BIMとは?CIM・CADとの違いや導入のメリット・デメリットを解説
2025年03月11日 06:00
この記事に書いてあること
【2026年1年22日 更新】
建設業界で注目されているデジタル技術の1つに「BIM」が挙げられます。BIMという言葉は聞いたことがあるものの、具体的に何ができるのか、従来の3D CADとどう違うのか詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、BIMの活用によってできることやCAD/3D CAD・CIMとの違い、BIMを活用するメリットについてわかりやすく解説しています。また、BIMの導入に伴う課題や必要な準備、代表的なBIMソフトのほか、導入を後押しする制度にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
BIMとは
はじめに、BIMに関する基本事項を整理しておきましょう。BIMの活用によってできることや、BIMに期待されていることを理解しておくことが大切です。
建物情報モデル構築システム
BIM(Building Information Modeling:建物情報モデル構築システム)とは、3次元の形状情報に加え、部屋などの名称や面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げといった建築物の属性情報をあわせもつ建築情報モデルを構築するシステムのことです。設計ツールとして活用できるだけではなく、建物の企画から施工、メンテナンスまでを一元管理できます。
従来、壁や設備などの属性情報はシステム上で図面と連携されておらず、別途資料を確認する必要がありました。BIMにはこうした属性情報が記録されているため、別途資料を参照することなくスムーズに確認や情報共有が可能になる点が大きな特徴です。
BIMの活用によってできること
BIMが担う役割は「プロセス管理」「データベース」「プラットフォーム」の3要素に集約されます。
- ・プロセス管理
BIMは3次元形状で建物を「見える化」するため、建築作業上のコミュニケーションをより容易にし、理解度を高める効果が期待できます。従来のように平面図・立体図・断面図・構造図・設備図などを行き来して確認する手間が軽減され、プロセス管理が合理化されるでしょう。
- ・データベース
BIMは、建築物の生産プロセスや維持管理に関する情報を一元管理するデータベースとしての役割も担います。建物の完成まではもちろんのこと、完成後もライフサイクルを通じたデータの利活用が可能になるでしょう。
- ・プラットフォーム
IoTやAIとの連携を想定したプラットフォームとしても、BIMは活用されていくでしょう。ビッグデータの活用などにより、建築物の価値を社会資産へと押し上げる役割を果たすことも想定されます。
BIMに期待されていること
BIMの活用によって、「質の高い建築物を、無駄なく速く建てる」「建物に関わるデータを効果的に活用する」といったことが可能になると期待されています。
3Dモデルによる形状と属性情報が可視化されることで、建築の専門家ではない人にもイメージが共有しやすくなります。また、設計や施工に関する情報が一元管理されるため、円滑な情報伝達と無駄のない建物のライフサイクルを実現しやすくなるでしょう。
さらに、建築物に設置されるセンサーなどを活用したサービスの拡大や、データを活用した新たな産業の創出も期待されています。このようにBIMは「建物を完成させる」という目的を超えて、建築業界の事業モデルを大きく変革する仕組みとなり得るのです。
CAD/3D CAD・CIMとの違い

建築物の設計や3Dと聞くと、CADや3D CADをイメージする人も多いでしょう。また、BIMとCIMの区別が曖昧になっていた人もいるかもしれません。BIMとCAD、CIMの違いを確認しておきましょう。
BIMとCAD/3D CADの違い
CADや3D CADは、独立した図面をそれぞれ作成するためのツールです。よって、3次元モデルを生成するには2次元の図面を組み合わせる必要があります。これに対して、BIMは部材ごとにはじめから3次元モデルを作成する点が大きな違いです。
従来のツールでは、設計変更が生じた際には関係する各図面を漏れなく修正する必要がありました。当初から3次元モデルを作成できるBIMを活用することで、こうした図面修正を省力化できる点が大きなメリットです。さらに、建物の維持管理や運用開始後の活用を見据え、データベースを構築できるという利点もあります。建物の完成後も見据えたデータの利活用が可能になることは、従来のCADや3D CADとの大きな相違点です。
BIMとCIMの違い
CIM(Construction Information Modeling)とは、「建設情報モデリング」のことです。主にダムや道路といったインフラ設備の建設に活用されています。BIMで扱われる情報に加え、周辺の地形や地質といった環境面の情報も扱える点が特徴です。一方、BIMは建物を対象とするモデル化を担っています。壁の厚みや性能といった建物に関する詳細な属性情報を扱える点が特徴です。
国土交通省は2023年より、小規模工事や災害復旧工事を除くすべての公共工事にBIMもしくはCIMを原則適用すると決定しました。詳細設計および工事に関しては、BIMによる3次元モデルの活用がすでに義務項目となっています。また、測量や概略設計、予備設計についても推奨項目とされているため、今後はいっそうBIM/CIMの活用が広がっていく可能性が高いでしょう。
