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ROIとは?ROASとの違い・計算方法・注意点や改善戦略まで徹底解説

From: 中小企業応援サイト

2025年09月17日 06:00

この記事に書いてあること

ROIはビジネスで頻繁に使用されるため、聞いたことのある人が多いのではないでしょうか。一方で、具体的な内容や計算方法を知らないという人も少なくありません。この記事では、ROIの基本情報から計算方法、メリット・デメリットなどを解説します。正しく理解して業務に活用したい人は参考にしてください。

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ROIとは

ROIとは「Return On Investment」の略称です。投じた費用に対して、どの程度の利益が出たかを表す指標です。日本語に訳すと、投資収益率といえます。ROIの数値が大きいほど、投資対効果も大きいといえます。

ROIは投資にどの程度効果があるかを判断する際に、役立つ指標です。マーケティングや広告運用、事業投資など、多岐にわたるビジネスシーンで用いられています。

ROIが重要視される理由

ROIが重要だといわれるのは、利益ベースで資本投資の効果が目に見えるためです。ビジネスでは、費用をかければ成果が必ず出るわけではありません。そのため、ROIの計測・管理が正しくなければ、効果の小さな施策や投資へと費用をかけ続けることになりかねません。経営状況を悪化させてしまう可能性もあります。

健全な事業展開を目指すのであれば、ROIは欠かせないものです。ROIは、経営層や投資家に対しての説明資料にも使用されています。

ROIの計算方法

ROIの求め方は容易で、考え方を理解すれば算出できます。計算式は、利益(売上-コスト)÷投資額×100で算出できます。例えば、売上が100万円でコストが50万円、投資額が50万円だった場合、ROIは(100万円₋50万円)÷50万円×100=100%です。

算出して出た値が大きいほど、投資の効果も大きいといえます。なお、ROIの損益分岐点は0%です。100%を切っても問題があるというわけではありません。

ROIとROASの違い

ROAS(ロアス)は、ROIと間違われやすい言葉です。ROASは「Return On Advertising Spend」の略称で、広告費用回収率や費用対効果を意味します。ROIもROASもどちらも投資した費用で表れた効果を表す指標です。ただし、ROIは利益によって求めるもの、ROASは売上によって求めるものである部分に違いがあります。

ROASの計算方法

ROASの計算式は、広告からの売上÷広告コスト×100です。売上が1,000万円で広告費用が500万円の場合、ROASは1,000万円÷500万円×100=200%となります。ROASは、広告同士を比べる際には便利です。ただし、ROASだけでは当該広告が利益を出しているかは分かりません。そのため、広告全体の効果を計測する指標ではROIを用いるケースが多くみられます。

ROI・ROASと合わせて理解しておきたい指標

ROIやROASと合わせて認識しておくべき、重要な4つの指標について解説します。

ROE

ROEとは「Return On Equity」の略称です。日本語に訳すると自己資本利益率となる言葉で、自己資本を元手に利益をどの程度上げられるかを表すものです。主に投資家がROEを用いて企業の経営効率を判断します。ROEの数値が大きければ大きいほど、企業が株主に対して収益を出していることになります。計算式は、ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100です。

CPA

CPAとは「Cost per Acquisition」、またはActionの略称です。日本語では、顧客獲得単価を意味します。CPAを用いると、1人の顧客を獲得するために必要となった平均コストを把握可能です。そのため、コンバージョンをベースにした広告分析や見直しを進める際に有効です。計算式は、CPA(%) = 広告コスト ÷ コンバージョン件数となります。

CVR

CVRとは「Conversion Rate」の略称で、Webマーケティングの分野で頻繁に使われる成果率を表す指標です。商品の購入や資料請求など、コンバージョンの定義は自由です。CVRが大きいほどコンバージョンに導いていることを示し、ROI・ROAS・CVRなどの値を向上させられます。計算式は、CVR(%)=CV数÷アクセス数(クリック数)×100です。

LTV

LTVとは「Life Time Value」の略称です。日本語で顧客生涯価値を意味しており、顧客が自社との取引をスタートしてから終わるまでの期間に、利益をどれだけ生んでいるかを表しています。

主に顧客の獲得・維持するための戦略を策定する場合に有効です。リピートの視点が含まれるため、顧客との継続的な関係向上への管理指標としても役立ちます。計算式は、LTV = 平均購入単価 × 粗利率 × 平均購入頻度(回/年)× 平均継続期間(年)です。

