サービス業

時代の変化に対応 トラック運転手からダイレクトメール封入封緘業に その後ノベルティグッズの梱包、発送が主力に 北斗サービス(群馬県)

From: 中小企業応援サイト

公開日:2026年06月01日

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群馬県伊勢崎市にある株式会社北斗サービスは、市の宮郷工業団地を抱える田中町に立地している。ダイレクトメール(DM)の封入や発送、さらに商品のピッキング、保管管理、梱包などを主力事業としている。従業員はパート含め15人。内職者を含めて約60人の会社だが、時代の変化に合わせて事業領域を広げてきた。(TOP写真:北斗サービスの事務所外観)

物流トラックの運転手をしていた時代に請け負ったダイレクトメールの仕事 妻の内職に任せる形でスタートし、次第にその物量が増え起業へ

インタビューに応じる北斗サービスの廣田幸吉郎代表取締役

インタビューに応じる北斗サービスの廣田幸吉郎代表取締役

設立は比較的新しく、2008年12月。廣田幸吉郎代表取締役は、それまでは物流トラックの運転手として働いていたという。「運転手をしていた頃は納品などにも携わっていたのですが、その時に『ダイレクトメールにまつわる仕事があるんだけど、やってみないか』と誘われて始めました」。運転手として働きながら、内職でそのダイレクトメールの封入作業を請け負ったのが始まりだった。ただ、仕事として取ってきたものの、実際に作業を担っていたのは、現在、「北斗サービス」の取締役でもある妻の実千代さんだった。それは2003年頃のことだ。

当初はそうしたDMの仕事を拡大するつもりはなかったという。「仕事の内容は、内職仕事なので、当時の単価は数十銭の世界。その仕事をもらってきて、妻が地道に作業をしていたわけですが、日増しに量が増えていきました。気がつくと、2トン車1台分ぐらいの封入物をアパートの6畳間に運び込んでは作業し、できたら運び出すという作業を続けていました。封入物のほとんどは紙なので、一つ一つは重くなくても、大量にあると結構な重量になるわけです」と廣田社長。2トン分をおよそ1週間でさばくスピードで作業していたが、アパート2階の床が沈んできしむこともあったという。これはもはや内職というレベルではないと判断し、事業として会社を立ち上げた。

保管場所や作業場所の賃料の安さを考慮して東京から群馬へ移転 起業直前のリーマン・ショックやその後の東日本大震災、新型コロナウイルス禍における影響は少なかった

当面の作業内容などをチェックする廣田社長

当面の作業内容などをチェックする廣田社長

会社を設立したのは、2008年にリーマン・ショックが起こった直後のことだ。金融界をはじめ経済面での打撃は各界に及んだが、同社が手掛けるDM関連の業務には大きな影響はなかったという。「まだ設立したばかりで、もともと大した仕事量でもありませんでした。倉庫の片隅を間借りして、8畳から10畳ぐらいのスペースで業務をこなしていました。当時はまだ東京を拠点として仕事を引き受けていて、以前のアパートの2階も倉庫代わりに使っていました」と廣田社長は話す。

現在の群馬伊勢崎市へ拠点を移した最大の理由は、倉庫賃料の差にあった。DM業は単価を上げるのはとても難しいという。量を稼げば売り上げは上がるが、収益をあげるためには経費を下げる必要がある。「東京だと倉庫を借りるには坪1万円ぐらいするが、このあたりだと坪2000円ほどで借りられる」というのが現在の立地に移転した最大の理由だと説明する。

東京でDM関連の取引先が徐々に増えてきていたが、その関係を維持したまま群馬に拠点を移すことができた。移転後は、群馬のホームセンターやスーパーマーケットから、直接DM関連の仕事を任されるようになるなど、仕事の幅を広げてきたという。

しかし、設立から3年後に発生した東日本大震災では、企業の広告自粛に伴ってDMの扱いも減少し、苦境を味わった。再びCMが流れるようになった4月の終わりから5月にかけて、取扱量は徐々に回復していった。一方、2020年の新型コロナウイルス禍ではさほどの影響はなかったという。

大手通信教育関連、大学生向けの就職情報などが事業を支えるも ICT化の波で、主力だったダイレクトメールの扱いが漸減

ダイレクトメールの発送や梱包などの作業が行われる工場

ダイレクトメールの発送や梱包などの作業が行われる工場

事業が拡大していく中、作業の効率化にあたり、プリンターで出力した宛名用紙を、ミシン目に沿って高速で高精度に切り離す断裁機を導入。これでさらに多くのDMをさばくことができるようになった。

事業の大きな柱のひとつになったのは、大手通信教育会社の教材配送を受注した案件だった。問題集や解答を毎月送る作業を取り扱うことで、事業が安定した。「地域ごとに問題集やその解答を送るのですが、その封入から発送までを取り扱います。幼児向けから大学受験対策のものまであるのですが、この仕事は、毎月どれぐらいの作業量があるかを、年間を通しておおよそ把握できるので、ありがたい仕事でした」と廣田社長は話す。

ただ、今や通信教育事業にもICT化の波が押し寄せてきている。小学校高学年以降はタブレット端末を使った通信教育が主流となり、その分、ダイレクトメールの扱いは徐々に減ってきていたという。

