福祉業(保育)

テレワーク専従職員などICT化進める 社会福祉法人恵会 沼田めぐみこども園(群馬県)

From: 中小企業応援サイト

2022年09月05日 06:00

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社会福祉法人恵会 沼田めぐみこども園は、教育と保育を一体的に提供する幼保連携型認定こども園だ。2017年4月に認定され、定員は幼稚園認定が15人、保育園認定が140人の計155人。園児は生後6ヶ月から就学前までの子どもたちで、谷川連峰を臨む2109平方メートルの広い敷地内には体力づくりに適した芝生の坂があり、冬はそり滑りができる。体操や水泳、茶道に書道、バイオリンやチェロの楽器教室もある。学童クラブや地域子育てセンターを併設し、保育園は土曜日も開け、延長保育も実施している。

製材所を営んでいた小渕俊一氏と、民生委員だったふじの夫人が、地元の働く父母のため私財を投じて認可保育園を申請、1977年に開園した。2008年に一人娘の小渕由利子理事長(76歳)が一家で父の志を継ぎ、2019年から小渕理事長の末娘、阿部里江子さん(41歳)が園長を務めている。

おそろいのチェックのエプロンで元気いっぱいの園児たち

おそろいのチェックのエプロンで元気いっぱいの園児たち

IT導入補助金でソフト導入し、勤務時間がまちまちな職員の勤怠を管理

職員は38人。ほとんどが20代から60代の地元の女性で、同園を卒園して保育士になり、「赤ちゃんだった自分を見てくれた先生がいるから」と、職員として戻ってきた人もいる。産前産後休業や育児休業の取得は当然で「私も産休、育休を2回ずつ取りました」と阿部園長。正規職員は8時間勤務で、午前7時からの開園時間に合わせてローテーションを組んでおり、出勤時間は午前7時、8時、8時30分とまちまち。パート職員も、午前9時から午後4時の人や9時30分から午後4時30分の人と様々だ。

こうした職員の勤怠集計作業は、従来手作業で行っていたが、購入費用の半額が補助される国のIT導入補助金を申請し、2019年6月に採択されたため、勤怠管理ソフトを購入した。勤務時間の自動集計や給与計算などができるシステムで、阿部園長は「打刻データがすぐパソコンに反映される」と話す。小渕理事長も「育休中の職員の労務管理で、社労士の方に何月何日分の出勤簿を出してくださいと言われても、サッと印刷できる」と満足そうだ。勤怠管理の迅速化のほかに「判子が不要なペーパーレスである点もいいところ」(小渕理事長)という。

お昼寝中の園児たち

お昼寝中の園児たち

コロナ禍でリモート研修や家族向けに園児の動画配信環境整備

2020年6月にはWeb会議システム「Zoom」も導入した。新型コロナウイルス感染症の広がりで1ヶ所に人が集まるのが難しくなったため、時間無制限で利用できる有料ライセンスを購入し、職員研修などをオンラインで実施している。

以前は保護者を招いて実施していた園児が楽器練習の成果を披露するコンサートも開催が難しくなったため、Zoomで演奏する動画を配信し、保護者に喜ばれたという。

テレワーク規定を作成してテレワーク専従の職員も誕生

テレワーク専従の職員も誕生した。勤続3年半で、ITスキルに長け、経理や労務など事務作業を担っていた職員が、結婚を機に埼玉県に引っ越してしまった。「給料の計算などを丁寧にやってくれる人で、辞められるのは本当に惜しかった」と阿部園長は振り返る。

そこで、システム支援会社に相談し、パソコン1台と通信用無線LANを購入。群馬の事務室のパソコンと埼玉の職員宅のパソコンを繋いでテレワークができるようにした。労使双方でテレワーク規定を作成し、勤務時間は平日の午前9時から午後4時に決めた。就業中の職員からは「これから仕事に入ります、休憩に入ります、休憩から戻りました、仕事を終わります」と逐一連絡が入る。接続状態が思わしくないときは無料通話アプリ「LINE」で連絡を取り、バックアップ体制も万全だ。

「まさかね、こんなことができると思わなかった」と小渕理事長。「年中、あれもお願い、これもお願いと、仕事を依頼している」と話す。テレワーク環境の整備に約20万円かかったが、それで優秀な人材を失わないで済むのなら安いものだ。一連のICT化でウイルスや不正アクセスなどからネットワークを保護するため、同園がUTM(統合的安全管理)によるセキュリティ対策を講じているのは言うまでもない。

事務室の職員の机の中心にはパソコンがある

事務室の職員の机の中心にはパソコンがある

働きやすい環境提供で「いきいきGカンパニー優良事業所ゴールド認証」授与

ICT導入で働きやすい職場環境づくりを進めたためか、同園では結婚や出産で退職しても「また勤められますか」と戻ってくる復職者が増えたという。職員の育休・産休取得促進など働き方改革を進めていることが評価され、群馬県からは「いきいきGカンパニー優良事業所ゴールド認証」も授与された。「正しい手洗いや、靴を脱いだ後の所作を教えてもらえるから、うちの子どもを任せたい」という保護者も少なくない。

少子化による園児定員割れが最大の課題

そんな同園にも課題はある。最大の課題は少子化を背景にした園児の定員割れだ。同園の定員は155人だが、2022年4月現在の在園児は141人。創立以来、年々定員増を続け、施設を拡充してきた同園は岐路に立っている。

2021年度の収支は増収増益だが、阿部園長は「行政が同業者を対象にした研修に参加すると、少子化が進む、経営をどうする、という話ばかり」と先行きに懸念を隠さない。小渕理事長は「今後、どのくらい少子化になるのか沼田市役所からデータをいただいて、来年度の定員を減らすかどうか検討中」と明かす。

職員のチームワークも同園の特徴だ

職員のチームワークも同園の特徴だ

園児の「おむつ処分サービス」や「一時保育」等提供サービスの拡充

新入園児獲得につながればと考えているのは、提供サービスの拡充だ。今秋から3歳児までの園児のおむつを保護者が自宅に持ち帰らなくても、園が無料で処分するサービスを始める。従来は、使用前のおむつを保護者が持参して、使用後のおむつは園児の名前を書いた袋のなかに入れて、それを持って帰っていた。仕事で疲れて帰宅し、子どもの世話に加えておむつの後始末までするのは負担だろうと、処理業者の了解を取り付けたという。

小渕理事長は「これまでも、できるだけ保護者の皆さんの要望に沿いながら園のサービスを向上させてきた」と話す。家庭での保育が一時的に困難になった場合、幼稚園や保育園に所属していない子どもを預かる「一時保育」の導入はその一例だ。「冠婚葬祭に出席するだけでなく、子育て中の父母は短時間でも息抜きが必要。美容院や喫茶店でリフレッシュするだけでストレスを逃がすことができる」と話す。

ホームページのリニューアルで新入園児獲得めざす

おむつの処分サービスはリニューアル後のホームページで情報発信するつもりだ。2016年以来5年ぶりの内容刷新で、2022年10月の公開をめざして準備を進めている。「テレワークやWeb会議・研修があたりまえの時代。ICT化は戦略として挑戦しなければ時代に取り残される」と小渕理事長。「事故なく安全に子どもを見守り、保護者の皆さんの助けになるように」と経営を進めてきた同園は、ICTを武器にさらにバージョンアップしそうだ。

法人概要

法人名

社会福祉法人恵会 沼田めぐみこども園

所在地

群馬県沼田市清水街4330

電話

0278-24-4163

設立

1977年

従業員数

38人

事業内容

幼稚園、保育園、学童保育、子育て支援センター、一時保育の運営

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