DXに失敗した企業が再DXを成功させる方法 実例も交えてポイントを解説
2026年02月19日 07:00
この記事に書いてあること
デジタルの力で、業務効率化や、ビジネスの仕組みの変革を実現するDX(デジタルトランスフォーメーション)。一度はDXにチャレンジしたものの、ツールをうまく使いこなせない、効果が上がらないなどの失敗を経験した企業も少なくないでしょう。このコラムでは、そんな失敗の後、DXが進められずにいる方々のために、再びDXに挑戦するためのポイントを解説。過去の反省を活かしてDXに取り組んだ企業の成功事例もご紹介します。
DXに失敗する主な理由とは?
生活やビジネスのさまざまなシーンで加速しているDX。そんなDXの取り組みがうまく進まないケースには、どのような要因が関係しているのでしょうか?
DXではなくシステム導入が目的化してしまう
DXがうまくいかないパターンのひとつが、DXではなく、システムやツールの導入をゴールに設定することによる失敗です。デジタルの力で新しい仕組みを作るというDXの本質や、自社にとってDXが必要な理由に対する理解が足りないと、デジタル技術を使うことが目的化してしまいます。その結果、現場の課題に合わないシステムを導入してしまい、成果が上がらないという事態が起こります。
DX人材の不足
DX人材の不足も失敗の要因です。システム導入やデジタル化を進めても、DX人材による推進体制を確立できなければ、取り組みを継続できません。外部のベンダーの助言をもとにシステムを導入したものの、実情や課題に合わず、現場に浸透しないというケースもあります。DXは、自社の業務を理解した社内のDX人材の主導のもとで進める必要があります。
DXの目的意識の欠如
経営層や、推進担当チームがDXの目的やビジョンを明確化できていないことも、DXの失敗につながります。DXの成功には、自社の課題をDXでどう解決するのかという一貫した戦略が必要です。また、経営層が抱くDXのビジョンをチームで共有することが、現場の積極的な推進につながります。
ステップを踏まず急激な変革を目指す
目に見える成果や変化を求めて急激にDXを進めることも、DXの失敗の原因のひとつです。特に、初めて本格的にDXを進める場合は、効果を測りやすい一部の部門や業務から少しずつ、段階的に導入していくことが大切です。全部門での一斉導入や、大幅な業務フローの転換を進めると、現場のニーズとの不一致や、運用側の準備不足による混乱を招くこともあるため、注意が必要です。
再DXを成功させるポイント
では、DXの失敗や中断を経験した企業が再びDX導入を成功させるためには、何が必要なのでしょうか。DXへの再チャレンジを進める上で注意すべきポイントは、以下のとおりです。
DX失敗の振り返りを次の導入に活かす
再DXのチャレンジにおいてまず重要なのは、前回の失敗の振り返りです。DXがうまくいかない理由は、ビジョンの設定ミス、人員不足、現場の教育の問題などさまざまです。その原因を特定するために、DXにかかったコストや数字的な効果といった客観的情報のほか、DX推進に携わったメンバーや、実際にデジタルツールを使った現場からのヒアリングをもとに、分析を進めましょう。同業他社の成功事例も参考にしながら、自社に足りないものを把握し、次の導入につなげることが大切です。
DXの推進体制を確立する
再DXの成功には、継続的にDXの取り組みを進められる社内体制も不可欠です。経営層などのトップが、再DXに取り組む意義やビジョンを明確化した上でプロジェクトを主導し、専任のDX推進チームを立ち上げましょう。実際に、デジタル活用による効率化を担う現場へのフォローの仕組みや、外部パートナーの適切な活用なども含めたDX推進体制を確立することが大切です。
スモールスタートでリスクや成果を測りながら進める
すぐに大規模な導入をするのではなく、スモールスタートで取り組みを進めることもDX成功のポイントです。社外への影響が少ない管理部門の業務や、デジタルツールを使い慣れた部門など、始めやすいところから変革に着手し、成果やリスクをチェックしながら他の部署に広げていく方法が効果的です。少しずつ取り組みを進めることで、DX施策の見直しや修正もしやすくなります。
DX人材の育成
社外からのDX人材確保に加えて、自社内のDX人材の育成も重要です。デジタルに関する知識だけではなく、DXを有効活用するための課題解決能力や、プロジェクトマネジメントの力を身につけられる研修やセミナーなどの教育を実施しましょう。継続的な育成によって、導入時のプロジェクトだけでなく、自社の今後のDXの取り組みを支える貴重な人材を確保することができます。
