IP電話とは?種類・固定電話との違い・メリット・注意点を解説
2025年10月10日 06:00
この記事に書いてあること
IP電話とは、電話回線を使わずに通話できる電話です。スマートフォンやタブレットなどを用いて、音声のやり取りができます。ただし、通信によって品質が下がる可能性がある点に注意が必要です。この記事では、IP電話の概要や固定電話との違い、種類などを解説します。導入する際の注意点も解説するのため、ぜひ参考にしてください。
IP電話とは?
IP電話とは、インターネット回線を使用して通話するものです。通信技術であるVoIP(Voice over Internet Protocol)を用いて音声をデータに変換し、通話が可能になります。IP電話はデジタルデータの送受信を活用するため、固定電話だけでなく、携帯電話にも対応しています。また、音声だけでなく、画像や映像などの送受信も可能です。
IP電話と固定電話の違い
IP電話と固定電話は、通話の品質や料金などが異なります。ここでは、それぞれの違いを解説します。
通話品質
IP電話はインターネット回線の影響を受けるため、音声の途切れや遅延、エコーなどが発生する場合があります。音声は回線品質の影響を受けませんが、電波状況によって通話品質が低下する可能性があるため、注意が必要です。固定電話は通話専用の回線を利用しているため、安定した通話品質を維持できます。
料金
一般的に、IP電話は一定の料金で利用できます。インターネット回線を利用しているため、通話料金の変動がなく、固定電話よりも低コストで利用が可能です。固定電話は基地局を経由して音声を届けるため、通話相手との距離によって料金が変動します。経由する交換局が多くなるほど、通話料金に上乗せされます。
電話番号
IP電話の電話番号は、回線やサービスによって異なります。後述する「050型」「OABJ型」など、さまざまな電話番号を利用できます。固定電話の番号は、市外局番で始まる全10桁です。たとえば、東京23区は「03」、大阪は「06」など、地域によって異なる番号が割り振られています。
IP電話の種類
IP電話には、050型とOABJ型、電話番号不要型があります。ここでは、それぞれの番号を解説します。
050型
050型は、電話番号が「050」から始まるIP電話です。電話番号は、「050」に通信事業者の識別番号と加入者番号を加えた、11桁の番号で構成されています。お互いの電話番号が050型の場合、通話料金が無料になる点が特徴です。どこにいても「050」から電話番号が始まるため、市外局番のように発信する場所の特定はできません。
0ABJ型
0ABJ型は、IP電話のなかで最も通話品質が高く、ビジネスをはじめとしたさまざまなシーンで活用されています。電話番号の構成は、市外局番、市内局番、加入者番号を組み合わせた10桁の番号です。0ABJ型を利用する場合、総務省が定めた通話品質の基準を満たす必要があります。
電話番号不要型
電話番号不要型は、インターネット回線のみを使用するものです。オンライン通話やインターネット電話とも呼ばれており、特定の電話番号を取得する必要がありません。サーバーを通して、音声のデータの変換をします。LINEやInstagramなどの通話機能をもつアプリが該当します。
IP電話を利用できる端末
IP電話は、パソコンやスマートフォンなどで利用できます。ここでは、利用できる端末を解説します。
パソコン
IP電話はパソコンに接続できます。有線・無線LANでインターネット回線に接続し、VoIPソフトウェアを使用して通話が可能です。パソコンのマイクやスピーカー、またはヘッドセットを使用します。
スマートフォン
スマートフォンでは、アプリを用いて通話ができます。たとえば、LINEやMetaのアプリ同士の場合、電話番号を用意せずに通話が可能です。「ソフトフォン」と呼ばれるVoIP規格でのアプリを使用すると、固定電話にも発着信ができます。
タブレット
iPadをはじめとしたタブレットでも、スマートフォンと同じように通話ができます。通信環境は、無線LANを使用するか、SIMカードを挿入して整えましょう。ただし、タブレットは重さがあるため、携帯するには不便です。
IP電話機
IP電話機は、LANケーブルを使用する専用機器です。通話品質が高く、ビジネスシーンでも活用されています。電話帳のデータベースの保存や保留転送機能など、さまざまな機能を搭載するものもあります。
IP電話を導入するメリット
IP電話を導入すると、コストや導入の負担などを削減できます。ここでは、導入するメリットを解説します。
通話料や初期費用を削減できる
IP電話は、通話料や初期費用などを抑えて利用できます。1分あたり10円ほどの一律の料金で通話ができ、通信距離による料金変動はありません。また、固定電話と異なり、専用機器の用意も不要です。現在使用しているスマートフォンやパソコンなどを活用すると、より導入の費用を削減できます。
電話加入権や工事が必要ない
インターネット回線を利用する通話には、電話回線が必要ありません。固定電話と異なり、電話加入権を購入せずに通話ができます。従来の固定電話では、工事費用が追加で請求される場合がありました。IP電話の場合、050番号を無料で利用でき、0ABJ番号も安価に取得できる点がメリットです。
テレワークに活用できる
インターネット回線での通話は、テレワークにも活用できます。たとえば、固定回線の電話機を用意せずに、パソコンやスマートフォンなどを利用して通話も可能であれば、取引先に対して、自社の電話番号で発着信も可能です。電話を受ける担当者による引き継ぎもないため、電話対応や取り次ぎの効率化に役立ちます。
IP電話を導入する際の注意点
IP電話を利用する際は、インターネット環境の影響に注意しましょう。ここでは、導入する際の注意点を解説します。
インターネット環境の通信に影響を受ける
インターネット回線の状況によって、通話の品質や音質などが左右されます。トラブルが発生した場合、利用できなくなる可能性も考慮しなければなりません。総務省は、事業者の通話の音声品質をA・B・Cにランク付けしています。安定した品質を求める場合は、ランクAの事業者のサービスを利用しましょう。
停電時に利用できない
インターネット環境は、停電時に利用できなくなります。コンセントからの電力供給がなくなることで、接続が途絶えるためです。また、「110」「119」の緊急電話、「0120」「0570」などのフリーダイヤルも利用できません。固定回線であれば災害時にも利用できる可能性があるため、停電時に備えて併用も検討しましょう。
IP電話を導入する際のポイント
IP電話は、音声品質や費用などを考慮して導入しましょう。ここでは、導入する際のポイントを解説します。
音声品質
音声品質は、総務省の決めたランクによって差があります。クラスAであれば、固定回線と同等の品質のものを利用できます。一方、クラスB・Cの場合は、音声品質が劣化する可能性があるため注意が必要です。業務効率や顧客満足度などを考慮して、品質の高いサービスを導入することをおすすめします。
費用
一般的に、IP電話の費用は、月額の利用料と通信費で設定されています。電話を利用する端末数や機能によって、初期費用や月額費用などが異なります。月額費用は、月額固定型と従量課金型に分かれるため、自社の利用状況を把握して検討しましょう。オプション機能の追加も考慮して、費用を決めることが大切です。
サポート体制
サポート体制は、事業者によって異なります。IP電話の導入がはじめての場合は、トラブル対応や操作サポートなどが必要です。導入をスムーズにするために、トラブルに備える体制をもつ事業者に依頼しましょう。メールや電話といったサポートの方法や、事業者の対応時間も考慮してサービスを比較する必要があります。
まとめ
IP電話を利用すると、インターネット回線を通じて通話ができます。固定回線と違い、通信距離に関わらず一律の料金で利用が可能です。ただし、回線の状況によって音声品質が低下したり、通信が途切れたりする場合があります。安定した通話をする場合は、ランクAのサービスを利用するとよいでしょう。
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記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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