高速大容量の通信ネットワークで実感したデジタル投資の効果 地域に根付いた建設DXを加速する 湊建設工業(兵庫県)
2022年10月24日 06:00
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戦後間もない時期に創業し、地域貢献に強い意識を持って事業に取り組んできた兵庫県神戸市の建設会社、湊建設工業株式会社が社内の通信ネットワークを強化し、更なるICT活用を加速しようとしている。(TOP写真:大阪芸術大学と連携して作成した湊建設工業のイメージシート)
1946年神戸市役所出身の建設技術者たちが創業、阪神・淡路大震災の時も倒壊建物ゼロ
湊建設工業は、兵庫県神戸市に本社を置く総合建設会社だ。阪神地域を中心に公共工事と民間工事をバランスよく受注し、元請けとして施工計画、品質管理、工程管理、安全管理、原価管理、発注者との折衝といったマネジメント業務に携わっている。
「お客様の満足度が最大化するように全力で取り組むことを心掛けています。人々が安心して仕事をして生活を送ることができるように下支えするのが建設会社の使命です。頑丈で堅実な建物づくりをモットーにしています」と藤本代表取締役社長は説明した。1995年1月に阪神・淡路大震災が発生した際、湊建設工業が手掛けた建物は1棟も倒壊しなかったという。
藤本代表取締役社長
湊建設工業の歴史は太平洋戦争の終戦から間もない1946年10月、神戸市役所の建設技術者だった大崎氏を中心とした4名で、戦争で荒廃した神戸の復興に貢献しようと建設会社を立ち上げたことにさかのぼる。設立から76年を経た今も、神戸市に本社を置く企業として建設を通じた地域貢献を強く意識している。阪神・淡路大震災の発生直後は、半年以上にわたって神戸市や地元の建設会社と連携し、救援や半壊した建物の緊急解体工事、復旧工事に尽力した。国際化に向けて動く神戸空港のターミナルビルの建設工事に参画した実績も持つ。
「神戸市は海と山が近くにあり、異文化も味わえる都市で、社員はみんな愛着を持っています。神戸市が国内だけでなく世界中から注目される都市になるように、できる限り貢献していきたいと思っています」と藤本社長は地元への思いを語った。
デザインに強い関心 大阪芸術大学と連携。現場から明るいイメージの情報発信、街も会社も変わる
湊建設工業はデザインに強い関心を持っている。大阪芸術大学デザイン学科と連携し、工事現場で掲げる会社のイメージシートなどのデザインに学生が制作した作品を採用している。
採用作品は2点あり、一つはポートタワーや港など一目で神戸をイメージできる風景と作業服姿の男性を描いたさわやかな印象を与えるデザイン(TOP写真)。
もう一つは翼を装着した少年が神戸の街や建物を空から見下ろす幻想的なデザインだ。そのほか、建設現場の囲いのデザインに神戸市内の高校生が手掛けたアート作品を採用する取り組みも行っている。山根執行役員総務部長は「会社の情報発信につながるだけでなく、まちに明るいイメージを与え、若い人たちに作品を発表する機会を提供できるので一石三鳥の効果があります」と話す。
高校生のデザインを採用した建設現場の囲い
大学生のデザインを採用した工事板の設置
阪神・淡路大震災をきっかけに情報管理部を設立
社内の情報共有化や業務の効率化を図るためにICTやデジタル機器を積極的に活用している。阪神・淡路大震災を経験し、事業継続のための情報バックアップの重要性を痛感したことがICTを重視するきっかけになったという。震災後すぐに情報管理部を設立し、パソコンやネットワーク機器を積極的に導入してきた。
「情報管理部では本社内の情報システムや現地事務所のネットワーク構築のほか、電子化された様々な情報を管理しています。また、個人情報保護やセキュリティ対策などの社内ルールが守られているかチェックするとともに、社員の教育指導も行っています。デジタル分野は技術革新のスピードが速いので、日々気を引き締めて取り組んでいます」と情報管理担当の橋本さんは説明した。
工事管理担当者全員にタブレットを支給、いかに時間と労力の無駄があったか気がついた
Webを活用した工務会議
