流通業(小売)

3Dスキャナーで設計作業を大幅短縮、最近導入した電子黒板は現場とリンクへ ベルコン(岡山県)

From: 中小企業応援サイト

2023年02月21日 06:00

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「自分で何か事業をしたい」。そんな思いを子供のころから持っていた生藤勝大(いくとう・しょうた)代表取締役が創業した株式会社ベルコンは、ベルトコンベアの保守メンテナンス事業から始まった。今ではベルトコンベアの設計・製作にとどまらず、中国からのコンベアベルトの輸入、廃棄物処理装置の開発・製作と、事業を拡大させている。ベルトコンベアの設計では3Dスキャナーを取り入れるなど、ICT導入にも積極的で、2023年1月に導入した電子黒板は現場や取引先との活用を目指しており、さらなる飛躍の一助になりそうだ。(TOP写真:2006年にベルコンを創業した生藤勝大代表取締役)

「自分で何か事業をする」の思い、ベルトコンベアで結実

創業者の生藤社長は子どもの頃から「自分の性格はサラリーマンに向かない」「そのためには自分で何か事業をしなければならない」と思っていた。「何をすべきか」と考えた時に、父の勤める会社が扱っていたベルトコンベア業界を知った。
大学では「これからは中国が伸びる」と考えて中国語文学科を専攻したが、父からベルトコンベア業界の話を聞くにつれてその可能性に魅力を感じ、関連会社に属しながら知識、経験を得て、2006年、地元の倉敷市でコンベアベルトの保守メンテナンスを手始めに事業を起こし、2009年に株式会社ベルコンを設立した。

2010年に本社工場、10年後には関東進出

2012年に移転した株式会社ベルコンの本社ビル

2012年に移転した株式会社ベルコンの本社ビル

初期投資がほとんどかからない保守メンテナンス事業は、順調に伸びた。一方で、他社との差別化を図るため、全国に先駆けて中国製のベルトを調達。日本製のようにJIS規格で製作指示し、「コンベアベルトは損耗よりも破損による取り換えが多いため、品質よりもコストが重視される」との読みが当たった。
需要はあり、2010年には中国製ベルトや関連部品などの在庫を持ち始めた。2012年には現在地に本社を移転、倉庫だけでなく工場も確保した。複数のコンベアベルトを接合させて長くするベルト加硫機などの設備投資も行った。

現場に設置されているベルト加硫機

現場に設置されているベルト加硫機

コスト勝負でコンベアベルトの営業をする一方で、生藤社長は中国メーカーに何度も足を運び、品質面の改善を要求。アドバイスを行うなどした結果、その品質も向上している。

現場で使用されたベルト巻取機

現場で使用されたベルト巻取機

関東の需要状況から、2016年には関東進出

関東進出は2016年。それまでに関東の需要を肌で感じていたが、客先の方がベルコンの出張コストを考慮して取引に二の足を踏んでいた。進出時に取引先はなかったが、「需要は絶対にある」(生藤社長)と強気の姿勢で千葉県君津市に事業所を設立。順調に売上を伸ばしている。

ゴミ処理低熱分解装置

ゴミ処理低熱分解装置

その進出をきっかけに生まれたのが、ゴミ処理低熱分解装置。千葉県の会社と共同開発した装置は磁気を使うことで陶器や貴金属などを除くほとんどのゴミをすべて灰にする。灰の容積は元のゴミの200~300分の1に減る。一般的な焼却場よりも容積の縮減率は5~10倍ほど高く、排出される液体は害虫駆除剤に使われる木酢液と同様のものだけという。
製造を始めた2020年以降、すでに数台が売れたが、処理スピードの遅さと処理容量の少なさが今後の課題だ。本業はあくまでベルトコンベアだが、「避けて通れないゴミ問題を解決できる画期的な装置」とあって、生藤社長の営業にも力が入っている。

2018年には設計部を設立、2年後には3Dスキャナー導入

新規事業を手掛ける一方で、「コンベア一式を受けたい」と2018年に設計部を設け、専門の従業員を増員。大手設計事務所で働いていた兄の生藤広土(ひろと)さんを常務取締役に迎え、大型のコンベアベルトの設計から施工までを手掛けるようになった。

CADを使ってベルトコンベアの設計をする設計部の従業員

CADを使ってベルトコンベアの設計をする設計部の従業員

設計部設立2年後には、3Dスキャナーを導入。測量にかかる手間は「5分の1にまで激減」(生藤常務)。調達先との関係から、ベルトなどの部品調達にかかる期間も短期で済むことから、設計・設置までを3ヶ月で完了させた実績があるという。

設計したベルトコンベアの設置作業

設計したベルトコンベアの設置作業

2023年1月導入の電子黒板は現場や取引先とも利用へ

今年1月には電子黒板を導入したが、まだその活用は本社内にとどまっている。このため、現場と本社のやりとりは電話となり、図面変更などは本社に戻って共有するしかない。このタイムロスは大きい。しかも、「多くの従業員は現場作業が多く、社内でそろうことがめったにない」(生藤社長)ため、今後は現場にも電子黒板の内容をリアルタイムで見られるようにする方針だ。

電子黒板を使って現場の状況を示す生藤社長(左)

電子黒板を使って現場の状況を示す生藤社長(左)

ICT化を進め、手書き処理を廃したい

ICTを推進し、ペーパーレス化を推進しているが、いまだ手書きの伝票処理が残っている。システムやアプリのオーダーメイドの範囲やセキュリティ面とコストの兼ね合いなど検討すべきことは多いが、中国製ベルトがセールスポイントとなった大型案件があるだけに、手書き伝票は早期になくしたい考えだ。

資源価格高騰から価格優位のベルコン製品に大手電力会社からの引き合いも

大型案件は、大手電力会社からの引き合いだ。大手企業はこれまで日本製ベルトへのこだわりが強く、受注できなかったが、資源価格の高騰が状況を変えた。価格高騰が電力会社の経営を直撃する中、コスト面の魅力から中国製ベルトを検討。保守メンテナンスも含めて受注できる可能性が高まっている。

もしこの案件が成立すれば、他の電力会社への決定的なアピールポイントとなるため、事業規模が一気に膨らむ可能性が出てきている。ベルトコンベアというニッチな業界だが、中国製ベルトという他社にない強みを持ったベルコンはICTのバックアップも得て飛躍の時を迎えている。

事業概要

会社名

株式会社ベルコン

本社

岡山県倉敷市粒浦189-1

HP

https://belcon.co.jp/

電話

086-436-6680

創業

2006年

従業員数

24名

事業内容

コンベアベルトのメンテナンス・保守管理事業、コンベア及びプラント設計・製作、環境ゴミ処理機の設計・販売

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