製造業(機械)

目指すは、地域発で全国レベルの製造業ロールモデル 油圧一筋 デジタルの活用で技術・人材の丁寧な育成 油圧技研(岡山県)

From: 中小企業応援サイト

2026年01月28日 06:00

この記事に書いてあること

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産経ニュース エディトリアルチーム

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油の力を利用して物を動かす大きな力を生み出し、機械の心臓部といえる重要な役割を担う油圧装置。岡山県南西部の浅口市に本社を置く油圧技研株式会社は、創業以来45年以上にわたって油圧の道一筋に事業に取り組んできた。油圧装置の設計、製作からメンテナンス、油圧シリンダーの修理まで、多岐にわたる業務を手掛ける。順調に事業を拡大する中、2022年に36歳で創業者の父親から事業を承継した中西祐二代表取締役は、デジタル機器やICTの活用に力を入れている。デジタル技術により多くの受注に対応する体制を整えると共に、新たな技術の活用で強みである技術の精度に、更に磨きをかけようとしている。(TOP写真:油圧シリンダーの修理に取り組む様子)

「油圧のことならどこにも負けない」 45年以上にわたって油圧装置の設計、製作からメンテナンスまで多種多様な業務に取り組む

油圧技研の中西祐二代表取締役

油圧技研の中西祐二代表取締役

油圧技研は1979年、プレスメーカーで働いていた前取締役会長の中西德雄氏が会社から独立する形で創業し、1988年に株式会社化した。創業以来45年以上にわたって貫いているのが、技術への徹底したこだわりだ。中国地方、四国地方の工作機械メーカー、造船メーカー、自動車メーカーを主な取引先に、油圧装置の設計、製作、修理、改造、保守点検、油圧ユニットのオイル交換、油圧シリンダーの整備、動力プレス特定自主検査業務の請負といった多種多様な業務に取り組み、これまでの累計実績は中国地方でトップクラスの1万件を数える。

油圧技研が設計、製作した油圧ユニット

油圧技研が設計、製作した油圧ユニット

「油圧のことならどこにも負けないという思いを大事にしています。長年培った技術を生かして地域の産業を豊かにすると共に、社会の安全を支える会社でありたいと考えています。これから先も地域に根ざしてお客様に満足いただける現場対応力と技術力を磨き続けていきたい。私たちが製造し、修理した油圧製品を10年、20年と末永く使っていただけたらこれに勝る喜びはありません」。中西社長は、技術者集団として会社を運営する上で心掛けている思いをこのように話した。自らも1級油圧装置調整技能士、動力プレス特定自主検査資格者のライセンスを所有し、技術者としての視点を大事にしながら経営を担っている。

油圧設備のメンテナンスに取り組む様子

油圧設備のメンテナンスに取り組む様子

油圧製品はオーダーメイドであることから設計、製造、修理、メンテナンスに取り組む時は、一つひとつの製品の特性や状態を把握した上で細かく調整しながら対応する必要があるという。「油圧専門の熟練した職人が細部までこだわり抜いて丁寧に対応しています。製造現場での機械の活用は年々進んでいますが、人間の目と経験によって養われる勘が最終的な拠りどころであることは、これから先も変わることはないと思います」と中西社長。

2021年から3D-CAD導入、強度、干渉などの検証に加え、コスト計算や製造可能性のチェックも短時間で行えるようになった

3D-CADを使って設計に取り組む様子

3D-CADを使って設計に取り組む様子

油圧技研は、人間でなければ担うことが難しい仕事に従業員が集中できる環境を整えるために、新しい技術の活用に積極的に取り組んできた。油圧製品の設計を効率化するために30年以上前から2D-CADを活用し、設計図をデジタルで保存している。2021年からは新たに3D-CADを導入した。複雑な部品や構造を高い精度で素早く設計できる機能を備えており、強度、干渉などの検証に加え、コストの見積や製造可能性のチェックも短時間で行えるようになった。3次元モデルでわかりやすく「見える化」できるので、取引先への説明もしやすくなったという。

デジタル技術は効率化だけでなく、人の経験、勘、技術をデータで見える化し、次の世代に継承することも視野に入れている

複合機のスキャン機能を使って紙文書のデジタル化を進めている

複合機のスキャン機能を使って紙文書のデジタル化を進めている

設計業務だけでなく基幹業務でもデジタル化を進めている。メンテナンスを中心に油圧関連の仕事のニーズは増えており、従来の業務にかかっていた時間を削減することで新しく請け負う仕事の量を増やせるようにしたいという。「デジタル技術は現場の力を最大化するポテンシャルを持っています。業務の効率化だけでなく、人の経験、勘、技術をデータで見える化し、次の世代に継承することも視野に入れています」と中西社長。

ベテラン従業員の手書きの作業報告書、若手がデジタル転記の際にじっくり読むことで自らの仕事に新たな気づきを得る効果も

2022年から、以前は紙ベースで作成、保存していた作業報告書を表計算ソフトで作成してデジタルで保存するようにしている。設計図だけでなく作業報告書もデジタル化することでペーパーレス化を推進する狙いがある。複合機のスキャン機能を使って過去の紙資料のデジタル化も進めている。表計算ソフトの扱いに慣れていないベテラン従業員には以前と同様に手書きでの作業報告書の作成を認めた上で、若手の従業員に転記入力してもらっている。「若手が転記の際にベテランの作業報告書をじっくりと読むことで、自らの仕事での新たな気づきを得ることができるという、当初想定していなかった効果も生まれています」と中西社長は話した。

