製造業(その他)

自動車のカタチの自由度が上がる時代「まだ、この世にない未来の車を作る」と宣言 体制づくりを進める ヒロミツ製作所(京都府)

From: 中小企業応援サイト

2025年11月07日 06:00

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

京都府南部の京田辺市に本社を置く株式会社ヒロミツ製作所は、大手自動車メーカーなどが新車開発の際に製造する試作車向けの鈑金(ばんきん)や部品をオーダーメイドで製造。設計から製造、納品まで一気通貫で対応する体制を整えている。電気自動車の登場により自動車のカタチの自由度が大幅に上がる時代を迎えている。そのため、今まで存在しなかった自動車製造を支援するための体制づくりを進め、顧客のあらゆる要望に応えようとしている。ヒロミツ製作所のホームページを見ると、会社一丸となって面白い時代に対応しようとしていることが伝わる。

3Dレーザー加工機をはじめとする多種多様な工作機械、3Dスキャナーなどのデジタル技術、創業以来培ってきた職人技をバランスよく組み合わせ、特別な強度や安全性を求められる高難度の加工案件を請け負っている。地域との共存共栄を掲げ、明日のものづくりを担う人材の育成やスポーツ振興にも積極的に取り組んでいる。(TOP写真:ヒロミツ製作所のTOPページ)

1987年に関西の中小企業で初めて3Dレーザー加工機を導入 多種多様な生産設備をそろえる

特別な強度や安全性を求められる高難度の加工を手掛けるヒロミツ製作所の生産現場

特別な強度や安全性を求められる高難度の加工を手掛けるヒロミツ製作所の生産現場

大阪市城東区での創業から60年以上の歴史を持つヒロミツ製作所の本社は、関西文化学術研究都市を構成する京都府京田辺市内の産業ゾーンの一画にあり、3Dレーザー加工機、高速マシニングセンター、プレス機などの多様な設備をそろえた工場を併設している。現在の場所に工場を建設したのは1982年。技術の向上を重視して設備投資に積極的に取り組み、1987年には金属板などを立体的に加工できる3Dレーザー加工機を関西の中小企業で初めて導入した。操作技術を蓄積した上で、6年ほどのスパンで新しい機種に切り替えている。

ヒロミツ製作所が導入している3Dレーザー加工機

ヒロミツ製作所が導入している3Dレーザー加工機

困りごとの解決に全力で取り組む「ヒロミツイズム」の精神で、試作鈑金や部品をオーダーメイドで製造、1社で全ての工程に対応することで短納期、高品質を実現

3D-CADを活用する様子

3D-CADを活用する様子

ヒロミツ製作所は、大手自動車メーカーや農機具メーカーの依頼を受けて、新車の開発になくてはならない試作鈑金や部品を注文通りに製作した上で納入している。3Dと2Dの複数のCADを活用したデータ、図面の作成から治具の制作、加工、組立、仕上げ、検査、納品までのすべての工程を1社で対応可能な体制を整えることで短納期、リーズナブルなコスト、高品質を実現している。工作技術はもちろん素材の探求にも取り組み、顧客に対して金属だけでなく、木材、樹脂といった様々な素材の提案も行っている。社会全体の脱炭素化の流れを受けて、ハイブリッド車や電気自動車への移行が加速することへの対応も進めている。

経済産業省から贈られた「はばたく中小企業・小規模事業者300社」、「地域未来牽引企業」の認定書

経済産業省から贈られた「はばたく中小企業・小規模事業者300社」、「地域未来牽引企業」の認定書

「困っている人を助け、困りごとの解決に全力で取り組むことをヒロミツイズムと名付け、創業以来、この精神を大事にしています。日本の自動車産業を支えていることを誇りに、常に新しい技術に目を向けて活用することを心掛けています」。ヒロミツ製作所を成長させた有友廣充代表取締役を父に持つ有友健太郎専務取締役は、日ごろから大事にしている思いをこのように話した。ヒロミツ製作所の一連の取り組みは高い評価を受けている。経済産業省から2019年に「はばたく中小企業・小規模事業者300社」、2020年に「地域未来牽引企業」に選定された。

