運輸

近距離シニアタクシーで地域に貢献。配車用のCTIを活用しサービス大幅向上 さくらサポート(香川県)

From: 中小企業応援サイト

2023年02月10日 06:00

この記事に書いてあること

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産経ニュース エディトリアルチーム

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株式会社さくらサポートは、香川県高松市中部の多肥地区を拠点とする近距離送迎に特化したタクシー会社だ。電話とコンピューターシステムを連動させ、インターネットで通話するCTI(Computer Telephony Integration:コンピューター電話統合)と呼ばれるシステムを活用することで、きめ細かく迅速で確実な送迎サービスを地域の利用者に提供している。

高齢者の近距離移動をサポートするタクシー会社

多肥地区の地域人口は約1万2000人。幹線道路沿いにあるタクシーの待機所とオフィスを兼ねたさくらサポートの本社周辺は、のどかな景色とともに住宅地が広がり、ロードサイドには店舗も数多く立地している。タクシーを利用する顧客の85%は高齢者。送迎に伴う移動は片道1.5キロ程度の近距離に集中している。

「気軽に利用していただける地元に根付いたタクシー会社を創業以来掲げています。地域の人に喜んでいただくことが、さくらサポートの存在意義だと思っています」と加藤義隆代表取締役社長はにこやかな表情で話した。

にこやかに話す加藤義隆社長

にこやかに話す加藤義隆社長

利用者と顔なじみだからこそできるきめ細やかなサービス

さくらサポートが所有するタクシーは7台。41歳から74歳まで7人のベテラン運転手が、日々、病院やスーパーマーケットに出かける地域の高齢者の移動をサポートしている。移動距離が短く、常連客が多いこともあって運転手は地域の地理や交通事情に詳しく、送迎は迅速かつ正確だ。利用者と顔なじみだからこそ提供できるきめ細かなサービスは、さくらサポートの大きな強みになっている。

さくらサポートのタクシー車両

さくらサポートのタクシー車両

「タクシーがすべて出払っている時に依頼があった場合は、どの程度の待ち時間がかかるかを具体的にお伝えして、利用するかどうかをお客様に判断していただくようにしています。」と加藤社長は話した。

定年間際に、地域の高齢者のために固い決意でタクシー会社を創業

一般企業で働いていた加藤社長は約20年前、58歳でさくらサポートを創業した。起業を決断した時は定年間際で、安定した生活を捨てて起業するという一大決心に家族を含めた周囲は驚き、何度も考え直すよう説得されたという。だが、加藤社長の決意は固かった。決意が固いことがわかると家族も応援してくれるようになったという。

「近距離でタクシーを依頼するのは運転手に申し訳ないと気遣って、必要であるにもかかわらずタクシー利用を控える高齢者が地域に大勢いることを知り、近距離でも気兼ねすることなく利用できるタクシー会社を作りたいと思ったんです。年齢を重ねて足腰が衰えても、気軽に出かけることができれば日々の生活は充実します。地域の人の日常生活を支えるとともに日々の楽しみを提供したいと思って仕事に取り組んでいます」と加藤社長。社名の中に「タクシー」ではなく「サポート」の文字を入れたのも地域の人を支援したいとの思いの表れだ。

自らチラシを配布し利用者を増やす。運賃割引の特典が付いた会員制度も導入

開業直後の依頼は少なかったが、自らチラシを地域の各家庭に配布するなど地道にPRを続けた。実際に利用した人がリピーターになり、評判が広がるにつれ、依頼件数も増えていった。新規開拓の営業活動は会社員時代から得意だったので毎日が楽しかったという。四国運輸局に申請して運賃割引の特典が付いた会員制度を導入するなど、他社との差別化にも積極的に取り組んだ。

かかってきた電話の番号と着信時間が記録される

開業から3年が経過すると依頼の電話が頻繁に入るようになった。そこで業務のサポート用にCTIを導入することにした。CTIは、かかってきた電話番号をパソコンの画面に表示し、着信時間と共に自動的に記録する機能を備えている。利用者とはこのCTIを通じてコミュニケーションを取る一方、運転手との連絡や報告などのやりとりは無線を通じて行っている。

電話応対と配車業務に取り組む加藤義隆社長

電話応対と配車業務に取り組む加藤義隆社長

依頼が集中する時間帯に仕事がこなせるのはCTIあってこそ

利用者からの電話の応対と配車業務は、社員だけでなく加藤社長自らも担当している。午前7時から午後8時までの営業時間の間に毎日50件から60件の依頼が寄せられる。正午を中心に前後2~3時間は依頼が集中し、ひっきりなしに電話が鳴ることも多い。その一方で、利用者が乗車した時や目的地で降車した時に入る運転手からの報告にも応対しなければならない。「依頼が集中する忙しい時間帯に、少人数でもお客様に迷惑をかけることなく仕事をこなせているのはCTIのおかげです。デジタル機器に詳しくない私でも簡単に使いこなせるので非常にありがたい存在です」

CTIを活用する様子

CTIを活用する様子

顧客の登録機能を活用することできめ細かい声がけができる

システムには、あらかじめ氏名と電話番号を登録しておくと電話がかかってきた時点で氏名を表示する機能がついている。現在、約1,580人が加入しているさくらサポートの会員については電話番号、氏名、住所をセットでCTIに登録している。電話着信と同時に相手が誰なのかすぐに把握できるので非常に助かるという。「お名前と共に『いつもありがとうございます』とお声がけすることで親しみを感じてもらえますし、自宅の住所などの説明をする必要もないので、お客様も短時間で電話を済ませることができます」と加藤社長は満足そうに話した。

クレジット対応、キャッシュレス対応、顧客履歴の管理も可能

CTI用のパソコンも定期的に更新している。2022年7月に更新したところ、データを呼び出したり画面を切り替えたりする時の処理速度がスピードアップしたという。利用者からニーズが高いクレジットカード払いやキャッシュレス決済への対応もしっかり行っている。「デジタル技術については専門の会社に相談しながらしっかりと情報を集めなければならないと思っています」と加藤社長。

さくらサポートのオフィス

さくらサポートのオフィス

さくらサポートはCTIを顧客管理にも活用している。電話番号は着信順に時刻とともに自動的に記録されるので、依頼を受けた時間の確認や利用頻度を知る上で役に立っているという。

運転手の知識と経験、デジタル技術をバランスよく組み合わせる

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」に示されるように、高齢者の数は今後も増加していく。公共交通機関が都市部と比較して脆弱な地方ではタクシーの必要性は今後、ますます高まっていくことが予想される。

さくらサポートの本社外観

さくらサポートの本社外観

「これから先、自動運転が普及したとしてもきめ細やかな温かいサービスを提供できるのは、なんといっても人間です。社会が高齢化すればするほどそういったサービスは重要になります。これからも運転手の知識と経験、デジタル技術をバランスよく組み合わせてお客様にとって便利なサービスを提供していく体制を整えていくつもりです」と加藤社長は表情を引き締めた。デジタル技術を活用しながらさくらサポートはこれからも「地域の足」としての重要な役割を果たしていくに違いない。

事業概要

会社名

株式会社さくらサポート

本社

香川県高松市多肥上町1266-1

電話

087-888-7720

設立

2007年11月

従業員数

7人

事業内容

一般乗用旅客自動車運送

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