ICカードと連動したシステムで勤怠管理を効率化 勤怠管理と給与関連に要する業務時間を30%以上削減

勤怠管理システムを活用する様子

勤怠管理システムを活用する様子

2025年7月にはICカードと連動した勤怠管理システムを導入した。従業員が出勤時と退勤時に、各自のICカードを本社に設置しているカードリーダーにかざすだけで、その時刻をシステムに記録する機能を備えている。スマートフォンからシステムにアクセスして入力することもできるので、出張先や自宅から現場に直行する時も正確に勤務時間を記録できる。以前は紙のタイムカードを使って従業員の出退勤時間を記録し、手作業で集計した上で給与計算システムに手入力していた。加えて、給与計算の締め日当日に現金で給与を手渡ししていたため、事前の計算と現金の準備も含めて担当者に大きな負担がかかっていたという。

勤怠管理システムは給与計算システムと連動している。勤怠管理システムで自動的に従業員の勤務時間を集計して給与計算システムに反映できるようになったので、毎月必要だった集計や入力の作業、タイムカードの準備といった業務が不要になった。また、勤怠管理システムの運用開始に合わせて給与の支払を手渡しから銀行口座への振込に切り替えることで、現金を給料袋に封入する作業も削減した。その結果、勤怠管理と給与関連に要する業務時間を30%以上削減することができたという。「従業員の勤務時間の把握から給料の振込までをパソコンを通じて時間と手間をかけずに完結できるようになったので、格段に便利になりました」と中西社長は満足そうに話した。

2024年にホームページをリニューアルして情報発信力を強化 新たな人材の獲得や新たな販路開拓…地域から県外へと世界が広がった

油圧技研が2024年にリニューアルしたホームページ

油圧技研が2024年にリニューアルしたホームページ

油圧技研は、人材の獲得や新たな販路開拓につなげるための情報発信にもデジタル技術を活用している。2024年にホームページをリニューアルし、豊富な画像と共に製品、サービス、納入実績といった会社の業務に関する情報量を2倍にするとともに、動画も掲載するようにした。スマートフォンやタブレット端末からの閲覧にも自動で対応できるようにしている。ホームページのリニューアル後、県内だけでなく県外からも新規の問い合わせが増えるなど、効果は着実に生まれているという。「積極的な情報発信を通じて若い人を中心に製造現場で働く魅力を伝えていきたい」と中西社長は話した。

油圧の技術を次の世代に伝えていくために人材育成に力を入れる

「油圧機器や油圧装置の製造、修理、メンテナンスは機械では代替できない手作業が必要な工程が多く、機器の修理やメンテナンスの需要が高まる中で、技術と知識を備えた人材の必要性がこれまで以上に高まっています」と中西社長は話す。だが、油圧の関連業界は、技術者の高齢化が進み、廃業する事業者も増えている。この状況下、油圧技研は、技術を次の世代に伝えていくための人材育成に力を入れている。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を中心に、設計、製造、組み立て、試運転までの全工程を経験できる仕組みを整え、従業員に外部の研修や講習会への参加を推奨している。また、資格取得支援制度を設けるなどスキルアップを全面的にサポートしている。「若手が成長し続ける会社、ベテランが誇れる会社という二つの軸を大切にしながら人を育て、技術を次の時代へとつないでいきたい」と中西社長。

地域発の全国で通用する製造業のロールモデルを作ることを目指す

油圧技研のオフィスの様子

油圧技研のオフィスの様子

油圧技研は今後、設計と生産管理に関連する情報のクラウド化を進めたいと考えている。「図面、仕様、工程の進捗状況などの情報をチーム全体でリアルタイムに共有できる環境を整えたい。これらの改革を進めることで、設計者と製造担当者の情報伝達ミスをなくし、業務スピードと精度の両方を向上させていきたい」と中西社長は力強く話した。

また、新たな事業として、様々なものをインターネットにつなぐ技術、IoTを活用した油圧ユニットの稼働データの収集分析、AIを用いた異常予兆の検知、保守提案などを視野に入れている。「現場の作業者、設計者、お客様をデジタルでつなげて人の技術とデータの力を融合させることで、止まらない、待たせない、無駄のない生産体制を築くことを目指しています。地域発の全国で通用する製造業のロールモデルを作っていきたい」と中西社長は先を見据える。アナログとデジタルをバランスよく組み合わせながら事業を展開する油圧技研。新しい価値を提供する企業として力強く前に進み続ける。

企業概要

会社名

油圧技研株式会社

本社

岡山県浅口市鴨方町小坂東2614-1

HP

https://www.yuatsu.biz/

電話

0865-44-7626

設立

1988年10月(創業1979年)

従業員数

8人

事業内容

各種油圧ユニット(設計、製作)、油圧ユニット(修理、改造)、省力化機械(設計、製作)、動力プレス機械特定自主検査業務、油圧シリンダー整備、パッキン交換等、出張工事、油空圧機器販売

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