地域貢献、顧客・社員のためにクラウド活用、i-Constructionを推進し持続可能な会社を目指す オーケンコーポレーション(群馬県)
2026年01月19日 06:00
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群馬県沼田市に本社を置く株式会社オーケンコーポレーションは、「優れた品質で顧客(地域)に貢献する企業」を基本理念として、事務所や店舗、倉庫などを建設する事業や水道、道路、砂防ダムなどを整備する土木工事を展開している。クラウド環境を整え、現場からのスマートフォンやパソコンからの出退勤入力、日報作成を可能にした。また、現場での図面閲覧、現場写真の登録、測量のデジタル化など、i-Constructionを推進。地域と顧客への貢献を旗印に、社員が働きやすく、会社も社員の働きぶりをしっかり把握できる体制を構築した。(TOP写真:株式会社オーケンコーポレーションが手がけた河川工事の例、同社ホームページより)
歴史ある群馬県沼田市で半世紀近く土木・建築・設備業を営んできた
沼田城跡に立つ真田信之と小松姫の像
NHKの大河ドラマ『真田丸』で吉田羊が演じる小松姫が、徳川側についた夫の真田信之の代理として長刀を構え、豊臣方についた草刈正雄演じる義父の真田昌幸を追い返した城が沼田城だ。城跡の公園内には今も夫の真田信之と小松姫の像が置かれていて、沼田市が戦国の歴史に刻まれている場所だということを思い出させる。オーケンコーポレーションは、その沼田市で半世紀近く土木・建築・設備業を営んできた。
「時間を守る」「思いやりの心」「感謝の心」を社是に掲げて顧客から頼られる総合建設会社に発展
株式会社オーケンコーポレーション本社
「事業のうち、建築が5割、土木が約3割で、残りが設備関係といった事業比率になっています」と常務取締役の松川浩一氏。
比重の大きい建築業では、一級建築士を4人、二級建築士を5人擁して、地元の介護施設や高崎市の病院、携帯ショップの店舗にコンビニエンスストアといった物件を幾つも手がけ、地域に根ざした総合建設会社として存在感を見せている。「最近は、群馬県の昭和村で作られている野菜を集約して保管する倉庫を手がけました」。この仕事は、ゼネコンを介して工事の依頼を受ける形ではなく、長く事業を営む中で築いた人脈によって獲得した、直接の案件とのこと。そのほかの仕事も、多くが同社のこれまでの仕事ぶりを見て依頼してくるものだという。他では、「靴のインソールを作っているメーカーが、少子化で使われなくなった群馬県内の学校を再生して、足の健康を発信する施設を作ろうとしていて、それにも関わらせていただいています」と、新聞でも報じられる注目の案件に参画している。
土木の方でも、「関東農政局から受けた調整池の補修工事や砂防突堤の建設のように、地域の災害を防ぐような公共性の高い仕事を幾つも手がけています」。こうして仕事が尽きないのも、社是として掲げる「時間を守る」(TIME)、「思いやりの心」(KIND)、「感謝の心」(THANKS)をしっかりと備えた人材が、経営理念に沿って、高品質で顧客満足度の高い仕事を行ってきたからだろう。
勤怠管理システムを導入したことで、正確な勤務時間が把握でき、日報作成も有給休暇の申請も同じシステムで行うことが出来るようになった
オーケンコーポレーションの松川浩一常務取締役
昨今の人手不足で、必要な人材を集めにくくなっている。地元の工業高校を卒業する人材を採用しようとしても、「何十、何百といった同業者が競い合う形になって、なかなか採用に結びつきません。そのため、社員や関係者のつてを頼って人を探す形になってしまいます」。
社員に紹介してもらうためには、今いる社員が働きやすい環境を整える必要がある。そのために導入したのが、スマートフォンやパソコンを使ったクラウド勤怠管理システムだ。
「それまでは、タイムレコーダーで出退勤の記録を取っていましたが、効率的に働いてもらうために、現場に直接出向いてそのまま帰るケースが増えていき、毎日タイムレコーダーを打刻してもらうことが難しくなっていました」。結果、後でまとめて記録して自己申告してもらう形となり、正確なのかどうかを判断しづらくなっていた。しかも、打刻された数字を手作業で表計算ソフトに入力し、一人ひとりの勤務時間を計算していた。
「後でまとめて申告をすると記憶違いもあるため、客観的に把握できるようにしたいと考えていたところ、直行直帰でも対応できる勤怠管理システムを紹介されて、2022年に導入しました。時間外労働の上限規制が法改正され、より厳密に把握する必要が出ていたこともあり、良いタイミングでした」(松川常務取締役)。
「システム化されたことで、半日あれば集計を出せるようになりました」と事務職員の大幅な負担軽減になったと語る。また、GPSで打刻した場所も記録され、打刻時間と位置情報を見て、どの時間にどこにいるのか把握できるようになった。さらに、日々の業務内容を記録している日報も、同じシステム上で利用できるので、どこで、どんな仕事をしているのかも一元的に把握できるようになったという。
