製造業(機械)

30歳で事業承継、「こんな車ができたらいいな」をカタチに提案力と高い技術力を武器に3D-CAD活用でオンリーワンの車づくり オーテック工業(滋賀県)

From: 中小企業応援サイト

2025年11月14日 06:00

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

滋賀県南東部の甲賀市に本社を構える株式会社オーテック工業は、依頼主の要望を具現化する高い設計・技術力を強みに、環境性能が高い機械装置の設計・製造に取り組むものづくり企業だ。オーダーメイドの特殊架装車を中心に、車両に搭載する機構の設計から精密加工、組立配線、試運転、据付納品まで一貫対応している。取引先、従業員、地域社会といった幅広いステークホルダーに貢献できる企業であり続けることを目指し、そのために必要な経営体制を構築するために適材適所にデジタル技術を活用している。(TOP写真:ホームページでは、特殊架装車ならではの様々な提案を行っている)

「小さなことからコツコツと」をモットーに金属加工、溶接、板金、塗装、電気制御など幅広い分野の技術を備える

多彩な加工設備をそろえたオーテック工業の生産現場

多彩な加工設備をそろえたオーテック工業の生産現場

1989年に滋賀県甲賀市で道路工事用標識の製作から事業をスタートしたオーテック工業は、現在取締役会長を務める2代目社長の奥村裕二氏が、機械の設計・加工へと事業領域を拡大した。「顧客第一主義」を掲げ、金属加工、溶接、板金、塗装、電気制御など幅広い分野で技術を蓄えている。会社のモットーである「小さなことからコツコツと」は、参院議員を3期務めたタレントの西川きよしさんが大事にしていた言葉にちなんでいる。奥村会長自ら西川さんの事務所に連絡を取り、モットーとして使うことの承諾を得たという。

下水道の管内を遠隔で調査・補修するための特殊架装車の製造で豊富な実績

オーテック工業が生産した下水道の管内を遠隔で調査・補修するための特殊架装車

オーテック工業が生産した下水道の管内を遠隔で調査・補修するための特殊架装車

オーテック工業は、車両に搭載する機器を社内で製作している

オーテック工業は、車両に搭載する機器を社内で製作している

オーテック工業は、下水道の管内を遠隔で調査・補修するためのケーブルや精密機材を搭載した特殊架装車の製造で豊富な実績を上げている。発注は全国から寄せられ、限られた空間での収納や作業のしやすさを考慮しながら1台ずつオーダーメイドで製造。車両に搭載する調査用カメラなどの機器も社内で製作している。50社以上の仕入先から車両、機械部品、電気、ゴム、樹脂、木材といった多種多様な資材を調達し、依頼主の要望にきめ細かく対応している。下水道管の破損や腐食は道路の陥没や破損につながり、災害を引き起こす原因になる。特に都市部では経年劣化した下水道管に対する定期点検の必要性が高まっており、これらの社会課題の解決に貢献するため今後も開発体制の充実を図っていきたいという。

2024年に当時30歳の若手役員に事業承継 長期的な視野で経営に取り組み、会社の持続可能性を高める

オーテック工業の田中宏和代表取締役社長

オーテック工業の田中宏和代表取締役社長

奥村会長は、オーテック工業の持続可能性を高めるには若い人材に長期的な視野で経営に取り組んでもらう必要があると考え、2024年に60歳を迎えたことを機に、当時30歳だった田中宏和取締役・製造兼業務部長に社長職のバトンを渡した。

滋賀県甲賀市出身の田中代表取締役社長は20代前半でオーテック工業に入社した。中学生の時に職場体験学習でオーテック工業を訪問したことがあり、その時から抱いていた好印象が同社の門を叩くことにつながったという。入社間もない頃から頭角を現し、27歳で取締役・製造兼業務部長に就任し、会社のマネジメント全般に携わってきた。「奥村会長から後継指名を受けた時は、まだまだ学ばなければならないことが多いと感じていたこともあって、自分に務まるのだろうかと悩みに悩みました」と田中社長は振り返る。就任して1年以上が経過し、今もプレッシャーはあるが、オーテック工業を自らの力で成長させることで、新人時代から育ててくれた奥村会長をはじめとする会社の先輩や地域の人に恩返ししたいとの思いで経営に取り組んでいるという。

