「空き家対策相談員」として、空き家相続に寄り添い、ICTで地域の未来をつなぐ コル・コーポレーション(群馬県)
2026年02月09日 06:00
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空き家の相続や活用に悩む人々に寄り添いながら、デジタル技術を駆使して“地域のこれから”を形にする。群馬県高崎市のコル・コーポレーション有限会社は、そんな地域支援型の不動産会社だ。家族の思いを大切にした相続支援に注力するかたわら、不動産業務のデジタル化を進めて地域の課題を解決へと導いている。(TOP写真:360度カメラで撮影作業を行う古越俊介代表取締役社長)
「まずは現場に行く」相談の第一歩は信頼づくりから始まる
コル・コーポレーションの古越俊介代表取締役社長は、民間の不動産コンサルティング資格「不動産コンサルティングマスター」として、高崎市役所の「空き家対策相談員」を務めている。市民の相談に耳を傾け、煩雑な手続や相続トラブルの不安を一つずつ解きほぐしていく姿勢は、まさに地域の“ホームドクター”といえる存在だ。
「不動産の相続って、いざ直面すると何をどうすればいいかわからない方が多いんです。私はまず現場を見ることから始めます」と古越社長。相続した家を「売るか」「貸すか」「壊すか」。その判断は家の状態や立地、家族構成によって異なる。市役所の相談窓口で「とにかく困っている」という声を聞くと、古越社長はこう答える。「決めなくて大丈夫です。まずは一緒に見に行きましょう」。現地を確認しながら、家族の思いや将来の希望を丁寧にヒアリングしていく。時には高齢の親世代が生きているうちに「自分の名義に変えたい」というケースにも、次の相続を見据えたアドバイスを行う。「単なる不動産取引ではなく、家族のこれからを一緒に考える“人生相談”に近いですね」と微笑む。
「私たちはあなたの夢をカタチにします」。社屋近くの自社ビルの看板には、古越社長の思いが掲げられている
空き家は“問題”ではなく「地域の財産」次の暮らしの出発点になることも
全国各地で、老朽化し使用されていない空き家が増え続けている。地域の安全・景観・生活環境に与える影響が懸念されており、地方自治体では空き家対策を強化。中でも高崎市は、総合的な支援事業「高崎市空き家緊急総合対策事業」を展開し、単なる放置防止ではなく「管理」「解体」「再活用」までを視野に入れた取り組みを行っている。
数々の空き家物件に寄り添ってきた古越社長が「印象的だった」と話す案件の一つは、群馬県富岡市での不動産物件だ。実家の扱いに悩む女性からの相談に応じ、現場を確認したところ、建物の老朽化が進行していた。古越社長は市の補助金制度を活用し、解体の見積から助成金の申請代理、整地、販売までを一括で支援。「補助金を使えば負担を減らして次の活用につなげられるんです」と語る。やがて現場を訪れた近隣の住民が「ここに家を建てたい」と購入を希望。空き家問題の解消が新しい生活の始まりとなり、地域の景観も整備された。「空き家は“問題”ではなく、次の暮らしの出発点。誰かの困りごとを次の誰かの希望につなぐことができるんです」。
また、県外からの相談にも積極的に対応している。静岡県御殿場市の相続物件を任された際には、現地調査から造成、ネット広告まで自ら対応。群馬の不動産会社でありながら、オンラインを活用して遠方の取引を実現した。「距離があっても、ITを使えば“顔の見える関係”を築けます。人と人を結ぶツールとして、デジタルは欠かせません」。
360度カメラがもたらす安心して選べる環境 現地に行かなくても部屋の全体像が分かる
コンパクトなサイズで簡単に撮影できる360度カメラは重宝されている
コル・コーポレーションでは、物件撮影に360度カメラを導入している。周囲360度すべての空間を一度に撮影できる特殊なカメラだ。「現地に行かなくても、部屋の全体像がわかる“バーチャル内見”を実現できます。照明やコンセントの位置、日当たりまで確認できるのが大きいですね」と古越社長。
撮影は部屋の中央で三脚にカメラを設置し、タイマーでシャッターを切る。各部屋で撮影した360度写真を、タブレットでお客様に見せながら。「このリビングは収納が多い」「この時間帯は日差しがここまで入る」。と、映像を見ながら、現地での感想を話すことで、その場に行ったようにお客様が理解され、購入後の生活をリアルに想像できる。「見える化によって、安心して選べる環境が整う。お客さまの満足度も上がりました」。お客さまとの情報共有の手段として役立てている。
プライベートでも360度カメラを愛用し、旅行先や神社の全景を撮影するという。「人混みで見えなかった景色も、後から360度で見返せる。4K画質の映像を家族で楽しめるのも魅力ですね」。仕事の道具でありながら、今では思い出を残すカメラとして手放せない存在になっている。
クラウドで働き方を変える 外出先でも重要情報がすぐに確認できる
コル・コーポレーションでは、取引データの電子保存が完全義務化された2024年1月の電子帳簿保存法の改正を機に、クラウドサービスを導入。アパート管理業務で発生する職人からの請求書や、オーナーへの請求書発行を電子化し、社内で共有・保管している。「以前は紙のファイルを抱えて移動していましたが、今はタブレット一台で済みます。外出先でも契約書や登記情報をすぐに確認できるようになりました」。
急な問い合わせにもすぐ対応できるようになり、顧客満足度も向上。「紙を減らすと仕事のスピードも上がる。IT導入で時間のゆとりが生まれました」(古越社長)。
コル・コーポレーション本社の事務所。外出が多い古越社長を従業員が支えている
創業の原点にある「地域への恩返し」 空き家を生かすことは、地域を未来へつなぐこと
コル・コーポレーションは、古越社長の父が1995年に創業した。古越社長自身は大学時代に宅地建物取引士の資格を取得し、卒業後の2003年に家業へ就職した。「父の背中を見ながら、地域のお客さまに信頼される不動産会社という理念を学びました。仕事の本質は信頼づくりなんです」。
やがて不動産コンサルティングマスターの資格を取得し、相続や利活用の専門家として活動の幅を広げた。「資格取得のために受講した講義で、『相続を理解できなければ真のコンサルタントではない』と言われたのが転機でした。それから東京まで通って勉強しました」。生まれ育った高崎の街については、「災害が少なく、人が温かい場所」と語る。「首都圏からの移住希望者も多く、群馬の自然や住みやすさにひかれて空き家を購入する方が増えています。空き家を生かすことは、地域を未来へつなぐこと。これからも地元の力になれる不動産会社でありたい」と話す。
「これからも地元の力になりたい」と語る古越社長
人とICTで、地域の未来をつくる
「不動産の価値は建物だけではなく、そこに暮らす人の思いにあります。デジタルを活用すれば遠くの人ともつながれる。でも、最後は現場で話すことが一番大事。アナログとデジタル、両方の強みを生かしていきたいですね」。コル・コーポレーションは、空き家相続という社会課題に真正面から取り組みながら、地域の人々の暮らしを支えている。「誰かの『困った』を『良かった』に変える。その積み重ねが街を元気にする」。高崎の地で、そんな信頼の物語が静かに広がっている。
企業概要
会社名
コル・コーポレーション有限会社
住所
群馬県高崎市上中居町767番地1
電話
027-324-2083
設立
1995年3月
従業員数
4人
事業内容
不動産の売買・賃貸仲介業、賃貸不動産の総合管理業、土地開発分譲・新築住宅、相続の相談・手続、不動産コンサルティング
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