サービス業

仮設機材管理会社の地域貢献と従業員モチベーションUP策 ファームマネージメント(神奈川県)

From: 中小企業応援サイト

2022年09月28日 06:00

この記事に書いてあること

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産経ニュース エディトリアルチーム

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2021年2月25日にJリーグの横浜F・マリノスから出たリリースで、ファームマネージメントがオフィシャルスポンサーになったことが紹介され、横浜マリノスの黒澤良二社長は以下のようにコメントした。「この度、弊クラブのオフィシャルスポンサーとして、さらなる力強いご支援を頂けることになりました。ファームマネージメント様は横浜市都筑区に本社を置き、仮設機材管理事業、仮設機材管理コンサルティング事業、人材派遣事業を中心に行っており、神奈川県内を中心に多くの建築現場を支えてくださっております」。
ファームマネージメントの笹子建一郎社長も、「私自身も幼い頃からマリノスというチームに憧れ『将来マリノスの選手になりたい』と夢を見ていました」とコメントを寄せ、かなわなかった夢の代わりに、横浜の企業としてマリノスを応援し続ける強い意思を表明していた。

建設現場の仮設機材管理を請け負いスピーディーに搬出

ファームマネージメントのホームページ

ファームマネージメントのホームページ

2022年のマリノスのオフィシャルスポンサー一覧を見ると、崎陽軒やテレビ神奈川といったBtoC企業と違って、BtoB企業であるファームマネージメントは一般の人にほとんど知られていない。建設現場で組まれる足場などの機材を管理し、現場からの求めに応じて機材置き場からピックアップしてトラックに載せる業務や、戻って来た機材を降ろして整理し、次のオーダーに即応できるように管理する業務を行っている会社だからだ。

ただし、事業が持つ意義は大きい。「1日で100台以上のトラックが機材を取りに来たり、降ろしに来たりします」と笹子社長が話す機材置き場では支柱や踏み板、クランプといった多岐に及ぶ種類やサイズの機材を、スピーディーに取り出して搬出している。素早く的確に対応しないとトラックが遅れて現場の作業にも影響が出るからだ。そこは、1988年に笹子社長の父親で現会長の笹子建夫氏が、建設機材レンタル会社から機材の管理業務を請け負う事業を立ち上げ、35年に渡って顧客の要求に応えていることが大きい。

その現場を「中学生の頃から手伝ってきました」という笹子社長。綾瀬市の機材センターに通い、「小さい機材をかごに入れて、手で運んだりもしていました」と昔を振り返る。建設機材レンタル会社からしっかりとした仕事ぶりが認められ、機材センターが綾瀬市から横須賀市へと移転してからも,ファームマネージメントは引き続き管理業務を任された。川崎市にある機材センターでの仕事も請け負うようになるなど、仕事の規模を広げていった。

業務の拡大に合わせて、働く環境の改善にも取り組んだ。足場のような機材の管理というと、重たいものを持ち上げて運ぶイメージが浮かぶ。実際には、「小物の積み降ろしや運搬はフォークリフトを使っています」。長い板も2人で運ぶことにより負担を減らしている。こうして、パワーが必要な職場といったイメージを払拭していったことで、「今は女性のフォークリフト乗りもいます」。

仮設機材置き場でのフォークリフトを使った機材の積み込み(会社案内ビデオより)

仮設機材置き場でのフォークリフトを使った機材の積み込み(会社案内ビデオより)

VR使いクレーン運転の安全教育を実施

一昨年からは、VR(バーチャルリアリティ)を使った安全教育にも取り組み始めた。「ヘッドセットを被って、ハンドルとレバーがついたコントロールを操作して、フォークリフトの扱いを体験させています。いきなり現場で運転させるのは危険ですから」。効率化と安全の確保に関する一連の取り組みが、7年で1人辞めただけという新卒社員の高い定着率につながった。これにより、熟練したサービスの提供を実現して、機材センターの管理を引き続き任されたり、新しい取引先を得たりして、順調に事業を拡大していった。

従業員も100人を超えて200人に迫ってきた。こうなると大変なのは、従業員を管理するバックオフィス。例えば勤怠管理で、以前はタイムカードで打刻された時刻を集約し、表計算ソフトに入力して集計していた。「これに4日から5日かかっていました。6、7年前にカードを使った勤怠管理システムを導入したことで、給与や手当の計算から保険料や税金などの計算、支給まで1日もあれば管理できるようになりました」。今はまだ、現場でいったん集計してから本社に上げる仕組みが残っているため、「本社で直接管理できるようにして、もっと手間を減らします」と管理面のICT化も進めていった。