ベテラン技術者をそろえる一方で若手も育成 技能実習生を受け入れ、多様な人材活用に力を入れる

オーテック工業は多様な人材活用に力を入れている。50代以上のベテラン技術者をそろえる一方で、若手も育成している。30代、20代の従業員に加え、ベトナム出身の20代の技能実習生が4人在籍し、機械加工の業務に従事している。工作機械の操作だけでなく、質の高い仕上げを行う上で不可欠な手作業も重視し、職人技の伝承もしっかり行っているという。「ベテランと若手、それぞれの世代のつなぎ役としての役目を果たしていきたい」と田中社長。昼の休憩の後には、技能実習生のために日本語の学習時間を毎日1時間設けている。「日本で身につけた技術や語学力を母国の発展に役立ててもらえたら。将来は日本とベトナムの橋渡し役となる人材に育ってほしいと思っています」と田中社長は笑顔で話した。

週休2日制に加えて毎月第4金曜日を休業日に 健康経営を積極的に進める

社内に掲出している健康宣言書や健康経営優良法人の認定書

社内に掲出している健康宣言書や健康経営優良法人の認定書

オーテック工業は、従業員が心身ともに健康であることを何より大事に考え、バーベキューなどの社内レクリエーション、毎月の昼食会といった福利厚生や健康診断の充実に取り組んでいる。週休2日制に加えて毎月第4金曜日を休業日とすることで年間107日の休日を設けている。

また、全国健康保険協会の健康宣言事業に取り組んだ上で経済産業省が推進する健康経営優良法人の認定を取得している。2024年には国連の持続可能な開発目標、SDGsの取り組みを進めるSDGs宣言を行った。「従業員一人ひとりの物心共に健康的な生活は、自分の周りの人たちにも配慮できる余裕を生み、互いに支え合うことで生産性が向上するという好循環につながります。人と人のつながりを大事に考え、従業員が何でも話し合える雰囲気づくりを大事にしています。健康経営を積極的に進めることで、これからの人生100年時代に必要な従業員の体づくり、生きがいづくりをサポートしていきたい」と田中社長は話した。

設計、加工技術を生かした「一点もの」の機械製造を得意とし、依頼主の夢を実現するカスタムカーづくりを事業として展開

オーテック工業は、設計、加工技術を生かした「一点もの」の機械製造を得意としている。これまで早押しクイズの練習機や発泡スチロールの減容器といった特殊な機械をオーダーメイドで製作した実績を持つ。「お客様が固めきれていないイメージを、打ち合わせを繰り返しながら徐々に固めていくプロセスを『夢ヒアリング』と名付けて大事にしています。プランがまとまった時点で設計図を作成し、製品として仕上げていきます。何でもお気軽にご相談していただければ」と田中社長。Web会議システムを使った打ち合わせにも応じているという。

オーテック工業が現在、事業として拡大を考えているのが、特殊架装車で培った技術力を活用した依頼主の夢を実現するカスタムカーづくりだ。調理設備を備えたキッチンカーをはじめ車中泊カー、フードトラック、移動動物病院、移動店舗といった多種多様な車をオーダーメイドで製造する。キッチンカーを使って起業を目指す人には、車両の製作だけでなく飲食業を始める際に必要な保健所への許可申請や設備についてのアドバイスも提供。機能を確認してもらうためのデモカーとして太陽光パネルを備えたキッチンカーを既に完成させている。「会社の技術を生かして、新しいことに挑戦したいと思っている人たちを支援する取り組みに力を入れていきたい」と田中社長は話した。

適材適所でデジタル技術を活用 3D-CADは設計や依頼主への説明に不可欠の存在

オーテック工業のオフィスの様子

オーテック工業のオフィスの様子

田中社長は、人口減少に伴う働き手不足と対応しながら事業を拡大するための手段としてICTやデジタル機器の活用に目を向けている。「現状では問題がなくても、先を見据えると人材確保はますます厳しくなります。時間を有効活用するために、デジタル技術をこれまで以上に導入していかなければならないと実感しています。従業員がICTやデジタル機器を抵抗感なく使いこなせるようにしていきたい」と田中社長は抱負を述べた。

オーテック工業は、製品の設計図や依頼主への説明に使う立体画像を作成するために3D-CADを10年以上にわたって活用している。設計能力を強化するために2025年3月、新たに3D-CADを1台追加した。「実際に製作に取り掛かる前の部品同士の干渉チェックが容易で、設計作業を効率化してくれる3D-CADは必要不可欠な存在です。お客様にも3D空間上の画像でわかりやすく説明できるので本当に助かっています」と田中社長は話した。

