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事業承継とは?種類や基本的な手順、成功のポイントや注意点などを解説

From: 中小企業応援サイト

2025年12月11日 08:00

この記事に書いてあること

中小企業が事業を続けるためには、「事業承継」が不可欠とされています。では、そもそも事業承継とはどのようなことを指すのでしょうか。本記事では、事業承継の概要や引き継がれるものについて詳しく解説します。事業承継の種類や流れ、成功のポイントや注意点なども解説するため、ぜひ参考にしてください。

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事業承継とは?

事業承継とは、企業の経営権や資産などを次世代へ引き継ぐことです。

後継者問題に悩む中小企業は多く、次のリーダーが決まらない状態が続けば、いずれ廃業に追い込まれてしまいます。中小企業が存続していくためには事業承継が不可欠であり、経営者にとっては引退前の最後の大仕事といえるでしょう。

事業継承との違い

一般的に、事業承継が有形・無形問わず包括的な経営の引き継ぎを意味するのに対し、「事業継承」は形あるものを引き継ぐことをいいます。

たとえば、事業承継では現金や建物だけでなく企業理念や文化なども引き継ぎますが、事業継承では前者のような物的資産のみ引き継ぎます。ただし、両者に明確な違いはなく、ほとんど同じ意味で使用されることもあるでしょう。

事業承継で引き継がれるもの

ここでは、事業承継で引き継がれるものを「経営権」「物的資産」「知的資産」の3つに分けて解説します。

経営権

事業承継では、企業の経営権を引き継ぎ、経営者としての地位や役割を後継者にバトンタッチします。

経営権の引き継ぎとは、具体的には代表取締役の変更を指し、役員変更登記などの手続きが必要です。株式会社の場合は、株主総会で代表取締役を選任します。後継者の育成には時間がかかることも多いため、できるだけ早い段階で取り組み始めることが大切です。

物的資産

物的資産とは、企業が所有する土地や建物、設備や車両などの形ある資産のことです。運転資金や借入金のような資金も物的資産に含まれ、プラスの資産だけでなく、マイナスの資産も引き継がなくてはなりません。物的資産を引き継ぐ際は、契約書の作成や税金の申告などの手続きを行います。

また、経営者が個人として所有する資産を事業用資産として貸し付けているような場合には、その資産も後継者に移転するとよいでしょう。

知的資産

知的資産とは、経営理念や企業文化、技術やノウハウ、会社の持つブランド力や顧客との関係性など、形のない資産のことです。知的資産は企業の競争力を支えるものであり、十分に承継されなければ業績の低迷を招きかねません。

また、企業の売却においては、こうした知的資産も売却額を左右する場合があります。

事業承継の種類

事業承継は、おもに「親族内事業承継」「社内事業承継」「M&Aによる第三者への事業承継」の3パターンに分かれます。

親族内事業承継

親族内事業承継とは、経営者の子どもや甥・姪などの親族に経営を引き継ぐ方法です。親族への承継は企業の内外から受け入れられやすく、後継者が早くから決まっていれば十分な育成期間を設けられます。取引先に同行させるなど、関係づくりをサポートしやすい点もメリットです。

中小企業では一般的な形態ですが、近年は後継者不足により親族内事業承継は減少傾向にあるといわれています。親族に経営権を渡そうにも、適切な人材がいなかったり、断られてしまったりするケースも考えられるでしょう。

社内事業承継

社内事業承継とは、役員や従業員など、社内の人材から後継者を選び、経営を引き継ぐ方法です。親族内に後継者候補がいない場合に選択されることが多く、ビジネスにおける手腕や働きぶりを確認した上で後継者を選べます。優秀な人材を後継者に選定すれば、社内からの反発も生まれにくいでしょう。

ただし、後継者候補が複数人いる場合は、後継者になれなかった人の離職リスクが高まる恐れがあります。

M&Aによる第三者への事業承継

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略称であり、企業を他社に売却することです。株式を売却し、親族や役員、従業員以外の第三者に経営を引き継いでもらいます。

経営者は売却益を得られるため、勇退後の生活資金に余裕を持つことができます。また、親族や社内の人材にとらわれず、後継者に値する人材を広く探せる点もメリットです。

ただし、M&Aは買い手がいないと成立せず、見つかっても条件交渉がうまくいかず契約がまとまらないケースもあります。

事業承継を行う手順

事業承継の基本的な手順を解説します。事前準備から承継後の手続きまでの流れは以下のとおりです。

1. 専門家に相談する

事業承継を検討し始めたら、まずは専門家に相談してください。専門知識を持つ第三者の視点を加えることで、事業承継が円滑に進む可能性が高まります。

事業承継やM&Aの相談先には、さまざまな選択肢があります。顧問弁護士や税理士がいる場合は相談してもよいでしょう。

2. 自社の経営課題や強みを整理する

事業承継を企業の成長につなげるためには、自社の現状を把握することが大切です。自社の経営状況を改めて可視化し、課題や強みを整理してみてください。

経営状況の分析においても、専門家の知識や視点は役に立ちます。親族や関係者とも密に連携しながら、事業承継の具体的な計画を立てましょう。

3. 後継者を選定する

次に、経営を引き継ぐ後継者を選定します。親族や社内の人材のなかから、後継者に適任な人物を選んでください。急がない場合は、まず役員のポジションを与えて、経営能力を判断するという方法もあります。身近に適任者がいない場合は、M&Aによる第三者への承継を検討しましょう。

