流通業(卸)

環境配慮の荷崩れ防止製品のパイオニア ICTで紙書類・残業9割削減 自律型組織実現へ歩む タカギ・パックス(岐阜県)

From: 中小企業応援サイト

2026年02月25日 06:00

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岐阜県大垣市に本社を置く、産業用包装資材および関連機械器具製造・販売の株式会社タカギ・パックスは、物流現場での荷崩れ防止製品のパイオニア。段ボールなどに入った荷物をパレットや台車で運ぶ際に荷崩れを起こさないように荷物を固定するバンドを、約40年前の1987年に開発・発売し、物流の効率化や環境対策に貢献してきた。2021年からはICTを活用した経営改革に挑み、クラウド型基幹システムをはじめ、社内の申請・承認業務を電子化するワークフローシステム、受発注業務で使うペーパーレスFAXなどを相次ぎ導入。紙書類と残業時間の約9割削減や人員の効率配置を実現し、収益体質を強化している。(TOP写真:タカギ・パックスはクラウド型基幹システムの導入によって従業員のICTリテラシーを高めた)

創業時から自然環境に対する配慮。包装資材使い捨てに疑問抱き、繰り返し使用のための国内初の荷崩れ防止バンドを開発・発売

タカギ・パックスの創業は1976年(昭和51年)。包装資材・同関連機器販売業務に従事していた髙木保夫代表取締役が独立して髙木商会株式会社を設立、1980年に社名を株式会社タカギ・パックスに変更した。工場構内などの物流現場で使う各種包装フィルムをはじめ、粘着テープやPPバンド、荷札、ラベル類などの包装資材を幅広く扱い、卸販売する事業を始めた。創業時から大事にしてきたことは、「自然環境に対する配慮」。髙木社長は、顧客に納入した包装資材が当然のように使い捨てにされていたことに疑問を抱き、繰り返し使えるリユース製品の開発に着手。1987年に国内初の荷崩れ防止バンドを製品化し、発売した。

環境意識の高まりが追い風に。ようやく時代がタカギ・パックスに追いついた

タカギ・パックスが開発した荷崩れ防止バンド

タカギ・パックスが開発した荷崩れ防止バンド

荷崩れ防止バンドを発売した当時は、荷物にストレッチフィルムを巻いて荷崩れを防ぐのが当たり前だった。顧客からは「フィルムを巻けば事足りる」として、製品の存在そのものを疑問視されるほどだったが、時代の変化が荷崩れ防止バンドに光を当てることになる。

それは、近年の地球環境問題への意識の高まりだ。使い捨てのストレッチフィルムによる荷崩れ防止対策を、何度もリユースできるバンドに置き換えれば、プラスチックごみとなるフィルムを廃棄しないで済む。今では時代の流れが追い風となり、「プラスチックごみの削減を目的に環境対策に取り組みながら、同時に作業効率の向上も図れる」という顧客が増えている。時代を先取りしていたタカギ・パックスに、ようやく時代が追いついてきたといえる。

2021年に創業者の長男が入社。旧態依然の経営に驚き、ICT活用した経営改革に乗り出す

「ICTで会社を変えていかないと生き残れないと思いました」と語る髙木保之専務

「ICTで会社を変えていかないと生き残れないと思いました」と語る髙木保之専務

こうした先進性ある製品を世に送り出してきたタカギ・パックスも、いざ経営に目を向けると、昔ながらのやり方、旧態依然のスタイルを継続していた。ちょうどその頃、髙木社長の長男である髙木保之(やすし)氏が、「日本一社員が幸せな会社」といわれた地元の電気・ガス・給排水設備資材製造大手の営業企画課長から、タカギ・パックスに入社した。2021年5月のことだ。

「家族を幸せにし、自分も成長できる」との思いでのタカギ・パックス入社だったが、髙木専務が目の当たりにしたのは、「会社全体のICTリテラシーが低すぎて、昭和にどっぷりとつかっていた」姿だ。「パソコンは使っても使えていなくても、1台10万円以上のコストがかかります。全く使えていないのでは、コストのムダ遣いです。ICTとかDX以前に、時代の変化についていけていない。会社を変えていかないと、このままでは生き残れないと思いました」。髙木専務は、ICTを活用した経営改革に乗り出すきっかけを、こう振り返る。

まずビジネスチャットツールで業務連絡でのトラブル解消。ワークフローシステムで社内申請を電子化した

本社事務所

本社事務所

髙木専務が真っ先に手を付けたのは、社内コミュニケーションを密にして業務連絡の正確性を担保するビジネスチャットツールと、社内の申請・承認業務を電子化するワークフローシステムの導入だ。

従来の社内での業務連絡は、社内電話、もしくは相手と直接話をしたり、メモを渡して伝えることが主流だった。その場合、「言った、言わない、聞いていない」が横行したり、渡されたメモが読めなかったり、紛失するケースもあったが、ビジネスチャットツール導入後はこうしたトラブルは激減した。

ワークフローシステムは2021年秋から2022年春にかけて、ビジネスチャットツールと並行して導入し、有給休暇などの社内申請・承認業務をすべて電子化した。ワークフローシステムとビジネスチャットツールは連携されており、社内申請はすべてデスクで完結。紙書類の提出は不要になった。

