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アノテーションとは?代表的な種類や実施手順、品質を高めるポイントも解説

From: 中小企業応援サイト

2025年10月27日 07:00

この記事に書いてあること

AI開発におけるアノテーションは、AIモデルの品質に直結する重要な作業です。しかし、AI分野にあまりなじみがない人にとっては、どのような作業なのか想像しにくい場合が多いでしょう。本記事では、アノテーションの作業内容や重要性、実施手順などを解説します。よくある課題や品質を高めるポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。

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アノテーションとは

アノテーションとは、機械学習における分析対象データに注釈を付与する作業です。たとえば、犬の画像に「犬」というラベルを付ける作業がこれにあたります。

アノテーションは、機械学習の「教師あり学習」におけるプロセスの1つです。

機械学習における「教師あり学習」とは

教師あり学習とは、ラベル(正解)を付与した学習データを用いる機械学習の手法です。先ほどの例でいうと、「データ(犬の画像)」と「正解(犬)」のセットを使って、AIに「これは犬である」ということを学習させていく手法を指します。

教師あり学習は「正解」が明確なシーンに適しており、おもにスパムメール検出や機械の故障予測などに活用されます。

AI開発におけるアノテーションの重要性

教師あり学習を用いたAI開発において、アノテーションはAIモデルの精度を左右する重要なプロセスです。

教師あり学習では、高品質で正確なアノテーションデータがなければ、AIに正しいパターンを学習させることができません。その結果、AIが誤って予測するようになると、実用レベルの精度に達しない可能性もあります。

アノテーションは、AI開発の成功に不可欠な作業といえます。

アノテーションの代表的な種類

アノテーションは、対象のデータに応じていくつかの種類に分かれます。代表的なものは次の4種類です。

画像・動画アノテーション

「画像・動画アノテーション」は、画像や動画内の物体や領域にラベルを付与することです。具体的には、以下のようなタスクを行います。

  • 画像に写っている物体についてのラベルを付与する

  • 物体検出のために対象オブジェクトを線で囲む

  • 対象オブジェクトの特徴的な部分にマークを付ける など

また、人体の顔や関節などのパーツをキーポイントでつなげる場合もあります。このタスクを「姿勢推定」といい、おもにジェスチャー認識やスポーツ解析などで必要な作業です。

音声アノテーション

「音声アノテーション」は、音声データにラベルを付与することです。音声認識や意図抽出といった分野で用いられるケースが一般的です。

具体的には、以下のようなタスクを行います。

  • 「音楽」「会話」などのカテゴリー別にラベルを付与する

  • 音声データを分割し、音の有無や話者ごとなどに分類してラベルを付与する

  • 音声をテキスト化する など

テキストアノテーション

「テキストアノテーション」は、文章や単語といったテキストデータにラベルを付与することです。スパムメールの分類や、ニュースサイトにおけるカテゴリー分類などに用いられます。

具体的には、以下のようなタスクを行います。

  • テキスト全体をカテゴリー別に分類してラベルを付与する

  • 単語や文字などの固有表現にラベルを付与する など

3D点群データアノテーション

「3D点群データアノテーション」は、3Dモデル作成の基盤となる点群データにラベルを付与することです。おもに自動運転技術の開発で用いられることが多く、ほかにも建築やAR/VR分野での活用が期待されています。

具体的には、以下のようなタスクを行います。

  • 対象オブジェクトを3次元のボックスで囲んでラベルを付与する

  • それぞれの点をカテゴリー別に分類する

  • 対象オブジェクトの動きや軌跡を記録する など

アノテーションの作業手順

ここでは、アノテーション作業の具体的な手順について解説します。

対象のデータを収集する

まずは、画像や音声、テキストなど、AIモデルの訓練に用いるデータを準備しましょう。画像分類や物体検出など、AIの活用目的や予測したい内容に合わせて、適切なデータを収集することが大切です。

アノテーションツールを選定する

アノテーションの目的に応じて、適切なツールを選択します。対象オブジェクトを枠で囲む機能や、ラベル付与の機能など、必要な機能が搭載されたツールを選ぶことが重要です。

また、データの出力形式や操作感などもチェックしてください。

アノテーションの基準を決め、作業を行う

アノテーション作業を始める前に、対象オブジェクトの種類や範囲、ラベル付与の法則などを定めます。アノテーションの基準を明確化して、作業者間で共通の認識を持つようにしましょう。