3Dレーザー加工機や高性能スキャナー等、多種多様な機器を使いこなせる従業員 30代前半以下の従業員が半数近くを占める

ヒロミツ製作所の有友健太郎専務取締役

ヒロミツ製作所の有友健太郎専務取締役

従業員は3Dレーザー加工機や高性能スキャナーといった多種多様な機器を使いこなせるように育成。多能工化を進めることで誰もがどの工程でも作業を担えるようにしている。近年、高齢従業員の退職に伴う若返りが進み、30代前半以下の従業員が半数近くを占める。アットホームな働きやすい環境づくりを大事にしており、年に2回のバーベキューパーティーを開催し、就業時間中の午前10時と午後3時に「おやつタイム」を設けている。「若い人材が多いことが、新しい技術を取り入れやすい環境を生んでいます。最先端の設備を活用する一方、細かい仕上げの工程などは機械では難しい面があるので、手作業の技もしっかりと伝承しています。機械技術と人の技とのハイブリッドをこれからも推進していきたい」と有友専務は話した。

同志社大学フォーミュラプロジェクトへの支援、田辺高校のインターンシップ受け入れの取り組みなど、次世代の人材育成に貢献

ヒロミツ製作所は、2013年から同志社大学フォーミュラプロジェクトを支援している

ヒロミツ製作所は、2013年から同志社大学フォーミュラプロジェクトを支援している

ヒロミツ製作所は、地域に根差した貢献活動を展開している。その一つが地元の京田辺市内にキャンパスを構える大学への支援だ。公益社団法人自動車技術会主催の「学生フォーミュラ日本大会」に毎年参加している同志社大学の公認学生団体「同志社大学フォーミュラプロジェクト(DUFP)」に対して2013年から資金や部品の提供、溶接などの技術指導を行っている。DUFPが製作するフォーミュラカーは、毎年好成績を収める原動力になっている。10年以上の支援を通じて培った現役の学生や卒業生たちとのネットワークは、ヒロミツ製作所の大きな財産になっているという。

また、京都府立田辺高校での講義や機械技術科のインターンシップの受け入れを行い、ものづくりの現場を担う人材の養成に一役買っている。インターンシップでは工場の見学に加え、簡単な実作に取り組んでもらっている。2021年には田辺高校に対する一連の取り組みについて京田辺市から感謝状を受けた。「工作機械が稼働する様子に目を輝かせている学生たちの姿を見ていると、こちらもうれしくなります。インターンシップをきっかけに、卒業後の進路としてヒロミツ製作所で働くことを選んでくれる学生もいます」と有友専務は笑顔で話した。

スポーツを通じた地域の活性化にも貢献 Jリーグへの昇格を目指すサッカーチームを支援

ヒロミツ製作所は地元のサッカーチーム「マッチャモーレ京都山城」のオフィシャルウェアパートナーを務めている

ヒロミツ製作所は地元のサッカーチーム「マッチャモーレ京都山城」のオフィシャルウェアパートナーを務めている

ヒロミツ製作所は、スポーツを通じた地域の活性化にも目を向けている。地元の企業が運営し、Jリーグへの昇格を目指して活動しているサッカーチーム「マッチャモーレ京都山城」と2021年3月にパートナー契約を結び、オフィシャルウェアなどの支援を行っている。チームに所属してものづくりとサッカーの二刀流に取り組む従業員もいる。「大きな目標を掲げて努力する選手たちへの応援を通じて、会社の雰囲気も盛り上がるという効果が生まれています。共に成長していくことで地域を元気にしていきたい」と有友専務。競技を引退した選手のセカンドキャリアの相談にも応じていきたいという。

3Dスキャンで事前のデータと完成した製品とのわずかな誤差すら見逃さない徹底的な検査体制

ヒロミツ製作所が導入している3Dスキャン機能を備えたアーム型測定機

ヒロミツ製作所が導入している3Dスキャン機能を備えたアーム型測定機

2022年に新たに導入した小型部品向けの測定機

2022年に新たに導入した小型部品向けの測定機

ヒロミツ製作所は、事前のデータと完成した製品とのわずかな誤差すら見逃さない徹底的な検査を行っている。検査能力を高めるために20年以上前から完成品の計測にデジタル機器を活用している。2015年には大型測定物の全面を1回で計測できる3Dスキャン機能を備えたアーム型測定機を導入した。以前の測定機は計測ポイントが少なかったため、測定物を複数回セットし直す必要があり、時間がかかる上に誤差も生じやすいという課題があった。新しい測定機を導入したことによって、以前は平均3時間以上かかっていた大型部品の測定を30分程度で完了できるようになったという。測定機はパソコンと連動しているため結果の入力も不要なことから、人的ミスの発生抑制にもつながっている。2022年には新たに小型の部品向けの測定機も導入した。

