創業53年のエステサロン向け化粧品販売会社 ICTを活用した経営改革で「100年企業」目指す エクシーズジャパン(宮崎県)
公開日:2026年03月13日
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全国のエステティックサロンのスタッフ教育から、運営サポートを含めてサロン経営を支援する、エステサロン向け化粧品の卸販売会社が宮崎県宮崎市にある。創業53年の歴史を持ち、エステサロンの黎明(れいめい)期から共に歩みを進めてきた、株式会社エクシーズジャパンである。2021年に二代目社長に就任した德澤美穂子代表取締役社長は、「創業の精神を守りながらも、新たな変革の時代に対応していく必要があります」として、ICTを活用した人事評価制度の導入や、就業規則、給与規定など各種社内規定を整備するなどの経営改革を進め、「100年企業」への新たな成長を目指している。(TOP写真 女性従業員の多いエクシーズジャパンの本社ロビーは華やかで明るい)
「女性の時代」を読み、洗顔・スキンケア商品販売で1972年に創業
創業者の故前田種彦氏
エクシーズジャパンの創業は1972年。德澤社長の父である故・前田種彦氏が宮崎市で設立した拓伸商事が前身だ。福岡県での事業をたたんだ前田氏は、宮崎県で再起を期すにあたり、「これからは女性の時代だ」と読み、女性向けの洗顔・スキンケア商品を販売する事業を始めた。
まだ日本ではエステサロンという存在そのものが知られる前のことで、美容院や、その頃から流行り始めた洗顔専門の美顔センターでの委託販売を手がけた。その後、1980年代に入りエステサロンが九州各地でも開業し始め、世の中に認知されていった。得意先の美容院や美顔センターでエステサロンに進出したところもあり、エステサロンとの取引を中心に商圏を九州全域に広げた。1982年に法人格に移行し、「株式会社まえだ」として事業規模を拡大した。
取引先の直接取引への転換でヒット商品を失い、独自ブランドの製品開発に乗り出す
独自ブランド第一号のマジョールシリーズ
この頃、同社の成長を牽引(けんいん)したのは、全国的な通信販売会社に卸販売していた、泡立ちの良いドイツ製の石鹸だった。その通販会社が全国でテレビCMを流して人気商品になったことで、まえだ(現エクシーズジャパン)の業績も急拡大したが、通販会社がその石鹸の仕入れを直接取引に切り替え、中抜きされたことから、まえだの売上は急減し、経営危機に陥った。これを機に、同社は独自ブランドによる自社製品の開発に乗り出した。
独自ブランド商品の第一号が、1994年に発売した「MAJOR(マジョール)」シリーズのクレンジングジェルだ。「肌に必要な成分を守ってしっかり汚れを落とし、赤ちゃんでも使えるくらい安心・安全」な商品として開発。続いて、化粧水、美容液、栄養クリーム、パックを順次発売し、2003年にスキンケアのマジョールシリーズのフルライン化を完成させた。同シリーズの完成を前にした1999年に社名を、ソフトなイメージの「エクシーズジャパン」に変更した。
スロータスのフェイシャルトリートメント
その後も独自ブランドの自社製品開発に力を入れ、2011年にハーブの薬効効果を利用して自浄作用と自然治癒力を高めるトータルケアシリーズ「Srotas(スロータス)」を、2021年には、新スキンケアシリーズ「Srotas SHIN(スロータス・シン)」を発売。スキンケアからボディー、フェイス、ヘッドのトータルトリートメントまで、独自ブランド製品シリーズでエステサロンのトータルメニューに対応できる商品ラインを整えた。2017年には、超音波洗浄機能付美顔器「ダーマスクライバー」を開発し販売を始め、主力商品ラインが完成した。
技術講習で商品開発理論と技術を伝え、エステサロンスタッフを育成し、独自ブランド商品を販売
エステサロンのスタッフ対象の技術講習
エクシーズジャパンのビジネスモデルは、エステサロンのスタッフを対象とした技術講習を受講したエステサロンに、独自ブランドの化粧品や美容機器を販売するもので、エステサロンはその化粧品と習得した技術を使って施術サービスを行う。技術講習会は、東京、大阪、福岡などで定期的に開催されており、德澤社長は「弊社のインストラクターが商品開発理論や技術を取引先のエステサロンにきちっと伝え、習得していただくことが重要です。弊社のブランド価値を高め、実際に施術を受けられる消費者の安全・安心やエステサロンに対する信頼につながります」と話す。
現在、エクシーズジャパンと取引するエステサロンは、北海道から沖縄まで約5000社にのぼる。技術講習を通じて、エステサロンでの商材使用から施術を受けた消費者への、自宅用化粧品販売につなげる商流を確立してきた。
創立50周年を機に人事評価システムを導入し、人事評価制度を一新。経営改革に乗り出す
「変革の時代にあって、旧態依然の社内体制では成長できない」と語る德澤美穂子社長
德澤社長は2021年に就任。翌2022年に創立50周年を迎えたことを機に、思い切った経営改革に乗り出した。「50周年を経て次に目指す100年企業を考えた時、この変革の時代にあって、旧態依然の社内体制では企業としての成長がおぼつきません」(德澤社長)と判断。まず人事評価システムの導入を決め、2024年から本格運用を開始した。
「父の時代は人事評価制度がなく、社長の裁量で給与・賞与を決めるという前近代的な経営が続きました。しかし、そこを一新しないと今後の成長は見込めないと考え、人事評価システムを活用した新しい人事制度をつくりました」。德澤社長はこう話し、同時に社会保険労務士や弁護士と連携して、就業規則や給与・出張規定などの社内規定を整備し、従来の〝ぬるま湯〟的体質からの脱却を図っている。
