廃棄物処理に正面から向き合い社会を支え 二重三重に力を入れるセキュリティ対策で顧客目線のサービスを実現 NANBU(奈良県)
2024年02月06日 06:00
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奈良県橿原市に本社を置く株式会社NANBUは、グループ企業7社で奈良県を中心に関西全域で一般廃棄物から産業廃棄物まで幅広く処理する体制を整えている。取引先の業界は建設、飲食、医療、製造など幅広く、企業数は4,000社にのぼる。同県大和郡山市内で産業廃棄物の中間処理場を運営し、グループ全体で一般廃棄物収集運搬業、産業廃棄物収集運搬業、特別管理産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業の許可を保有。顧客目線でのサービス向上を図るため、適材適所でデジタル技術や機械を活用することを心掛けている。(TOP写真:NANNBUが保有する産業廃棄物収集運搬車両の車体には「ISO14001認証」取得)
適正処理、減量、リサイクル。様々なアドバイスを顧客に提供
「現代の文明を成り立たせている自動車、ハイテク製品、ファッション製品、超高層ビルはいつか必ずその役割を終えて処分されますが、そのライフサイクルは年々短くなっているように思います。そして、その処理は誰かが取り組まなければならない大切な仕事です。単に廃棄物を収集、運搬するだけでなく、これまで培ってきたノウハウを活用して、適正処理や減量、リサイクルといった様々なアドバイスをお客様に提供することを重視しています」。創業者を祖母に持つNANBUの岩本源也営業部係長は事業への取り組みについてこのように語った。
新しいキャッチコピーは「ゴミなら(奈良)NANBU」
廃棄物管理士の資格を持つ岩本係長は、廃棄物処理をめぐる最新の技術や法規制の動きをしっかりと把握することを心掛けている。その一方で、公衆衛生と環境保全に大きな役割を果たしている会社の実像を社会にわかりやすく伝えたいと考えている。親しみやすさを感じてもらおうと2023年7月には「ゴミなら(奈良)NANBU」という新しいキャッチコピーを考案。従業員の名刺に印刷するなどしてPRしている。また、亀をイメージしたNANBUのイメージキャラクター、ナンブくんも積極的に活用していきたいと考えている。街中を走るナンブくんをデザインしたパッカー車は子どもたちに人気があり、地域のイベントなどを盛り上げるためナンブくんの着ぐるみも所有している。
顧客第一主義を徹底するための9ケ条の「NANBUコアバリュー」
NANBUは15年前に、創業以来重視する顧客第一主義を徹底するための9ヶ条からなる「コアバリュー」を制定した。コアバリューの中では、社員をナンブニアンと表現している。
【NANBUコアバリュー】
①お客様に喜ばれるサービスを提供する
②現状に満足することなく進化する
③お客様のサービスの依頼には絶対NOと答えない
④人は石垣、会社は人。全社員がナンブニアンになることを目指す。共に喜び、必要な時には叱り、フォローし、尊敬の念を持って接する
⑤社員一人一人が毎日1%向上することで、会社をより成長させる
⑥傲慢な人と会社は必ず崩壊する。常に謙虚であり続ける
⑦毎日その日行った仕事を振り返り、サービス業にふさわしい仕事をしたのか自問する
⑧育ててもらった地域に貢献する
⑨お客様に最高の笑顔をプレゼントする
「お客様に喜んでいただけるサービスを提供するからこそ収益につながることをナンブニアン全員肝に銘じています。廃棄物処理の最前線を担う企業の一員としての自覚と責任感をしっかりと持ち、ごみ処理がサービス業であることを常に意識しています」と岩本係長は話す。
適材適所でICT、デジタル機器を活用 セキュリティに力を入れる
NANBUはグループ全体でICT、デジタル機器の活用を進めている。グループ各社でICTやデジタル機器についての情報を収集し、費用対効果を考えながら適材適所で導入を行っている。傘下のコンサルティング会社、株式会社玄武は廃棄物に関わる業務をクラウドで一元管理するシステムを開発した実績を持っている。玄武は、デジタル技術を活用して新しいサービスを生み出すことに力を入れるNANBUの姿勢を体現しているといえる。
ICT活用の中でも特に力を入れているのがセキュリティ体制の構築だ。不正アクセスの侵入を防ぐファイアウォールの機能に加え、ウイルス対策ソフト、Webフィルタリング、不正侵入防御、不正侵入検知といったさまざまな機能を備えた「UTM(統合脅威管理)」とセキュリティソフトを10年以上前に導入して、定期的にバージョンアップしている。個人情報の取り扱いが適切であることを示すプライバシーマークも取得している。
「お客様の情報は何より大事なものです。情報が流出してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。二重三重に力を入れるに越したことはないという考えでセキュリティ体制を構築しています」と岩本係長は話した。情報管理を徹底するための社内研修にも力を入れているという。
機密書類の裁断処理に特化した車両やスチール缶とアルミ缶を自動選別する機械など積極的に設備投資し、セキュリティ対策と循環社会への道を歩んでいる
NANBUは廃棄物処理に活用する車両や設備でも積極的な投資を行っている。機密書類の裁断処理に特化した車両もそのひとつだ。車両は書類の計量や裁断の設備を備え、出張して依頼者の目の前で機密書類の裁断を実施し、その場で証明書を発行する。細かく裁断した書類は処理施設で溶解処理するので依頼主も安心して任せることができる。そのほか、発泡スチロールを回収してパッキングまで処理できる樹脂判別センサー機能を備えた設備や、空き缶を投入するだけで効率よくスチール缶とアルミ缶に選別し、それぞれを圧縮処理できる設備も導入している。
子どもたちへの環境教育を推進するためにNPO団体 地球環境防衛隊を設立、多彩な地域貢献活動を展開
2008年、子どもたちへの環境教育を推進するためにNPO団体、地球環境防衛隊を設立した。毎年秋には拠点を置く大阪府吹田市で、廃棄物として回収したペットボトルをロケットのように遠くに飛ばすことを競い合うイベントを開催するなど、様々な活動を展開している。「子どもたちに楽しみながら世界の環境問題に関心を持ってほしいという思いで取り組んでいます」と岩本係長。そのほか、奈良県橿原市内のイベントでの廃棄物の分別回収のサポートや各地域の清掃活動、ペットボトルのキャップを収集して生み出した利益を発展途上国の子どもたちへのワクチン代として寄付するエコキャップ運動など、多彩な地域貢献活動に取り組んでいる。
ICTとデジタル機器で従業員が仕事をしやすい環境を作る
NANBUは事業の拡大に合わせて採用に力を入れており、近年、20代の従業員が増加している。現場での実際の仕事を通じて指導するOJT(オンザジョブトレーニング)を重視する一方、従業員教育にICTを活用できないか検討している。それ以外でも廃棄物の回収・処理の管理や営業など様々な現場で従業員が仕事をしやすい環境を作るため、今後もICTやデジタル機器の導入を進めていく考えだ。
「デジタル技術はコアバリューの推進に大きな役割を果たしてくれるように思います。社会で生み出される様々なごみと信念を持って向き合っていく上で有効な技術を積極的に取り入れていきたい」と岩本係長は力強く話した。
経済活動によって生み出される廃棄物の処理に正面から取り組むNANBU。デジタル技術を活用しながら資本主義のシステムを支える生産、流通、販売、消費活動をこれからもしっかりと支えていく。
企業概要
会社名
株式会社NANBU
本社
奈良県橿原市五井町187番地の2
電話
0744-22-8888
設立
1998年5月
従業員数
90人
事業内容
事業系一般廃棄物収集運搬、産業廃棄物収集運搬処理
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