製造業(その他)

技術力と対応力を強みに、付加価値を創出するウレタン加工スペシャリスト 岡崎ウレタン群馬(群馬県)

From: 中小企業応援サイト

公開日:2026年04月13日

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

群馬県伊勢崎市に拠点を置く岡崎ウレタン群馬株式会社は、日本のウレタン産業の系譜を受け継ぎながら、地域に根差して独自の進化を遂げているウレタン加工のスペシャリスト集団だ。「できないと言わない」をモットーに、製造現場では職人たちが高度な加工技術を脈々と継承。群馬県内に複数の工場を展開し、九州にも生産拠点を持つなど、ウレタン加工メーカーとして着実に事業規模を拡大してきた。少量多品種生産に対応する技術力と柔軟な納期対応を強みに、自動車や産業機械分野を中心に安定した取引基盤を築いている。また、販売管理システムを独自に開発して活用するなど、デジタル化による業務生産性向上で収益力向上を目指す。
(TOP写真:ウレタンをプレス加工するための油圧プレス機が並ぶ第一工場)

岡崎のウレタン加工メーカーが群馬に事業所を設立したのが発祥 立ち上げを担った3代目社長が積極経営を展開

創業の経緯を語る冷水博仁代表取締役

創業の経緯を語る冷水博仁代表取締役

日本のウレタン産業は1950年代に井上護謨工業(イノウエゴム:現イノアックコーポレーション)が、ドイツのバイエル社から技術導入を行い、日本で初めてウレタンフォームの生産に乗り出したのが始まりだ。
岡崎ウレタン工業(現オカウレ)は、トヨタ自動車の主要サプライヤーだった、井上護謨工業の協力会社として、1973年にトヨタ自動車グループ企業の生産拠点が集中する愛知県岡崎市に誕生した。

岡崎ウレタン工業は当初、売上高の99%前後を井上護謨工業の下請け加工が占めていた。そこで、残り1%の取引先である大手自動車部品メーカーからの受注拡大を目指し、同メーカーの工場の一つがある群馬県伊勢崎市に、物流拠点として「群馬事業所」を設置したのが岡崎ウレタン群馬の発祥だ。「その伊勢崎市に事業所を立ち上げるという特命を受けて群馬に赴任したのが、当時、岡崎ウレタン工業の係長だった私の父なのです」と、冷水(ひやみず)博仁代表取締役は説明する。

岡崎ウレタン工業は、主要取引先に合わせ静岡県富士市に工場を立ち上げるが、やがて物流コスト低減と競争力強化を目的に、群馬県内での生産に変更。1985年に群馬事業所を格上げし分社化。「岡崎ウレタン群馬株式会社」を設立する。骨を埋める覚悟で伊勢崎市に赴任し、群馬県周辺の取引先を開拓してきた冷水社長の父、冷水和久氏(現取締役会長)が1996年に3代目社長に就任すると、同社は積極的な経営を展開。伊勢崎市内に3つの工場を順次増設するなど、事業規模を着実に拡大していった。

冷水博仁社長は2018年に39歳の若さで父の跡を継ぎ、代表取締役に就任した。大学卒業後、岡崎ウレタン群馬の最得意顧客の一社である大手化成品メーカーに就職し、東京本社で営業マンとして8年ほど勤務した後、2008年に自らの意志で岡崎ウレタン群馬に入社。顧客側の視点を知る強みを生かして、経営の舵取りを進め、2019年には伊勢崎市内に5つ目の工場を増設したほか、福岡県豊前市に九州工場を新設し、自動車産業が集積する北九州地域への進出を果たした。さらに同年には、初の営業拠点となる「東京営業所」(東京都足立区)も新設している。

母体が同じウレタン加工3社で連携するグループを形成も資本面は独立性を強める

この間、岡崎ウレタン工業は静岡県富士市に「岡崎ウレタン株式会社」も設立。岡崎ウレタン工業が「オカウレ」へと社名変更したことに伴い、同じ「岡(おか)ウレ」を愛称とする3社で、「オカウレグループ」を形成している。

ただし、岡崎ウレタン群馬は、地元に根付いて独自の発展を遂げる過程で、増資を行うなどしながら、オカウレグループとは資本面での独立性を徐々に強めてきた。現在は冷水博仁社長が筆頭株主で、冷水父子で持株比率80%を占める。残りはオカウレとその代表者、岡崎ウレタンが保有している。製品の売買などグループ間相互の取引関係も年商の1割に満たない規模にとどまる。ただ2003年に品質管理に関する国際規格「ISO9001」認証をグループで取得していることから、半年に1回、相互に内部監査を行うなど、互いのテリトリーを尊重しつつ、必要に応じて協力し合う関係にある。

