製造業(機械)

循環型社会実現に向け、木材の再利用と利用促進の研究開発・製造を推進 社内ICT化に積極姿勢 三蓉エンジニアリング(広島県)

From: 中小企業応援サイト

公開日:2026年05月11日

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。

かつて戦艦「大和」を建造した日本最大の海軍工廠(こうしょう)が設置され、現在も、造船、鉄鋼、機械、金属などの重厚長大産業が盛んな広島県南西部の呉市。この瀬戸内海有数の工業都市で、2001年に誕生した三蓉エンジニアリング株式会社は、木材をバイオマス燃料として再生するための機械やプラントの設計、開発に特化したファブレス企業だ。四半世紀の歴史の中で、材料の破砕、切削、選別に関連した多様な設計技術を磨き、機械や機器の製造を外部に委託することで、研究開発や営業に経営資源を集中している。SDGsの中核テーマである循環型社会の推進企業として、公益財団法人ひろしま産業振興機構から中小企業成長プラン策定支援事業において評価優良企業に認定された。社内では、情報発信や業務効率化を目的に、デジタル技術の活用にも積極的に取り組んでいる。(TOP写真:三蓉エンジニアリングが手掛けるプラントを構成する廃木材の投入写真)

木質チップを製造するための破砕機、ドラムチッパー、粉砕機の設計、開発に取り組む バイオマス発電用木質チップの供給・選別・搬送設備・使用済み乾電池の分別装置も開発

三蓉エンジニアリングが納入した破砕機

三蓉エンジニアリングが納入した破砕機

三蓉エンジニアリングが納入したドラムチッパーの本体

三蓉エンジニアリングが納入したドラムチッパーの本体

三蓉エンジニアリングは、廃木材や森林の未利用材を原料にした木質チップを製造するための破砕機やドラムチッパー、粉砕機などの設備の設計、開発に取り組んでいる。また、木質系の材料だけでなく、廃バッテリーの粉砕装置や、使用済み乾電池の分別装置の設計も手掛ける。さらに、上記の設備で培った技術をベースに定量供給機・篩分け装置・除鉄装置・搬送装置をコンパクトにシステム構成したバイオマス発電用ボイラーへ供給するラインも手掛けている。

三蓉エンジニアリングが納入した電池選別機

三蓉エンジニアリングが納入した電池選別機

三蓉エンジニアリングが納入したバイオマス発電用ボイラー供給ライン

三蓉エンジニアリングが納入したバイオマス発電用ボイラー供給ライン

複数の機械や設備を組み合わせるプラントの企画、設計、施工管理、稼働時の運用支援に強みを持つ 43都道府県で納入実績を持ち、全国で協力企業を確保している

三蓉エンジニアリングが特に強みとしているのが、複数の機械や設備を組み合わせるプラントの企画、設計、施工管理、そして、稼働時の運用支援だ。その取引先は廃棄物中間処理業者、バイオマス発電所、機械プラントメーカー、木材チップ製造業者など多岐にわたる。43都道府県で納入実績を持ち、設計した機械の製造やメンテナンスを担う協力企業のネットワークを全国に構築している。プラントは一度納入すると、中長期にわたって修理、部品の交換、メンテナンスの継続的な取引が見込めるため、三蓉エンジニアリングにとって安定した収益基盤となっている。

エンジニアリングには、多岐にわたる知識の蓄積と、顧客の要望を効率的に実現するための発想力が求められる。

エンジニアリングには、多岐にわたる知識の蓄積と、顧客の要望を効率的に実現するための発想力が求められる。

2001年、広島県内で廃木材の再資源化に取り組んでいた3人の技術者が会社を設立 技術力や人脈を武器に製品のアフターフォローに力を入れることで事業の礎を築いた

三蓉エンジニアリングの歴史は2001年、広島県内で廃木材の再資源化に取り組んでいた3人の技術者、川上和夫氏、梶川守夫氏、山田辰男氏が、共同で会社を設立したことにさかのぼる。社名は、山陽地方で3人が設立した会社であることにちなみ、漢数字の「三」と、泥土の中で美しく咲く蓮の花を表す「蓉」を合わせて「三蓉エンジニアリング」と名付けたという。技術力と人脈を武器に、製品のアフターフォローにも力を入れることで取引先の信頼を獲得し、事業の礎を築いた。川上氏が初代の代表取締役社長を務め、梶川氏は2代目の代表取締役社長となり、現在は代表取締役会長を務めている。

