中小企業のDXのポイントは?よくある課題とあわせてチェック!
2021年03月08日 06:00
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あなたの会社はいくつ当てはまる? あるあるチェック
「あるあるから見つける経営課題」シリーズ、第13回のテーマは「デジタルトランスフォーメーションフォーメーション」です。
コロナ禍により、多くの産業がビジネス環境の激変に直面している中で、広く注目を集めている「デジタルトランスフォーメーション」という考え方。
聞いたことはあっても「ばくぜんとしていてよくわからない」「うちの会社の事業には関係ない」と思っていたり、あるいは「IT化」や「IoT」といった、近い分野の考え方と混同して誤解したりしている人も少なくないようです。
まずは、デジタルトランスフォーメーションを正しく理解できているか、あるあるチェックで確認してください。
(なお、デジタルトランスフォーメーションは長い語のため「DX」と略されることがよくあります。以下では、本記事でも「DX」と表記します。)
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DXとは、業務を効率化するためにIT化を進めることである
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DX専任担当者をおき、権限を委譲して進めさせている
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基幹システムや会計システムを導入しているので、すでにDXを実現している
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DXチームは、ITやシステムにくわしい総務や経理部門の人間が最適だ
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社長や経営陣がITにくわしくなければDXは進められない
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DXを成功させるには、自社内でノウハウを蓄積していくしかない
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DXは大企業が進めるもので、中小企業には当面は関係ない
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IT導入補助金などの補助金を受ければDXはスムーズに進められる
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社歴の長い中小企業とスタートアップ企業が連携するのは難しい
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世間に遅れないように、とにかく急いで全社のデジタル化を進めるべきだ
放置はダメ絶対!会社のピンチにつながります
「うちの会社は5つ以上当てはまるぞ」と思ったら、あなたの会社はDXへの取り組みに課題あり!(1つでも当てはまるものがあれば要注意です。)
否応なしに強いられる「新しい生活様式(ニューノーマル)」への対応などにおいて、DXを素早く実現させることで、業績を伸ばしている中小企業も少なくありません。今までのビジネスモデルに限界を感じているのであれば、できるところからDXにトライしてみてはいかがでしょうか。
ポイントは、外部リソースを上手に活用すること。うまくDXに成功すれば、短期的なコロナ環境への対応だけではなく、市場における中長期的な競争優位性を獲得することもできるはずです。
DXをIT化やIoTと誤解しているタイプ → DXはビジネス変革であり、IT化はその手段であると理解しよう
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DXとは、業務を効率化するためにIT化を進めることである
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基幹システムや会計システムを導入しているので、すでにDXを実現している
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社長や経営陣がITにくわしくなければDXは進められない
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DXは大企業が進めるもので、中小企業には当面は関係ない
DXに関してよくある誤解が、「IT化」や「IoT化」と同一視してしまうことです。
経済産業省では、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
つまり、DXの目的は、ビジネス環境の変化、顧客や社会のニーズの変化に対応するために業務や組織、さらには企業文化までを変革し競争優位性を構築することであり、そのための手段としてデータとデジタル技術を使うことなのです。
言い換えると、IT化やIoT化は、DXを実現するための手段であり、それら自体は目的ではありません。そのため、たとえば個別の業務でIT化やシステム導入をしていたとしても、それらは基本的にはDXそのものではないのです。
また、DXを進めるにあたって、経営トップが考えるべきことは、現在のビジネス環境の変化に対して、どのように自社のビジネスを変革し、顧客ニーズに応えていくのかといったことです。
それを実現するためにはどういった技術があるのかといった、大枠の動向は押さえておいたほうが良いでしょうが、細かい点まで把握して、くわしくなる必要はまったくありません。社長が「自分はITにうといからDXは無理」と思う必要はないということです。
さらに、DXには大がかりな設備投資や技術開発、専門知識などが必要となるため、ある程度の大企業じゃないと対応できないのでは、というのもよくある誤解です。
DXは業務や組織の変革であるため、むしろ組織が硬直しがちな大企業のほうが、取り入れるのに時間がかかる傾向があるといわれています。一方、トップが号令をかければすぐに全体に意志が伝わる中小企業のほうが取り入れやすいといえるのです。
DXを実施する社内体制に問題があるタイプ → 目標意識を明確にして経営トップが主導しよう。
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DX専任担当者をおき、権限を委譲して進めさせている