再DXに成功した企業の事例
DXを実現している企業は、必ずしも最初からDXに成功したわけではありません。過去の失敗をDXの再チャレンジにつなげた企業もあります。以下に、そんな企業の事例をご紹介します。
失敗から学びスモールスタートで成功体験を積む
山口県の建設会社・株式会社コプロスは、ベテラン社員のノウハウを継承するための業務の可視化を目的にDXに挑戦しました。その一環として、営業部でデータ活用ツールを導入。しかし、最初から機能をカスタマイズしすぎたことでオーバースペックになり、現場が使いこなせないという事態に陥りました。そんな失敗から、ツールを一部の部門からスモールスタートで導入。「前より便利になった」という実感と、小さな成功体験を重ねることに注力しました。
また、ツール導入失敗時の反省点を活かして、日報管理アプリやBI(ビジネスインテリジェンス)アプリを自社開発。請求書処理関連で、年間400時間かかっていた業務が約25時間にまで削減するなどの効率化が実現しています。
失敗から学んだ“建設DXの先駆者”コプロス──スモールスタートで成功事例を積み重ねる | DX SQUARE
現場の抵抗感をなくす意思統一と細やかなフォロー
虫ケア用品などを手がける東京都のアース製薬株式会社では、2021年から、業務効率化の施策としてICTインフラの刷新に着手。販売物流システムや生産原価管理システムなど、もともとは個別のシステムで運用していた業務を、部署を横断する一気通貫に近い形の基幹業務システムとして統合しました。
しかし、デジタルに精通していない社員からの抵抗感や、DXへの理解不足からくる変革に対する現場の不安などの課題が浮き彫りに。そこで、プロジェクトのトップから、システム刷新の重要性を明確に発信。業務カテゴリー別のキーパーソンによる現場の意識統一・フォローアップや、操作手順やQ&Aにいつでもアクセスできる環境の整備も行い、トップの主導と現場への細やかなフォロー体制の両輪からDXを進めました。
アース製薬のDX認定取得は“宣言”からスタート── 社内の機運醸成が成功のポイント | DX SQUARE
生産管理システムの導入失敗に学んだDX
愛媛県の製造業・西機電装株式会社は、自社のDXをきっかけに、中小企業向けの業務効率化コンサルティングサービスにビジネスを広げています。同社はまず、製造工程を効率化するため、カスタマイズしたパッケージの生産管理システムを導入しました。しかし、自社の事業にフィットせず浸透に失敗。システムへの投資を惜しみ、成果が上がらない中で小さな投資を続ける「コンコルド効果」が発生する事態に陥りました。
そんな課題の解決のため、同社はkintoneを導入し、スモールスタートでアプリ開発と活用を推進。現場に、アプリ開発の手応えと効率化の実感を徐々に広げることで、kintoneへの移行に成功しました。アプリの市民開発によってデジタル人材も育ち、現在は、中小企業のkintone導入によるDXを支援するコンサルティングサービスを展開しています。
中堅・中小企業等における DX 取組事例集 | 経済産業省
失敗を活かしてDXの全体デザインを構成
東京都で地質調査業を手がける応用地質株式会社は、生産性向上や、デジタルを活用した新規事業開発を目的にDXを進めています。DXの取り組みを始めた1年目、担当者が、データ活用を進めるため現場から幅広くニーズをヒアリング。ひとつひとつの課題や要望に応えようとシナリオを作り設計に取り組んだものの、DXが前進しない状況に陥りました。
そんな失敗から担当者は、すべてのニーズに応えようとするのではなく、社内のニーズをDXの全体デザインに落とし込む必要があると認識。経営的な視点でプロジェクトを推進し、他社と協業して新たなデジタル関連事業「地中可視化サービス」を開発しています。
『100人のニーズを集めて失敗』からのスタート 応用地質の新規事業開発としてのDX | DX SQUARE
失敗から学んだ再DXでもっと強い企業に!
デジタルの力で、事業のあり方を大きく変えるDX。生産性向上や事業拡大に有効ですが、新しい技術を価値創出につなげることは、壁が多いのも現実です。一度失敗したDXに再び取り組むことは不安も伴いますが、過去の失敗の経験は企業の財産であり、次の変革へと向かう力にもなります。失敗から学び、自社を成長させるDXに再び取り組んでみてはいかがでしょうか?

記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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