ROIを活用するメリット

ROIを活用することでどのようなメリットがあるのか、おもな2つについて解説します。

異なる事業間でも効果を評価・比較できる

ROIの大きなメリットは、異なる事業同士であっても、同じ土俵で評価または比較が可能な点です。ROIは投資したものに対して得られた収益を見える化します。そのため、別の事業やプロジェクトであっても同一基準で直接比較できます。

たとえば、収益性に問題があるものの売上額は大きい分野や、売上額は限られるものの収益性に優れる分野などを同じ基準で評価可能です。収益性に優れる事業へ投資を集中したい場合は、第三者的に決める際の材料としてROIの値を用いるとよいでしょう。

施策レベルで評価・比較できる

事業ごとだけではなく、施策レベルによる評価や比較も可能です。具体的には、売上・コスト・収益性などの課題を、施策レベルで細かく評価できます。その評価から、改善策を立てたり、場合によっては撤退する判断を下したりする際にも活用できます。また、収益性が高い施策を発見できれば、事業の成長を目指す際の戦略作りに役立つでしょう。

ROIを活用するデメリット・注意点

ROIは役に立てやすい指標ですが、デメリットや注意点も存在します。2つの点について解説します。

長期的な視点での評価に不向きである

ROIは、計測時点で生じた利益によって評価する指標です。そのため、長期的な観点による評価には適していません。成果が表れるまで数か月単位を要する施策であった場合、ROIの数値は低くなります。

長期的な観点でビジネスや施策などを評価する際はROIのみで判断することなく、顧客生涯価値やブランドの認知度など、他の指標と組み合わせて評価するようにしましょう。

数値化できない施策の評価に不向きである

ROIの値を求める場合、数字で表れる投資額と利益額についてのみ評価します。そのため、数字では表れないビジネスや施策を評価する際には適していません。たとえば、顧客の満足度やブランドイメージなどは直接的な収益として計測できず、ROIのデータでは表れません。用いる際は、数字で表せる利益や成果に関する内容を評価対象にしましょう。

ROIを改善・向上させる具体的アプローチと戦略

ROIを改善したり向上したりするにはどのようなアプローチをすべきか、2つの方法を解説します。

投資コストを抑える

投資コストを抑えるため、利益につながらない無駄なものは省きましょう。例えば、新規事業を始める際に設備投資を検討する場合は、不要な機能をカットして実装機能を絞ると、投資コストを抑えられます。また、無駄な経費や効果があまり出ない広告チャネルを見直すことでもコストを抑えられます。

ただし、コストを抑えることばかり気にするとパフォーマンスが低下するおそれがあるため、利益を損なわないよう注意しましょう。

収益性・利益を高める

コストを維持・低下させつつ、販売数・単価を上げたり原価を抑えたりできると、収益性や利益を高められます。具体的には、販売数を上げるには広告効果を最大化させることが欠かせません。単価を上げるには商品・サービスの上位プランを用意し、より価値の高い商品・サービスを提案しましょう。

また、原価を抑えるには、仕入れ単価を抑えるために取り扱う商品の種類を絞るとよいでしょう。

ROIの活用シーン|ビジネスでの実践的な使い方

ROIを活用すべき具体的な2つのシーンを解説します。

広告マーケティング施策の評価に活用する

ROIは、広告マーケティング施策を評価する際に用いられます。なかでもインターネット広告では詳細なデータを得られるため、広告費やキャンペーン投資が生んだ利益から、広告ごとの収益性を数値で評価できます。

そのため、もっとも効果的な広告について判断できます。収益性を材料にして効果の大きい広告だけに絞ったり、効果の低い広告を改善したりと、予算の最適化が可能です。

経営戦略における投資の評価に活用する

ROIは、経営戦略における投資の評価に用いられます。さまざまなエリアで規模が異なるいくつかの店舗を運営している場合でも、ROIを用いれば、投資から得られる利益という同一基準で比べられます。

そのため、予算の縮小や拡大、場合によっては事業継続の有無などの経営判断が可能です。ROIを用いることで経営層は事業ごとの収益性を把握でき、資源をもっとも効果的に分配できるでしょう。

まとめ

ROIは投資した額から利益がどの程度生まれたかを示す指標で、日本語に訳すと「投資収益率」となります。費用対効果を、利益を材料にして見える化できるため、事業を健全に進めるうえで重要です。

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