製造業(機械)

アライアンスとは簡単にいうと何のこと?意味やM&A・業務請負との違いをわかりやすく解説

From: 中小企業応援サイト

2022年12月01日 06:00

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ビジネスシーンでは「アライアンス」という言葉がよく用いられます。アライアンスとは具体的に何を意味しているのか、M&Aや業務請負とどう違うのか、あらためて整理しておきたいと感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、アライアンスの意味や種類、他の用語との違いをはじめ、アライアンスを含むビジネス用語の例を中小企業の担当者や経営者の方々向けにわかりやすく紹介しています。アライアンスのメリット・デメリットや成功させるポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

アライアンスとは

アライアンスとは、日本語に訳すと「同盟」「連合」という意味です。ビジネスシーンでは、複数の企業が経済的なメリットを得るために連携する経営スタイルを指します。業種や得意分野などが異なる企業が協力してそれぞれの強みを持ち寄り、事業や利益の拡大、新規事業の立ち上げなどを目指すための方策です。

アライアンスという言葉の使い方としては、「アライアンスを組む」「アライアンスを結ぶ」などの言い回しが一般的です。ほかにも、「アライアンス企業を募る」「アライアンスを成功させる」など、業務提携と同じ意味合いで使われています。

アライアンス締結の目的

企業と企業がアライアンスを組む目的として、次のものが挙げられます。

  • 新しい製品やサービスの開発
  • マーケットシェアの拡大
  • 販路の拡大
  • 新たな事業分野への進出
  • 技術力の強化

このように、自社だけでは困難な目的の達成や、業界内での競争力獲得を目指すための経営戦略として、アライアンスが活用されています。

中小企業に必要な戦略的アライアンス

戦略的アライアンスとは、自社だけでは達成できない大きな目的のため、目標を共有する企業の間でアライアンスを結ぶことです。グローバル化により競争が激しくなる中で、大企業と比べて人材や技術などの経営資源に制約がある中小企業は、厳しい戦いを強いられています。そのような状況下で、資金をかけずに、他社の経営資源を活用しながら新商品開発や販売力強化を実現するために有効な手段が戦略的アライアンスです。

アライアンスの主な種類

アライアンスを表すイメージ

アライアンスには業務提携のほか、資本提携や技術提携などいくつかの種類があります。アライアンスの主な種類を確認しておきましょう。

業務提携

業務提携とは、複数の企業が協力体制を築くこと全般を表す言葉です。技術やノウハウ、人材、販売戦略などを持ち寄って共に事業を行うことにより、新たなビジネスやイノベーションの創出を目指します。業務提携によって自社だけでは実現が難しかった目的を達成できたり、事業の発展につながったりすることが主なメリットです。

資本提携

資本提携とは、複数の会社が資金面で協力することを表す言葉です。複数の企業がお互いの株式を保有し合ったり、一方が提携先の株式を取得したりすることで、強固な関係を築ける点が大きなメリットです。

なお、資本提携で保有し合う株式が一定規模に達すると、株式取得による経営権などが発生することになります。こうした事態を回避するために、株式持分の比率を3分の1未満にとどめるのが一般的です。

技術提携

技術提携とは、複数の企業が技術を提供し合って協力体制を築くことを指します。優れた独自技術や、それらの技術を有する人材を提供し合うことにより、1社だけでは不可能だった高度な技術開発を実現できる点がメリットです。

なお、複数社が共同で取り組む新技術開発や、特許・ノウハウなどに関するライセンス契約も、技術提携に含まれます。

産学連携

産学連携とは、大学などの教育機関や研究機関と民間企業が協力し合う体制のことを指します。企業としては専門的な知見や技術を活用でき、教育・研究機関としては研究内容の実用化を目指すきっかけとなり得る点がメリットです。

