見積書作成のクラウド化で直行直帰が可能 資格取得者に毎月手当支給、顧客にも社員にも優しい事業展開 日吉空調(栃木県) 管工事業
2025年12月19日 06:00
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栃木県鹿沼市で空調や水道、消防などの設備工事、下水道などの管工事を手がける株式会社日吉空調は、40年にわたる長い事業活動の中で得た経験をもとに、手堅い工事を行い、地域の自治体や企業、一般家庭からの依頼をこなして堅調な経営を続けてきた。そうして、現場のエリア拡大や受注量の増加に対応するため、どこからでも工事の見積作業を行えるクラウド型のシステムを導入。限られた人数で効率良く働けるような体制を整えた。(トップ画像:株式会社日吉空調が手がける空調設備工事の仕事、同社ホームページから)
観光地として大いに賑わっている日光市の手前にある鹿沼市は、「とちおとめ」の品種が有名なイチゴの産地として知られている。東武日光線の新鹿沼駅前にも大きなイチゴのオブジェが置かれて、地元の名産品であることをアピールしている。日吉空調はその新鹿沼駅近くに本社を構えている。
長い活動実績を背景に官公庁などから空調設備工事の仕事を受注、温暖化で導入が進む学校体育館への空調設置を多く手がけている
株式会社日吉空調の寺内実代表取締役
「宇都宮にある設備工事関係の会社で働いたあと、独立して妻の実家がある鹿沼で1985年に創業しました」と代表取締役の寺内実氏は振り返る。2025年で72歳になった寺内社長が32歳の時の創業。「古巣の会社からお客さまを分けていただくようなことはしないで、自分で新しく開拓していきました」
その頃は管工事を中心に何でも手がけていたとのこと。依頼を受ければ道具を持って現場に向かい、一生懸命に働いた。ただ、「いずれ空調を中心に工事を行う会社にしたいという思いで、会社の名前も日吉空調にしました」(寺内社長)。現在は、大手の空調機メーカー(ダイキン工業)の工事協力店にもなっていて、近隣の施設や住居に空調設備を設置したり、定期的なメンテナンスを行ったりしている。
温暖化の影響もあって、学校の体育館や教室にクーラーを設置する動きが活発になっており、同社でもそうした学校の空調設備を数多く手がけている。「設置した設備についてはメンテナンスが必要になってきます」。そこで会社がなくなり、メンテナンスを引き受けられないようでは設置先も困ってしまう。その点で、長い期間対応がしっかり行える会社だと理解してもらえていることも、同社が選ばれている背景にありそうだ。
社員を空調機メーカーの研修所に派遣して知識や技術を学ばせ、仕事内容の向上や社員の自信確保につなげている
株式会社日吉空調の事務室
長く事業活動を進めていくためには、やはり社員を確保して継続的に働いてもらえるような体制作りが必要だ。「若い世代の社員には、技術はもちろんのこと、仕事に臨む姿勢も指導しています」。技術に関しては、工事協力店となっている空調機メーカー(ダイキン工業)が持つ研修所に社員を派遣して、技術や知識をしっかりと修得してもらっている。仕事に役立つことはもちろん、「自分が技術や知識を持っているということが自信につながり、仕事に対して前向きに取り組めるようになります」と、意識の向上にも役立っている。
同社のホームページを見ると、実に多彩な資格が並んでいて、それぞれに取得した人数が紹介されている。管理技術者6人、一級管工事施工管理技士6人、消防設備士甲種1類4人、一級冷凍空気調和機器施工技能士5人といった感じに、手がけている工事の種類に対応した様々な資格を持った社員がそろっている。13人の従業員数でなかなか高い取得率だと言える。
社員が工事関係の資格を取得する際にも、しっかりとしたサポートを行っている。「資格を取得した人には、一時的な報奨金ではなく毎月の手当を出すようにしています。働いてくれている限りは手当が付き続けることになります」(寺内社長)。資格が取得できたら、もっと条件の良いところで働こうと考える人もいる。毎月の報酬に手当を乗せすることで、ずっと働きたいという思いを持ってもらえるようにしている。こうした施策の甲斐あって、社員もしっかりと定着して働いてくれている。
見積書作成システムをクラウド化して仕事先から書類の作成を行い承認をもらえるようにして効率化を実現した
デスクでパソコンを使った作業をする日吉空調の寺内社長
定年は65歳で、希望があれば70歳まで延長できるようになっていることも、長く働いてもらえる環境作りに役立っている。こうした待遇面の向上や改善を進める一方で、毎日の仕事が効率良く進められるような体制作りにも取り組んでいる。そのひとつが、2025年夏から運用を始めた見積作成業務のクラウド化だ。会社のパソコン1台1台に導入した見積書作成ソフトを使って書類を作成していたものを、ソフトのクラウド化によって社外からパソコンを操作して見積書作成できるようにした。