効率的に時間を使うため工事管理を担当する約20人の社員全員に5年前からタブレット端末を支給している。現場の事務所でマネジメントを担当する工事管理の担当者は、図面や作業の工程表など様々な資料を持って発注者のオフィスなどを訪問しなければならないことが多い。担当者はタブレット端末に資料のデータを取り込んで、説明や打ち合わせに臨んでいる。
現場でタブレット端末を使って確認する様子
紙だとかさばるため持参できる資料の枚数に限りがある。そのため、タブレット端末を導入する以前、1日で複数の発注先を訪問する時は、資料を入れ替えるためいったん事務所に戻らなければならなかった。タブレット端末を導入したことで以前は当たり前だと思っていたことが時間と労力の浪費につながっていたことに改めて気づき、デジタル機器が業務効率化に与える効果を実感することができたという。
藤原常務取締役
「今はタブレット端末が1台あれば十分なデータを持ち運びできるので、わざわざかさばる紙資料を持ち歩く必要はなくなりました。身軽なスタイルで外回りすることができるようになりました」と藤原一夫常務は話した。「工事書類の作成負担の軽減は、最優先で取り組まなければならない課題と考えています。書類の作成に時間を取られて、本業の建設に注ぐエネルギーを削がれるほど残念なことはありません。ICTを業務の省力化や技術の伝承に活用することで、会社の成長力を高めていきたい」と藤原常務。
カメラで本社から現場の様子を確認、事故等に迅速対応が可能となる
ICTを活用したリモート対応も湊建設工業が力を入れている分野だ。兵庫県加古郡稲美町の営業所や現地事務所を設けている工事現場で、各地の状況を本社で把握できるように観測用のカメラを置いている。パソコンやタブレット端末、大型モニターでいつでも確認することができるので、防犯対策になるだけでなく、万が一現場で事故などが発生した時も迅速に状況を確認して対処することができる。
本社から端末で現場の状況を確認する様子
本社と支社、現場事務所の会議は原則Web会議、社内の連絡や情報共有はグループウェア
コロナ禍を受けて1年前から本社と支社、現場事務所の間で行う会議は原則、Web会議で行っている。以前は会議の際、それぞれの現場から本社に移動しなければならなかったが、Web会議にしたことで時間を有効活用できるようになった。社内の連絡はグループウェアを活用しているため、情報の共有もスムーズに行えているという。ウェアラブルカメラなどを活用して、現場に赴かずに確認や立会を行う遠隔臨場を導入する準備も進めている。
高速大容量の通信ネットワークを構築、効果は絶大。仕事上のストレスが軽減されることで新たなステップが見えてくる
ここ1年ほどのICTの積極的な活用や扱うデータ量の増加に対し、社内の通信ネットワークの容量が限界に近づきつつあったため2022年5月、15年ぶりに大規模なネットワーク機器や配線の更新に踏み切り、高速大容量の通信ネットワーク環境を整えた。無線のアクセスポイントも増設し、社内でインターネットに接続できる場所を増やした。
湊建設工業のオフィス
「ネットワーク整備の費用対効果は絶大です。建設業界はこれから先ますます人手が足りなくなっていきます。生産性を落とさないためにはこれまで以上に一人ひとりが業務の幅を広げていかなくてはなりません。それだけに以前よりも通信が快適につながるようになり、仕事をする上でのストレスが大幅に減ったのは本当にありがたいですね。接続に要する時間が数秒余分にかかるだけでも、積み重なれば大きな時間のロスになります。今後、新しいシステムやデジタル機器の導入を加速していく上で必要なしっかりとした土台を作ることができました」と藤本社長は満足そうに話した。
湊建設工業の本社
ICTを活用することで建設会社としての更なるレベルアップに取り組む湊建設工業。地域の建設業界のDXを牽引する役割にも期待がかかる。
事業概要
会社名
湊建設工業株式会社
本社
神戸市長田区西尻池町2-3-30
電話
078-631-0891
設立
1946年10月
従業員数
32人
事業内容
建設業(土木・建築)
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