包装資材のプロ企業がICTで持ち前の営業力を強化 地域に根差しながら商圏拡大を図る オリロク(和歌山県)

From: 中小企業応援サイト

2022年12月05日 06:00

この記事に書いてあること

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産経ニュース エディトリアルチーム

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生活に欠かせない様々な容器の卸売業を営む創業85年の老舗、株式会社オリロクがICTを活用することで、持ち前の提案型営業力を向上させている。(TOP写真はEDIを使って帳票を作成する様子)

折箱の製造会社として85年前に創業 取り扱う商品は10万点

株式会社オリロクは85年前、和歌山県中部の御坊市で、当時大きな需要があった会席料理や仕出し料理に使う木製の折箱を製造する会社として産声を上げた。戦後、折箱の需要が減少すると1970年代から商材をプラスチック製容器に切り替え、スーパーマーケットの普及を追い風に、あらゆる包装資材を扱う企業として成長していった。現在、生鮮食品、惣菜、加工食品で使われているプラスチックのトレーやポリ袋、ラップ製品、アルミホイル、おしぼり、ナプキンといった紙製品など、取り扱う商品は10万点以上にのぼる。

オリロクで取り扱っている包装資材の一部

オリロクで取り扱っている包装資材の一部

商品の搬送を通じて取引先のニーズを把握

オリロクでは営業担当者が、取引先に商品を運ぶドライバーとしての役割も兼ねている。取引先と顔を合わせる機会を増やすことでまだ表に出ていないニーズを探り出し、次の提案に繋げることができるからだ。和歌山市内の和歌山営業所では倉庫が併設され、配送に使うトラックがずらりと並ぶ。午後から夕方にかけては、取引先からの注文にもとづいて発行した指示書を見ながらトラックの荷台に商品を積み込む社員たちで敷地全体が熱気いっぱいになる。

トラックへの搬入作業の様子

トラックへの搬入作業の様子

「お客様に喜んでもらうのはもちろん、社員らすべての従業員を物心両面で豊かにすることを経営理念にしています。仕事が楽しくなかったらやりがいは生まれません。楽しく明るい職場環境づくりに努めています。ワークライフバランスが求められ、労働時間に対する規制も強くなる中、機械やシステムに任せることができる仕事はどんどん任せていきたいと思っています」。和歌山営業所のオフィスで取材に応じた平野真一代表取締役社長は明るい表情でそう話した。

平野真一代表取締役社長

平野真一代表取締役社長

飛び込み営業から信頼関係を醸成して取引先の輪を広げる。「昨日より一歩前へ、他社よりも一歩前へ」を合言葉に地域一番企業を目指す

和歌山営業所は20代から40代を中心にオリロクの社員の半数以上が所属する重要拠点だ。2021年7月に父親から事業を受け継ぎ43歳で社長に就任した平野真一社長は、大学を卒業して保険会社やスーパーに勤めた後、オリロクに入社し、10年以上にわたって和歌山営業所の販路拡大に力を注いできた。平野社長の入社当時600件ほどだったスーパーマーケットや飲食店などの取引先は現在、約1,000件にまで増加している。

「社員たちが本当に頑張ってくれました。飛び込み営業を通じて新しいお客様を開拓し、長い取引を通じてしっかりした信頼関係を培うことで、そのお客様に次のお客様を紹介していただく。その繰り返しで取引先を広げていきました。オリロクでは一歩前進という言葉を大切にしています。昨日より一歩前へ、他社よりも一歩前へ。その一歩を繰り返していくことで、地域で一番と呼ばれる会社になることを目指してこれからも取り組んでいきます」と平野社長は力強く語った。

取引先拡大で増える事務作業をシステム強化でカバー

事業拡大とともに販売・仕入業務の帳票発行や金額計算といった事務作業は増える一方だが、積極的にICTを活用することで社員一人あたりの負担を増やすことなく乗り切っている。

社外からでも会社の情報を収めたサーバーにアクセスできるように10年以上前からVPN(仮想専用回線)を導入している。昨年8月には10年以上前から活用している販売管理システムのライセンスを10台から22台に増やし、営業担当の社員すべてが順番待ちすることなく、いつでも納品書や請求書などの帳票作成や商品の発注、在庫の確認ができるようにした。データの処理能力を向上させるためサーバーも1台から2台に増設した。

