SWOT分析とは?意味ややり方、活用メリットと注意点も解説
2025年09月10日 06:00
この記事に書いてあること
SWOT分析とはOpportunity(機会)、Threat(脅威)、Strength(強み)とWeakness(弱み)の4つの要素を分析し、戦略策定に役立てるフレームワークです。この記事では、SWOT分析のメリットやデメリット、設定の手順を解説します。実践ポイントと注意点も解説するので、SWOT分析を活用したいと考える人は、参考にしてください。
SWOT分析とは
SWOT分析とは、自社のプラス面とマイナス面を4つの要素によって分析するフレームワークです。4つの要素は、外部環境のOpportunity(機会)、Threat(脅威)、内部環境のStrength(強み)とWeakness(弱み)に分けられます。
SWOT分析の4要素
SWOT分析は、内部環境・外部環境とプラスとマイナスの要因を掛け合わせたフレームワークです。各要素を整理し、鳥瞰的に把握することで、優先順位に沿ってリソースを配分できます。各要素が指すものは、以下のとおりです。
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Opportunity(機会)
プラス要因・外部環境の特色を持つ、成長のきっかけとなりうる市場や環境の変化 - ・
Threat(脅威)
マイナス要因・外部環境の特色を持つ、自社に悪影響となりうる市場や環境の変化 - ・
Strength(強み)
プラス要因・内部環境の特色を持つ、他社と比較した際の優位性や自社の強み - ・
Weakness(弱み)
マイナス要因・内部環境の特色を持つ、競争で不利になる要因や改善すべき項目
SWOT分析の目的
SWOT分析は、経営やマーケティングに有効です。自社の現状把握やその後の計画立案、今後に向けた事業やマーケティング戦略に利用可能です。自社の現状や競合企業との差、市場の将来性などを正確に分析するために、SWOT分析をフレームワーク化しましょう。これにより、戦略立案に必要な要素を包括的に把握できます。
SWOT分析のやり方・流れ
SWOT分析は、4つのステップに沿って進めましょう。SWOT分析の手順を解説します。
1.目的の設定
目的が中途半端では、思ったような成果が得られず、議論が一定に定まりません。目的を明確にし、共有した上で、SWOT分析と議論を行いましょう。新規事業を立ち上げる、既存事業を改善するといった具体的な目的を定めることで、より効果的な分析ができます。SWOT分析の範囲や期間、分析結果の活用方法を細かく設定することが重要です。
2.外部環境の分析
目的が決まったら、外部環境を分析します。外部環境とは、自社では管理や調整が難しい要因のことで、SWOT分析では、Opportunity(機会)とThreat(脅威)が該当します。経済や競合他社といった、外部の要素から自社のビジネスチャンスとリスクを洗い出しましょう。
Opportunity(機会)
Opportunity(機会)は、自社や事業にとってプラスの影響を持つ要素です。例として、以下が挙げられます。
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市場の成長
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技術革新
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顧客ニーズの変化
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法改正
以下で、Opportunity(機会)を見つけるための質問例を提示します。
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市場は成長しているか
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新規顧客はいるか
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新しいビジネスが生まれるチャンスがないか
Threat(脅威)
Threat(脅威)とは、自社や事業によってマイナスとなるリスクや要素です。例として、以下が挙げられます。
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競合他社の台頭
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市場の縮小
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規制の強化
対策をとることで、リスクは軽減できますが、排除は困難でしょう。以下で、Threat(脅威)を見つけるための質問例を提示します。
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市場は縮小傾向か
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法改正や規制強化により、不利な状況にあるか
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顧客ニーズの変化により、自社製品から足が遠のいていないか
3.内部環境の分析
外部環境を分析したら、内部環境の分析を進めます。内部環境とは、自社でコントロールできるもので、例として、以下が挙げられます。
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経営資源
- ・
ブランド力
- ・
顧客データ
SWOT分析では、Strength(強み)とWeakness(弱み)に分けられます。
Strength(強み)
Strength(強み)には、独自の技術やブランド力、ノウハウなどが含まれます。自社戦略の土台となりうる要素を洗い出しましょう。今後の成長、発展のためにすべきことを、さまざまな視点で考えることが重要です。以下で、Strength(強み)を見つけるための質問例を提示します。
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競合他社よりも優れていると感じる技術やサービスはあるか
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顧客からとくに評価されているものは何か
