サービス業

社員のしあわせを最優先 人とデジタルが支える経営が、無理のない成長を育んでいる 黒磯保険センター(栃木県)

From: 中小企業応援サイト

公開日:2026年03月30日

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栃木県那須塩原市を拠点とする、東京海上日動火災保険の代理店、株式会社黒磯保険センター。約6,000件を超える契約を支えながら、残業はほぼゼロ。高い更新率を維持し、安定した業績を継続している。その背景にあるのは、効率化や拡大を優先する経営ではない。創業以来一貫して大切にしてきたのは、「社員のしあわせを最優先にする」という考え方だ。社員一人ひとりが安心して働ける環境を整え、対話を重ね、チームで支え合う。そうした日々の積み重ねが、結果として無理のない成長を育んでいる。(TOP写真:2009年に現在の場所に移転)

創業から変わらない、「社員のしあわせを大切にする」という軸

代表取締役の平野康美さん。社員と良いコミュニケーションをとることを考え続けている

代表取締役の平野康美さん。社員と良いコミュニケーションをとることを考え続けている

黒磯保険センターは1985年創業。先代社長の時代から一貫して大切にされてきたのが、「社員のしあわせを大切にする」という考え方だ。同社の経営理念は以下となる。

社員のしあわせを大切にし 心が元気になる会社を目指します
一人一人が創造性を発揮し 自由で活気あふれる会社を目指します
お客様の期待と信頼に全力で応えます
お客様と社員が感動と感謝のありがとうを共有できる仕事をします

この順序は象徴的だ。「顧客」や「会社の成長」よりも先に、「社員」がある。社員を第一に考えているからこそ、仕事よりも大切になるのは社員の家庭だ。有給休暇の取得や急な休みについても、特別な説明や遠慮は必要ない。子どもの体調不良や家庭の事情があれば、当たり前のように休みは受け入れられる。こうした姿勢は、制度として声高に語られるものではない。日々の判断や行動の積み重ねの中で、自然に根付いてきた。
社員にとっては「そういう会社だから」と無意識に受け止められているが、その“当たり前”こそが、長年にわたって会社を支えてきた土台となっている。

営業とオフィススタッフが支え合う、強いバックオフィス体制

ホームページに書かれた経営理念。「社員のしあわせ」が最優先

ホームページに書かれた経営理念。「社員のしあわせ」が最優先

黒磯保険センターの業務体制を語る上で欠かせないのが、営業1人に対し、オフィススタッフ1人が付くペア制だ。営業担当は新規提案や顧客訪問に集中し、オフィススタッフは顧客からの問い合わせ対応、契約手続き、見積書作成などを担う。顧客からの連絡はオフィスが一元的に受けるため、営業担当が外出中でも対応が止まることはない。
この体制は、「誰かが休むと回らない」状態をつくらない。東京海上日動のシステムを活用した情報共有により、業務の属人化も抑えられている。効率化と聞くと、人を減らすイメージを持たれがちだが、同社の考えは逆だ。人が無理なく働き続けるために、仕組みで支える。その発想が、このバックオフィス体制に表れている。

未経験者が育ち、定着する理由―助け合いが当たり前の職場

広々として整然としたオフィス。このオフィスも強さの秘密だ

広々として整然としたオフィス。このオフィスも強さの秘密だ

同社の採用の多くは、未経験者や異業種からの転職者だ。保険業界の経験よりも、「自社のやり方に合うかどうか」を重視している。入社後は東京海上日動の研修受講はもちろん、OJTにも力を入れており、入社後約4ヶ月間は先輩社員に同行する。この期間に、会社や顧客対応の考え方が身についていくのだ。だが、育成を支えているのは研修やOJTだけではない。社員同士が当たり前に協力し合う文化も育成を支えている。分からないことは、まず自分で調べる。自分で調べてわからなかったら人に聞く。それでもわからなければ、聞かれた人も一緒に調べ、お互いがレベルアップしていく。黒磯保険センターでは、こうした協力し合うことが当たり前の文化として根付いているのだ。なので、新人でなくとも、多忙で資料や見積書が作れない時には、普通の事として他の社員が手伝っている。これが当たり前の「空気」なのだ。

黒磯保険センターは、かつて営業の報酬をコミッション制にしていたことがあった。しかし、平野社長は言う。「そうすると、自分のためだけに仕事をしちゃうんですよ。会社のためじゃなくて。それだと自分たちの考えとは違うのでやめたんです」。
現在は個人のノルマはなく、会社としての数字目標を定め、固定給+賞与制を採用している。そして、社員一人ひとりが目標を心に留めながら、数字が足りなければ自然と他の社員のサポートをする。誰かが困っていれば、他のスタッフが自然に手を差し伸べる。それが特別な美談ではなく、日常の光景として続いている。この“聞ける・助け合える”関係性の土台があるからこそ、未経験でも人が育ち、定着していく。

9時〜17時で業務終了、残業ほぼゼロで仕事が回る理由

社員同士が助け合う風土が強み。取材中も積極的に相談する姿が見えた

社員同士が助け合う風土が強み。取材中も積極的に相談する姿が見えた

勤務時間は9時から17時。ほとんどの社員が時間通りに退社し、残業はほぼない。子育て世代も多く、プライベートを大切にすることが前提だ。その前提を守るために、仕事の組み立て方にも工夫がある。

