高い技術力をホームページで発信。多様な家具の設計製造、取り付けまで手掛ける家具メーカー アイワ(愛知県)
2023年02月20日 06:00
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子どもたちが普段何気なく使っている学校の黒板や、ロッカー、通勤で見かける駅に置かれた木製のベンチ。「そうした何気ない日常に溶け込んだ物も中に、ここで作られたものがあるかもしれませんね」と話すのは、愛知県春日井市で家具や黒板などを製造している株式会社アイワの内山佳樹代表取締役だ。
学校の黒板やロッカー、ショップの洗面台など製造していた
材料や工作機械が並ぶアイワの工場
「黒板大手の青井黒板製作所で働いていた先代社長が独立して作った会社です」と内山代表取締役が振り返るように、黒板作りからスタートしただけあって、施工実績には小学校や中学校がズラリと並ぶ。本社1階の工場には、最大で幅6.0メートルにも及ぶ黒板をプレスできる装置が置かれていて、同社の持つ歴史と実績を物語っている。
木工プレス機などが並ぶ工場
今も依頼があれば、黒板や同じようなサイズの白板を製造しているが、「ICTの流れで電子黒板も普及してきて、今後どのようになっていくかはわかりません」。その分を補うだけでなく、会社の事業規模を広げているのが、様々な注文に応えて製造し、施工するベンチやロッカーといったオーダーメイドの家具類だ。
高い技術力と対応力・スピードで高級店の「しつらえ」も製作している
最近作成した会社案内には「某市営地下鉄駅トイレ改修工事」や「ベントレー&ロールスロイス新築工事」といった施工実績がずらりと並び、公共交通機関や一般企業、医療機関といった幅広い顧客に製品を提供していることがわかる。
そこには、壁や天井にふんだんに木材が使われた料亭の木製カウンターやシックな雰囲気のバーに置かれた木製バーカウンターがある。他にも、自動車販売会社の洗面カウンターや学校などで見かけるステンレス製の手洗い場、駅のトイレに設置されたパウダーカウンターなども並んでいて、作れないものはないのではといった同社の高い対応力を見ることができる。
会社案内に掲載された施工事例
オーダーメイドというと、職人が何ヶ月もかけて作り上げて納品しているように思うが、実際は受注から数週間で製作して納品しているとのこと。「内装は建設工事の最後の方の工程で完成日時が決まっていることが多いため、間に合いませんでしたとは言えませんから」と、スピーディーな対応について説明する。「こうした実績をもっと広く、詳しく伝える方法がないかと考えて、現在、ホームページのリニューアルを検討しています」。
6年前に開設したという現在のホームページも、トップページに高いデザイン性を持った家具やカウンターの施工事例が並んでいる。製品紹介コーナーには、「ままごとキッチン」や「食卓テーブル」といった事例も掲載されていて、同社がどのようなものを手掛けているかしっかりと伝わる。
美大卒業生からも応募。Webの発信力に確かな手応え
アイワのホームページ
「このホームページを見て、当社で働きたいと応募してくる人も出てきました」。ものづくりに携わってみたいと、美大などで学んだ女性が応募してくることもあったという。ただ、実際の取り付けなども行うため、体力的に厳しく女性ではついていけなくなる可能性もあって、現在の職人は男性が3人だけ。「業容が拡大して、仕事量が増えてくれば女性でも対応できる注文が入ってくるようになるかもしれません」。そうなるためにも、ホームページを改装して、新しい顧客を獲得したり、仕事の幅を広げたりしたいと希望を語る。
工場内で職人による作業が行われている
ホームページにはスタッフブログも併設されており、最近では会社案内にも掲載した大手ハウスメーカーの倉庫での施工事例を紹介した。これを読めば、確かな実績を積み重ねていることがわかる。ただ、会社案内に掲載されたすべての施工事例が掲載されているわけではなく、写真も1件につき1点ほど。カウンターなら天板の下がどうなっているか、ベンチなら実際の座り心地はどうなのかといった情報はない。同社のInstagramの方では事例に詳しい説明も添えられているが、カテゴリーごとにまとめられているわけではない。