その他のアライアンス

ここまでに紹介したもの以外にも、アライアンスに含まれる取り組みには次のものがあります。

用語 意味・説明
オープンイノベーション 外部の組織や機関が有する技術などを取り入れ、イノベーションの創出を促す取り組み。
生産提携 供給が需要に追い付かない状況を想定して、パートナー企業に生産・製造の一部を委託すること。
販売提携 パートナー企業同士が培ってきた営業ノウハウや販売ルートを活用し合い、市場シェア拡大や売上伸長を目指すこと。

このように、アライアンスと一口にいっても提携・連携のあり方はさまざまです。

アライアンスと他の用語との違い

アライアンスと混同しやすい言葉として、「M&A」や「業務請負」が挙げられます。いずれもアライアンスとは意味や使い方が異なる言葉のため、明確に区別しておくことが大切です。

M&Aとの違い

M&Aを表すイメージ

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、「合併と買収」のことです。ある企業が別の企業を買収することや、企業を合併させる経営戦略のことを指します。

一方、アライアンスはそれぞれの企業が独立性を保ったまま協力体制を築くことを表しています。どちらかの企業が他方の企業を買収したり、両社が合併したりするわけではないことから、MAとは大きく異なる概念です。

また、業務提携や資本提携と似た、資本業務提携という用語にも注意が必要です。資本業務提携とは、業務提携と資本提携を同時に行うことを指します。業務提携だけを行う場合より、連携を深められる経営手法です。買収によって上場企業が上場廃止になることを避ける目的で、買収に代わる経営戦略として資本業務提携が採用されることもあります。

業務請負との違い

業務委託を表すイメージ

業務請負とは、発注者が企業や個人に仕事を依頼し、提供された役務に対して報酬を支払う契約のことを指します。元請け・下請けという立場の差が生じる点が大きな特徴です。

これに対して、アライアンスでは提携・連携する企業同士は対等な関係にあります。仕事を依頼する側・受注する側といった立場の違いが生じない点が、業務請負との違いです。

アライアンスを含むビジネス用語の例

アライアンスという言葉は「アライアンス契約」「アライアンス事業」のように、ビジネス用語の一部に含まれているケースが見られます。アライアンスを含むビジネス用語の定義と、ビジネスシーンにおける使い方を見ていきましょう。

アライアンス契約

アライアンス契約とは、複数の組織がアライアンスを組む際に締結する契約のことを指します。法的効力のある契約書を交わし、異なる組織間がどのような関係や範囲において提携・連携するのかを明確にすることが主な目的です。

前述のとおり、アライアンスを組む企業同士は対等な関係であり続ける必要があります。特定の企業に不利益が生じたり、どちらかの企業しかメリットを得られなかったりする事態を回避しなくてはなりません。よって、各社の費用負担や役割分担、情報共有の手段、機密保持、紛争解決のプロセスなどについて、あらかじめ明示しておくことが大切です。

【ビジネスシーンにおける使い方の例】
「当社は新サービス開発に向けた取り組みの一環として、A社とアライアンス契約を締結しました」

アライアンス事業

アライアンス事業とは、アライアンスを締結した組織が共同で取り組む事業のことです。既存事業の拡大や新規事業の立ち上げを実現するための手段として、アライアンス事業を推進しているケースが幅広い業界で見られます。

たとえば、スターバックスとペプシコはアライアンスを締結し、「フラペチーノ」をペプシコの生産ラインで製造しました。これにより、フラペチーノの知名度が飛躍的に高まったことに加え、ペプシコの売上増にもつながっています。Win-Winの関係を築くことに成功した、アライアンス事業の好例といえるでしょう。

【ビジネスシーンにおける使い方の例】
「B社とのアライアンス事業の成果として、新商品「〇〇」を発表します」

アライアンス戦略

アライアンス戦略とは、企業間の連携を戦略的に構築・実行することを指します。各企業が保有する資産やノウハウ、技術などを共有し合うことにより、相互にメリットを得ることを目指している点が大きな特徴です。アライアンス戦略を成功させるには、自社に何が不足しているのか、自社が何を提供できるのか、アライアンスを通じて相互にどのようなメリットを得られるのか、といった点を明確にしておく必要があります。