UTMを中心に複層的な情報セキュリティーを実装

会社で保存している図面などの知的財産を守るために情報セキュリティーに力を入れている。コンピューターウイルス対策やファイアウォール、IPS(不正侵入防御システム)、IDS(不正侵入検知システム)といった多様な防御機能を備えたUTM(統合脅威管理)機器をはじめ、サイバー攻撃を受けた際に検知して、情報が漏えいする前に自動で通信を遮断する機能を備えたセキュリティー機器、ランサムウェア対策用にNAS(ネットワーク接続型ストレージ)を導入するなど、複層的な防御体制を構築している。

OCR機能を備えた文書管理システム、クラウドストレージ、VPNを活用して基幹業務や営業活動を大幅にスピードアップ

ヒロミツ製作所のオフィス

ヒロミツ製作所のオフィス

複合機を使って紙文書をスキャンし保存

複合機を使って紙文書をスキャンし保存

基幹業務のAI活用にも積極的に取り組んでいる。2024年4月にOCR(光学文字認識)機能を備えた文書管理システムを導入。取引先からPDFで受け取った書類の内容を、長年使っている文書作成ソフトや表計算ソフトで直接編集して活用できるようにした。PDFの内容をそれぞれのソフトに入力し直す必要がなくなったので、以前は丸1日かかることもあった書類作成にかかる時間が、数十分程度になったという。また、文書管理システムは複合機と連動しており、スキャン機能を活用した紙文書のデジタル化も進めている。クラウドストレージとインターネット回線を活用したVPNを併用して、本社の外からスマートフォンなどの端末で会社のデータにアクセスできるようにすることで営業活動の効率性を高めている。

ホームページ作成システムを使って機動的に情報発信 新しい時代に取り組むワクワク感とメッセージを伝える

ヒロミツ製作所のホームページ

ヒロミツ製作所のホームページ

ホームページ作成システムを使ってホームページを編集する様子

ホームページ作成システムを使ってホームページを編集する様子

会社の事業内容や地域での活動を積極的に情報発信するために2023年にホームページ作成システムを導入し、ホームページをリニューアルした。システムは、スマートフォンでの閲覧に対して自動で最適化する機能を備えている。以前は外部の業者にホームページの運営を委託していたので、新しい情報を機動的に更新できないという課題があった。システム導入後は、設計部門に所属する30代の従業員がホームページの編集を担当し、若い人に関心を持ってもらえるようにレイアウトや掲載内容を工夫している。従業員のインタビューを掲載した採用情報専用のページを設け、SNSとの連携も行っている。システムが備えるパンフレットの作成機能も活用している。「展示会や入社説明会などで配布する会社パンフレットの作成を外部に発注する必要がなくなったので、コストの削減にもつながっています」と有友専務は話した。

ICTとデジタル機器を活用して今後も120%の力でものづくりに取り組む

ヒロミツ製作所の本社の外観

ヒロミツ製作所の本社の外観

生産現場と基幹業務の両面で積極的に新しい技術を導入しているヒロミツ製作所。新車の企画から市場投入までの期間が年々短縮化する中で生産性をより一層高めようとしている。2025年9月に事務作業の効率化を目指して生成AIの活用を開始した。生産現場でも溶接部門でのロボットの導入を検討しているという。「新しい技術を活用することで従業員の負担を減らし、新たなことにチャレンジしやすい環境をこれからも整えていきたい。人間でできなければできない仕事をより輝かせるためにデジタル技術を活用し、120%の力でものづくりに取り組んでいきます」と有友専務は力強く話した。

企業概要

会社名

株式会社ヒロミツ製作所

本社

京都府京田辺市大住池ノ端6-1

HP

https://hiro32.co.jp

電話

0774-63-1364

設立

1972年5月(創業1962年)

従業員数

23人

事業内容

自動車、農機、建機、電気などの試作鈑金、3次元レーザー加工

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