「計量」の社会的使命を、時代と共に真摯に向き合ってきた だから「老舗は常に新しい」 145年の信頼とブランド 鎌長製衡(香川県)
公開日:2026年03月16日
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「最高の品格、最大の信用、最新の技術、最善の奉仕」を社是に掲げる鎌長製衡(かまちょうせいこう)株式会社は、香川県高松市に本社と工場を構える、創業145年を超える産業用計量機器メーカーだ。時代の変化や顧客ニーズに対応しながら、大型のトラックスケールをはじめとする多種多様な計量機器や環境リサイクル機器の開発、製造を手掛けている。こうした事業の成長を通じて、地域の雇用創出や経済の活性化にも貢献し続けている。(TOP写真:鎌長製衡の社是は、鎌長ブランドを支える経営理念だ)
1880年に鋳造業からはじまり、1920年に現在も継続する分銅・おもりの製造を開始。
はかりで物の質量を計測する際に基準となる分銅。1920年に分銅の製造を開始し、100年以上にわたって現在もその製造を続けている
鎌長製衡株式会社の歴史は1880年(明治13年)、初代社長の鎌田長八郎氏が、当時の香川郡栗林町で鋳造業を始めたことにさかのぼる。1920年には、現在も継続している分銅・おもりの製造を開始。戦後間もない1947年に現在の鎌長製衡の前身となるはかりの製造会社、鎌長産業株式会社を設立し、1957年に現在の社名に変更。明治時代からの長い歴史の中で培った技術力と営業力で事業を拡大していった。2017年には経済産業省から「地域未来牽引企業」に選定された実績も持っている。
「はかりの製造は、社会の秩序を守る、ごまかしが利かない仕事」 安心、安全、持続可能な社会づくりに貢献することを、企業ミッションに掲げる
トラックに積載したまま積み荷の重量を計測することができるトラックスケール。鎌長製衡は業界トップクラスの納入実績を持つ
鎌長製衡は、トラックに積載したまま積み荷の重量を計測することができる大型のトラックスケールに加え、飼料工場などで粉粒体や液体の計測に使われるホッパースケールにおいて、業界トップクラスの納入実績を持っている。また、リサイクルプラント、ペットボトル減容器、プラスチック減容器といったリサイクル分野の機械製造でも強みを持っている。国際標準の製品やサービスの指標となる国際規格の取得を重視し、2002年にISO9001(品質マネジメントシステム)、2006年にISO14001(環境保全)をそれぞれ取得した。
鎌長製衡株式会社の鎌田長明代表取締役社長
鎌長製衡は、安心、安全、持続可能な社会づくりに貢献することを、企業ミッションとして掲げる。「物の質量や重量を計測する『はかり』に対する信頼が損なわれると、社会の秩序は崩れ去ってしまいます。秩序を守る、ごまかしが利かない仕事であることを肝に銘じて計量機器の製造に取り組み、社会からの信頼とブランドを守ることを何よりも大事にしています」。2013年、33歳で6代目社長に就任した創業家出身の鎌田長明代表取締役社長は、落ち着いた表情で、鎌長製衡が事業に取り組む上で大事にしている思いを話した。
機械、電気制御、ソフトウェア、建築、土木の各分野に対応できる技術者が従業員の半数を占め、ハードとソフト連携の開発体制を整える
トラックスケール例=ホームページより
トラックスケールはごみ処理施設(リサイクル施設、中間処分場、最終処分場など)をはじめ、古紙金属回収業、砂利砕石業、電力ガス水道業、化学工業、食品製造業など幅広い業界で、入庫・出荷管理、在庫管理、配車管理などに使用されている。また高速道路や国道に過積載防止の用途で設置されることもある。
鎌長製衡は、機械、電気制御、ソフトウェア、建築、土木の各分野に対応できる技術者が従業員の半数を占め、ハードウェアとソフトウェアがスムーズに連携できる開発体制を整えている。強みが特に発揮されているのが、産業廃棄物処理会社や自治体の処理場で、有価物や廃棄物の計量に使われているトラックスケールの分野だ。これは、トラックの積荷の重量がそのまま金額に換算される重要なはかり。設置場所や用途に合わせた幅広い機種をそろえ、計量業務のDX化を推進。アナログ方式とマンパワーに頼った管理業務を改善した数多くの実績を持っている。
