製造業(その他)

ホームページと展示会の相乗効果で自社ブランドの情報発信 ICT活用で成長戦略を描く 近畿アルミニウム(奈良県)

From: 中小企業応援サイト

2023年06月09日 06:00

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

奈良県北葛城郡広陵町に本社と工場を構える近畿アルミニウム株式会社は、浴室ドアの製造、販売を専門に手掛けるものづくり企業だ。約10年前から自社ブランドを立ち上げるなど積極的な経営改革に乗り出し、デジタルとアナログの技術をバランスよく活用することで着実な成長を続けている。(TOP写真:月あたり数千枚の浴室ドアを生産する近畿アルミニウムの工場)

ミリ単位で注文に対応 ユニットバス業界で存在感を発揮

50年以上の歴史を持つ近畿アルミニウムは、短い納期で顧客の注文に1ミリ単位で応じるきめ細やかな対応力を武器にユニットバス業界で大きな存在感を発揮している。製品の納入先には全国の有名リゾートホテル、シティホテル、ビジネスホテルが名を連ねている。

工作機械を活用した浴室ドアの生産工程

工作機械を活用した浴室ドアの生産工程

工程の中で必要な細かい調整は手作業で行っている

工程の中で必要な細かい調整は手作業で行っている

本社と併設された約2,300平方メートルの工場では月あたり数千枚の浴室ドアを生産している。照明は環境に配慮したLEDを使用しており、工場内の雰囲気は明るい。アルミ素材の自動送り切断機やプレス機、NC加工機などの工作機械を活用して効率的に作業を進める一方、細かな調整は職人の手で行っている。近畿アルミニウムならではの機械と手作業をバランスよく組み合わせた製造ノウハウは、利益率が高い数多くの特注品を迅速に生産する鍵となっている。

「お客様や地域に必要とされる会社にならなければ、と思っています。私たちが作ったものがお客様のもとに届き、気持ちが伝わった結果が収益につながる。そのことを忘れずに取り組んでいかなければならないと、従業員一同肝に銘じています」。活気があふれる工場内で浴室ドアの生産工程を説明しながら安田立明代表取締役社長はこのように話した。

新社長の下、積極的な経営改革を推進

着実に業績を拡大し、工場の拡張も計画している近畿アルミニウム。だが、10年前は業績不振に見舞われ、資金繰りに窮していた。そこで救いの手を差し伸べたのが、近畿アルミニウムにアルミ素材を供給している大阪府内の金属加工会社を経営する安田社長だった。安田社長は個人で近畿アルミニウムの株式を100%取得するなど、資金面で再建に協力。当初は経営にまで関与するつもりはなかったが、近畿アルミニウム従業員たちからの強い要望もあって2014年8月、社長に就任することを決断した。

「2つの会社を同時に経営するのは難しいという思いもあったので、最初は少し逡巡しましたが、会社を再生したいという従業員たちの思いを受け、覚悟を決めました。近畿アルミニウムは高い技術力と顧客対応力を備えていたので、財務と生産工程をしっかりと見直せば十分再建できると思っていました」と安田社長は振り返る。

安田立明代表取締役社長

安田立明代表取締役社長

安田社長は時間が許す限り近畿アルミニウムに足を運び、実際に現場で作業に携わった上で改革を進めた。生産工程の問題点を浮き彫りにした上で必要な設備を更新し、生産効率を向上していった。また、綿密な工程表を作成するよう社員を指導した。

会社の価値を発信するため自社ブランドを設立

財務と生産工程の改革と合わせて安田社長が取り組んだのが、販路の新規開拓だった。以前の近畿アルミニウムの製品は、取引先からのOEM(Original Equipment Manufacturing=:相手先ブランド製造)が中心で、自社ブランドを持っていなかった。顧客の細かな要望に対応できる設計力や短納期で対応できる生産力を会社の価値として打ち出すために、2015年に立ち上げたのがフルオーダー浴室ドアのブランド「エフェリア」だ。「毎日使う浴室ドアをもっと自由に自分らしくデザインしよう」をコンセプトとして打ち出し、ブランド名はギリシャ語で自由を意味する「エルフェリア」から発想したという。

近畿アルミニウムの工場内の様子

近畿アルミニウムの工場内の様子

「特注品であるにもかかわらず安い価格で販売したり、1ミリ単位で細かい調整を行うことができる技術があるにもかかわらず取引先にそのことをしっかり伝えていないなど、非常にもったいないことをしていたんです。品質管理や営業の専門家からアドバイスを受けた上で、製品の価値を従業員に再認識してもらうようにしました。外部の目線で検証したからこそ会社の良い部分に光を当てることができたのだと思います」と安田社長は話した。