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DXチームは、ITやシステムにくわしい総務や経理部門の人間が最適だ
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世間に遅れないように、とにかく急いで全社のデジタル化を進めるべきだ
たとえば、会計システムの導入といった個別業務のIT化であれば、部門長などの担当者にすべてまかせて進めることも可能でしょう。
しかし、繰り返しになりますが、DXは事業や組織、企業文化までの変革を目指すものなので、経営トップが主導し、目標を明確にして、全社的に進めなければなりません。担当者に「わが社はどのようにDXをすればいいか、考えておいて」などと丸投げすることはできないのです。
もちろん、社長がリーダーシップを取るとはいえ、実務面は部下にまかせなければならないので「DXチーム」といった形のプロジェクトチームを作ることが一般的でしょう。
そのチーム作りの際、総務部や経理部などで比較的ITシステムに強いメンバーだけを選んでしまいがちですが、それも失敗のもと。「新しいビジネスモデルや企業文化を創造する」という観点から、それにふわさしいメンバーでチームを構成することを目指しましょう。
また、DXを検討する際に、はじめに「DX推進ありき」で検討することがないようにしましょう。世間でDXが騒がれているから、うちも急いで進めなければならない、と考えてしまいがちですが、それは本末転倒だといえます。
DXは、環境変化に対応するために自社ビジネスを変革する必要があるときに進めるものです。もし、現在のビジネスモデルの部分的な改良で変化への対応が可能であるなら、急いでDXを進める必要はないのです。その点は、経営トップの視点から見極めなければなりません。
社外リソースの活用に問題があるタイプ → 他社やIT事業者、行政などの社外リソースをうまく活用しよう
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DXを成功させるには、自社内でノウハウを蓄積していくしかない
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IT導入補助金などの補助金を受ければDXはスムーズに進められる
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社歴の長い中小企業とスタートアップ企業が連携するのは難しい
DXの考え方は含まれる範囲がかなり広いため、取り組もうとするときに、なにからどう手をつければ良いかよくわからないかもしれません。その際、ひとつのヒントになるのが、自社に出入りしているITベンダーやITシステム業者などからの情報です。
たとえば、ITベンダーに同業他社のDX事例などを聞いてみると、自社でも応用できるヒントが得られることがあります。
また、実際にDX推進をする際、IT導入補助金などの公的補助金を受けることは大いにメリットがあります。このIT導入補助金はITベンダーを通じて申請しなければなりません。対応しているITベンダーはたくさんありますが、その選定の際に、同業他社のDXをサポートした豊富な経験があり、そのノウハウを積極的に教えてくれるようなベンダーを選ぶと、後々までメリットが得られるでしょう。
つまり、ITベンダーを単なる「納入業者」として捉えるのではなく、DXを一緒に進める「ビジネスパートナー」と考え、それにきちんと応えてくれるITベンダーを選ぶべきだということです。
最近は、自社のDXの成功事例をノウハウ化して、同業他社へのコンサルティング事業をおこなっている事業会社もあります。そういった同業他社を、ITベンダーや銀行、商工会議所などから紹介してもらうというのも良い手です。
さらには、新しい技術やサービスを用いて、新しいビジネスを展開しているスタートアップ企業と連携するという方法もあります。スタートアップ企業には足りない熟練技術や、顧客基盤、取引基盤などがあり、新しいプロダクトやサービスを一緒に作ろうという前向きな気持ちがあれば、中小企業であってもオープンイノベーション的な連携や共同プロジェクトを進めることは可能です。
たとえば、福岡県福岡市などのように、行政が主導してそのようなマッチングを積極的に進めている自治体もあり、域外からの参加も可能な場合もあるので情報収集をしてアプローチしてみましょう。
DXの取り組みは新しいものであるからこそ、自社内で完結しようとせずに、このようなさまざまな外部リソースを活用して進めることが成功の秘訣です。
まとめ
コロナ禍をきっかけとした「新しい日常(ニューノーマル)」の普及は、従来型ビジネスにとって大きなピンチであると同時に、従来とは異なる発想のDXで事業を変革すれば、大きなチャンスにもなりえます。
リーダーの意志さえ固まれば、身軽に動いて変化しやすいのが、大企業にはない中小企業の強み。DXによる積極的な事業変革を図って、ピンチをチャンスへと転換していきましょう。
今回の記事をもとに、DXにおける経営課題を見直せるチェックシートをご用意しました。ぜひ無料でダウンロードしてお手もとに置き、自社の課題の見直しに使ってみてください。
取材協力
森戸 裕一(もりと ゆういち)
一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会代表理事。ナレッジネットワーク株式会社代表取締役。2003年よりNPO法人学生ネットワークWANの活動を開始。全国の企業経営指導、地方創生支援などの経験から大学では地方創生などのゼミを担当する。総務省地域情報化アドバイザーとして、全国の自治体のRPA導入支援、地場産業のDX推進を支援している。
記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
全国の経営者の方々に向けて、経営のお役立ち情報を発信するメディアサイト。ICT導入事例やコラム、お役立ち資料など「明日から実践できる経営に役立つヒント」をお届けします。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。
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デジタルトランスフォーメーションの経営課題を見つけるチェックリストを無料配布中。当てはまる「あるある」にチェックを入れるだけで、会社が抱えている問題のタイプを診断できます。手元に置いて、課題解決の見直しにも。
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