トラックスケールの荷重検出部には、「デジタルロードセル」という高度な測定装置を搭載している。デジタルロードセルは、ノイズや気象といった外部の影響を受けにくい、安定した高精度の計量を実現する上で、核となる役割を果たしている。異常を素早く検知できる機能も備えており、メンテナンス性の高さも特徴だ。
顧客要望に合わせたトラックスケールの設計から製造、納入まで一気通貫で対応。しかも様々な外部機器との連携で顧客の手間の大幅削減や無人化を実現
鎌長製衡株式会社のトラックスケールの製造現場
鎌長製衡は、顧客のニーズに合致したオーダーメイドのトラックスケールを、設計から製造、納入まで一気通貫で対応している。「計量の無人化、WEB管理、廃棄物管理、三次元重心測定といった様々なデジタルシステムと連携することで、トラックスケールの用途を拡張してきました。トラックスケールや周辺機器といったハードウェアに、計量システムを構成するソフトウェアを密接に連携させる技術を常に磨き続けています」と鎌田社長。
これまでに、料金徴収機や自動釣銭機との連携、ICカードと連携したワンタッチ計量、モバイル端末を使った荷下ろし時の検収作業の効率化、信号灯や遮断機などでの入退出管理、Webカメラによる車両の記録や車両ナンバーの自動読み取りといった様々な機能を、トラックスケールに付加してきた。例えば、トラックスケールでの計量時に運転手が所有するICカードを通じて、運送会社名、車両ナンバー、品目などの様々な情報を登録するシステム、Webカメラと連携した車両状態の記録システム、信号灯、遮断機と連携した入退出システムを組み合わせることで、3人以上が必要だった作業を無人化することができるという。
顧客のDX実現のため、デジタル技術を活用した計量だけでなく、集計、売上、請求、精算まで含めたシステムを提供
廃棄物処理業の人手不足を解消する「トラックスケール計量DXソリューション」 (図:ホームページより)
鎌長製衡は、デジタル技術を活用した計量価値の提供により、顧客のDX実現を支援。パッケージソフトをベースに、必要な機能を顧客が選択できるように提案し、契約、受付、配車、計量、マニフェスト、集計、売上、請求、精算といった多様な業務の効率化に、納期や予算に合わせて柔軟に対応している。「計量機器とデジタル技術は親和性が高く、お客様のニーズに合わせて製品づくりを進めてきたことが、結果としてデジタル技術を積極的に取り入れることにつながりました」と鎌田社長は説明した。今後、新たな製品を開発する上で、蓄積した技術や知恵をベースに、AIやロボット技術の活用も進めたいという。
計量機器の自動化、リサイクル機器、プラント事業を拡大することで、売上高を2032年に100億円に拡大する計画を掲げる
鎌長製衡は成長分野であるデジタル技術を活用した計量機器の自動化、リサイクル機器、プラント事業を拡大することで、2024年3月期の時点で約50億円の売上高を2032年に100億円に拡大する計画を掲げている。現在、本社工場の東側の敷地で2026年中の完成を目指して新工場を建設している。「外部発注している部材や部品の仕入価格が、物価や人件費の高騰によって年々上昇しているので、先を見据えて部材や部品の内製化を進めていく必要があると考えています。売上規模を拡大し製造能力を強化することで、国際情勢を含めた先行きの不透明さへの対応力を強化していきたい」と鎌田社長は話した。
成長に向けた事業活動の拠点となる設計棟が2025年9月に完成 1階ロビーには歴代製品の展示コーナーも
鎌長製衡の設計棟の1階ロビー
成長に向けた鎌長製衡の事業活動の新たな拠点となっているのが、2025年9月に完成した2階建ての設計棟だ。旧社屋の隣接地に建設し、延床面積は旧社屋と比較して1.5倍に拡大した。オフィスゾーンは全体を見渡し開放感のあるデザインにした上で、営業、設計、調達の各部門が連携しやすいように座席を配置。さらに、打ち合わせのためのスペースや、集中して仕事に取り組めるパーソナルスペースも設けた。