4. 事業承継を進める

後継者が決まったら、事業承継を進めてください。経営権や資産の引き継ぎを行い、後継者に事業を譲ります。法務・税務上の手続きについては、専門家の支援を受けながら進めることが望ましいといえます。事業承継を円滑に進めるため、あらかじめ事業承継計画書を作成しておくのもおすすめです。

5. 必要な手続きや納税をする

事業承継に必要な各種手続きを終えたら、株式の贈与や売却などによって発生する税金の申告・納税を行います。

事業承継によって発生する税金には、承継の種類や状況に応じて所得税や住民税、相続税や贈与税などがあります。専門家と相談しながら、期限内に納税できるよう手続きを滞りなく進めましょう。

なお、場合によっては、後継者が納税資金の確保に苦労する可能性もあります。あらかじめ専門家に相談の上、必要な対策を講じることが大切です。

事業承継を成功させるポイント

事業承継を成功させるためには、以下の4つのポイントを押さえておいてください。

早めに準備に取りかかる

経営者自身が元気であればあるほど、自分の引退後について考えることを先送りにしてしまいがちです。しかし、年齢を重ねると自身の健康問題が急浮上し、後継者の選定を急ぐ事態に陥る可能性が高まります。後継者の選定や育成には数年を要する場合も多いため、早めに準備を進めておくことが大切です。

ステークホルダーの理解を得る

事業承継を円滑に進めるためには、ステークホルダーの理解を得る必要があります。従業員や取引先などから不信感を持たれると、引き継ぎ後の経営に悪影響を及ぼしかねません。

関係者に納得してもらえるよう、事業承継に踏み切った理由や、後継者の選定基準などを丁寧に説明しましょう。

補助金を活用する

事業承継においては、さまざまな費用が発生する場合があります。

金銭的負担を抑えたい場合は、補助金の活用も検討してみてください。たとえば、「事業承継・M&A補助金」という制度を利用すれば、事業承継にかかる設備や委託費、M&Aにおける専門家活用費などの一部が補助されます。

補助金は申請すれば必ず交付されるものではありませんが、使える制度があれば積極的に活用するとよいでしょう。

信頼できる専門家の支援を受ける

事業承継の手続きには専門知識が必要なことも多いため、必要に応じて弁護士や税理士などの専門家の支援を受けてください。

特に、M&Aでは現状把握や買い手との交渉も必要なので、専門家のサポートを受けるケースが一般的です。近年はM&Aによる事業承継が増えていることから、M&A仲介会社が事業承継に対応することも多くなってきています。

また、中小企業庁の「事業承継・引継ぎ支援センター」への相談もおすすめです。

事業承継における注意点

最後に、事業承継を行う上で気をつけたいポイントをまとめます。

中小企業の親族内事業承継は税負担に注意する

中小企業では、経営者が自社株式を保有しているケースが少なくありません。一般的に、社内事業承継やM&Aでは自社株式を売却して手放しますが、親族内事業承継では「生前贈与」または「相続」という形をとります。

このとき、資産の評価額によっては、後継者に重い税負担がのしかかる可能性があるでしょう。専門家のサポートを受けつつ、納税猶予が受けられる「事業承継税制」の活用も検討してください。

後継者の育成やサポートも重要

事業承継では、経営権や物的資産だけでなく、経営者としてのノウハウや経営理念なども後継者に引き継ぐ必要があります。そのため、後継者の育成には十分な時間をかけ、経営者に求められる知識や考え方などを伝えなければなりません。

同時に、後継者がプレッシャーに押しつぶされてしまわないよう、心理的にサポートすることも大切です。

株式の売却益には税金が発生する

M&Aによる事業承継などで株式を売却して経営権を引き継ぐ場合、経営者は売却益を得られます。しかし、その場合は生前贈与や相続とは異なり、株式を譲渡する側にも税金が課せられるため注意が必要です。

まとめ

事業承継とは、企業の経営権や各種資産を次世代へ引き継ぐことです。事業承継にはさまざまな手続きが必要なので、おおまかな流れを把握した上で、なるべく早めに準備を進めましょう。専門知識が求められる場面も多いため、弁護士や税理士などの専門家に相談することも大切です。

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