ホームページやチラシの内作で求められる情報を効率的に発信 福岡屋住宅流通(奈良県)
2022年10月20日 06:00
この記事に書いてあること
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産経ニュース エディトリアルチーム
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奈良県奈良市の不動産会社、株式会社福岡屋住宅流通が、不動産業界向けの販売支援システムやオンデマンド印刷機を活用して、デジタルとリアルの両面から積極的な物件情報の発信を行っている。
40年以上にわたって奈良県内を中心に不動産の売買を仲介
奈良市内の近鉄新大宮駅に近いビジネスエリアに本社を置く福岡屋住宅流通は、奈良県と京都府南部を中心としたエリアでの新築住宅・中古住宅などの売買仲介に特化している不動産会社だ。
「40年以上にわたって、急ぐことなく歩みを止めることなく地道に事業に取り組んできました。お客様の希望にかなう物件を紹介できるように、情報の収集には特に力を入れています。不動産業界で大手と競争しながら中小企業が生き残っていくには、特定のエリアに強みを持って独自の物件をそろえることが重要と思っています」と山口弘樹社長は経営方針について話した。奈良県内や京都府南部では一戸建てを希望する顧客の割合が比較的多く、マンションでも広めの間取りを求める傾向があるという。
山口弘樹社長
在宅勤務の普及で一戸建てのニーズが高まっている
奈良県は県内の市町村とともに、首都圏の住民を対象にした移住支援金制度を創設するなど住民の誘致に力を入れている。特に奈良市では子育て世帯の移住が増えており、2019年から転入超過に転換。2021年の0歳から14歳の転入超過人数は関西4位、全国17位にランクインするなど地方の人口が減少する中で健闘している。
この流れは福岡屋住宅流通にとっても大きな追い風だ。「奈良県北部から京都府南部は、文化遺産や自然に恵まれ、良好な住宅文化が育まれています。不動産価格も比較的リーズナブルです。コロナ禍によって在宅勤務のニーズが高まったことで、間取りが広く、大阪府の中心部に電車や車で1時間程度でアクセスできる物件の人気が高まっています」と山口社長は話した。
福岡屋住宅流通のオフィス
年間に扱う新規物件のうち5%を占めている自社分譲の取り組みを強化することも考えている。「お客様の要望を聞いた上で希望を反映した家をこれからも販売していきたい」と山口社長。現在、家屋の建築は地元の工務店に外部委託しているが、今後、土地の仕入れから建築まで一貫して手掛けられるように社内に建築部門を設けることを検討している。
販売支援システムを導入して物件情報発信を強化
販売支援システムを使って物件情報を発信する様子
不動産売買を検討する人たちに広く情報を届けるために福岡屋住宅流通が活用しているのが、2019年に導入した不動産業界向けの販売支援システムだ。売買物件の情報をフォームに入力するだけで、自社ホームページへの情報掲載を簡単に行うことができる機能を備えている。多くの人に閲覧してもらえるようにホームページの充実に力を入れているが、以前使用していたシステムでは画像を2枚程度しか掲載できなかったので物足りなさを感じていたという。
新しいシステムでは物件情報ごとにそれぞれ最大20枚程度の画像を掲載することができるので、物件の外観や室内の写真、間取り、周辺環境についての詳しい情報をホームページの閲覧者に提供できるようになった。「ほとんどの人は不動産を探す際、複数の不動産会社のホームページを見比べるので、見劣りしないように物件についての詳細な情報を掲載できるようになったのは本当にありがたいです」と山口社長は話した。
ホームページの情報を積極的に更新
ホームページの情報は積極的に更新している。不動産情報を提供する複数のポータルサイトにも物件情報を掲出し、自社ホームページに誘導するようにしている。
