デジタルサイネージの将来性を確信し サブスクビジネスへ Alledge(群馬県)
2023年04月12日 06:00
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デジタルサイネージ(電子看板)を知っているだろうか。この頃電車の車中や街頭などでよく見かけるようになった広告用ディスプレイで、インターネットと連動し、時間や場所を選んだ表示が可能になる。この最新の広告媒体で固定収入を得ているのは33歳の合同会社代表だ。(TOP写真:キャッチコピー「FunnyLAB」のパネルと合同会社Alledge竹内大樹代表)
高校時代から「売れる仕組み」に興味を抱く
群馬県高崎市末広町の交差点。交通量の多い末広陸橋を車で渡り始めると、左側の大型広告映像が目に飛び込んでくる。ビルの屋上に据え付けられた合同会社Alledgeの大型デジタルサイネージだ。幅4.8メートル、高さ2.4メートル、約220インチの大型画面は自動車販売会社や人材派遣会社などの広告映像が数秒で切り替わり、かなり目立つ。
同社の竹内大樹代表(33歳)は商業高校時代に、どうすればお店に人が来るか、どうしたら売上が上がるかを考えるマーケティングに興味を抱いた。埼玉県内の大学を2年次に中退し、群馬県に帰郷してからもその関心は衰えず、印刷会社で営業職に携わりながら販売促進や集客など「売れる仕組み」を考え続けてきた。
起業から現在までの歩みを語る竹内代表
パソコン1台でスタート、ハイスピード・低価格のサービスが強み
2016年6月1日に個人事業主として創業。出資者と経営者が同一の合同会社とし、パソコン1台と身ひとつで事業の海にこぎ出した。カメラマンやデザイナーなど仕事を依頼できるプロを約10人確保し、それぞれの強みを持った印刷会社10社程度と提携した。まずは名刺や会社案内、チラシなどの印刷物のデザインから納品まで請け負う仕事を始めた。次いでホームページの制作を始め、やがて映像コンテンツも取り扱うようになった。「今では顧客の販売促進を総合的にサポートし、集客や売上UPに貢献できるようになりました」と竹内代表は話す。
顧客は約160社。業種は自動車ディーラーやメーカーなどまちまちだが、ほとんどが群馬県内の企業で、竹内代表と同世代の社長が多い。「はじめにお話を伺いに行き、相手のニーズを確認してから、うちならこういうことができますよと提案する営業スタイル」という。小回りを効かせ、印刷物にしろWebにしろ、様々な広告媒体をハイスピード・低価格で提供できるのが強みだ。
デジタルサイネージに着眼、ロードサイド展開を決める
新たな広告媒体としてデジタルサイネージを考え始めたのは2019年春頃だった。竹内代表は「飲食店の外に向いた窓などにモニター画面を付けてメニューなどの映像を流したらどうだろう。見た人は『おいしそうだから入ろう』と思ってくれるのではないか」と考えた。知人に相談したら「自前の映像機器で顧客のCMを流した方が大きな利益になるのでは」と言われた。
地方都市の主な移動手段は車で、高崎市も例外ではない。車を運転している人にとって、従来の野立て看板は信号待ち時間以外に目に留まる機会が少ないし、一度看板を設置してしまうと頻繁には変えられない。しかも、当時の高崎にはロードサイドで映像を流すデジタルサイネージがほぼ皆無だった。竹内代表は「どの程度需要があるかわからないが、やってみよう」と決めた。
定額制で固定収入確保、さらに売上拡大をめざす
2020年3月、高崎市内の金融機関から8年ローンで1000万円の融資が決まった。さっそく中国製の大型LEDモニターを発注し、同年9月に到着した。看板広告が据えられていたスペースにモニターを設置してデジタルサイネージの機器を接続し、映像を配信できるようにした。同時にクラウドも導入し、竹内代表の手元のパソコンからいつでも、どこでも画面を調節したり切り替えたりできる手はずも整えた。
デジタルサイネージにクラウドを組み合わせ、消費者向けに企業や店舗のCMを放映する同社の広告配信サービスが稼働したのは2020年10月。雨や風など天候の制約は特になく、昼間は明るめに、夜は少し抑えるなど画面光量も調節できる。手元に広告画像さえあれば一瞬で画像が切り替えられるし、外光に強いLEDディスプレイのため「屋外でも映像がきれいだ」と、約30社から広告申し込みが入った。料金は1コマ15秒で月1万円からの定額制だ。
従来のWebページ制作やチラシ印刷などは発注ごとに単発の売上しかなかったが、Alledgeのサービスは定額制のため、毎月固定の売上が確保できる。竹内代表は今後、デジタルサイネージにさらに注力し、年1500万円の売上のうち、今は2割に留まっている比率を5割にまで上げていきたいと考えている。
同社が先駆けとなったデジタルサイネージ広告は高崎市内に一気に広まり、最近は新規参入が相次いでいる。競争激化は必至だが、竹内代表は「今後は民間企業だけでなく自治体や商工会議所にも顧客を広げていきたい。公の情報をデジタルサイネージで放映することができれば」と、次の展開を準備中だ。
これからもアイデア勝負、面白いことをどんどんやっていく
竹内代表は、客先でホームページ制作やCM放映のプレゼンテーションをすると「意味がない」「需要がない」「うちでは不要」と断られることが稀にあるという。
そういう相手には「はじめは固定電話しかなかったところに携帯電話が出て、スマートフォンが出てきた。はじめは必要ないと言っていた人たちも今はスマートフォンを使っている」と説明。「今後の生活にICTは絶対必要なツールになってくる。まずは導入してみて自社への活用方法を探ってみれば、可能性は大きく広がるのではないか」と説いている。
竹内代表自身も「常にアンテナを高く張り、フットワーク軽く、いつの時代でも顧客に頼られる会社にしていきたい」と考えている。「うちのキャッチコピーは〝FunnyLAB(おもしろいこと研究所)〟です。これからも既存の事業形態にこだわらず、アイデア勝負で他の人がやっていない面白いことをどんどんやっていきたい。世の中の変化のスピードは早いし、同じことを続けていても成長はないですから」と話す。従業員数や会社規模など既成概念にとらわれず柔軟な考え方ができる30代の竹内代表。次に繰り出す一手も楽しみだ。
事業概要
会社名
合同会社Alledge
住所
群馬県高崎市旭町113-7@スクエアchoken
電話
027-384-2290
設立
2016年6月
従業員数
1人
事業内容
チラシ、ポスター、パンフレットなど紙媒体、WEBページ、デジタルサイネージの企画・制作
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