【ビジネスシーンにおける使い方の例】
「販路拡大とブランド力の強化が、アライアンス戦略の主眼です」

アライアンスパートナー

アライアンスパートナーとは、提携・連携している相手企業のことです。シンプルに「パートナー企業」と呼ばれることもあります。アライアンスパートナー同士が、共同で目的や目標の達成を目指す点が大きな特徴です。

【ビジネスシーンにおける使い方の例】
「〇〇〇は、アライアンスパートナーC社との共同事業です」

アライアンスマネージャー

アライアンスマネージャーとは、アライアンスに関する計画立案や実行を統括するポジションのことです。アライアンス戦略の策定やパートナー企業の選定、契約締結などをけん引する役割を担います。

【ビジネスシーンにおける使い方の例】
「アライアンスマネージャーとして、共同事業を成功へと導いてほしい」

アライアンスのメリット

幅広い業界や事業分野でアライアンスが締結されているのは、企業にとって少なからずメリットをもたらす戦略だからです。アライアンスの主なメリットについて解説します。

自社の弱点や足りない部分を補える

アライアンスを締結することで、自社が保有していない技術・ノウハウ・人的資源などを互いに補完し合える点が大きなメリットです。結果として自社の弱点や足りない部分を補い、さらなる競争力の獲得や技術力の向上を図る効果が期待できます。

とくに新規事業を始めるにあたって、必要なノウハウや技術が不足するケースは十分に想定されます。すでにノウハウや技術を保有している企業に協力を仰ぐことにより、必要なリソースを迅速に確保できるケースは少なくありません。

M&Aよりも時間やコストを抑えられる

M&Aと比べて時間的・費用的な負担が少ないというメリットもあります。企業の買収や合併に際して、企業価値や事業リスクなどに関する膨大な量の調査が必要です。また、相手企業の時価総額が高ければ高いほど、多額の資金を用意しなくてはなりません。

これに対して、アライアンスは業務や資本、技術に関する提携であることから、M&Aと比べて短期間かつ低コストで実現可能です。市場の動向や自社の状況によっては、適宜アライアンスを解消するという選択肢も残されています。技術やノウハウ、人的資源を柔軟に調達できることは、アライアンスによって得られるメリットの1つです。

アライアンスのデメリット

アライアンスによって得られるメリットが決して少なくない一方で、デメリットとなり得る面があることも見落とすべきではありません。アライアンスの主なデメリットは次のとおりです。

必ずしも連携の効果が表れるとは限らない

前述したアライアンスのメリットを十分に得られるかどうかは、提携先の選定やアライアンス事業の進め方次第の面があります。アライアンスを提携しさえすえれば、期待する効果が確実にもたらされるとは限らない点に注意が必要です。

アライアンスの効果を十分に引き出すには、自社が必要とするリソースと自社が提供可能なリソースを明確に把握した上で、戦略的に提携関係を構築しなくてはなりません。当面不足しているリソースを補うだけでなく、中長期的な見通しを立てて提携先を選定し、計画的に協力体制を築いていくことが重要です。

技術や重要情報が漏えいするリスクが高まる

パートナー企業を通じて、自社の技術や重要情報が漏えいするリスクが高まる点にも注意する必要があります。アライアンスの提携は、自社が必要とするリソースの提供を受けるだけでなく、自社が保有する技術やノウハウを提供することも意味するからです。

こうしたリスクを可能な限り抑えるには、アライアンス企業の情報セキュリティ体制について入念に確認するほか、秘密保持契約を締結するなど、情報漏えいを防ぐための対策が不可欠です。

