BCP対策とは?策定の目的・メリット・手順をわかりやすく解説
2025年11月06日 07:00
この記事に書いてあること
地震や台風、サイバー攻撃など、企業活動を脅かすリスクは年々多様化・複雑化しており、こうした不測の事態に事業を継続させるための「BCP対策」の重要性が高まっています。
この記事では、BCP対策の基礎知識から、策定の目的やメリット、具体的な手順、注意点までを網羅的に解説するので、ぜひ参考にしてください。
BCP対策とは
BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)のことです。ここでは、混同されやすい防災対策や、関連する事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)との違いを解説します。
BCP対策と防災対策の違い
BCPと防災対策の最も大きな違いは、その目的にあります。
防災対策が従業員の安全や建物といった資産の保護を主眼とするのに対し、BCPはサプライチェーンの寸断など、あらゆる事態を想定して「事業そのもの」を継続させることを目指します。そのため、BCPには防災対策に加え、より広範な視点と経営判断が不可欠です。
BCPとBCMの違い
BCPとBCMは密接に関連しますが、役割が異なります。
BCPが緊急時の具体的な行動を定めた「計画書(Plan)」を指すのに対し、BCMはその計画を策定・運用し、継続的に見直していく「マネジメント活動」全体を意味します。つまり、BCPはBCMという大きな枠組みの一部であり、計画と管理という点が明確な違いです。
BCP対策が企業に求められる背景
近年、企業にBCP対策が強く求められる背景には、事業継続を脅かすリスクの多様化と複雑化があります。大規模な自然災害やパンデミック、巧妙化するサイバー攻撃など、予測困難な脅威は増加の一途をたどっているためです。
また、顧客や取引先といったステークホルダーからの期待の高まりや、関連法規の強化も、企業の危機対応能力向上を後押しする要因です。事業中断による経済的損失や社会的信用の失墜を防ぎ、持続可能な経営を実現するため、BCPの策定は不可欠となっています。
BCP対策のおもな目的
BCP対策には、単に事業を守るだけでなく、経営強化や社会貢献といった複数の目的があります。以下で、詳しく解説します。
有事の被害を最小限に抑えるため
地震やシステム障害といった有事の際、従業員の安全や事業資産を守り、受ける損害を最小限に食い止めることがBCPの重要な目的です。あらゆるリスクを事前に洗い出し、その影響を分析した上で緊急時の対応手順を定めておくことで、迅速な初動と事業復旧を可能にします。
リスク管理による経営基盤の強化
BCP策定の過程では、自社の事業継続を脅かす潜在的なリスクや課題を洗い出せます。平時から弱点を把握し、供給網の見直しや業務プロセスの代替策を講じることで、不測の事態にも揺るがない事業体制が構築され、経営基盤の強化につながるでしょう。
地域社会に貢献するため
災害などの有事においても事業を止めないことは、地域社会への貢献に直結します。自社の製品やサービスを安定供給することで人々の生活を支え、ライフラインの一部を担うことができるからです。
さらに、事業活動の継続は雇用を守り、地域経済の停滞を防ぐため、街全体の早期復興を後押しする力にもなるでしょう。
BCP対策で得られるメリット
BCP対策を行うことで、事業継続はもちろん、企業の価値を高める以下のようなメリットが期待できます。
顧客や取引先から信頼される
災害などの不測の事態でも事業を止めない体制は、企業としての信頼性を大きく高めます。
顧客には製品やサービスが安定供給される安心感を、取引先にはサプライチェーンを支える重要なパートナーとしての評価を与え、継続的な取引や新規契約の獲得にもつながるでしょう。
競合他社に差をつける
BCPの策定は、競合に対する大きな優位性を生み出します。
現状、一部業界を除いてBCP策定は義務ではないため、対策が後手に回っている企業も少なくありません。いち早く取り組むことで企業の信頼性や安定性を内外に示し、受注獲得や人材確保の面で他社を一歩リードできるでしょう。
社内のチームワークを改善できる
BCPの策定には、部署や役職の垣根を越えた協力が不可欠です。
緊急時の役割分担や情報共有について協議する過程で、従業員間の対話が活発化し、組織としての一体感が生まれます。この経験が強固なチームワークを育み、有事の際にも組織的な対応が可能になるでしょう。
素早く復旧し事業を継続できる
緊急事態の発生後、いかに事業停止期間を短縮できるかが重要です。
BCPを策定しておくことで、事前に定めた指揮命令系統のもと、組織全体が混乱なく動けます。資産復旧・システム回復・対外対応などの専門チームがそれぞれの役割を即座に開始できるため、迅速な事業復旧と継続が可能になり、損失を最小限に抑えられるでしょう。
税制優遇などの公的支援が受けられる
BCP策定の第一歩として、中小企業向けの「事業継続力強化計画」認定制度があります。この認定を受けると、防災・減災設備の導入にかかる費用について、取得価額(設備の購入代金や設置費用の合計額)の一定割合を特別償却できる税制優遇が適用されます。