基準を統一したら、実際にアノテーションツールを用いてラベルを付与します。

アノテーションの結果を確認する

アノテーションされたデータに誤りやばらつきがないか、確認してください。作業は、なるべく複数人で行うのがおすすめです。誤ったラベルが付与されたデータが見つかった場合は、再度アノテーションを実施しましょう。

アノテーションデータを出力する

アノテーション作業が完了したら、アノテーションされたデータをAIモデルが読み込める形式で出力します。

たとえば画像アノテーションなら、「COCO」や「Pascal VOC」などの形式が一般的です。

アノテーション作業におけるよくある課題

ここからは、アノテーション作業におけるよくある課題を解説します。

品質がばらつきやすい

アノテーション作業は、作業者のスキルや解釈の違いによって品質にばらつきやすいのが課題です。作業ルールが曖昧だと、たとえば画面上に対象オブジェクトが2体ある場合、作業者Aはそれぞれ個別に囲み、作業者Bは2体をまとめて囲むといったブレが生じます。

このように統一の基準がないまま作業を進めると、アノテーションの品質が低下し、AIモデルの精度も下がってしまいます。

コストや人的負担が大きい

AIモデルを教育するためには、膨大なデータが必要です。しかし、大量のデータを1つずつアノテーションするためには、多くの人的リソースとコストがかかります。アノテーションをするデータが多いほど、担当者への負担は増大するでしょう。

また、必要なタスク量に対して人的リソースが不足している場合は、品質低下やプロジェクトの遅延につながる恐れもあります。

必要な人材が不足している

高品質なアノテーションを行うためには、専門的な知識やスキルが欠かせません。しかし、必要なスキルを持つ人材はまだ少なく、需要に供給が追いついていないのが現状です。

特に、専門性の高い分野ではハイスキルな人材が求められるため、自社リソースでの対応は難しい場合があります。

データ収集が困難

AIモデルの訓練を行うためには、質の高いデータが必要です。多くの企業ではオープンデータを活用していますが、競合優位性を保つためには誰もが自由に利用できるデータではなく、独自に収集したデータが必要になることもあります。

しかし、高品質なデータを集めるには手間もコストもかかります。また、データの内容によっては、その正確性を判断できるだけの専門知識が必要なため、自社での対応が難しいケースも多いでしょう。

質の高いアノテーションを実現するためのポイント

アノテーションの品質を高めるためには、次の4つのポイントを押さえることが大切です。

明確なガイドラインを定める

作業者によって品質にばらつきが生じるのを防ぐため、アノテーションの作業前に明確なガイドラインを定めてください。判断基準を明確化することで、複数人による作業にも全体に一貫性を持たせられます。

また、判断に迷うケースを洗い出して指針を示したり、正しいやり方・間違ったやり方をそれぞれ例示したりするのもおすすめです。

アノテーターの育成に注力する

アノテーションの品質を高めるためには、専門知識やスキルを持つ作業者(アノテーター)が不可欠です。アノテーターの知識が不足していると、ラベル付与の正確性を担保しにくくなってしまいます。

トレーニングプログラムやスキルアップセッションなどを実施し、アノテーターの育成体制を整えましょう。

適切なツールを選択する

アノテーションの効率化と品質向上を図る上で、ツールの選択は大切な要素です。自動アノテーション機能やレビュー機能、プロジェクト管理機能などが搭載されたアノテーションツールを選べば、現場の負担を軽減できます。

また、機能面だけでなく、インターフェースや対応しているデータ形式を確認することも重要です。プロジェクトの特性や制約なども加味し、自社にマッチするツールを選択してください。

外部のアノテーションサービスを利用する

「専門的な人材がいない」「人的リソースが不足している」などの理由から、自社での対応が難しい場合は、外部のアノテーションサービスの活用がおすすめです。高度な知識やスキルを持つチームに作業を委託することで、アノテーションの品質を向上させられます。

サービスを選定する際は、類似案件における実績や、医療・法律など分野ごとの専門家の有無などを確認するとよいでしょう。

まとめ

アノテーションとは、AIの学習データにラベルを付与することです。アノテーションの品質はAIモデルの精度に直結し、AI開発の成否に大きな影響を与えます。自社リソースでの対応が難しい場合は、外部サービスの利用も検討しましょう。

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