大量の受領書のスキャンとバーコード読み取り自動化が同時にでき、作業効率が上がった 西日本ジェネリック(岡山県)
2022年11月04日 06:00
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取引先との信頼をベースに急成長を遂げた株式会社西日本ジェネリックは、膨大な時間のかかる様々な作業の自動化に取り組み、社員の健康と顧客への素早い対応のためのICT化に取り組んでいる。
中四国の要所をカバーするジェネリック医薬品卸の雄は、まだ創業12年の企業
岡山県を中心に広島、福山、米子、神戸、姫路、高松、松山と中四国の要所を拠点に営業網を広げる西日本ジェネリックは、2011年創業のまだ若い企業である。わずか12年でここまで営業網を拡大できたのには、岸本満宏社長の決断と幸運が大きく関わっている。
多くの事情が重なって前職を辞したその翌日には、同僚の後押しもあり独立を決意。そこには岸本社長が長年培ってきた人と人との信頼という強い絆が大きな支えとなっていたのは言うまでもない。設立当初から岸本社長を慕って集まってくれた同僚たちの頑張りも、厚い信頼があればこそ。今では総勢75名の会社にまで成長した。
岸本満宏社長
エリア顧客への販売を地道に続けていた矢先、現在のグループ親会社のトップから突然連絡が入る
会社設立から5年が過ぎたある日、突然現在の親会社のトップから岸本社長に電話が入った。一緒にやってみないかとのお誘いの電話だ。そんな企業のトップから直接、グループへの参画を打診された社長は、即座に幹部と協議を行いグループに参画することを決定。資本金も大きく増額し、これまでの営業網を拡充する役割を担う存在となった。
ブランド力で売れる先発薬と違い、数十社というメーカーのあるジェネリック医薬品は常日頃の人的交流と信頼関係が欠かせない。
そんな中でどう生き残っていくかが重要だと岸本社長は言う。「私はトロッコに乗っていただけで、走り出したら次々と押してくれる人が現われて、知らないうちにこんな所まで運ばれてしまったんです」と謙遜するが、そのレールが向かう方向を見定めてきたのは間違いなく岸本社長だ。得意先である個人や法人の医療機関、薬局などへの安定供給とジェネリック医薬品のさらなる地域医療への貢献に向けて、大きな役割を担っていく企業になると確信した。
西日本ジェネリックの社屋
受領書のバーコード読み取り作業は機械の読み間違いもあり、作業負担が大きくなることもしばしば
納品受領書は、ひと月に約3万3000枚にも及ぶと言う膨大な数だ。以前は総量こそ今ほどではないにしても、1日約1700枚の受領書を複合機でスキャンし、1台の専用パソコンでバーコードを読み取る作業をしていたため、事務職員のひと月あたりの作業量は相当なものであったという。問題なく読み取り作業が進めば事務職員のストレスも溜まることはなかっただろうが、現実はそれほど甘くなかったと営業事務の蔵本沙織さんは言う。
1日約1700枚の受領書を複合機でスキャンを取る作業に約1時間、1台の専用パソコンでバーコードを読み取る作業に約1時間30分かかっていた上に、読み取りエラーがしばしば発生するので、スムーズに作業が進まなかったことが多かった。また、複数人でこの作業をするため、専用パソコンが順番待ちで混み合うことも多かった。処理量とエラーの頻度を想像すると本当に大変な時期を過ごして来たことが目に浮かぶ。
受領書のスキャンと同時にバーコードを自動で読み取ってデータ化することができ、スピードと正確さが格段に良くなり、作業負担を大幅に軽減することができた
2022年3月に導入したバーコード読み取りのアプリケーションを追加した自動送り装置搭載のデジタル複合機のおかげで、スキャン・バーコード読み取り・バーコードのCVS出力までの作業をほぼ自動化できるようになり、大量の受領書の処理が以前に比べて大幅に作業時間を短縮することが可能になった。
「01(ゼロイチ)のデジタルの世界とは縁遠く、私はグレーの世界で生きとるからね」とうそぶく岸本社長だが、日進月歩で進化するICTの効果が目に見える職場の変化を目の当たりにして「これだけは部下に任せています」と目を細めていた。
デジタル複合機にセットされる受領書
セットされた受領書を自動スキャニング
今後の挑戦課題は、ピッキングリストのペーパーレス化
相須課長は「社屋の奥にある出荷のための医薬品倉庫で使っているピッキングリストが問題なんです」と打ち明けてくれた。広々とした倉庫に並べられた大量の医薬品の中から、ピッキングリストに記載された商品を選び出し、配送先別に箱詰めしていく作業を数人の社員がこなしている。慌ただしく商品をピックアップしていく作業は無駄がなく、合理的に計算されているように見える。しかし、その手に握られているA4サイズのピッキングリストは、作業が済めばそのまま捨てられてしまう廃棄物なのだ。毎月大量の用紙が何箱もの段ボールに入った廃棄物として捨てられているため、ピッキングリストを何とかペーパーレス化できないかと考えているのだ。
SDGsへの意識も高まる中、相須課長が今問題にしているのがこれだという。ジェネリック医薬品の種類も増え、医薬品倉庫も拡大せざるを得なくなった現在、ピッキングリストのペーパーレス化が進めば、同時にミスもなくなるだろう。
ピッキング作業を行っている医薬品倉庫
ピッキングした医薬品を箱詰めし、配送準備をする
請求書の電子化にもこれから取り組んでいく
営業事務の蔵本沙織さんは「毎月15日、20日と末日に請求書の作成・封入作業を行いますが、作業時間が毎月10時間程かかっています。少しでも合理化できれば、他のお仕事がもっとはかどるんですが」と訴える。常務取締役の石村学さんは「個人経営の得意先も多いので、請求書の電子化を100%実施するのはまだ難しいですね。でも、社内業務のICT化を底上げしてきてやっと普通レベルまで来たので、全社的にレベルアップを図りながら電子化やペーパーレス化をどうしていくか考えていきたいですね」と前向きだ。
総務課長 相須陽子さん、常務取締役 石村学さん、営業事務 蔵本沙織さん
事業概要
会社名
株式会社西日本ジェネリック
本社
岡山県岡山市北区田中153-101
電話
086-243-4811
設立
2011年3月
従業員数
75名
事業内容
医薬品卸売業
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