流通業(卸)

働きやすい職場づくりや情報発信にICTを積極活用 老舗の伝統×デジタルで新しい住宅文化を創造する 旭建材(三重県)

From: 中小企業応援サイト

2023年03月08日 06:00

この記事に書いてあること

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産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

国連の持続可能な開発目標SDGsの取り組みに力を入れる三重県の老舗建材会社が、働きやすい職場環境や昇給の原資となる利益の向上、情報発信にデジタル機器やICTを積極活用している。(TOP写真:旭建材株式会社の住宅設備を活用した施工事例)

創業126年 地元の工務店と強固なネットワーク

創業から126年の歴史を持つ三重県津市の旭建材株式会社は、住宅設備についての豊富な知識とノウハウ、工務店との強固なネットワークを生かして三重県の住宅づくりに貢献している。創業者の田中仙之助氏は昭和天皇に玉座を奉納した腕利きの木工職人として名を残している。創業時の木材業から戦後、フローリング、家具、内装へと事業を拡大し、1966年から現在の主力事業となっている住宅資材、設備機器の販売を開始した。

旭建材の住宅設備を活用した施工事例

旭建材の住宅設備を活用した施工事例

創業家出身の社長は元銀行員 社員目線でICTを導入

創業家出身の田中真義代表取締役社長は、地元の銀行を経て旭建材に入社し、2009年に社長に就任した。金融サービスの提供を通じて数多くの地元企業をサポートした経験は、取引先の工務店とチームワークを築く上で役立っているという。ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士)の資格を持ち、取引先からの経営相談にも積極的に応じている。

「創業以来の伝統を引き継ぎながら、時代の流れに合わせて新しい取り組みに挑戦することを大切に、先を見据え、次の世代を常に意識するようにしています。社員が働きやすい環境づくりや昇給の原資となる利益を生み出すために、デジタル機器やICTを積極的に活用していきたいと考えています」。津市内の本社で取材に応じた田中社長は柔和な表情でそう話した。

田中真義代表取締役社長

田中真義代表取締役社長

社員の健康管理を重視し、その姿勢は、従業員の健康づくりに積極的に取り組んでいる企業を三重県が認定する「三重とこわか健康経営カンパニー(ホワイトみえ)」を取得したことにも表れている。

SDGsに強い関心、三重県のSDGs推進パートナーに登録

国連の持続可能な開発目標SDGsに強い関心を持ち、三重県のSDGs推進パートナーに登録している。今後、SDGs宣言を行うことを決め、現在は詳細な行動計画書の作成準備を進めている。「若い世代のために企業としてSDGsに関心を持たないわけにはいきません。ゼロエミッションハウスなど環境に配慮した住宅づくりに力を入れる中、SDGsの行動目標は会社の方針と非常に親和性が高いと考えています。取引先とも連携しながら取り組みを進めていきます」と田中社長は力強く語った。

ホームページで自社だけでなく工務店の情報発信も

ホームページで自社だけでなく工務店の情報発信も

「ASAHI ie NET」と名付けられた旭建材のホームページは、取り扱っている住宅設備やショールームの紹介、家づくりセミナーの告知といった自社情報の発信だけでなく「三重県の家づくり情報サイト」としての機能も備えている。ファーストビューのデザインに力を入れるなどビジュアルを重視しており、施工事例ページで掲載している約20軒の注文住宅やリフォームの事例は、取引先の工務店が手掛けたものだ。どの事例も10枚以上の写真を使って家の全景からインテリアなどを幅広く紹介している。社員募集ページでは社員のインタビューを掲載し、仕事内容や会社の雰囲気をわかりやすく紹介。ホームページの管理に専任の担当者を置き「あさひのひとりあるき」のタイトルでブログによる情報発信も行っているほか、InstagramなどのSNSも活用している。

