建設業(土木)

現場社員の熱中症ゼロへ、「健康経営」で社員の健康第一 ワークプレイスデザイン採用でコミュニケーション強化 北陸保全工業(新潟県)

From: 中小企業応援サイト

2026年01月09日 06:00

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

新潟県新潟市で交通安全施設や道路の保全・管理などを行う「道路維持・土木事業」と、家庭や企業から出るゴミを集めて処理する「環境保全事業」を展開している、北陸保全工業株式会社は、2021年8月に新社屋を建設し本社を移転、壁のないフラットなオフィス空間を実現。部門間のコミュニケ-ションが進み、業務効率の向上だけでなく業務改善や新たな提案が生まれる空間を実現した。「健康経営」を掲げて社員の健康の維持・増進にも取り組んでおり、社員を大切にし、地域貢献を行う会社として評価され、新しい人材の確保にもつなげている。(画像トップ:「健康経営」を掲げて取り組みを説明する北陸保全工業のホームページ)

例年になく暑い日が続いた2025年の夏は、日中に外で仕事をする土木・建設工事の現場で、どのようにして熱中症の発生を防ぐかが課題になった。道路の標識やラインの設置を行い、補修も手がける北陸保全工業でも同様の懸念があったが、「今年は熱中症をひとりも出さずに乗り切りました」と総括代表の青池仁氏は振り返る。

本社からモニタリングできる熱中症予防システムを導入 現場社員の健康を守り地域貢献できる会社作りをめざす

熱くなった社員の体を冷やすデバイスがついた冷却ベスト

熱くなった社員の体を冷やすデバイスがついた冷却ベスト

「現場の社員に腕時計型のセンサーを付けてもらって、本社から体調をモニター。事前に熱中症になりそうだとわかるようにしたからです」(青池総括代表)。以前から現場での体調管理には気をつかい、2024年はワゴン車を3台リースして現場に持って行き、涼しい車内で休憩できるようにした。それでも発生してしまった熱中症を、2025年は、モニタリングシステムによって、熱中症の前兆をいちはやく察知できるようにしたことで防いだ。

さらに、「ファンがついた空調服に加えて、冷却ベストも着てもらうようにしました」と総務課長の松浦香織氏。ベストにはスイッチを入れると急速に冷えるデバイスが付いていて、熱くなりかけた体を冷ましてくれる。こうした何重もの装備によって守られていることで、現場に出る社員は安心して作業に取り組むことができるようになった。体調不良などで手が止まることもないため、予定どおりに作業も進み、依頼先や道路の利用者に迷惑をかけることもない。結果として会社の信頼アップにつながり、次の依頼も来るようになるというわけだ。

「健康経営」を掲げ健康測定機器を置き、生命保険会社とも連携、モニターや掲示板で健康に関する情報を周知する

大型モニターから健康に関する情報を常に発信して社員に見てもらっている

大型モニターから健康に関する情報を常に発信して社員に見てもらっている

北陸保全工業株式会社は、1967年に創業。高度成長によって、都市化が進む地域で浮かび上がってきたゴミ問題に対応し、地域の暮らしを支える仕事をしようと設立された。同社は、社員一人ひとりの健康を守ることが、地域貢献に直結するという考えを持っている。「健康経営」を掲げたのも、そうした理由からだ。「『整える・防ぐ・守る』を軸にして、優先的に対策しなければいけない健康問題について、年間計画を策定して実行しています」(松浦課長)。具体的には、健康測定機器を置き、健康診断も実施し、検査費用に補助も出して社員の体調管理に努めている。

「生命保険会社と組んで、団体型の3大疾病サポート保険にも加入しています」(松浦課長)。毎月作成する社内報にも健康の維持や増進に役立つ情報を掲載し、オフィス内に設置した大型のモニターでも様々な取り組みを紹介している。掲示板には健康に関連したポスターをずらりと掲示。こうした情報に囲まれることで、社員の中の健康に対する意識も高まっていく。

社内報では、社交ダンスの大会で好成績を収めた社員や、ボートレースのレガッタに出場した社員の活動も紹介。これとは別に、サッカーJリーグのアルビレックス新潟のサポートカンパニーとして、チームカラーのオレンジ色に塗ったゴミ回収車を走らせている。こうした活動を通して、健康とスポーツに理解のある企業といったイメージの向上につなげている。

ワークプレイスデザインを導入して働く環境をスッキリしたものに変革した

ワンフロアのオフィスには壁や仕切りがない

ワンフロアのオフィスには壁や仕切りがない

こうした全社的な意識の浸透には、働くスペースも重要だ。同社では2021年に本社を現在の場所に移転した。その際に、様々な部署をひとつのフロアに集めて配置し、パーティションなどで仕切ることをせず、隅々まで見通せるようにした。「それまでは、フロアが細かく仕切られていました。組織も縦割りで、部門間の連携も、社員のコミュニケーションも取りづらい形態になっていました」(青池総括代表)。これではひとつの目標に向かって一致団結して取り組む雰囲気が生まれないと考え、移転を契機にワークプレイスデザインの導入に踏み切った。

誰がどこの場所を使っても良いフリーアドレスの形にはしなかったが、机の上には極力書類や私物を置かないようにして、働く場所の雰囲気をスッキリさせた。「ゴミ箱も机の横に置かせないようにしました」(松浦課長)。足下をスッキリさせたかったこともあるが、事務の社員が出社してきて本来の仕事を始める前に、幾つものゴミ箱を掃除する作業に追われることをなくしたかった。