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他者にはまねできない技術やノウハウはあるか
Weakness(弱み)
Weakness(弱み)は、競合他社と比べて自社に不足しているものや、弱点となる要素を指します。客観的に見て、弱みを見つけましょう。以下で、Weakness(弱み)を見つけるための質問例を提示します。
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競合他社と比べて劣っていると感じる点は何か
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顧客からどのような点で不満の声があるか
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自社の目標達成を阻害している経営資源はあるか
4.戦略策定
外部・内部の両面から分析したSWOT項目をもとに、しっかりと議論を進めましょう。整理した内容をもとに、具体的な戦略に落とし込みます。その際、クロスSWOT分析を活用しましょう。クロスSWOT分析については、次項で解説します。
クロスSWOT分析による戦略策定
クロスSWOT分析とは、SWOT分析で洗い出した内部環境と外部環境の要素を組み合わせて、具体的な戦略オプションを考えることです。分析した要素を単体で利用するのではなく、掛け合わせることで戦略として具現化しやすくなります。クロスSWOT分析は以下の4つに分けられます。
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SO戦略(強み×機会)
自社の強みを活かしつつ、外部環境を最大限に利用する戦略 - ・
ST戦略(強み×脅威)
自社の強みを活かしつつ、外部環境の影響を回避あるいは抵抗する手段を導く戦略 - ・
WO戦略(弱み×機会)
自社の弱みとなる課題を改善することで、機会を活かす戦略 - ・
WT戦略(弱み×脅威)
自社の弱みを理解し、脅威となるリスクを最小限に抑える戦略
SWOT分析のメリット
SWOT分析により、現状を把握し、課題や改善点が把握できます。それぞれのメリットについて解説します。
現状の全体像を把握できる
SWOT分析では、内部環境と外部環境、機会と脅威といった正反対の側面に目を向けます。そのため、客観的に全体を俯瞰できるメリットがあります。市場における自社の立ち位置をマクロな視点で把握することで、状況を多角的に理解できるでしょう。これにより、具体的な戦略を考えられるようになり、目指すべき方向が明確になります。
課題や改善点が可視化される
SWOT分析は、4要素を項目化するため、課題や改善点が可視化されやすいメリットがあります。各項目について議論を重ねることで、分析対象となった事業や製品への理解を深められます。SWOT分析では、組織全体の課題のみならず、業務プロセスの効率性やコミュニケーション不足など、日常で抜け落ちがちな課題も可視化できるため、リスクの特定に役立つでしょう。
SWOT分析のデメリット
SWOT分析は便利なフレームワークですが、デメリットも生じます。2つのデメリットを解説します。
主観的な分析になりがちである
SWOT分析は、自社を分析するため、結果が主観的になる傾向があります。とくに、1人で分析すると主観的な判断に陥りやすいでしょう。外部環境の分析は客観的な視点での分析が困難です。複数人で実施したり、クライアントからの客観的な意見を取り入れたりしましょう。
結果に偏りが出る(二極化する)可能性がある
SWOT分析は、分析する人の偏見やポリシーなどにより、結果に偏りが生じる可能性があります。SWOT分析では、判断に迷う要素であっても、必ずいずれかに分類することが求められます。どのように分類するかは分析者によって判断が異なるため、結果が偏り、客観性を欠く恐れがあります。
SWOT分析を効果的に活用するための実践ポイントと注意点
自社の戦略のためには、SWOT分析を効率的に活用することが重要です。実践ポイントと注意点を4つに分けて解説します。
目的・目標を明確にする
SWOT分析は、目的と目標を明確にして進めましょう。目的や目標が定まらないと、調査や分析が中途半端になり、戦略立案も見出せません。目的に対して、具体的な数値目標を設定することで、具現化しやすくなります。SWOT分析は、あくまでも現状を把握する手法に過ぎません。目的や目標を明確にし、分析そのものが目的となる手法の目的化を避けましょう。
前提条件を整理しておく
分析対象や目標、競合他社、市場といった前提条件を整理し、社内で共有しましょう。前提条件によって、機会や脅威、強みや弱みは異なります。前提条件が曖昧なままでは、分析の軸が定まらず、自社の戦略に活かせないでしょう。前提条件をそろえることで、分析がスムーズに進められます。
さまざまな視点を意識したメンバー選びをする
SWOT分析においては、4つの要素を漏れなく洗い出すことが重要です。さまざまな視点を持つ人材に分析を担当させましょう。分析者の立場や目線によって、分析結果は異なります。エンジニア開発部や営業部、経営層といった、さまざまな部署や立場の人が関わることを心がけましょう。分析する目的によっては、適切な人材の選定が求められるでしょう。
定期的に実施する
SWOT分析は、一度実施すれば完了ではありません。市場の動向や社会情勢などにより、SWOT分析の内容は異なります。とくに、昨今は外部環境の変化が著しく、定期的に分析内容を見直すことが求められています。定期的にSWOT分析を実施することで、環境の変化に迅速に対応でき、分析結果の精度を保てます。
まとめ
SWOT分析は、課題や改善点を可視化しやすく、状況を多角的に判断しやすいメリットがあります。一方で、分析が主観的になったり二極化したりする点には注意が必要です。自社でSWOT分析を実施する際は、目的や前提条件をはっきりとさせ、さまざまな視点を持つ人材を分析者に選びましょう。
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記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
全国の経営者の方々に向けて、経営のお役立ち情報を発信するメディアサイト。ICT導入事例やコラム、お役立ち資料など「明日から実践できる経営に役立つヒント」をお届けします。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。
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