さらに、日本政策金融公庫による低利融資や、ものづくり補助金での優先採択(加点)など、資金面での多様な公的支援を活用でき、企業の負担を軽減しながら災害への備えを強化できるでしょう。
BCP対策の策定手順
BCPの策定は、以下の5つのステップで進めるのが効果的です。各項目のポイントについて順を追って解説します。
1. 事業内容を把握する
BCP策定の第一歩として、自社の事業の全体像を把握することが土台となります。
まずは、どの事業が収益の柱で、社会でどんな役割を担っているのかを洗い出してみてください。この自己分析により、非常時に何を最優先で守るべきかという行動指針が定まり、計画の目的が明確になります。
2. 優先すべき事業を選ぶ
災害発生時、全事業の同時復旧は困難です。そのため、売上やブランド維持への影響度、取引先との関係性などを考慮し、優先的に継続・復旧すべき事業を選びましょう。
これにより目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)が定まり、必要な人員や資金といった経営資源の規模も把握できます。
3. 事業を中断させるリスクを洗い出す
次に、優先事業の継続を脅かすリスクを具体的に洗い出します。自然災害やサイバー攻撃などを想定し、それらが事業のどの部分に影響を及ぼすかを多角的に分析してください。
従業員が出社不能になる、設備が損壊するなど、具体的な被害を想定し、目標復旧時間も意識しながらリスクの深刻度を評価します。
4. 緊急時の具体的な対策を決める
洗い出したリスクに対して、緊急時の具体的な対策を定めましょう。
重要なのは、BCPを「いつ」発動するかの基準と、「誰が何をするか」という体制です。「震度6強の地震」のような明確な発動基準と、復旧や外部対応など役割分担を定めたチーム体制を事前に構築し、迅速な初動を可能にします。
5. 計画を文書としてまとめる
最後に、これまでのステップで決めた内容を、BCPとして正式な文書に落とし込みます。基本方針や緊急連絡網などを明文化し、関係者全員がいつでも参照できる状態にしておくことが、計画の実効性を高めるポイントです。
完成後も形骸化させないよう、定期的に内容を見直し、最新の状態を保ってください。
BCP対策の策定における注意点
BCPを策定する際には、実効性を持たせることが重要です。以下の注意点を押さえ、形骸化しない計画を目指しましょう。
実現できる目標を立てる
BCPは理想を掲げるだけでなく、実行できなければ意味がありません。まずは自社の人員や設備、資金といった現在のリソースを正確に把握し、具体的で達成可能な目標を設定します。
立てた計画は定期的に見直し、常に現状に即した状態を保つことが重要です。
漏れがないか確認する
策定した計画に抜けや漏れがないか、多角的な視点で入念に検証してください。想定されるリスクの洗い出しは十分か、それらへの対応策は網羅されているかを確認します。
机上の空論にしないため、従業員が実際に遂行できるかという観点でのチェックも重要です。
定期的に計画を見直す
BCPは、一度策定して終わりではありません。事業内容や社会情勢は絶えず変化し、それに伴い想定すべきリスクも変わるからです。
計画が形骸化するのを防ぎ、緊急時に実効性のあるものであり続けるため、定期的に内容を検証し、常に最新の状況を反映させましょう。
企業におけるBCP対策の実施事例
それでは、実際にBCP対策を導入している企業の具体的な事例を見ていきます。
鹿島建設株式会社
鹿島建設株式会社は、建設業の知見を生かし、独自のシステム開発でBCPを推進している企業です。「社員自宅耐震診断システム」で従業員の防災意識向上と災害時の被災状況推定に役立てています。
また「従業員参集予測システム」で初動要員を把握し、より実効性の高い「顔が見えるBCP」を策定しています。
プルデンシャル生命保険株式会社
プルデンシャル生命保険株式会社は「計画から実践」を掲げ、2011年から大規模災害対応模擬訓練を継続している企業です。シナリオを提示しない実践的な訓練を通じ、管理職らの危機対応能力と当事者意識の向上を図っています。
近年は1泊2日の帰宅困難者対応訓練へと発展させるなど、取り組みを深化させているのが特徴です。
まとめ
BCPは、単なる防災対策にとどまらず、あらゆるリスクから中核事業を守り、顧客の信頼獲得や経営基盤の強化にもつながる重要な経営戦略です。
しかし、リスクの洗い出しや目標復旧時間の設定、そして策定後の定期的な訓練や見直しといった運用フェーズには、専門的な知見や多くのリソースが必要なことも事実です。
リコージャパンの「BCP対策支援パック」は、そうした課題に対して、安否確認システムやデータのバックアップ、非常用電源の確保など、貴社の状況に合わせた最適なソリューションをご提案します。実効性のあるBCP策定から訓練の実施、体制構築までトータルで支援しますので、まずはお気軽にご相談ください。

記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
全国の経営者の方々に向けて、経営のお役立ち情報を発信するメディアサイト。ICT導入事例やコラム、お役立ち資料など「明日から実践できる経営に役立つヒント」をお届けします。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。
記事タイトルとURLをコピーしました!