング協会の理事を務めながら、日本全国で開かれるコンテストの運営に携わる。

最先端のプロジェクションマッピングと高品質ライブ配信に強み

「新潟の街が、もっと魅力的になってほしいんです」。同じ分野では、東京の名だたるクリエイターや企業が活躍する中(東京駅のプロジェクションマッピング等)、ソルメディエージは東京の企業に負けない技術力と高い表現力を持ちながら、実施可能なコストバランスで顧客から高い支持を受けている。「地方での頑張りを評価され、沖縄の制作チームから首里城のプロジェクションマッピングを頼まれたこともありました」。

沖縄の制作チームに協力した首里城のプロジェクションマッピング

沖縄の制作チームに協力した首里城のプロジェクションマッピング

そんなソルメディエージが今、力を入れ始めているのが映像配信事業だ。大きなビデオカメラを使わなくても、スマートフォンで高品質の映像を撮影し配信できる時代になっている。新型コロナウイルス感染症の影響で移動に制限がある中で、遠隔地から映像を送受信する需要も増している。こうした状況の中、ソルメディエージでは機材を揃え、設備も整えて最先端の映像配信サービスを提供してきた。

今年 2 月に開かれた『ビーチテニスエキシビジョンマッチ in 新潟』では、日和山浜の会場からの中継を手がけた。次世代通信の5Gを使い伝送された映像はクリアで、時間のズレもほとんどなく、視聴者はテレビ番組の生中継を見ているような感じで、ビーチテニスという競技に触れることができた。

ビーチテニスのライブ配信の様子

ビーチテニスのライブ配信の様子

2月にはまた、「にいがたデジタルコンテンツ推進協議会」がWeb配信した番組『冬の地酒と夢の花火のスペシャルナイト~えちご酒場へようこそ!』の制作も手がけた。スタジオと佐渡や長岡の酒造会社を結んだり、打ち上げ花火やドローン花火のショーを中継したりして、新潟の魅力を全世界へと配信した。

『冬の地酒と夢の花火のスペシャルナイト~えちご酒場へようこそ!』の映像

『冬の地酒と夢の花火のスペシャルナイト~えちご酒場へようこそ!』の映像

バーチャルスタジオでリアリティのある実況中継

ここで威力を発揮したのがバーチャルスタジオだ。外からの中継画像を解説するキャスターや司会者がいるスタジオは、実際にはグリーンの壁や床があるだけで、背後に中継画像を映し出すようなモニターは置かれていない。ところが、観客が見る映像にはキャスターや司会者の背後にモニターがあって、中継先の光景とともにおしゃべりを聞けるようになっていた。

グリーンバックのスタジオに立った人が映像では違う空間にいるように見える

グリーンバックのスタジオに立った人が映像では違う空間にいるように見える

「スタジオにセットを組む必要はありません。中継先からの映像もネットで送れますから、テレビ局のように中継車を出すことも不要です」。だから低いコストで番組を作れる。「リモートでの対談も、バーチャルの背景を合成して、見映えを良くできます」。壁紙を合成しただけのチープな絵では満足できないユーザーも、これなら安心して利用できる。こうしたことから、今後ますます需要があると見たソルメディエージでは、本社屋を移転してそこに「地方都市では最大規模のグリーンバック施設ではないでしょうか?」と自負するスタジオを併設した。
中に入ると、四方だけでなく天井も、そして床にもグリーンの材料が貼られている。グリーンバックと呼ばれるもので、その中に人が立つだけで、海でも山でも外国でも、どこでも自在に背景を合成してリアルタイムに映像として出力できる。「Vtuber(You tube上の仮想キャラクター)との共演も可能です」。鍵となっているのが、映像の合成を行ったり、カメラの切り替えを行ったりできるライブ・プロダクション・マルチメディアスタジオの装置だ。

ライブ配信可能なネットワークと少人数で操作できる機器で変わる配信

スタジオの隣にある部屋に置かれたその装置を操作することで、モニターの中はニュース番組のようなセットにも、外国の風景にも、宇宙のような場所にも変わっていく。スタジオに設置したカメラも、リモートで操作して映す相手を切り替えたり、顔のアップを抜いたりできる。

「普通のスタジオなら、テロップを出す人や音を調整する人、映像を切り替える人、カメラを操作する人で5、6人が必要でした。それが少人数で操作できるんです」。番組制作に携わる人数を抑えながら、高品質なコンテンツが提供し配信できる体制を構築したことで、「お客さまの映像ニーズの選択肢を広げられるようになりました」。

東京に行かなくても、新潟で、ライブ配信に耐える堅牢・高速なネットワークと最先端の機材を使って高品質の番組が作れるとあれば、仕事を頼む所も少なくないだろう。「実際に使ってもらい、こんな表現ができる、こういった伝え方があると思ってもらいたいですね」。結果、新潟のコンテンツの魅力向上につながることが、売上の増加よりも嬉しいという。

テクノロジーの世界は日進月歩で、安住していればすぐに置いていかれる。新しいスタジオでは、リアルとバーチャルを重ねて見せるXR(複合現実)のような技術にも、「もちろん対応できるだけの空間設計にしてあります。将来は、人の動きを取り込むモーションキャプチャーのようなことも可能にしたい」と夢を語る。

ライブ番組制作・配信システムを操作する丸山健太社長

ライブ番組制作・配信システムを操作する丸山健太社長

テレビでニュース等を流す時も、キー局と地方局だとスタジオの背景の費用のかけ方の差が視聴者に一目瞭然だったが、ライブ配信に耐えるネットワークと最新の制作・配信システムがあれば、何も置いていないスタジオで、別の背景を使いながらライブ配信しても高品質で違和感なく配信できる。
「我々のルーツは制作会社です。お客さまがワクワクし夢中になれるような結果を提供することが大事だと常に思っています。そこに最新テクノロジーの機器を導入することでコンテンツ自体の質の向上を、時間とコストを削減することで実現可能にしています」と丸山社長は語る。
丸山社長のように、いつもワクワクしながら自らの経営を改革し、クライアントの企業や自治体へ手軽にチャレンジ出来る環境を提供する。デザイン経営が注目される中、地域産業全体の発信力の強化につながる。これからも地域の魅力を引き出すソルメディエージに注目したい。

会社概要

会社名

株式会社ソルメディエージ

本社

新潟県新潟市中央区鐙西1-12-8

電話

025-290-5674

設立

2003年10月

従業員数

10人

事業内容

事業内容 デザイン、映像制作、WEB コンテンツ制作、空間演出

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