※参考:令和5年度BIM/CIM原則適用について|国土交通省
BIMを活用する4つのメリット

BIMを活用することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとして次の4点が挙げられます。
メリット1:設計精度が向上する
BIMの活用によって、設計精度が向上する効果が期待できます。配筋図のように2次元の図面では捉えにくい複雑な構造を立体的に確認できるようになり、設計段階での見落としを回避できるからです。工事が始まってから構造上の問題が発覚するといった事態も避けられる可能性が高まるため、より高精度な設計が可能になるでしょう。
メリット2:コスト削減につながる
BIMソフトは建築工事に必要な資材とコストを自動で算出する機能を備えています。資材の発注が最適化され、予算管理が合理化されることによるコスト削減効果を得られるでしょう。さらに、3次元モデル上で設計段階でのミスや見落としを事前に発見できるようになれば、竣工後の修正や追加工事が発生するリスクを未然に防止できます。工事の手戻りや追加発注によって、コストが膨らむのを防げることも大きなメリットです。
メリット3:環境負荷を低減できる
BIMの活用は環境負荷の低減にも寄与します。BIMソフト上でエネルギー消費量や温室効果ガス排出量のシミュレーションができるからです。工事に必要な資材の使用量をより正確に算出することで、資材の廃棄を最小限に抑えられます。さらに、完成後の建物のライフサイクルを見通した温室効果ガス排出量の算出も可能になるため、より長期的な視点に立って環境負荷の低減策を講じられることもメリットの1つです。
メリット4:リスク管理に役立つ
BIMは建物のリスク管理にも役立ちます。建物の構造的な強度や耐震性などのシミュレーションを3次元モデルで行えるため、建物の安全性をいっそう高められるでしょう。
また、BIMの導入はプロジェクトの遅延リスク低減にも寄与します。建築工程における情報の共有不足や、施工計画の変更に伴うプロジェクトの遅延はリスク管理上の重要な懸念点です。プロジェクトマネジメントの精度を高めるとともに、リスク管理をより詳細に実施できるようになることは、BIMの活用によって得られるメリットといえます。
BIMの導入に伴う課題

BIMの活用によって多くのメリットを得られる反面、導入に伴う課題もいくつかあります。国土交通省が2022年に実施した調査によれば、BIM未導入の企業は全体の50.4%と半数にのぼっているのが実情です(※)。導入がスムーズに進まない理由として、次の3点が挙げられます。
※出典:建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査|国土交通省
導入コストと費用対効果
1つめの課題は導入コストに対する費用対効果です。BIMは建築物のライフサイクル全体を対象としているため、設計/施工/維持に携わるすべての事業者が足並みをそろえて導入しないと費用対効果が薄れてしまいます。結果として、企業単独で導入した場合のコストに対する効果が不透明になりがちです。
コスト面に関しては、後述する補助金制度を活用することで負担を抑えられる可能性があります。BIM導入を検討する際には、こうした制度の活用も視野に入れておくとよいでしょう。
共通プラットフォームの整備
共通プラットフォームの整備が遅れていることも大きな要因の1つです。建設に関わる複数の事業者がBIMを活用するには、組織をまたいで共用できるプラットフォームを用意する必要があります。従来、こうした共通プラットフォームの必要性があまり認識されていなかったため、即座に導入する動きには至っていないのが実情です。
ただし、国がBIMの導入・活用を推奨しているため、今後は共通プラットフォームの導入も進んでいくものと思われます。共通プラットフォームの問題に関しては、近い将来解決へと向かう可能性が高いでしょう。
技術者の不足
BIMを取り扱える技術者が限られており、人材確保が容易ではないことも大きな課題です。技術者をどう確保するかは、今後も課題となっていく可能性があります。
国土交通省はBIMを扱う人材を増やすための学習体系づくりを進めています。こうした取り組みに加え、社内での人材育成も重要です。リスキリングを推進するなど、既存の人材が新しいスキルを身につけられる環境づくりも必要となります。
BIMの導入に必要な準備

BIMの導入に向けて、どのような準備が必要になるのでしょうか。導入に必要な準備について見ていきましょう。
BIMソフトとPC環境
第一に、BIMソフトが必要になるのはいうまでもありません。ただし、BIMソフトと一口にいっても機能や特徴はさまざまです。自社の用途や求める機能を備えたBIMソフトを選定する必要があります。PC環境に関しては、導入するBIMソフトが問題なく動作するスペックのPCが必要です。目安として、3Dモデリングがスムーズに動作する性能が必要になると捉えておくとよいでしょう。
さらに、既存ツールとの連携性も確認しておくことをおすすめします。さまざまなデータを一元管理できることがBIMの長所なので、自社が保有するデータの取り込みに対応しているかどうかを十分に確認しておくことが大切です。
組織・人材