見渡しやすく開放感のある鎌長製衡のオフィスゾーン
鎌長製衡の145年を超える歴史に触れることができる
1階ロビーには、歴代製品を間近で見ることができる展示コーナーを設けており、来客の多くが記念撮影をして帰っていくという。設計棟の設計にあたり、20代から40代の従業員でプロジェクトチームを結成し、社内から幅広く意見を集めた。「コミュニケーションの質が高まり、協業によって新しいアイデアが次々に生まれる。そのような空間を作りたいとの従業員の思いを反映しました」と鎌田社長は話した。
「コミュニケーションの質とスピード」を上げる IP電話、Net回線増強、Web会議対応、会議室予約、勤怠管理システム、セキュリティも強化
現在は、業務のデジタル化を促進する様々な機能を盛り込んでいる。その一つが、社内外での通信手段だ。鎌長製衡の工場は大きく敷地も広大。どこにいてもつながる事が業務の効率化につながる。無線LAN環境を整えた上で、アナログ式のビジネスフォンからインターネット回線を使って音声通話ができるIP電話に切り替えた。配線工事不要で、スマートフォンに専用アプリをインストールすることで、場所を問わずに会社の電話番号で発着信できる。通話のログもシステムに保存、管理することができる。また、インターネット接続を強化することでWeb会議も活用しやすくした。Web会議が増える事で、会議室の利用も増加する。効率的な運営を目的に会議室予約システムを導入した。自席からの予約はもちろん、状況をリアルタイムで確認でき、「今」空いている会議室も一目で把握できる。
また、設計棟の完成に合わせて紙ベースで行っていた勤怠管理業務をデジタル化。勤怠管理システムを導入し、給与計算システムと連動した。また、社内のパソコンや従業員のIDなどを一元管理するシステムも導入するなど、情報のセキュリティ体制も強化している。「デジタル技術を活用して基幹業務の効率化を進めることで、さらなる働き方改革を進めていきたい」と鎌田社長。
業務のペーパーレス化を進める一方で、図面についてはデジタルだけでなく紙ベースでの対応も大事にしている
複合機で印刷する際は、トラブルを防ぐために利用者ごとの印刷指示機能を活用している
鎌長製衡は業務のペーパーレス化を進める一方で、図面についてはデジタルだけでなく、紙ベースでの対応も大事にしている。生産現場ではデジタル端末を使うよりも印刷した紙の図面を広げる方が、複数の従業員が同時に確認しやすく、取り扱いもしやすいといったメリットがあるという。複合機での印刷にあたっては、ミスプリントや印刷物の取り違え、印刷後の放置といったトラブルを防ぐために、利用者ごとの印刷指示機能を活用している。印刷指示機能は印刷コストの低減にも役立っているという。
顧客に真摯に向き合う150年の蓄積が、劇的に進化するAIやロボットとのコラボで新しい次元へ進むことを予感させる
鎌長製衡の設計棟の外観
先を見据えて設備投資を行い、デジタル技術を活用して業務の効率化に貢献する製品を顧客に提供することで、着実に事業を拡大している鎌長製衡。「産業用計量機器とリサイクル機器の分野で、着実にこれまで以上の存在感を発揮していきたいと考えています。以前は実現できなかったアイデアを、新しい技術を活用して具現化することで事業を拡大し、地域経済の活性化にも貢献していきたい」と鎌田社長は力強く語った。
鎌長製衡の、顧客に真摯(しんし)に向き合い蓄積された情報や知恵は、積極的にデジタル化され、AIやロボット技術により新たな未来を創っていく。鎌田社長の「だから『老舗は常に新しい』」という言葉は、これまでの蓄積された経験(失敗も成功も)と情報そして知恵が、AIとロボットと社員の「情熱」によって、新しい次元へ進むことを予感させる。
企業概要
会社名
鎌長製衡株式会社
本社
香川県高松市牟礼町牟礼2246番地
電話
087-845-1111
設立
1947年1月(創業1880年)
従業員数
180人
事業内容
産業用はかり、計量システム、計測制御、リサイクル用処理機器の製造及び販売
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