PMBOKとは?プロジェクト管理の世界標準の知識体系を解説
2025年10月13日 06:00
この記事に書いてあること
昨今のビジネスにおいて、プロジェクトマネジメントの考えはごく一般的なものになっています。プロジェクトマネジメントを学ぶ方法はさまざまですが、その中でも特に注目されているのがPMBOKです。この記事では、PMBOKの概要をはじめ、メリットや注意点について解説します。具体的なPMBOKのプロセスもまとめて取り上げるため、ぜひ参考にしてください。
PMBOKとは
PMBOKとは、効果的なプロジェクト管理の手法、そしてフレームワークなどを包括したガイドブックです。「Project Management Body of Knowledge」の略で、読み方は「ピンボック」です。最初に公表されたのは1987年のことで、その後書籍にまとめられ、広く知られるようになりました。内容は4年に1度程度のペースで更新されており、現在の最新版は2021年に公開された第7版です。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトを成功させるための計画立案や実務管理を指します。これらの工程がずさんだと、プロジェクトの目的が定まらない、納期に間に合わないなどのトラブルの発生につながりかねません。PMBOKでは、プロジェクトをスムーズに進めるための世界標準の手法、そしてノウハウを体系的に学べます。
PMBOKの目的
PMBOKの目的はプロジェクトマネジメントを学ぶこと、そしてQCD、つまり品質やコスト、納期の目標を達成することです。これらの目標を達成するためには、そこに至るプロセスも対象としてコントロールしなければなりません。PMBOKを学ぶことで、そのコントロールの手法の習得が目指せます。
PMPとは
PMBOKに関連するワードとして、PMPが挙げられます。PMPとは、プロジェクトマネジメントに関する国際資格です。試験ではPMBOKに記載されている内容をはじめ、幅広い知識が問われます。試験はCBT形式が採用されており、180問の選択式問題の形式で出題されます。スキルアップやキャリアアップを考えている場合は、取得を検討してみましょう。
PMBOKのメリット
PMBOKの学習は、プロジェクトマネージャーにさまざまなメリットをもたらします。具体的なメリットについて、以下で解説します。
効率的にQCDの管理ができる
PMBOKのメリットとして、効率的にQCDの管理ができる点が挙げられます。QCDの適切な管理は、プロジェクトを成功させるにあたって必要不可欠です。PMBOKで学べるノウハウは、数多くのデータをもとに構築されたものです。そのため、実務において効率的にQCDを管理する手法を学びたい場合、最適といえるでしょう。
世界に通用するノウハウが学習できる
世界に通用するノウハウが学べる点も、PMBOKのメリットです。PMBOKには、国際的に認められたプロジェクト管理のノウハウが記されています。そして、このノウハウは業種や規模を問わずに応用可能です。幅広いプロジェクトに対応できるようになれば、人材としての市場価値も高まります。
経験が浅いプロジェクトマネージャーも成果を出しやすい
PMBOKを学べば、駆け出しの人も成果を出しやすくなります。PMBOKでは、プロジェクトを管理するための基礎はもちろん、プロジェクトを成功へ導く具体的な手法も学べます。そのため、途中で思わぬイレギュラーが発生しない限り、スムーズにプロジェクトを進めることが可能です。
PMBOKの注意点
さまざまなメリットが存在するPMBOKですが、学ぶにあたっていくつか押さえるべき注意点が存在します。以下では、具体的な注意すべきポイントについて解説します。
参考書として活用する
PMBOKは、あくまでも参考書として活用しましょう。PMBOKには、プロジェクトマネジメントのノウハウが記されています。しかし、具体的な手順や、トラブルが発生したときの対処法などは記載されていません。そのため、PMBOKの内容に頼りすぎずに、状況に合わせて柔軟に対応する意識を持ってください。
コミュニケーション能力を身につける
PMBOKを活用するにあたって、コミュニケーション能力も身につけておきましょう。プロジェクトを成功させるためには、コミュニケーション能力は重要です。コミュニケーション能力がなければ、プロジェクトの参加メンバーに的確な指示を与えられず、円滑な人間関係も構築できません。コミュニケーション能力も一緒に磨けば、PMBOKで学んだノウハウをより生かせるようになります。
プロジェクトマネージャーのスキルも身につける
PMBOKを学ぶ際は、さまざまな状況に対応できるように、プロジェクトマネージャーのスキルも身につけてください。PMBOKは便利な存在ですが、頼りすぎてしまうとスキルが身につきません。また、リーダーシップを発揮しにくくなり、モチベーションが低下するリスクもあります。
