日常の現場活動を「エコ活動」にする姿勢とICT導入の相乗効果を期待 吉本電気商会(香川県)
2022年11月30日 06:00
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1955年創立の株式会社吉本電気商会。吉本純孝代表取締役が先代の博信さんから引き継いで22年、香川県丸亀市を拠点に生活に欠かせない電気設備、給排水衛生設備工事を担っている。省エネを主体とした「エコ」を重視し、施工物の長期利用にも心を配ってきたが、最近まではほとんどの事務作業が紙ベースの手書きだった。社員の入れ替わりを機にデータ共有システムの浸透を図ったところ、作業効率が大幅にアップし、試行段階のビジネスデータ保管・共有システムの早期浸透も目指している(TOP写真・吉本電気商会の吉本純孝代表取締役(右)と吉本伊吹取締役)。
讃岐富士を望む飯野山の近くで創業
讃岐富士を望む吉本電気商会の本社
讃岐富士の愛称で親しまれる飯野山を間近に望む株式会社吉本電気商会。先代の博信さんが生まれ故郷の飯山町を拠点に創業したのが、1955年4月。以来、地元を中心にして電気設備工事などを担ってきた。2代目の吉本社長は山梨大学で電気工学を学んだ。卒業後は研究者への道も考えて研究生として過ごし始めたが、1年経った1982年、先代社長の下で働くことを決めた。
入社当時の戸建て住宅や鶏舎の設備から大型建物の設備に変わっていった
入社当時の仕事は、戸建て住宅や鶏舎の電気設備や給排水設備の工事が中心。大学では現場仕事を習わないため、現場に行って職人と仕事をすると、「大卒なのに、電線の皮のむき方も知らないのか」と叱責を受けた。そんな経験から「大卒を口にするのはご法度」と決め、職人に習いながら現場仕事を覚え、図面や現場管理の仕事も身につけていった。そんな中、時代は変わり、鶏舎などの畜産業が下火になっていった。
従業員の中には独立する人も多く、簡単な電気設備工事の競合相手が増え、徐々に大型建物にシフト。ハウスメーカーから受ける電気設備工事は図面や現場管理を行うだけで、現場仕事は下請けに出し始めた。
県立高校の電気設備工事を受注・施工して高い評価を受けた
吉本社長は工場などの電気設備工事を行う中、その図面を元に大型施設の仕事の進め方や書類作成方法などを学んでいった。努力は実り、入社10年ほどで大型建物の電気設備工事ができる手腕を身につけた。その頃の仕事で記憶に残っているのが、県立坂出商業高校の電気設備工事。専門書を買い込み積算して入札したところ、落札できた。数千万円の仕事だった。一人で図面を書き、県庁に何度も足を運び図面を見せて確認した。「今だったらあり得ないと思うのですが、丁寧に教えてくれました」。ようやくOKが出て、工事に取り掛かった。細部にまで注意を払った。
「ようーできとるね」
その工事は県庁の検査官から褒められた。
吉本電気商会の段取り重視と無駄な電力を使用しない「エコ活動」は脱炭素時代へ通ずる
ホームページに掲載されている代表挨拶
「現場作業に伴うエコ意識として、明るいうちに作業を終了し投光器をできるだけ使用しないとか、現場到着時に忘れ物がないように前日に積み込みを終わらせるなどしています。こうした小さなことが、事務所と現場の無駄な往復を避け、ガソリンの無駄遣いをしないエコ活動に繋がると思います」
「綿密な工程管理、材料管理などが最終的にスムーズな流れを生み、結果的にエコに繋がると思います。1週間に一度の工程会議を更に徹底して、現場作業でのエコ作業に取り組みたいと思います」
ホームページの代表挨拶で、吉本社長がエコ重視の姿勢を全面に打ち出しているのは、取引先大手ハウスメーカーから最先端の情報をきちんと吸い上げ、時代の要請を受け止めているからだ。施工物も長持ちするよう、丁寧な工事も心掛けている。「施主に『いい工事をしてもらった』と思ってもらいたいし、丁寧な工事は会社の価値を上げることにも繋がる」(吉本社長)からだ。
きちんと整理されている本社倉庫。部品などを保管している
CADは30年前に導入しICT導入には前向きだった
CADを扱う吉本社長
丁寧な仕事によって仕事は四国一円に拡大。公共の大型工事も毎年のように落札し、民間の工事と公共の工事の割合は7対3程度で推移している。だが、社員数は入社当時とほとんど変わらない11人。「人材不足で、採用しようとしてもなかなか来てもらえないから」(吉本社長)だ。一方で、CAD(コンピューター支援設計)の導入は、Windows3.1が出始めた30年ほど前にさかのぼる。同時期にノートパソコンも導入し、「むちゃくちゃ早かった」と自負しているが、日報などは2年前まで手書きだった。
日報や工程管理は最近まで導入しなかった
手書きが続いた理由は、社員のICTへの忌避感情。データ共有システムも早い段階で始めていたが、「今までこれでやってきたんだから、いいではないか」と決め込まれると、無理強いはしづらい。社員の意向を尊重した背景には、人との繋がりが大事な現場仕事を経験してきた吉本社長の考えが反映されていた。
抵抗していた社員の退職を機に一気にICT導入
2年前、ICTを忌避してきた70歳の社員が退職するなど、数人の社員が入れ替わった。最高齢社員の年齢が60歳に下がったことを機に、日報をデータ共有システムに打ち込んでもらうことにした。遠方の現場仕事でも日報を毎日書き込むことができ、勤怠管理などの手間も減った。また、工程管理も現場の社員が随時更新。吉本社長が担当していた紙の工程管理への記入は不要となった。
ICTの活用は仕上がり状況などの報告でも進んでいる。現場の様子は写真や動画にしてすぐにLINEで送るようになり、本社サイドの安心感は大幅に高まった。
吉本電気商会の事務スペース。ICTで作業が効率化した
ビジネスデータ保管・共有システムも早期浸透へ
ICTの効果を実感する中、吉本社長の長男、吉本伊吹取締役が現場で活用し始めているのが、ビジネスデータの保管・共有システム。工事現場にパソコンを持ち込み、本社サーバーに直接アクセスして、図面の修正などを随時行っている。これまでは図面の修正を電話で確認したり、修正済図面を現場に持ってきてもらったりしていたため、スピードも確実性も悪かった。それが現場にいながらにして図面を修正でき、現場の作業員とすぐに修正図面を共有できるようになった。吉本伊吹取締役は「確実に効率アップに繋がっており、なるべく早くみんなに使ってもらいたい」と話す。
ICTがもたらす作業の効率性と確実性の向上が、吉本電気商会の仕事をよりよいものにしていくことは間違いないだろう。
事業概要
法人名
株式会社吉本電気商会
本社
香川県丸亀市飯山町東小川1514-1
電話
0877-98-2153
設立
1955年4月1日
従業員数
11名(2022年2月現在)
事業内容
電気・管工事業
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