ホームページをリニューアルして事例を詳細に紹介したい
「リニューアルするホームページには、会社案内に掲載したものも含めて、具体的な施工事例を写真で紹介したいと思っています」。飲食店からカーディーラー、倉庫や学校、公共交通機関、医療・福祉施設に至るまで多彩な顧客に対応し、それぞれの要望に応えていることを知ってもらえれば、これほど効果的なPRはないだろう。「商談先でホームページを見てもらい、そこからイメージに近いものを選んでもらえるようになります」。発注元の許可を得る必要があるが、ぜひ実現したいと意気込む。
こうした施設向けのオーダー家具は、建設を請け負っているゼネコンから依頼を受ける形で行っているが、それとは別に個人の顧客からも依頼を受けて家具などを作っているという。「隙間を埋めるような家具やラックなどを作ってほしいという顧客です」。その多くがホームページを見て注文してきてくれるというから、製品を紹介するホームページを作った意義は大いにあった。リニューアルするホームページにこうした個別の依頼に対する実績も載せれば、うちにもぜひという注文が舞い込みそうだ。
ホームページのリニューアルとは別に、施工に関わる情報の共有化にも必要性を感じ、方法を模索している。「ゼネコンから依頼を受けた案件でも、設計図やイメージ図をもとに収める製品の具体的な図面を作成するのは当社になります」。CADによって設計を行い、データはサーバーに移していくが、こうした“資産”を十分に活用し切れているとは言えないという。「オーダーメイドのためそのままでは使えませんが、過去の施工事例を参照することでもっと効率的に作業できるようになるかもしれません」。
ビジネスチャット活用で働き方改革とコミュニケーションの強化を実施
建築と関わる部分が多い仕事だけに、休日も少ないのではないかと思われがちだが、「土日は基本的に休みにして、年間で115日の休日をしっかりと取るようにしています」。加えて、職人のほかに営業やデザイナーら総勢9人となる従業員にはビジネスチャットのLINE WORKSを使ってもらい、工程などの連絡や報告を行っているという。「事務所に戻ってパソコンで日報などを書くのは、やはり手間がかかります。スマートフォンから書き込めるビジネスチャットなら、空いた時間にその場でさっと書き込めます」。無駄な時間を極力なくすことで、時短という課題にもしっかりと取り組んでいる。
パソコンを使う内山社長
「愛と和で心を一つにし、全社員の総力を結集して、社会のニーズに応えよう」という、アイワという社名とも重なる社是を持つ同社だけに、ICTを通じた情報やノウハウの一元化には前向きだ。そして、「社業を通して社会に貢献しよう」という理念に沿って、持てる技術力をより広い範囲で使ってもらえるよう、情報発信の活発化にこれから取り組もうとしている。
ホームページによる発信力強化のため、リアリティのある現場動画や製造工程で発生した端材提供のアナウンスも考えたい
情報発信も、テキストや画像にとどまらず「製品を作っている過程を見せれば、職人の技も知ってもらえるかもしれません」とやりたいことは広がる。一般の参加を募り、製造工程で出た端材を使った家具作りなどを企画すれば、さらに知名度は高まりそうだ。「製造現場では毎日のように端材が出ます。今は廃棄物として捨てているだけですが、ホームページを通して『今日はこのような端材が出た』と告知すれば、ほしいという人が出てくるかもしれません」。
誰でも手軽に多様なメディアを使い多彩な情報を発信できるようになった。技術力や実績があってもアピールする手段がなかった企業にとって、これほど可能性がある時代もないだろう。そこにどのようにアプローチしていくか、リニューアル後のアイワのホームページにひとつの答えがありそうだ。
事業概要
会社名
株式会社アイワ
本社
愛知県春日井市細木町2丁目6
電話
0568-33-7031
設立
1979年5月1日
従業員数
9人
事業内容
家具(一般住宅・店舗・病院・学校等々)/各種黒板・掲示板・ステンレス流し・トイレブース他
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