自動車から建設機械・産業機械、住宅、医療などへ用途先を拡大

自動車用ウレタン製品の加工例=ホームページより

自動車用ウレタン製品の加工例=ホームページより

ひと口にウレタン加工品と言っても、ポリウレタンフォームや発泡ポリエチレン、両面テープ、ゴム板、ゴムスポンジ、フィルム、シート類など、その種類は多岐にわたる。岡崎ウレタン群馬の場合、自動車・産業機械向けの吸音・防音用途のウレタン加工を得意としている。「かつてはOA機器分野なども手掛けていましたが、それらは海外へ生産シフトしてしまいました。自動車や建機、産機、住宅は海外に出ていく心配がなく、非常に安定して受注できています」(冷水社長)。その他にも様々な業種に納入しており、2019年に設立した東京営業所を通じて、病院で使われるMRI(磁気共鳴画像装置)の吸音材用途を開拓するなど、医療分野への展開も進めている。

少量多品種生産と柔軟な納期対応で差別化 主要原材料メーカーとの直接取引と職人の技術力を生かす

バーチカル裁断機を操作=第三工場

バーチカル裁断機を操作=第三工場

競合会社がひしめく中、岡崎ウレタン群馬は、職人の高い技術力と取引企業とのネットワークの両面を生かし、「選ばれる企業」であり続けている。冷水社長が語る。「当社の強みは、少量多品種に対応できることと、納期に柔軟なことです。それに、一定の品質を保っていること。これは冷水会長から引継いだ考え方でもありますが、様々な注文や問い合わせに対して、『できない』とは言わず、お客様の立場に立って解決策を探すという姿勢を大切にしている。例えば、『自動車用にこんな形状の部品が手に入らないか』と相談された場合、たとえ技術的に難しい内容であっても、必死に提供できる方法を探します」。

少量多品種に対応できるのは、40代を中心とした職人たちが高度な加工技術を継承してきているからだ。1枚のウレタンシートから、いかに効率よく一定の形状の部品を抜き出すかといった、デジタル化しにくい「職人の勘」を生かした技術が、少量生産でも利益を生む仕組みを支えている。また、短納期にも柔軟に対応できるのは、国内の主要ウレタンメーカーや両面テープメーカーと直接取引口座を持ち、原材料を最短ルートで調達できる体制を構築している。「おそらく、そういう同業者は少ないと思います」と冷水社長。

コロナ禍でも「人を減らさない」経営を貫き、需要回復局面でスムーズな立ち上げを実現

オフィスの様子。手前が冷水社長

オフィスの様子。手前が冷水社長

もっとも、2020年のコロナ禍以降は、半導体不足も重なって自動車メーカーが生産停止するなどの影響で自動車産業向けの受注が激減、苦しい時代が続いた。しかし、冷水社長は「必ず需要は回復するから人は減らさない」と決断。雇用調整助成金や無利子融資制度などを活用して雇用維持に努めた。この決断がその後の需要回復期におけるスムーズな生産能力の立ち上げと、従業員のエンゲージメント向上につながっている。「従業員たちは自宅待機にも耐え、本当によく頑張ってくれました。苦しい時に営業担当者らがまいてくれた種が、ようやく実りつつあり、2025年11月頃から徐々に受注が増え始め、新しい仕事が入る見込みも立つなど、業績が復活してきています」(冷水社長)

企業理念の一項目に「顧客、購買先、社員とその家族が幸せになれることを目指します」と掲げるように、岡崎ウレタン群馬は、もともと従業員を大切にする会社だ。昇進や昇級も年功序列ではなく、実績を重視して決めている。一方で、「社長に気に入られている人が得をする」といった不平不満の声が聞かれることもあった。そこで同社は、公平な人事評価を実現するために、2025年に「自己評価シート」を導入した。上司による多段階評価と、本人によるマトリックス方式の自己評価を突き合わせることで、評価の根拠を明確化。それでも不満を抱く従業員には「どこを改善すれば評価が上がるか」を具体的に示すことで、納得感のある評価につなげている。評価結果は賞与や給与に反映される。

約90人いる従業員のうち、11人は外国人。ペルー、ボリビア、バングラデシュ、中国など出身国はさまざまで、正社員もいればパートや派遣人材もいる。日本語が話せない従業員に対しては、日本語が堪能な他の外国人従業員が通訳を担ったり、翻訳ツールを活用したり、多言語の業務指示書を作成したりするなど工夫を重ねている。言語や国籍の違いを超え、全員が一体感を持って業務に取り組める環境づくりを進めているという。