BIMを扱える人材の確保や育成も並行して進めていく必要があります。BIMを導入しても、特定の従業員しか活用できなければ、組織全体でそのメリットを活かせないおそれがあるからです。とくにトップダウンで導入を決定した場合、現場の担当者は新たなツールを活用する意義を十分に実感できないケースが少なくありません。BIM導入の意義や目的を周知し、実際に活用されるツールにしていくことが重要です。
コスト試算
BIMソフト導入に際して、初期費用とランニングコストを試算しましょう。導入の時点でかかる初期費用だけでなく、導入後のランニングコストも見据えておくことが重要です。
また、費用対効果を検討する際にはBIM導入による利益創出効果を加味して検証する必要があります。前述の導入メリットを踏まえて、BIMがもたらす将来的な利益をシミュレーションしておきましょう。そのうえで、創出される利益が導入費用やランニングコストを上回る時期のめどをつけておくことが大切です。
代表的なBIMソフト
代表的なBIMソフト4選を紹介します。BIMソフトごとに特徴や強みとする機能が異なるため、自社が求める機能性を整理した上でソフトを選定しましょう。
Revit
RevitはアメリカのAutodesk社が提供しているBIM/CIMソフトです。建築物に加え、土木分野の構造物や設備の配管などもモデリングできます。AutoCADと開発元が同じであることから、スムーズに連携を図りやすい点が大きな特徴です。すでにAutoCADを活用している企業で、既存ツールとの連携性を重視したい場合に適しています。
Archicad
ArchicadはハンガリーのGRAPHISOFT社が提供しているBIMソフトです。階段ツールや手すりツールといった各種機能が標準搭載されており、3次元オブジェクトも充実しています。直感的な操作性の実現に注力しているため、BIMに初めてふれる方にもおすすめのソフトです。また、Windows/Macのいずれにも対応しているので、業務でMacを使用している企業にも適しています。
GLOOBE Architect
GLOOBE Architectは日本の福井コンピュータアーキテクト社が開発したBIMソフトです。国産ソフトのため、日本の建築基準法や規格に対応している点を強みとしています。また、AutoCADやJw_cadなどのCADとの互換性が高いことも大きなメリットです。特別な設定を行うことなく、日本の法令や規格に則ってBIMを運用したい企業に適しています。
BIMの導入を後押しする制度
BIMの導入を後押しする国の制度として「建築GX・DX推進事業」が挙げられます。補助事業の概要と対象となる事業者は次のとおりです。
建築GX・DX推進事業とは
建築GX・DX推進事業とは、CO2削減の推進(GX)とBIMの普及(DX)を目的に、国土交通省が開始した補助事業のことです。対象となる費用として、下表のものが挙げられます。
| 項目 | 含まれる経費 |
|---|---|
| BIM導入費 | ・BIMソフトウェア利用費 ・CDE環境(共通クラウド)構築費・アクセス費 |
| BIMコーディネーター等費 | ・BIMコーディネーター人件費・委託費 ・BIMマネジャー人件費・委託費 ・BIM講習に要する委託費・人件費・諸経費 |
| BIMモデラー費用 | ・導入初期のBIMモデラー人件費 ・BIMモデル作成に係るBIMモデラー人件費 ・維持管理BIMモデル作成に係るBIMモデラー人件費 ・BIMマネジャーをサポートするBIMモデラー委託費 |
| LCA算定に要する費用 | ・LCA算定に要する人件費 ・LCA算定に必要なCO2原単位の策定に要する人件費 ・CO2原単位策定に必要なデータベース利用費、第三者検証費用 等 |
建築GX・DX推進事業の対象となる事業者
建築GX・DX推進事業には「BIM活用型」と「LCA実施型」に関する2つの補助要件があります。このうちBIM活用型の補助要件は次のとおりです。
【建築GX・DX推進事業の補助要件】
- ・建築物が耐火/準耐火建築物等、省エネ基準適合であること
- ・元請事業者が下請事業者等の建築BIM導入を支援すること
- ・建築物の維持管理の効率化に資するBIMデータ整備を行うこと
- ・大規模な新築プロジェクトでは、国土交通省が定めるBIMモデルを活用すること
- ・「BIM活用事業者登録制度」に登録すること
- ・補助事業完了後3年間、BIM活用状況を報告すること
- ・国土交通省が定める内容を盛り込んだ「BIM活用推進計画」を策定すること
参考:建築GX・DX推進事業について(令和7年2月)|国土交通省
なお、令和7年度は交付申請がすでに終了しています。令和8年度も引き続き建築GX・DX推進事業が継続される予定のため、最新情報を随時チェックしていくことをおすすめします。
まとめ:BIMは建築業界の未来を支えるツール
BIMは設計ツールであると同時に、建物の企画・施工から完成後のメンテナンスまでを一元管理できるツールです。建築工程を可視化・効率化するだけでなく、建築物の価値を社会資産へと押し上げるツールとして期待されています。一方で、BIMの導入にあたって解決するべき課題が少なからず存在するのも事実です。今回解説したメリットと課題の両面を踏まえつつ、BIM導入に向けて検討を進めてみてはいかがでしょうか。
※掲載しているサービス・ソフトウェアの詳細は、各メーカーの公式情報をご確認ください。
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