複合機でオリジナルグッズ制作、機材置き場の案内板もプリント

会社の認知度アップにも取り組み始めた。鍵となるのが、書類のプリントや送受信に使うため導入した複合機だ。「プリンターやFAXとして使うことが多かったのですが、これでオンデマンド印刷ができると分かって、いろいろなものを印刷するようになりました」。会社案内のような冊子や従業員の名刺などを作った。イベントで配るTシャツやマスク、クリアファイルといったグッズ類も複合機で制作した。知名度を上げることによって従業員のモチベーションを高め人材を採用しやすくする効果もあった。

会社の認知度と従業員モチベーションアップに複合機活用を推進する笹子建一郎社長

会社の認知度と従業員モチベーションアップに複合機活用を推進する笹子建一郎社長

機材管理の現場にも応用が利いた。「野外に置いてある機材につける案内板を、LIMEX(ライメックス)シートで作れるようにしたんです」。雨風に耐えるよう、これまではプリントした紙をラミネートで覆って使っていたが、太陽光を反射して文字が読みづらいことがあった。「石灰石を主原料にして作られるLIMEXシートは、そのままでも雨風に耐えますし、印字も見やすいんです」。昨今話題のSDGsにも貢献する素材を活用することで、会社としてのスタンスも示すことができる。

事業拡大のため人材派遣・職業紹介に取り組む

事業の拡大という意味で取り組み始めたことに、もうひとつ、人材派遣事業がある。現在は総務人事兼派遣事業部長を務める今村純一氏がファームマネージメントに加わり、2015年に新しい事業として立ち上げた。2017年には有料職業紹介事業の認可も取得し、事務系にコールセンター系、販売系、軽作業・清掃系といった様々な分野での紹介や派遣を手がけている。

人材派遣事業の延長で「官公庁LAB」というサイトも運営している。市役所の書類チェックや選挙の期日前投票を担当する受付スタッフの求人情報を主に掲載。信頼が求められる仕事に関わることでファームマネージメントの信頼にもつながっている。さらに信頼アップのため「プライバシーマークの取得に挑戦しています」と今村部長は話す。「個人情報を取り扱う仕事ですから、高い情報管理能力が求められます。プライバシーマークの取得は、その証明となります」

「官公庁LAB」TOPページ

「官公庁LAB」TOPページ

プライバシーマークの取得については、取引先企業のコンサルティング部門の指導のもと、どのような取り組みや書類が必要かを聞いて、対応を進めている。「最短で8月にも取得できる見通しです」と今村部長。プライバシーマークを持てば、「ここなら自分の情報を預けても大丈夫だと思って、紹介を希望する優秀な人が増えるでしょう。そうした人を求めて求人情報を出してくれるお客さまも増えていき、良い求人が集まっていると求職希望者も増える良いサイクルが生まれます」。人材派遣・職業紹介事業は、仮設機材管理と並ぶ事業の柱として、さらなる成長も見込める。

世界最大級の音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」の足場資材も手掛ける

2021年に東京オリンピックが開かれたあと、建設需要が下がるのではと見られたが、「今もみなとみらい地区で2万人規模の『Kアリーナ横浜』の建設が行われています」と笹子社長が言うように、神奈川県下では各地で開発が進められ、建設ラッシュが続いている。「そのアリーナ建設で組まれた足場は、ファームマネージメントが送り出したものです」

ゼネコンなどのように、工事現場に看板を掲げている訳ではない。だから、ファームマネージメントは、一般には知られていないが、機材のしっかりとした管理という日々の仕事が、神奈川県の発展を支えている。

横浜F・マリノスのオフィシャルスポンサーになり、身近な複合機の機能を駆使したオリジナルグッズの制作等によって従業員のモチベーションアップや一般の人が知らない建設業の仕事を伝えることで会社のイメージアップに努めている。地域企業の発展に欠かせない地域貢献、従業員満足と人材採用や人材発掘のための布石を着実に行っている。ファームマネージメントが次のステップにどのように歩んでいくか楽しみだ。

※笹子社長はこの取材の後に急逝されました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

事業概要

会社名

株式会社ファームマネージメント

本社

神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央26-10 ソレイアードⅢ2F

電話

045-949-0622

設立

1988年3月2日

従業員数

193人

事業内容

建築用足場の管理/左記に付帯する一切の業務/労働者派遣事業(一般労働者派遣 派14-301206)/有料職業紹介事業(14-ユ-301172)

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