販売支援システムには新築住宅を中心に中古住宅、土地、マンションのほか、福岡屋住宅流通が直接手掛ける分譲物件の情報を約2000件登録。そのうちホームページでの検索の対象になっているのは数百件で、価格の表示と共に住宅ローンの毎月の支払額のシミュレーションを簡単にできるようにしている。ホームページではその他、1週間に1回のペースで天候や季節の話題を織り交ぜながら新規の物件情報を紹介する「日記」や、社員の紹介ページも設けている。販売支援システムには物件ごとのアクセス件数やアクセス手段を集計・分析できる機能も備わっているので、常に情報を集めながら新しい取り組みを考えるようにしているという。
顧客との接点強化を目的に会員制度を運営
ホームページに掲載している福岡屋Dream circleの案内
不動産の購入を検討している顧客との接点を増やすために10年前から会員制度「福岡屋Dream circle(ドリームサークル)」を運営している。会員限定の物件情報の提供のほか、プレゼントの抽選や住宅購入特典、友人紹介特典など様々なサービスを提供し、ホームページから会員登録を行えるようにしている。
オンデマンド印刷機で機動的にチラシを作成
ホームページによる情報発信に加え、今年から奈良県北部を中心にYouTubeの視聴者向けに広告を出稿する取り組みも始めた。その一方で、チラシや冊子といった紙媒体による昔ながらの宣伝にも力を入れている。紙媒体の発行に活躍しているのが5年前に導入したオンデマンド印刷機だ。
オンデマンド印刷機を導入するまでチラシや冊子の印刷は地元の印刷会社に委託していたが、最低ロットが1万枚以上ということもあって最終的に余らせてしまうことが多かったという。また、発注してから手元に届くまで3日以上かかり、機動的な情報発信ができないという悩みがあった。
チラシなどの紙媒体の作成に活用しているオンデマンド印刷機
その点、オンデマンド印刷機なら配布に必要な枚数を社内でその都度印刷できるので、チラシや冊子が余ることはなくなった。また、配布するエリアに応じて掲載する物件情報の変更も臨機応変にできるので、反響率も高くなった。
「ネット情報よりも直接手に取る紙媒体の方が見る人にインパクトを与えることができるので、チラシや冊子を通じた宣伝も大事にしています。新しい物件情報を届ける上で、印刷してすぐに配布できるというのが何よりありがたいですね。用紙代やインク代はかかりますが、それでも外部発注するより安く済んでいます。オンデマンド印刷機は、印刷物を出力する前にモニターで内容の確認ができるのでコピーミスも減り、導入前と比べて紙の使用枚数を3割ほど減らすことができました。攻めと守りの両面で効果を発揮してくれています」と山口社長は満足そうに話した。
ICTとデジタル機器の活用で顧客対応の一層の充実を図る
今後、不動産売買に関心を持つ人や会員をきめ細かくフォローするために、あらかじめ準備しておいたメールをタイミングよく発信するステップメールを導入することを考えている。また、宅地建物取引士が顧客に重要事項の説明をする際にオンラインを活用することや、保管している過去の契約書などの膨大な紙書類をデジタル化して本社の空間を有効活用することにも取り組んでいきたいという。山口社長は「不動産会社にとって一番大切なお客様とのコミュニケーションをより充実させる上で、ICTやデジタル技術は欠かせないものになっているように思います。これからも積極的に情報を集めて活用するようにしていきたい」と意欲的に語った。
福岡屋住宅流通の本社外観
「地域の魅力を発信することにも目を向け、ご縁ができたお客様に世代をまたいで再度利用していただけるように、先を見据えて事業を継続していきたい」と快活に語る山口社長。これからもリアルなコミュニケーションを大事にしながらICTやデジタル機器を効果的に活用していくに違いない。どのような取り組みを進めていくのか今後も楽しみだ。
事業概要
会社名
株式会社福岡屋住宅流通
本社
奈良県奈良市大宮町5-3-20
電話
0742-35-1552
設立
1980年
従業員数
11人
事業内容
不動産の購入、売却の仲介、新築住宅の販売
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