PMBOKのプロセス
PMBOKでは、プロジェクトの最初から最後までの流れを5つのプロセスに分割しています。それぞれのプロセスの詳細は、以下のとおりです。
1.立ち上げプロセス
プロジェクトを始めるにあたって、その認可を得るのが「立ち上げプロセス」です。このプロセスでは、プロジェクトの目的や目標を設定、プロジェクト憲章の作成などを行います。
2.計画プロセス
「立ち上げプロセス」が終わったら、次は「計画プロセス」へ移行します。「計画プロセス」では、プロジェクトの目的や目標を達成するための計画を考えます。予算案をはじめ考えることが多いため、抜けや漏れが発生しないように注意が必要です。
3.実行プロセス
「実行プロセス」では、計画をもとに人員や資源を調整し、プロジェクトを実行します。なお、実行の結果によっては計画の見直しを行い、ベースラインを再度設定し直さなければなりません。
4.監視・コントロールプロセス
「監視・コントロールプロセス」は、主に計画のズレのチェックやプロジェクトの軌道修正を行います。万が一計画からの逸脱を見逃してしまうと、プロジェクトの遅延や予算超過などの問題につながる可能性があります。
5.終結プロセス
計画されたプロセスが、問題なく完了しているか調べるのが「終結プロセス」です。プロジェクトを完了するだけでなく、経験や知識を蓄積し、今後のプロジェクトに生かすことを意識します。
PMBOKの10の知識エリア
最後に、PMBOKにおける10の知識エリアと、それぞれの詳細情報について解説します。
統合マネジメント
「統合マネジメント」とは、プロジェクト全体の方針を決め、調整する分野です。具体的な業務内容として、プロジェクトの立ち上げや管理計画書の作成などが挙げられます。
スコープマネジメント
「スコープマネジメント」とは、目標達成のための最終的な成果物、そのために必要な作業のスコープ、つまり「範囲」を明確にする分野です。スコープが曖昧なまま作業を進めてしまうと、追加で作業が必要になったり、やり直したりする羽目になりかねません。
スケジュールマネジメント
「スケジュールマネジメント」とは、1つひとつの作業にかかる時間を把握し、納期を管理する分野です。なお、スケジュールを立てる際は、担当者の能力や生産性も考慮する必要があります。
コストマネジメント
「コストマネジメント」とは、プロジェクトに必要なコストの試算や予算設定、コントロールなどを担う分野です。最初に立てた計画から逸脱しないためにも、現実的なコスト管理を行うことが大切です。
品質マネジメント
「品質マネジメント」とは、成果物の品質を管理する分野です。クライアントの希望を理解したうえでの品質の基準の明確化、品質を保つための実現計画の立案などを行います。
資源マネジメント
「資源マネジメント」とは、プロジェクトに必要な人的資源、および物的資源の管理や見積もりを行う分野です。単純な人的資源や物的資源の管理のみならず、人材育成やチームの結成なども担います。
コミュニケーションマネジメント
「コミュニケーションマネジメント」とは、円滑なコミュニケーションを取るためのマネジメントを行う分野です。コミュニケーションが不足すると、意思の疎通が上手くできず、思わぬミスやトラブルを招く可能性があります。
リスクマネジメント
「リスクマネジメント」とは、プロジェクトで発生する可能性があるトラブルを予測し、対策を立てる分野です。未知のリスクに対して対応できるように細かく管理するのはもちろん、チャンスになりうる事例も全て把握・管理します。
調達マネジメント
「調達マネジメント」とは、プロジェクトに必要なプロダクトやサービスを外部から調達するための分野です。業者の選定や納品の進捗管理などを担いますが、業務の性質上「資材マネジメント」との連携が重要になります。
ステークホルダーマネジメント
「ステークホルダーマネジメント」とは、利害関係者にとって必要な情報をまとめ、管理する分野です。「コミュニケーションマネジメント」から独立した分野で、プロジェクトにおける協力者を増やすのが主な仕事です。
まとめ
PMBOKは、初心者がプロジェクトマネジメントのノウハウを学ぶにあたって、最適な存在です。国際標準の手法を習得できれば、幅広いプロジェクトに対応できるようになります。ただし、イレギュラーな事態が発生したときの対処法をはじめ、全ての事象に対する対応が学べるわけではありません。あくまで参考として活用し、過信しすぎないようにしてください。
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記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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