2025年7月、従業員の勤務時間の集計作業を効率化するために勤怠管理システムを導入 ベテラン従業員にしっかりと説明し、納得してもらった上で運用を開始

勤怠管理システムを活用する様子

勤怠管理システムを活用する様子

基幹業務でもデジタル技術を活用している。2025年7月には、従業員の勤務時間の集計作業を効率化するためにICカードと連動した勤怠管理システムを導入した。システムは会社にとっての使いやすさを考えた上で複数の候補の中から選定した。「せっかくシステムを導入しても使いこなせなければ意味がないので、価格の安さではなく機能を重視して選定しました。アフターサービスの内容も選定のポイントにしました」と田中社長は説明した。

以前は紙製のタイムカードで従業員約20人の出勤時間と退勤時間の記録を行い、月末にカードを回収して一人ひとりの勤務時間を計算した上で表計算ソフトに手作業で入力していた。そのため、手間と時間がかかるだけでなく、入力ミスを見つける確認作業も念入りに行わなければならなかったという。「休暇や残業などに対する申請についても紙ベースで行っていたので、決裁までに一定の時間を要し、記入漏れや読みにくい文字があった場合は、記入した従業員本人に直接コンタクトして確認する必要がありました」と田中社長は振り返った。

勤怠管理システムを導入する際は、従業員がペーパーからデジタルへの変更に不安を感じることがないように田中社長自ら詳しい説明を行った。その上で従業員に使い方を習得してもらい、全員が納得した上で運用を開始した。

勤怠管理システムと連動したICカードのカードリーダー

勤怠管理システムと連動したICカードのカードリーダー

導入した勤怠管理システムは、従業員が出勤時と退勤時にICカードをカードリーダーにかざせば、その時間がシステムにそのまま反映され、自動集計されるようになっている。システムのおかげでタイムカードを回収して計算、入力する毎月の作業は不要になった。システムにはスマートフォンやパソコンなどの端末からアクセスできるので、従業員が残業や有給休暇などの申請を行う時もペーパーレスで完結できるようになった。フォーマットに従って記入すれば申請が完了するので、手書きの時に発生していた記入漏れなどもなくなったという。スマートフォンを持っていないベテラン従業員には、オフィス内のパソコンから申請してもらうようにしている。

管理者にとってもリアルタイムで全従業員の勤務状況をパソコンの画面で確認できるので、残業が増えている人への配慮もしやすくなったという。「勤怠管理システムを活用することで、物理的な場所を取らずに情報を保存することができるようになりました。紙ベースの時は手間がかかっていたことが、デジタルだと簡単になることを実感しています」と田中社長はうれしそうに話した。

新社長就任に合わせてホームページをリニューアル 若い人に関心を持ってもらえるように親しみやすいイラストや写真を豊富に掲載

リニューアルしたオーテック工業のホームページ

リニューアルしたオーテック工業のホームページ

オーテック工業は、田中社長の就任に合わせてホームページをリニューアルした。会社の事業内容や採用情報を掲載する一方、カスタムカーでかなえることができる夢を親しみやすいデザインのイラストで紹介している。若い人に関心を持ってもらいやすいようにイラスト、写真を豊富に使い、会社が大事にしている思いをストーリーにした漫画も掲載している。ホームページを通じて会社の理念や取り組みを幅広く発信することで人材採用の後押しにつなげていきたいという。また、滋賀県内のラジオ局に広告を出稿するなど、ホームページ以外の情報発信にも力を入れている。

生成AIにも強い関心 デジタル技術を有効活用しながら発想力と技術力に磨きをかける

オーテック工業の本社の外観

オーテック工業の本社の外観

オーテック工業は生成AIにも強い関心を持っている。最初は議事録の作成からスタートして効果的な使い方を探っていきたいという。「生成AIを使って定型業務にかける時間を減らすことで、人間だからこそできる設計やお客様とのコミュニケーションにより一層時間を使うようにしていきたい」と田中社長は意欲を示した。地域に根差した柔軟な発想力と高い技術力でオンリーワンの製品を生み出しているオーテック工業。適材適所でデジタル技術を有効活用しながら、これからも依頼主の夢をかなえるものづくりに磨きをかける。

企業概要

会社名

株式会社オーテック工業

本社

滋賀県甲賀市水口町宇川1426-3

HP

https://ohtec.net

電話

0748-63-1169

設立

1989年3月

従業員数

19人

事業内容

省力機械、環境装置の構想設計から製造、特殊車両の架装、部品交換、車両板金修理など

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