資料や見積書作成、事前準備はオフィス側が担い、営業は現場での対応に集中する。結果として、無理な残業をしなくても仕事は回り、一人ひとりの集中力と仕事の質が保たれている。

土日祝日は休み、働く時間は9時〜17時。「社員のしあわせを大切にする」という理念がここにも生きている。保険の営業・事務という仕事は、未経験者にとって決して簡単なものではない。それでも黒磯保険センターが社員の募集をすると、人手不足の時代でありながら順調に採用ができる。実際に、働き方や考え方に共感したことを理由に入社する社員も多い。こうした価値観の共有が、組織風土の維持につながっている。

高い更新率とトップクオリティ認定が示す、仕事の質

経営の品質を表しているトップクオリティ代理店に選ばれ続けている

経営の品質を表しているトップクオリティ代理店に選ばれ続けている

黒磯保険センターは、東京海上日動の「トップクオリティ代理店」に認定されている。この認定は、お客様への保険・サービスの提案力・万が一の事故の際の対応、保険代理店としての事業の健全性、安定性、成長性が、総合的に高く評価された結果だ。保険契約の更新率は90%を超える。
その背景にあるのは、丁寧な説明と、事前準備の徹底だ。平野社長は言う。「保険の仕事は目に見えるものではないので、人が大切なんです。『保険屋さん』ではなく、名前で呼ばれるようにならなければいけない。そのためには、社員がいい仕事ができる環境づくりが大切なんです」。
そのために、これまで伝えてきた働きやすい環境づくりに加え、業務の流れを明確に整備している。黒磯保険センターの営業の流れは、まず、お客様の話をしっかりと聞くこと。お客様の現状と、お客様が保険に求めている事を正しく把握する。そして、会社で定めた流れにそって、提案・手続き業務を進めていくことだ。業務の流れのチェックリストを活用し、ミスや抜け漏れを防止。万が一ミスやトラブルが起きた場合は、必ず振り返りを行う。原因を確認し、チェックリストに反映させ、次に生かす。顧客対応の方法を標準化し、チェックと改善を重ねる。そうして磨き続けてきた結果が、数字として表れている。

人を支えるためのICT活用──業務効率と安心を支える基盤

新たに採用したクラウドストレージサービス。安全・安心と効率を両立できるようになった

新たに採用したクラウドストレージサービス。安全・安心と効率を両立できるようになった

業務の土台として、ICT活用も欠かせない。それまで使用していたクラウドストレージサービスにはセキュリティの問題があり、新たなシステムを導入した。これにより、大幅にセキュリティが強化された。また、複合機との連携もスムーズになり、スキャンデータを直接保管できるようになるなど、業務の効率化が進んだ。保険は個人情報のかたまりだ。メールで資料(ファイル)を送る時に、自動でパスワードを設定・送信してくれるようになったことも見逃せない。お客様に多くの資料をメールで送る業務が多いため、安心かつ手間なく対応できるようになった。

さらに、勤怠管理システムの導入も業務の大幅な効率化につながっている。タイムカードでの管理から、勤怠管理システムに移行したことで、営業社員が直帰しても問題がなくなった。またそのデータは給与計算システムと連動しており、データの手入力の必要がなくなった。入力データの確認や修正などで2〜3日かかっていた給与計算業務の時間が不要になり、その分を本来業務の質の向上に充てられるようになった。

今後のICT化では、社内会議の議事録作成の効率化がテーマだ。保険業務では社内会議で話し伝えた内容は、法律の改定や、約款の変更、保険内容の改正など、後から確認する必要が出てくる。この業務も大きな負担になっている。現在、セキュリティの問題がないかなどを確認しながら、AIを活用したシステムの導入を検討中だ。ICT活用は、業務を効率化するためだけでなく、社員が安心して働き続けるための環境づくりにつながっている。

変化の時代でも変わらない、“社員のしあわせを最優先にする”という判断軸

健康経営優良法人に選ばれている。これも理念に沿う活動の一つだ

健康経営優良法人に選ばれている。これも理念に沿う活動の一つだ

現在、同社が最も重視しているテーマの一つが人材育成だ。以前の評価制度はうまく機能せず、現在はチームでの目標達成を重視する考え方へと転換している。社員同士が支え合う組織風土を大切にし、社長自らが全社員と定期的に1on1の面談を行っている。
その中で、社長自身も自省しながら対話を重ね、「話しやすい自分であろう」と努力を続けているという。社員が社長に思いや意見を伝え、それを社長が素直に受け止め、改善につなげようとする。こうした関係性が、心理的安全性を支えており、「社員のしあわせを大切にする」という理念が、より強固になっているのだ。

社員を大切にする経営が、無理のない成長を支え続ける

社員のしあわせを第一に考え、プライベートを大切にできる体制を整える。未経験者でも安心して働ける環境をつくり、チームで支え合い、仕事の質を高め続ける。その積み重ねが、安定した業績と高い評価につながっている。
黒磯保険センターの強さは、特別なノウハウではない。社員を大切にするという当たり前を、真剣に、継続してきた結果だ。

企業概要

会社名

株式会社黒磯保険センター

所在地

栃木県那須塩原市方京2-1-1 DIグランドスクエア那須塩原1B

HP

https://kuroisohoken.co.jp

電話

0287-74-3388

設立

2005年9月

従業員数

8人

事業内容

損害保険・生命保険代理店

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