30代後半の生え抜き社員が2025年4月に新社長に就任 攻めの姿勢で新しい機械の開発体制強化を図る

三蓉エンジニアリングの中田祐也代表取締役社長

三蓉エンジニアリングの中田祐也代表取締役社長

設立から四半世紀を迎えた現在の三蓉エンジニアリングの舵取りを担うのが、38歳の中田祐也代表取締役社長だ。2025年4月に梶川氏から事業を承継した。「地球環境の保護と脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの発展に貢献することを企業ミッションとしています。先行きが不透明な時代の中で成長していくために、攻めの姿勢で新たな機械の開発体制を強化していきたいと考えています」と中田社長は、はつらつとした声で語った。1年ごとに着実な成長を積み重ね、10年後には売上高を現在の2倍に拡大することを目標に掲げている。

2010年4月に大学卒業後、新卒で三蓉エンジニアリングに入社した中田社長は、営業分野を中心にしながらメンテナンスおよび施工管理にも携わり、取締役を経て入社15年で社長の座に上り詰めた。父親が機械メーカーに勤めていたこともあって、子どもの頃から機械に強い関心を持ち、環境分野で高い技術力を持つ同社に大きな将来性を感じたことが、三蓉エンジニアリングを志望した動機になったという。

広島県ものづくりオンリーワン企業に認定された技術力を誇る 2024年に環境関連の機械を手掛ける企業の責任としてSDGs宣言を策定

三蓉エンジニアリングが策定したSDGs宣言

三蓉エンジニアリングが策定したSDGs宣言

三蓉エンジニアリングは、環境負荷の軽減につながる一連の製品開発は高い評価を受け、「広島県ものづくりオンリーワン企業」に認定されている。2025年9月には、公益財団法人ひろしま産業振興機構の中小企業成長プラン策定支援事業において、評価優良企業の認定も受けた。環境関連の機械を手掛ける企業として、国連の持続可能な開発目標、SDGsに強い関心を持ち、2024年7月には、自社の資源循環型社会への貢献、充実した職場環境の整備、公正な事業慣行、地域社会への貢献に関する取り組みを盛り込んだSDGs宣言を策定した。

時間を有効活用するため、企業業務に特化した定額制のビジネスアドバイザリーサービスを活用

中田社長は、経営判断をする上で外部の知見をうまく活用している。2025年12月から、定額制のビジネスアドバイザリーサービスを活用し、就業規則の見直しや助成金申請、評価制度設計、労務対応、資金調達、採用・人材定着支援といった幅広い課題について、Web面談や電話、メールなどを通じて実践的な支援を受けている。「日々、様々な課題に対して決断を求められる中、困った時に踏み込んだ解決策を迅速に提案してもらえるので非常に助かっています。このサービスで対応していただいている専門家の皆さんは、経営を進めていく上で欠かせないパートナーです」と中田社長は話した。

設計には主に汎用性に優れた2D-CADを使用。若い人材には、2D-CADスキル向上後に3D-CADの活用を推奨

CADを使って設計業務に取り組む様子

CADを使って設計業務に取り組む様子

三蓉エンジニアリングでの仕事の特色は、営業、設計、工務の各部署において、属人化しがちな仕事を、チーム制で取り組んでいることだ。これにより若手が先輩に相談しやすい環境となり、結果、成長が促進される。また、病気など非常時の体制も整う。

設計業務では、汎用性の高いCADを採用。CADシステムが搭載している2Dと3Dそれぞれの機能の利点を踏まえ、取引先に合わせた情報の共有を行っている。若手にはいきなり3Dではなく、2D-CADを使って平面で図面を作成する技術を十分に習得した上で、3D-CADを使うよう勧めている。

従業員は伸び盛りの20代、30代が約7割を占める 毎月2回、外部から専門家を招いて機械についての講義を開催 OJTで自らの能力を磨く過程を重視している

三蓉エンジニアリングが設計、納入した排出コンベア・旋回スクリーンなどのプラントの一部

三蓉エンジニアリングが設計、納入した排出コンベア・旋回スクリーンなどのプラントの一部

三蓉エンジニアリングは近年、事業拡大に備えて新しい人材の確保と育成に特に力を入れている。プラントエンジニアリングの業務を担うには、機械を中心に建築、電気、土木についての幅広い知識と技術力が求められる。同社では、伸び盛りの20代、30代が従業員の約7割を占めており、若手従業員を対象に、毎月2回、外部から専門家を招いて機械に関する講義を行っている。「若い社員には、座学だけでなく主に現場でのOJTを通じて、自らの判断で対応できる能力を養ってもらっています。知識の習得だけであればAIなどの新しい技術を活用する手もありますが、プラントの設計力や据え付けを行う現場での対応力は、実践なくして身につくことはありません。タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスではなく、自らの能力を磨く過程を重視して仕事に取り組んでもらっています」と中田社長は人材育成の方針を話した。

業務支援アプリを作成できるクラウドサービスを導入 メンテナンス用部品の在庫管理と請求書管理の2つのアプリを作成

三蓉エンジニアリングは、今後の成長につながる研究開発や設計、営業活動に経営資源を集中するため、デジタル機器やICTを活用しながら業務にかかる手間や時間の削減を進めている。その一環として2025年2月に導入したのが、自社の業務内容に合わせて様々な業務支援アプリを作成できるクラウドサービスだ。これまでに、メンテナンス用部品の在庫管理と請求書管理の2つのアプリを作成した。