販売管理システムを元SEの社員が開発 受注~製造指示~出荷までを一貫してシステム化

販売管理システムを開発した上村賢吾業務課係長

販売管理システムを開発した上村賢吾業務課係長

岡崎ウレタン群馬がオリジナルの販売管理システムを開発、導入したのは2002年頃だ。開発を手掛けたのは、上村賢吾業務課係長。同社に入社する前はシステムエンジニア(SE)だった上村係長が開発に至った経緯を次のように語る。「私が入社した時に、すでに市販の販売管理システムがあったのですが、稼働していなかったのです。いわゆる汎用型のパッケージソフトで、不要な項目が多数あり過ぎて、誰も使いこなせない状態で放置されていたのです。そこで、私が当社のニーズに適したシステムを自分で開発しようと考えました」。

上村係長はまず、受注データをもとに「製造指示書」を発行するシステムを構築した。メールで発注書が送られてくると、添付されているCSVファイルを、同社のシステムに合わせ変換し、取り込み、得意先名や製品名、寸法や原材料名などの文字情報のほかに、図面も載った製造指示書を作成するシステムだ。製造指示書にはQRコードも印字している。製品が完成し、梱包する時に、ハンディターミナルでスキャンし、入れる箱のQRコードとともに入り数を登録する。そうすることで、出荷時に箱のQRコードを確認すれば、どの得意先分の何が何個入っているのかがすぐにわかる。また指示書のQRコードを読むことで、この得意先の注文分はどの箱に何がいくつ入っているのかも簡単にわかる。

「注文書のデータから自動で指示書を作り、きちんと注文通りに作られているかどうか、出荷が注文通りにできているかどうかをハンディターミナルで簡単に確認できます。かつては、受注した製品が出荷されないままになる〝出荷漏れ〟が発生する事もありましたが、このシステム導入後は劇的に減りました」と冷水社長は評価する。

次に、九州工場を含む各拠点をVPN(仮想専用線:Virtual Private Network)で接続し、遠隔拠点の在庫や出荷状況をリアルタイムで把握できる仕組みを構築した。また、群馬工場と九州工場で相互にバックアップを取るなど、BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)対策も施している。

上村係長は現在、工場内をカンバンとして原材料から製品となるまで紙で回っている製造指示書の紙保管を、最後はスキャナーで読み取り、電子データとして保管するシステムを計画している。「ペーパーレスになるので、紙の保管スペースが不要になるし、検索も容易なので、過去の指示書をすぐに見つけられるようになります」と話す。

生産管理システムの導入時期を計る 将来の工場再編も検討課題に

本社入口(左の青い建物)と第一工場の外観

本社入口(左の青い建物)と第一工場の外観

第二工場(右)と第三工場(左)

第二工場(右)と第三工場(左)

冷水社長は、今後は生産管理システムの導入が課題になると考えている。独自に作成したシステムによって、入口(受注)と出口(出荷)は把握できているので、その中間をデジタルで管理できるようにしたい考えだ。「将来的には、作業員の一人ひとりがタブレットを持ち、現在は紙で配布している指示書も電子化し、仕掛品の生産工程毎に、状況を簡単に登録できれば、生産の進捗状況も可視化できるようになる。納期に遅れが生じそうな製品には赤ランプ(警告灯)が点灯するような仕組みが実現できればと思います」と展望を語る。もっとも、製造現場は平均年齢が高く、デジタル化への抵抗感も少なくない。そして、システム開発やタブレットなど、導入にかかるコストも考慮する必要がある。そのため、現場の理解を得ながら、適切なタイミングを見極めて導入を進めていく方針だという。

冷水社長にとって、もう一つの将来構想は工場の再編だ。売上高が社長就任時の目標に近づいてきた現在、次なるテーマとして重視しているのが利益率の向上である。その実現に向け、徒歩10分圏内に、5か所ある工場の集約を考え、デジタル化と生産効率向上の両面から、より競争力の高い製造体制を構築していく。冷水社長は、「私の次の代になるかもしれませんが、本社周辺が再開発される機会をとらえて実現できればと思っています」と将来を見据える。

企業概要

会社名

岡崎ウレタン群馬株式会社

本社

群馬県伊勢崎市長沼町3849

HP

http://www.okaure-gunma.co.jp/

電話

0270-32-7772

設立

1985年2月

従業員数

約90人

事業内容

各種ポリウレタン、化成品の加工・販売

記事タイトルとURLをコピーしました!

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

中小企業応援サイトに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

中小企業応援サイト

https://www.ricoh.co.jp/magazines/smb/

「中小企業応援サイト」は、全国の経営者の方々に向け、事例やコラムなどのお役立ち情報を発信するメディアサイトです。"

新着情報をお届けします

メールマガジンを登録する

リコージャパン株式会社

東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル

お問い合わせ先:中小企業応援サイト 編集部 zjc_smb@jp.ricoh.com