ホームページを活用し、新規顧客向けに自社ブランドのアピール

建築会社や工務店など新しい顧客にアプローチするためにホームページを活用した。2016年に、それまで会社案内として使っているだけだったホームページを営業ツールとして活用できるように一新。総合カタログや提案事例を写真付きで豊富に紹介し、閲覧者が浴室ドアの種類や面材、色を自由にシミュレーションできるページも設けた。また、首都圏の工務店や建築士に製品を直接見て品質を確かめてもらえるように、東京都新宿区にある住宅設備の常設展示場への出展を決めた。

近畿アルミニウムの浴室ドアのサンプル

近畿アルミニウムの浴室ドアのサンプル

「デジタル機器やICTについては、必要と思った仕事で費用対効果を考えて導入するようにしています。ホームページと展示場の組み合わせで新規のお客様を開拓したように、デジタルとリアルを組み合わせることで相乗効果を発揮したいと考えています」と安田社長は話した。

クラウドで社内の情報を共有 出張の際に大きな効果を発揮

ホームページによる発信だけでなく社内業務でもクラウドを導入して効果を上げている。2019年3月にクラウドサービスを導入し、製品の在庫状況や図面などの情報を社員全員で共有できるようにした。社外からでもパソコンやスマートフォンなどの端末を使ってインターネットを通じて情報にアクセスできるので、出張が多い営業担当者が重宝しているという。

近畿アルミニウムのオフィスの様子

近畿アルミニウムのオフィスの様子

設計と営業の二刀流で活躍する技術部開発営業・マネージャーの秀崎兼一さんは営業活動で外出する際、クラウドサービスの効果を実感しているという。「クラウドサービスを導入する前は、資料を読み込んだ小型のハードディスクを持ち歩いていたのですが、破損や紛失に気を遣わなければなりませんでした。クラウドならその心配はありません。今は通信環境さえ整っていればパソコンやスマートフォンからいつでも会社の情報にアクセスできるようになったので、大変助かっています。本社に問い合わせの電話をする回数も大幅に減り、より時間を有効活用できるようになりました」と秀崎さんは話した。

コロナ禍ではWeb会議システムを使ったオンライン営業が中心だったが、コロナ禍の落ち着きと共に対面営業が可能になり、現在、月に1週間程度は首都圏などに出張している。「オンライン営業を体験したことで、コミュニケーションを深めやすい対面営業のメリットに気づくことができました」と秀崎さん。今後、Web会議システムと対面をバランスよく組み合わせて効果的な営業活動を行っていきたいという。

技術部 開発営業・マネージャーの秀崎兼一さん

技術部 開発営業・マネージャーの秀崎兼一さん

業務のICT化を進めることで、定型的な仕事のシステム化を進め、付加価値の高い仕事に取り組む

販売管理システムを活用する様子

販売管理システムを活用する様子

システム面での導入も積極的に進めている。10年以上前から販売管理システムを活用する一方で、従業員はICカードを使って出退勤時間を勤怠管理システムに記録するなど業務を効率化している。安田社長は、システムを活用することで 仕事の属人化を解消していきたいと考えている。「定型的な仕事にかかる時間を削ることができれば、その分、付加価値が高い仕事に時間を振り向けることが可能になります。これからも従業員の意見を聞きながら必要なICT投資を行っていきたい」と安田社長。

近畿アルミニウムは、求められる製品づくりを通じて工場の拡張など次の成長ステージに動き始めている。「いくら良い製品を作っていても、時代が変化すると求められる機能も変わってきます。変化が激しく先の見通しが難しい時代を生き抜いていく上で、何より大事なのは対応力と考えています。従業員一人ひとりの能力を高めることにどのような技術が活用できるのか、しっかり研究していきたい」と安田社長は力強く語った。

近畿アルミニウムの本社外観

近畿アルミニウムの本社外観

企業概要

会社名

近畿アルミニウム株式会社

本社

奈良県北葛城郡広陵町大字中290番地

HP

https://kinkialumi.com

電話

0745-58-3211

設立

1965年9月

従業員数

33人

事業内容

浴室ドアの加工販売、アルミ部材の加工販売

記事タイトルとURLをコピーしました!

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

中小企業応援サイトに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

中小企業応援サイト

https://www.ricoh.co.jp/magazines/smb/

「中小企業応援サイト」は、全国の経営者の方々に向け、事例やコラムなどのお役立ち情報を発信するメディアサイトです。"

新着情報をお届けします

メールマガジンを登録する

リコージャパン株式会社

東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル

お問い合わせ先:中小企業応援サイト 編集部 zjc_smb@jp.ricoh.com