「鹿沼市に本社がありますが、仕事先は宇都宮市など栃木県内の広範囲に及んでいます。そうした仕事先でネットにつないで、クラウド上で見積書作成を行えるようにすることで、本社に戻って作業する手間がなくなります。仕事先に直接行ってそのまま帰ることもできるようになります」。現場で働く時間を長く取れるようになれば、それだけ工事も効率良く進み、新しい仕事も入れられるようになって、事業全体のボリュームアップにつなげられる。
見積書作成ソフト自体は以前から使用しており、表計算ソフトに入力して積算するような手間はかからないようになっていた。パソコンにソフトを入れておけば、出先でも作成だけなら可能だったが、「いったん紙に出力された見積書に承認の判子を押すようになっていたため、本社に戻って出してもらう必要がありました」(寺内社長)。今は、クラウドに上がった書類をネットワーク上で承認できる。承認の作業もペーパーレスで行える。環境にも優しいシステムだ。
CADや工事現場の画像処理システムも活用して社員が効率良く働ける環境を整えている
現場を担当している社員たちの、本社での仕事スペース。1人ずつ仕切られ働きやすいようになっている
進取の気風がもともとある会社で、工事に関する図面などは早くからCADソフトを使って行ってきた。取引のある空調機メーカーがCADソフトでも優れた製品を出していることもあって、早くから導入を進めてきた。他にも幾つかのCADソフトを使い分けながら、正確で分かりやすい工事図面の作成を行い、工事の仕事に役立てている。
工事現場で撮影した画像の整理にも、専用のシステムを活用している。「撮影した画像を取り込むことで、それぞれの工事現場に対応した画像をとりまとめたアルバムを簡単に作成できます。何百枚にも及ぶ画像を手作業で分類するよりも、大幅に時間を短縮できます」。撮影機材も、以前は専用のカメラを使うことが多かったが、今は「スマートフォンにアプリを入れてそれで撮影しています。画像に小黒板を挟み込む機能もあって、撮影の作業も二人必要だったのが一人で出来ます」(寺内社長)。
ホームページを充実させて採用情報を発信し、安心して応募できる会社であることをアピール
日吉空調のサイトの採用情報ページ
働いている人たちのコミュニケーションには業務用のビジネスチャットツールを使い、情報を共有したり、お互いにやりとりできるようにすることで、スムーズに仕事が回るようにしている。ビジネスチャットを見れば社員がどこで何をしているのかもだいたいわかるが、「より具体的に把握するには、スケジュールソフトの利用も必要になってくるかもしれません」。今は、会社のホワイトボードや、社長手書きのノートで状況を把握している。人数がそれほど多くない現在はそれで運用できているが、事業が広がり社員も増えてくれば、導入も検討に上がってきそうだ。
現状の体制では、空調設備工事に社員のリソースを集める格好になっており、管工事の需要に応えられていないところがある。ほぼ完成した建物に空調設備を取り付ける工事の方が、短い期間で済むため、効率が良いという実情もあるが、事業の拡大を目指すなら、管工事にも対応できる社員を増やしていく必要がある。そのための施策として、「ホームページを2021年に刷新して、見やすくわかりやすいものにして、会社のことを知ってもらえるようにしました」。採用活動自体はハローワーク経由が多いが、ホームページの内容が応募の判断につながる時代だけに、今後も維持と改善に努めていく。
「時代と共に技術は進化していきますが、人とのつながりは変わることがありません。これからも、お客様との出会い、人と人とのつながりを大切にしてお仕事をさせていただければと考えております」(寺内社長)。幅広い工事に対応できる人材を確保して育てつつ、システム化を進めてより効率良く働ける環境を作ることで、社員が長く働くことができて、発注先からも信頼できる会社にしていく。
日吉空調本社
企業概要
会社名
株式会社日吉空調
所在地
栃木県鹿沼市日吉町380
電話
0289-62-9488
設立
1985年7月1日
従業員数
13人
事業内容
管工事業(エアコン設置、保守、メンテナンス、給排水・給湯・衛生設備工事、漏水修繕、配管詰り修繕等)/水まわりリフォーム(トイレ、洗面、お風呂、キッチン等)/消防施設工事/水道施設工事/土木工事
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