そのような状況の中、受注先の通信教育の本部から、「ダイレクトメールに封入するものについて、在庫の保管と在庫管理の仕組みの構築をして欲しい。ついては、この設備を導入して欲しい」と要求されました。ダイレクトメールの発送としては、結構な量を請け負っていたのですが、1000万円近くの設備を入れてほしいということでした。悩みましたが、それだけの投資をしてまでこの仕事を続けるのは難しいと判断し、2024年に取り扱いをやめたんです」と廣田社長。導入設備だけでなく、複数年で契約しなければならない在庫の保管スペース費用、在庫を安全に保管するための警備費用やそのリスクなども勘案したうえでの決断だった。

ICTの進展に加え、ダイレクトメールの配送コスト高なども相まって、梱包や保管などの事業の比率が上昇 現在は、ノベルティグッズ関連の作業が重要な事業に

機密性の高い取引先からの情報をチェックする廣田社長

機密性の高い取引先からの情報をチェックする廣田社長

こうして、会社設立当初には、売上全体の8割を占めていた、宛名シール貼りなども含めたDM関連の事業は、現在、6割程度まで減少しているという。群馬に移転した当初、DMの仕事をくれていた大手配送業者が、2024年にメール便の取り扱いを辞めました。「他に請け負っていたメール便は郵便がほとんどだったのですが、郵便は、こちらから郵便局に持って行かなければならないのです。大手配送業者の場合は、こちらが封入などを終えたものを取りに来てくれていたのですが、郵便局に持ち込むとなると、元ドライバーではありますが、運ぶためのトラックも手配しなくてはならず、ひと手間もふた手間も増えて、だんだん割に合わなくなってきたんです」

さらに配送コストの上昇もDMの減少に大きく影響した。「今は封入作業などのコストより、配送コストのほうが高いのです。郵便の封書も今は110円になりましたが、これを年間で100万通出すとすれば、単純計算で1億1000万円になります。だとすれば事業者側はDMよりも、『ネット経由で』という話になります。当社としては、これ以上安くすると成り立たないですし、出す側、利用する側としてはコスト高は避けたい。大量発送による割引があるとしても、やはり負担は大きいということです」。

こうしたダイレクトメールの減少を補って、現在、同社の事業として増えてきているのが、ノベルティグッズに関連した業務だ。「増えてきた、というよりも意識して増やしてきました。DMで送る情報と違い、ノベルティはネットで送ることができません。物理的に送らなければならないものなので、この仕事は無くならないからです」。と廣田社長は説明する。

機密情報保持のためセキュリティを強化 従業員や内職者に注意喚起し人的漏洩も防ぐ

DMや配送の仕事で扱う、住所や氏名、電話番号といった情報は、合わせると数十万件に上り、重点管理しなければならない個人情報となる。過去に、大量の情報漏洩で大きな問題になった企業もあり、個人情報やデータの扱いには細心の注意が要求される。「従業員だけでなく、内職で関わってもらっている人たち一人ひとりと、『決して外部に流出させない、他言もしない、何かあった時には責任を負う』といった内容の覚書を、それだけ重要なことなのだと理解してもらうために交わしています」と廣田社長は話す。

街頭でのサンプリングなどに使われる化粧品の梱包作業なども行っているが、こうしたサンプル品においても、その機密性や秘匿性の高さは同様だ。

社内のパソコンは、ファイアウォールやウイルス検知、不正侵入防御、Webフィルタリングといった機能を集約し、総合的な防御を行える、「UTM(統合脅威管理)」のシステムを、取引先の求める要件に合わせて導入している。廣田社長は、「将来的には、さらに強固なセキュリティシステムの導入も検討したいと考えています」と話す。

DMも大口案件が減り、小口案件が増える中、作業の効率化も課題となっている。すでに導入している設備は、前述の断裁機ぐらいだが、大手通信教育関連の仕事のような大口案件も少なくなったことから、現在はあまり稼働していないという。一方で活躍しているのが、宛名や封入文章などのデジタルデータを直接読み込んで、高速・高画質で必要な分だけその場で印刷できる、「オンデマンド印刷機」が活躍している。

北斗サービスは、時代の変化に対応しながら、事業を展開してきた。今は、小ロット多品種の仕事が多い。ノベルティなどをビニールで包み、クッションを入れて梱包し、宛名を貼って出荷する。現在のAI+機械の対応では、1万件あっても、その仕事だけの自動化では採算がまったく合わない。どうしても人による作業、変化に融通の利く、手作業が必要になる。社員たちを大切にしながら、人手不足に対応し、将来のAI+ロボットの技術革新に期待する。北斗サービスは、これからも時代の変化を乗りこなし、挑戦していく。

企業概要

会社名

株式会社北斗サービス

住所

群馬県伊勢崎市田中町232-2

HP

http://www.hokuto-gunma.co.jp/

電話

0270-50-8566

設立

2008年12月

従業員数

60人(パート・アルバイト・内職者含む)

事業内容

ダイレクトメールの宛名入出力、封入・封緘・ラベル貼り、サンプル品などのセット作業・袋詰め、目隠しシール・サンプルシール・訂正シール貼り、梱包・保管・発送

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