「有給休暇の申請も、同じシステム上で行えるようになりました。それまでは、申請書が上長から社長を経て総務に来る形で手間がかかっていましたが、システム化されたことで申請しやすくなりました。また、ペーパーレス化にもつながりました」。有給の取得率も1割程度だったものが4割程度にまで上がったという。完全取得とはいかないが、当面の目標としている5割に徐々に近づいている。「今の若い人は、年間の休日がどれくらいあるのかを気にします。そこで、しっかりとした数字を出せるようにすれば、新しい人材の採用にも繋がると考えています」(松川常務取締役)
現場にタブレットを配布し工事写真の撮影に使用。図面などもネット経由でリアルタイムに登録・入手できる
総務部社内インフラ整備推進責任者の鈴木美絵さん
実際に働く現場でも、システムによって効率化を進めている。土木や建設の現場では、大量の写真を撮影する必要がある。その管理に「土木なら土木、建築なら建築の専用画像管理システムを導入して使ってもらっています」(総務部社内インフラ整備推進責任者の鈴木美絵さん)。工事の経過や結果を報告する時に、官公庁などの依頼主に提出する書類に必要となりそうな画像を選んで、現場や日付などの情報とともに保存しておく作業は、現場担当者にとって相当な手間だった。画像管理システムを使うことで、ファイル名や情報を自動的に保存し、提出時などに必要な画像をすぐに選んで添付できる。
「現場での撮影にはタブレットを使ってもらっています」。4台のタブレットが現場に支給されていて、導入されたアプリを使って撮影している。「スマートフォンのようにネットに接続できるタイプのタブレットもありますが、Wi-Fi接続のものを選んで、モバイルルーターでネットにつなげるようにしています。モバイルルーター一つあれば端末を何台も接続できるので、現場で効率的に情報共有できるところがメリットです」(鈴木さん)
タブレットは、現場から工事の図面などを閲覧するような場合でも大いに役立っている。「サーバーにPDFなどで保存された図面データを上げておけば、現場から参照できます」(松川常務取締役)。また、見積などのデータも共有化しており、誰もがどこからでも参照できるようになっている。本社に戻って閲覧したり書類を作成していたりした時代よりも、効率的に動けるようになった。
複数の積算ソフトを使用、結果を比較し受注につながる見積書を作成。ワンマン測量機も導入して「i-Construction」を進める
事務所内に設置された大型ディスプレイで現場をリモート監視
見積を作成する際の積算ソフトも使用しているが、1種類に統一せず、複数のソフトを利用することで、競合他社と同じような数値にならないよう工夫をしている。「積算ソフトは便利ですが、他社と同じような結果になることがあるため、いろいろと試しながら経験を織り交ぜて、受注につながる見積を作っています」。便利だからといってシステムに頼りきるのではなく、長年の事業で積み重ねた経験をそこに生かし、仕事につなげていくことが、中小企業が生き残る上で大切と言えそうだ。
工事の現場では、2人で行っていた測量をひとりで行えるワンマン測量機を導入することで、現場に出す人数を減らした。その分、取り扱える案件が増えることになり、仕事量の拡大につながっている。「誰でもすぐに使えるものではありませんが、若い人は飲み込みが早くて、積極的に使ってくれるようになっています。その効果を見て、全社的に利用が広まっていけば、より一層の効率化を実現できます」(松川常務取締役)
また各現場の進捗状況をリアルタイムに把握するため、事務所の大型ディスプレイで現場をリモート監視できるようにしている。
ドローンを使った空撮や測量の可能性を探り、社内環境のスマート化も視野に入れ、これからの時代を乗り切る強靱な会社にしていく
現在もすっきりとまとまった事務所だが一段の改善を目指す
ドローンによる空撮も活用すれば、砂防ダムや道路といった土木工事の際に、現場を上空から把握して、工事の段取りをつけたり全体像を把握することで、より高品質な工事を実現できる。法令が絡むため、いつでもどこでもドローンを使えるわけではないが、国土交通省が「i-Construction」という方針に沿って、工事現場のシステム利用による効率化と高度化を推進していることもあり、様々な利用研究を重ねることに余念がない。
「オフィスの改善にもこれからは努めていきたいですね」(松川常務取締役)。現状でも、机の上に書類やファイルが積み上がって、どこに何があるかわかる状況にはなっていないが、開放感のあるオフィスにして、若い人が働きやすい雰囲気を作っていけば、新規の採用にもつながりやすい。一連の“情報武装”と社内環境のスマート化、休日の充実などを進めることで、2030年に迎える創業50年から先の時代を生き残っていける会社にしていく。
企業概要
会社名
株式会社オーケンコーポレーション
住所
群馬県沼田市横塚町1088番地の1
電話
0278-24-8186
設立
1980年7月
従業員数
30人
事業内容
建築・土木・舗装・設備/設計、施工
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