1年超の準備期間設け、2023年5月にクラウド型基幹システムが本格運用を開始。社内のICTへの理解が進む

ICT化が進む事務部門

ICT化が進む事務部門

2022年春に決めた基幹システムのクラウド型への変更では、従業員の新システムへの理解度向上やデータ移行などのために1年以上の準備期間を設けた。

「いつまでも昭和の感覚で仕事をしていたら、いつか終わりが来てしまう」と危機感を抱いていた髙木専務は、社内のICTリテラシーを高めていくためには、「目に見える大きな変化である、基幹システム変更が重要な意味を持つ」と考えていた。基幹システムの変更準備の間に従業員とのヒアリングを重ね、業務のICT化の必要性、重要性への理解を高めてもらった。

従来の基幹システムからのデータ移行を完了し、大垣市の新本社に移転した2023年5月の連休明けから、クラウド型基幹システムが本格運用を開始。あわせて、受発注業務の手順を見直し、ムダを洗い出しして省き、手書きによる作業を極力パソコン上で行うように改めた。

2025年4月のペーパーレスFAX導入でスキル向上とともに受発注業務が格段に進化

業務効率が格段に進化した営業事務部門

業務効率が格段に進化した営業事務部門

2025年4月にはペーパーレスFAXシステムを導入し、髙木専務が2021年の入社時から提案していたペーパーレス化に踏み出した。自作パソコンを製作するほどの知識を持つ髙木専務はこれまで、経費削減のためにパソコンのアップグレードや社内ネットワーク構築を自ら行ってきた。今回のペーパーレスFAXでは、実際に業務で使う営業事務の3人の女性従業員にシステムの初期設定を任せた。

当初は不安そうな3人だったが、基幹システムの変更などで培ったICT知識もあって、見事やり遂げた。髙木専務は「初期設定費用を削減できたことは、当社にとっては大きな事ではありますが、それ以上に、今回の初期設定作業を通じて3人のスキルアップにつながったことが大きいと思っています。システムへの理解を深めたことで、その後の業務は格段に進化しました」と笑顔を見せた。

FAX受信後の内容確認、受注処理、納期回答をパソコン上で完結し、受発注業務を大幅に効率化した

ペーパーレスFAX(複合機)導入後は、FAXを受信した後の内容確認、受注処理、納期回答といった作業を席にいながらパソコン画面上で済ませることができるようになった。納期回答なども定型文を使って迅速化した。

営業事務の3人の女性従業員は、「それぞれ、FAXを整理したり、送信に要する時間が1ヶ月で4時間程度削減できたほか、1件あたり5分程度かかっていた書類検索時間を1分に、3分程度かかっていた納期回答時間を半分にそれぞれ短縮できた効果は大きいと思います。また、休んでいる人の担当案件の問い合わせにも、簡単・迅速に対応できるため、業務負担は大幅に軽減されました」と歓迎している。

業務効率を上げ、結果、大手企業を大きく上回る年間休日137日を実現

荷崩れ防止バンドの製造現場

荷崩れ防止バンドの製造現場

この結果、タカギ・パックスの複合機の印刷枚数は、ペーパーレスFAX導入前の月約1600枚から導入後は約200枚にまで激減した。9割近い削減率だ。

さらに、ICT化の進展によって業務の効率化が進み、生産性が向上したため、従来は一人当たり毎月2~3時間ほどあった残業時間も今では9割以上減少した。ペーパーレスFAX導入によって受発注業務を効率化し、営業事務の負荷を大幅に低減。配送部門でも業務を仕組み化し、人員を2人から1人に減らすなど、人員の効率配置にも寄与した。

こうした業務効率化の効果は、人件費などの固定費削減を含めて月に数百万円規模にのぼっている。生産性も高まっており、2026年の年間休日を1日増やし、136日にする。2021年当時の年間110日に比べて26日の大幅増となり、日本で休みの多い企業の基準といわれる年間120日を大幅に上回る。さらに誕生日休暇も取得できるので実際には137日となり、一般的な有給休暇取得を含めると145日程となる。日本の大手企業でも年間125日程度と言われる中、中小企業で137日の休日はいかに業務効率が高いかがうかがえる。

「従業員が働いてよかったと思える会社」。皆で知恵を出し合い、前向きに挑戦する「従業員による自律型組織運営」を目指す

2023年5月に移転した新本社

2023年5月に移転した新本社

「世の中で必要とされることが大前提ですが、従業員がこの会社で働いてよかった、頑張ってよかったと思える会社であり続けたいと思っています」。髙木専務はこう言ってタカギ・パックスの未来に目を向ける。

タカギ・パックスでは半期に一度、専務が会社の経営状態を全従業員に説明し、売上金額、販管費、営業利益といった実績を可視化し共有、同時に課題への協力を求める機会を設けている。主要業務の従業員には月1件の“カイゼン”提案を求めてきた。また、ICTのRPAシナリオも20件以上になった。これらを継続・実践していくことによって髙木専務は、従業員が皆で知恵を出し合い、前向きに挑戦する「従業員による自律型組織運営」の実現を目指している。

企業概要

会社名

株式会社タカギ・パックス

住所

岐阜県大垣市築捨町5-61-1

HP

https://www.takagi-packs.jp/

電話

0584-71-6067

設立

1976年5月

従業員数

13人

事業内容

包装資材及び関連機械器具の製造・販売、包装・梱包請負業務、包装・梱包に関するコンサルタント業務など

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