「自社の業務の流れに沿ったかたちで、部品の入出庫の登録を行い在庫計算する仕組みを整えました。在庫状況が一目でわかるので、発注漏れの防止につながっています。請求書の処理についても、データで受け取った分については入力することなく、効率的にデジタルで処理できるようになりました」と中田社長。アプリの拡張性や連動性、情報の共有性に優れたクラウドサービスの特徴を生かして、今後も自社に合った様々なアプリを作成することで業務の効率化につなげていきたい考えだ。

企業向けのホームページ作成システムを導入してホームページの運営を内製化 若い世代をターゲットにSNSを使った情報発信も展開

ホームページ作成システムを使って自社でホームページの運営を行っている

ホームページ作成システムを使って自社でホームページの運営を行っている

三蓉エンジニアリングは、技術力のアピールや人材採用につなげるため、デジタル技術を活用した情報発信に力を入れている。2019年には、企業向けのホームページ作成システムを導入。それまで外部に委託していたホームページの運営を内製化し、内容の充実を図った。このシステムは、パソコン向けに作成したレイアウトや文字サイズを、学生が主に使用しているスマートフォンでの閲覧に、自動で合わせて見やすくする機能も搭載している。

ホームページでは、木質廃材の破砕機や搬送設備、選別機、木粉製造装置、電池選別機などの機械について、豊富な画像や動画とともに紹介し、それぞれの機械のデジタルカタログも閲覧できるようにしている。採用についての専用ページも設け、メッセージや求める人物像、仕事の内容を掲載している。2025年12月からは若い世代をターゲットにSNSを使った情報発信も開始した。今後もホームページのリニューアルを継続的に行い、情報発信のさらなる強化を図っていく考えだ。

導入先の省資源化、省人化、省エネルギー化に貢献することをテーマに新しい機械の開発を加速する

三蓉エンジニアリングは現在、新製品として、大型の原料を粗破砕する「2軸破砕機」の開発を進めている。また今後は、導入先の省資源化、省人化、省エネルギー化に貢献することをテーマに、環境関連機械の新たな開発も加速していく。

また、人口減少時代の中で、全国の製造とメンテナンスを行う協力企業で深刻化している担い手不足、物価高に伴う委託費の高騰といった様々な課題に柔軟に対応する必要がある。ファブレス企業としての強みが弱みに転じる前に、先を見据えた手を打っていきたいという。

三蓉エンジニアリングのオフィスの様子

三蓉エンジニアリングのオフィスの様子

「自社製品が促進する木材のエネルギー利用や間伐材の利用拡大は、二酸化炭素の削減だけでなく森林の適切な整備や保全にもつながっています。高い志を持った創業メンバーが蓄積してくれた技術を発展させることで、これから先も循環型社会の実現に貢献していきたい」と力強く語る中田社長。AIでは代替できない、人間だからこそ発揮できる能力の向上を念頭に、三蓉エンジニアリングは、これからも環境分野でオンリーワンの技術を磨き続ける。その取り組みは、地域の活性化にも大きなインパクトをもたらすはずだ。

日本の森林の70%が、戦後の植林事業で植えたヒノキやスギなどの針葉樹といわれる。これらの木々は、CO2を積極的に吸収する樹齢70年を過ぎ、伐採・植林の時期を迎えている。CO2の削減のためにも間伐や択伐を推進し、木材の有効利用環境を整備する必要がある。そうした意味でも、三蓉エンジニアリングの挑戦は、SDGs推進において非常に重要な取り組みといえる。
木材活用の現場からの様々な要望や意見を吸収しながら、新技術を生み出している三蓉エンジニアリング。今後の成長と循環型経済(サーキュラーエコノミー)実装への貢献に期待したい。

企業概要

会社名

三蓉エンジニアリング株式会社

本社

広島県呉市中央1丁目6番9号 センタービル呉駅前403号室

HP

https://biomass-hasaiki.jp

電話

0823-32-5858

設立

2001年4月

従業員数

18人

事業内容

木質の発電用チップを製造するための破砕機、ドラムチッパー、粉砕機といった設備の設計、開発、プラントエンジニアリング

記事タイトルとURLをコピーしました!

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

中小企業応援サイトに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

中小企業応援サイト

https://www.ricoh.co.jp/magazines/smb/

「中小企業応援サイト」は、全国の経営者の方々に向け、事例やコラムなどのお役立ち情報を発信するメディアサイトです。"

新着情報をお届けします

メールマガジンを登録する

リコージャパン株式会社

東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル

お問い合わせ先:中小企業応援サイト 編集部 zjc_smb@jp.ricoh.com