ICT投資は商圏拡大に向けた攻めの姿勢の表れ

オリロクは今後、地盤の和歌山県から隣接する大阪府、奈良県へと商圏を拡大していくことを計画している。積極的なICT投資は、人口減少が続く厳しい時代の中でも事業を発展させていこうという攻めの姿勢の表れでもある。

「市場が縮小する中で価格競争に走るとますます企業体力を失う悪循環に陥ります。ただ単に商品をお届けするだけでなく、いかに地域に密着してお客様にとってプラスになる提案を行い、オリロクの商品を選んでいただけるようにするかが大事なことだと思っています。大手スーパーから個人経営の飲食店までお客様の層は幅広く、それぞれが求める包装資材は大きく異なります。ニーズを汲み取るためにお客様と積極的にコミュニケーションを取って、お客様の視点で考える。そのための大事な時間を、ICTを使って生み出していきたいと考えています」と平野社長。

取引先との関係強化など大きな効果があったEDI導入

スーパーマーケットなど大手の取引先を対象に2016年からインターネットでビジネス文書をやり取りするEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)を導入している。「導入は取引先からの要望だったのですが、積極的に対応したことで取引量の更なる拡大につながりました」(平野社長)

注文の際に入る取引先の品番コードはアプリケーションを通じて自社の品番コードに変換されるので、すぐに納品書、請求書といった帳票を作成できる。帳票を作成する際に手入力する必要がなくなり、配送のための指示書もすぐに作成できるので非常に便利だ。複数の店舗を持つ大手の取引先からは連日大量の注文があるだけにEDIがもたらした業務改善効果は大きく、担当者の負担が大幅に減ったという。現在、個人経営の店舗からの注文は電話やFAXで寄せられることが多いが、今後、取引先で導入の動きが広がれば更に業務を効率化することが可能になる。

勤怠管理システムで労働状況を可視化する

8月からは本社で新しい勤怠管理システムと給与計算システムを導入している。以前は約40人分の社員の給与関係の業務は手書きの台帳で対応していたが、給与事務担当者の負担軽減と労働状況の可視化を目的にシステムを導入することにした。システムはタイムカードの読み取り機と連動しており、社員が出勤時と帰宅時にタイムカードに打刻すれば自動的に勤務時間が給与計算システムに反映されるので、担当者の事務負担は大きく改善された。

バーコード読み取り端末の導入で業務の効率化へ

豊富な在庫がそろうオリロク和歌山営業所の倉庫

豊富な在庫がそろうオリロク和歌山営業所の倉庫

来年には商品に添付されているバーコードを読み取る端末とバーコードで読み取った情報を注文書や指示書に反映できるシステムを導入する予定だ。メーカーに商品を発注する際、これまでは手作業で発注書を作成していたが、商品点数が多いこともあって非常に手間がかかっていたという。新しいシステムが導入されれば、バーコードを読み取るだけで発注書が簡単に作れるのでこれらの業務を削減することが可能になる。

社員がトラックで配送に出る、指示書にもとづいて倉庫から集めた商品を荷台に積み込む際の現品確認の作業も、バーコードを活用することで確実かつ迅速に行うことができるようになる。導入後は、受注から在庫確認、伝票発行、商品のピッキングといった一連の作業の時間が短縮できるので労働時間の削減や取引先へのサービス向上で更なる効果が期待できるという。

創業85周年から100周年に向けて経営体力を強化

オリロク和歌山営業所の全景

オリロク和歌山営業所の全景

様々な形でICTを活用し、持ち前の営業力を更に強化しようとしているオリロク。今後、自社の販売サイトを整えてEC(Electronic Commerce:電子商取引)に力を入れていくことも考えている。「100周年に向けて、ICTを活用することで外部環境に左右されることなく乗り切っていけるだけの企業体力を作り、 次の世代にオリロクを継いでいけるよう頑張ります」と平野社長は熱い口調で話した。これからも包装資材を扱うプロ企業としてその存在感はますます高まりそうだ。

事業概要

会社名

株式会社オリロク

HP

https://www.oriroku.co.jp/

本社

和歌山県御坊市湯川町財部836-3

電話

0738-22-1704

設立

1978年5月(創業1937年4月)

従業員数

39人

事業内容

卸売業(ポリ・ラップ・フィルム製品、アルミ製品、成型品、紙製品、木製品、結束製品、暖房関連製品、食品関連商品、文具、印鑑)

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