オフィス中央に配置したテーブルで会議を実施、別な部署の情報が隅々まで行き渡るようにした

社内コミュニケーションのための場所。数人単位の打合せが複数同時に可能で、その中から新たなコミュニケーションが生まれることもある

社内コミュニケーションのための場所。数人単位の打合せが複数同時に可能で、その中から新たなコミュニケーションが生まれることもある

社内ネットワークは、Wi-Fiを導入してフロアのどこからでもアクセスできるようにした。「書類などは電子化したものを、各部門で作った共有フォルダに入れるようにしています」(青池総括代表)。気分を変えたいときには、自分がふだん使っている席を離れて、休憩スペースで作業することもできるようになった。

また、「フロアの真ん中に大きなテーブルを置いて、そこでミーティングを行うようにしました」。別の部署が会議をしていると、話される内容が自然と耳に入ってくる。「今、誰がどのような仕事に取り組んでいるのかがわかります。部署が違っていても、手伝えることがあればその場で声をかけるようなことも増えてきました」(青池総括代表)。社員一人ひとりの働きが収益に占める比率が大きい中小企業において、コミュニケーション不足は経営にとって致命的。その改善にワークプレイスデザインの導入が役立った。

スタイリッシュな職場環境を作り健康に配慮、社員の意識が変わり、それが採用時に伝わる

新社屋の外観やワークプレイスデザインの導入を主導した青池仁総括代表

新社屋の外観やワークプレイスデザインの導入を主導した青池仁総括代表

社屋の外観も、移転時に黒を基調としたものにして、倉庫も含めて統一されたデザインを採用した。入り口にはスタイリッシュな看板も立て、クールな会社というイメージを打ち出した。会社内が整理され、綺麗になると、自然と社員の笑顔も生まれ、行動もきびきびとする。加えて、社員の健康に配慮し、働く場所の改善に努めていることを知ってもらうことで、期待しているのは、「入社を希望してくれる人からの関心が高まることです」。

景気の回復と共に、どの業界でも人手不足が言われるようになっている。土木・建設や清掃といった分野は、さらにイメージ的なハンデを持つ。そこで、「働きやすそうで、人を大切にしてくれる企業という印象を持ってもらえるようになれば、応募数の増加や入社してからの定着につながります」(青池総括代表)。カタチから入ることで社員の意識が変わり、笑顔も生まれる。それが、新しい社員を迎える良い印象として伝わる。

業務効率の改善につながるツールの導入を進め、AIも活用し、これからの経営のヒントを探る

健康器具を導入し生保会社とも話して「健康経営」の推進に努めてきた松浦香織課長。AIの活用にも意欲を見せる

健康器具を導入し生保会社とも話して「健康経営」の推進に努めてきた松浦香織課長。AIの活用にも意欲を見せる

そうした働きやすさの実現に向けて、勤怠管理ツールや工事現場で撮影した写真の管理ツールといったものの導入も行っている。また、「AI(人工知能)を経営課題の解決に役立てることはできないかと、いろいろ試してみています」(松浦課長)。主な利用は情報の整理で、思いついた課題をAIに投げることで、解決につながるヒントのようなものを得られるという。「プレゼンテーション用の資料を作る時も、使える画像や図表をすばやく作ってくれます。一人で悩んでいる時間がもったいなかったのですが、AIで短縮できました」(松浦課長)

AIは完璧な解答が得られるとは限らず、使いこなすのにも知識やノウハウが必要だが、急激に進化している技術で、いずれもっと役立つようになる。そうした本格的なAI時代の到来を見据えて、活用のためのワーキングチームを作り、どのように使えばどれくらいの効果を得られるのかを探っていきたい考えだ。先進の技術に関心を向けていることも、これから志望してくる若い人にとって将来性を感じる要因になるだろう。「やはり人材の確保と定着が最優先の経営課題です。地域雇用の活性化、次世代育成支援、健康増進活動の活性化、そして地域美化活動の促進といった、当社だからこそ取り組める活動を通して、働いて楽しい会社だと思ってもらえるようにしていきたいです」(青池総括代表)

環境保全事業を通して環境に良い取り組みをしている企業であることをアピールしていく

地元Jリーグチームのアルビレックス新潟のサポートカンパニーとしてロゴやキャラクターをペイントしたラッピングゴミ収集車を走らせている。(画像はホームページから転載)

地元Jリーグチームのアルビレックス新潟のサポートカンパニーとしてロゴやキャラクターをペイントしたラッピングゴミ収集車を走らせている。(画像はホームページから転載)

創業時からの事業で、今も道路保全と並ぶ柱となっている環境保全事業。この事業では、リサイクル事業への取り組みを強化し、今の時代に不可欠な環境に優しい企業という印象を持ってもらえるように取り組んでいる。子どもたちに向けて「ほぜんのーと」というノベルティも作って配り、環境保全に対する啓発活動と、会社のイメージアップに取り組んでいる。社内を変え、社員の働き方を変え、社外に対する印象も変えていくことで、中小企業としての生き残りと発展を目指す。

黒い外観で統一された本社屋

黒い外観で統一された本社屋

企業概要

会社名

北陸保全工業株式会社

所在地

新潟県新潟市東区一日市180番地1

HP

https://www.hhkk.co.jp/

電話

025-384-8908

設立

1967年3月20日

従業員数

69人

事業内容

【工務部門】道路・交通安全施設の販売及び維持管理、道路標識・標示の設置、道路工事等の一般土木工事 【環境部門】一般廃棄物、産業廃棄物の収集運搬及び中間処理

記事タイトルとURLをコピーしました!

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

中小企業応援サイトに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

中小企業応援サイト

https://www.ricoh.co.jp/magazines/smb/

「中小企業応援サイト」は、全国の経営者の方々に向け、事例やコラムなどのお役立ち情報を発信するメディアサイトです。"

新着情報をお届けします

メールマガジンを登録する

リコージャパン株式会社

東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル

お問い合わせ先:中小企業応援サイト 編集部 zjc_smb@jp.ricoh.com