アライアンスを成功させるポイント

アライアンスの成功に向けて、意識しておきたい5つのポイントを紹介します。

ポイント1:自社の目的に適したアライアンス先を見つける

1のポイントは、自社の目的に合ったアライアンス先を慎重に選定することです。同じ目標を共有できることに加え、自社の短所や足りない部分を補える提携先を見つける必要があります。自社の強みによって、相手先の弱点を補完できるかどうかも十分に確認しておきましょう。

また、相手先に目標達成に寄与できるスキルを保有する人材がいるか、連携する事業に対して人材が充足しているかどうかなど、人的資源に関してもチェックしておくことが大切です。自社に合った連携先を見つけるのが容易でないようなら、ビジネスマッチングサービスの利用も視野に入れて検討していくことをおすすめします。

ポイント2:業務の配分を明確にしておく

アライアンス先との業務の配分を明確にしておくことも大切です。どの技術やノウハウを持ち寄り、どのようにビジネスに活用していくのかなど、業務の範囲について十分に協議しておく必要があります。また、提携後のトラブルを防ぐため、コストや利益をどう配分するのかも明確にしておく必要があるでしょう。

業務の配分を検討する際には、自社が得られるメリットだけでなく、相手先に提供できるリソースとのバランスを考慮しなくてはなりません。単に業務の負担を複数社に分散させるのではなく、互いの強みを活かして相乗効果を得られる業務の配分を目指すのがポイントです。

ポイント3:提携前に協力体制を確立しておく

提携前に協力体制を確立しておくことは、アライアンスをスムーズに進める上で重要なポイントです。プロジェクトに参加する人員を決定した上で、事業のゴールや目標達成までのタイムスケジュールを共有しておきましょう。

あらかじめ協力体制を明確にしておくことにより、アライアンスが現実的な戦略かどうかを確認できるほか、自社および提携先が得られるメリットを相互に把握した上でアライアンスを締結できます。

ポイント4:発生しうるトラブルを想定し、対策を講じておく

アライアンス締結前に、発生しうるトラブルを想定して対策を練っておくことも大切です。アライアンス事業で発生するトラブルの原因として、費用負担や成果物に対する取り決めが不十分なまま提携してしまうことが挙げられます。認識の不一致による問題の発生を防ぐためにも、共同開発の進め方や販売数、輸入体制、ライセンスなどについて、具体的な数字を盛り込んだ契約書を交わしましょう。

また、情報漏えいなどのリスクを低減するための秘密保持契約書も必須です。弁護士のアドバイスやチェックを受けながら、慎重に契約を進めることが求められます。

ポイント5:自社の強みを見直し、必要に応じて強化を図る

アライアンスのベースとなるのは、提携先と共にお互いを高め合うために必要な、独自技術やノウハウといった自社の強みです。相手企業にとって心強い存在と認められ、信頼関係を築いていくためにも、まずは自社の強みを見直し整理しておくことが大切です。

自社の強みを発揮する上で核となる事業に関しては、必要に応じて強化を図ることも検討しましょう。設備投資や人員増強を図ることで、より強固な信頼関係を築き、アライアンスの効果を得られる可能性がいっそう高まるからです。

事業成長に向けてアライアンスを有効活用しよう

自社の弱点や不足しているリソースを補い、パートナー企業との相乗効果を得ることで事業を発展させていく上で、アライアンスは重要なきっかけとなる可能性があります。一方で、アライアンスを締結すれば必ず効果が得られるわけではないことに加え、技術や重要情報の漏えいリスクが高まるといったデメリットを伴うのも事実です。こうしたアライアンスの特性を理解した上で、メリットを最大限に引き出す協力体制を築いていく必要があるでしょう。

リコーでは、アライアンスをはじめ重要な経営用語をまとめた資料を提供しています。コンプライアンス、ガバナンス、ステークホルダーなど、10の基本的なビジネス用語を解説したお役立ち資料「聞くに聞けない経営用語集」を、ぜひご活用ください。

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記事執筆

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