ASAHI ie NET
ホームページを編集する様子

ホームページを編集する様子

「地域の工務店は大手の住宅メーカーと比べると、情報発信の面で大きなハンデを負っています。情報発信をできる限りお手伝いしたいという思いで4年前にホームページを一新しました。今後も紹介事例を増やして、Web版の住宅展示場のような役割を発揮できたらと思っています」と田中社長は抱負を述べた。

2019年から庭づくりの新規事業を展開

インターネットを活用した情報発信とともに近年、新規事業の開拓に力を入れている。取り組みの一つとして、2019年9月からデザイン性を重視した住宅の庭、外構、エクステリアの設計、施工を手掛ける新事業「GARDENS GARDEN(ガーデンズガーデン)」を開始。津市内に店舗を設けて、庭づくりの相談の受付や関連商品を販売している。三重県では庭付きの一戸建て住宅に対するニーズが高いこともあって、本業との相乗効果が徐々に生まれているという。「ガーデンズガーデンを通じて新しいライフスタイルを発信していきたい。将来的には古民家のリノベーションにも取り組んでいきたいと考えています」と田中社長。

先を見据えて若手の採用に力を入れる

先を見据えた取り組みを進める上で、旭建材は若い社員の採用に力を入れている。37人の社員のうち、20代は8人にのぼり、4月からは更に2人の新入社員が加わる。将来を見据えて新しい事業に取り組んでいることや、働きやすい環境づくり、SDGsへの取り組み、働きがいなど、若者が魅力を感じる要素を積極的に発信していることが採用活動を後押ししている。「ベテランの知識と経験を生かしながら若い人たちのポテンシャルを伸ばすことで、会社を成長させていきたいと考えています。今後、技術伝承へのICTの活用も検討していきたい」と田中社長は話した。

打ち合わせをする若手社員たち

打ち合わせをする若手社員たち

デジタル機器やネットワーク管理に外部の力を活用

旭建材は、社内のパソコンやネットワークの保守管理を一手に引き受けていたベテラン社員が定年退職したことをきっかけに、2021年5月からパソコンなどのデジタル機器やネットワークに関する法人向けの保守管理サービスを活用している。機器やソフトウエアにトラブルが発生した時や操作について疑問点があった時、専門のITエンジニアから電話でアドバイスを受けたり、リモートツールで操作を代行してもらったり、それでも解決しない場合は、会社に来た上で対応してもらっている。

保守管理サービスを活用する利点について、総務部の伊藤友子次長代理は「パソコンが突然動かなくなってしまった時などの緊急時に、プロに電話一本で的確に指導してもらえます。デジタル機器やネットワークの保守管理の面で余計な心配をすることなく本来の業務に集中できるので、非常に助かっています。それだけではありません。アドバイスを受けながら自分自身でトラブルを解決することを通じて、社員一人ひとりのITリテラシーの向上にもつながっています」と話した。サービスの活用と同時にサーバーも新型の機種に入れ替えて、セキュリティ機能をアップさせた。

総務部の伊藤友子次長代理

総務部の伊藤友子次長代理

ICTで新しい住宅文化を構築、発信する

旭建材の本社の外観

旭建材の本社の外観

「デジタルの分野では新しい技術がどんどん登場しているのでしっかり情報収集していかなければならないと考えています。ICTを活用することで工務店との情報共有を更に進めると共に、各現場の状況を本社でリアルタイムに把握できるようにしていきたい」と語る田中社長。旭建材は新しい取り組みを積極的に進めることで歴史を積み重ねてきた。現在、力を入れる新しい住宅文化の構築と発信に、ICTは大きな効果を発揮するはずだ。

事業概要

会社名

旭建材株式会社

本社

三重県津市高茶屋小森上野町2793-8

HP

https://asahikenzai.net/

電話

059-234-3301

設立

1962年1月(創業1897年)

従業員数

37名

事業内容

住宅建材の卸販売、外壁工事、水回り設備工事、外構エクステリア工事

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