2024年に倉庫管理システムと勤怠管理システムを導入。棚卸し作業時間が8割削減、タイムカード処理に5人必要だった業務が2人になり、事務管理部門の人員半減へ
物流倉庫の倉庫管理システム
ICTを活用した業務の効率化にも意欲的だ。2024年にはクラウド型倉庫管理システム、同年9月には勤怠管理システムを導入した。
倉庫管理システムと基幹システムの自動連携によって、棚卸しの際の在庫の差異が激減。その原因調査や在庫調整にかかる時間を8割削減した。勤怠管理は従来、タイムカードの処理に本社で3人、全国の支社など、拠点分を含めると5人で対応していたが、システム導入後は勤怠管理と給与計算合わせて2人で対応できるようになり、事務管理部門の担当者を半分以下に削減した。2025年9月には経費精算システムも導入し、さらに同部門の業務効率化と人員削減を期待している。
IPoE回線でインターネット専用のバイパスを構築し、社内ネットワークの遅延を解消。従業員からはストレスがなくなったとの声、生産性向上に貢献と高い評価
通信環境が改善し、生産性が高まった事務管理部門
ICTの活用拡大や本社の人員増によるパソコン台数の増加などによって、社内でネットワーク遅延が多発するようになったため、2025年初めに社内ネットワークを再構築した。次世代インターネット接続環境と呼ばれる大容量通信が可能なIPoE回線で従来のVPN回線とは別にインターネット専用のバイパスを構築。支社など外部拠点との通信を分離することによって、通信速度を従来の約4倍に高めた。
「従来は出社時のパソコン起動に相当な時間を要しましたが、今はすぐに立ち上がり、サクサク動くようになりました。従業員からはストレスがなくなったと好評で、生産性は随分向上したと思います」と、德澤社長は高く評価。今後は在庫管理や顧客管理にAIを活用していくことも検討する。
女性比率7割の女性が働きやすい職場。ほとんどが100円で買える無添加食品の社内コンビニも
社内コンビニの冷蔵庫と冷凍庫
エクシーズジャパンは女性従業員比率が7割を占め、女性が働きやすい会社である。育児休暇制度や介護休暇制度に加えて時短勤務制度も設け、また、男性従業員の育休取得も認めている。それは、德澤社長自身が、エステティシャン勤務、セレクトショップ経営などを経て、2000年に入社。これまでに5人の子どもの出産・育児を経験し、誰よりも働く女性の悩みや心配事を理解しているためだ。その経験から、働きやすい環境づくりへの打つ手は正確で速い。
2024年からは、社員食堂の代わりに、社内コンビニともいえる施設を本社に開設した。事務所の中に設置した冷蔵庫と冷凍庫に、ハンバーグや焼魚、煮魚などのおかず類、サラダやフルーツが用意されている。いずれも無添加食品だ。従業員は好きなものを選んでQR決済で購入し、電子レンジで解凍したり、温めて食べる。価格はほとんどが100円で、仕入れ値との差額は会社が負担している。「従業員にもきれいになってもらいたい」として、自社製品をほぼ原価で購入できる社内販売制度もある。
痛み伴う経営改革の反動で2025年8月期に大幅減収も、2026年8月期は業績回復へ
本社のエントランス
エクシーズジャパンの2025年8月期の売上高は約13億円で、前期に比べて3億円の減収となったものの、2026年8月期は売上高を16億円近くに戻す見込みだ。前期はエステ業界の競争激化や脱毛サロン倒産のあおりを受けた面もあるが、人事評価制度の見直しなどの経営改革によって離職者が増えたことが大きな要因だ。
「社内規定の変更に対して、息苦しさを感じた従業員もいたと思います。しかし、今の改革は当社が成長していくためには必要な過程ですから、前期は耐え忍んでいました」。德澤社長はこう振り返り、今期の業績回復に向けて、人事、総務などの本社機能を明確化し、営業体制の強化を進めてきた成果が現れてくると見ている。
成長戦略は自社製造拠点の新設と海外市場開拓、メンズエステ事業の強化で
成長戦略を検討する社内会議
同社は今後の成長戦略として、自社製造拠点の新設と海外市場の強化を掲げている。10年以内に宮崎県に化粧品の自社工場を建設する計画で準備を進めている。製造原価を引き下げ、収益力を高める考えだ。海外市場では2023年に台湾に販売拠点を設けているが、東南アジアで2番目となる海外拠点の開設を検討する。最近脚光を浴び始めているメンズエステ向け事業も強化する方針だ。
「お客さま、従業員、会社」のトライアングル関係に磨きかけ、新たな成長を目指す
ひときわ目を引く本社ビル
こうした戦略の先に德澤社長が描いているのは、「100年企業」への成長である。
「創業以来、『すべての人にキレイの種を届けたい』という企業理念を掲げています。この『キレイの種』とは従業員一人ひとりのことであり、従業員はお客さま第一でお客さまのために仕事をし、会社は従業員のための経営を怠らない。この創業の精神を引き継ぎながら、次の50年に挑んでいきたいと考えています」。德澤社長は、経営改革で企業体質の強化を進め、顧客、従業員、会社のトライアングル関係に磨きをかけることで、新たな成長を目指す考えだ。
企業概要
会社名
株式会社エクシーズジャパン
住所
宮崎県宮崎市大字芳士826
電話
0985-48-8313
設立
1982年(創立 1972年9月)
従業員数
91人
事業内容
美容・エステティックサロン化粧品・健康食品の卸販売、同関連商品卸販売など
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