問い合わせ削減施策とは!効率化と満足度を両立する手順を解説します
公開日:2026年06月05日
この記事に書いてあること
問い合わせ対応に追われ、本来注力すべき業務に手が回らないという悩みをお持ちではないでしょうか?この記事では、顧客満足度を維持しながら「問い合わせ削減」を実現する具体的な7つの施策と手順を解説します。
問い合わせ削減に取り組むべき理由
企業が問い合わせ削減に取り組む意義は、単なる業務量の減少だけにとどまりません。組織全体の生産性向上や、顧客との良好な関係構築という観点からも、非常に重要な経営課題といえます。ここでは、具体的なメリットを3つの視点から解説します。
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担当者の負担とコストを減らす
最も直接的なメリットは、対応コストの大幅な削減と担当者の負担軽減です。電話やメール対応には、人件費はもちろん、通信費やシステム利用料などのコストが発生します。これらを削減することで、利益率の改善が見込めます。
また、クレーム対応や長時間労働はオペレーターの精神的な負担となり、離職率を高める要因になりかねません。問い合わせ件数を減らすことは、従業員満足度(ES)を高め、定着率を向上させるための有効な手段となります。
顧客満足度の向上につながる
問い合わせを減らすことは、逆説的ですが顧客満足度(CX)の向上に直結します。多くの顧客は、電話がつながるのを待つことや、何度もメールをやり取りすることを望んでいません。疑問が生じたその瞬間に、Webサイト上のFAQやチャットボットで自己解決できる方が、顧客にとってはストレスが少ない体験となります。
「待たせない」「すぐに解決する」環境を整備することは、結果として企業の信頼性とサービスへの評価を高めることになります。
コア業務への集中時間を創出
問い合わせ対応という「守り」の業務を効率化することで、「攻め」の業務にリソースを配分できます。カスタマーサクセス部門であれば、顧客への能動的な提案やオンボーディング支援に時間を使えるようになります。
また、社内ヘルプデスクであれば、DX推進やシステム改善といった、企業の競争力を高めるプロジェクトに注力できるでしょう。組織のリソースを付加価値の高い業務へシフトさせるために、問い合わせ削減は避けて通れないプロセスです。
問い合わせが発生する原因
効果的な施策を打つためには、まず「なぜ問い合わせが来るのか」という根本原因を突き止める必要があります。原因を把握せずにツールを導入しても、期待した効果は得られません。主な発生原因は以下の3つに大別されます。
自己解決できる情報が不足
顧客が自分で調べようとしても、必要な情報が見つからないケースです。公式サイトにFAQ(よくある質問)が設置されていなかったり、情報が古かったりする場合がこれに該当します。
また、情報は存在していても、検索性が悪く目的のページに辿り着けないこともあります。顧客は「電話をする前に自分で解決したい」と考えていることが多いため、情報の網羅性と検索性を高めることが解決の糸口となります。
顧客との認識にズレがある
Webサイトやマニュアルの説明が不十分、あるいは専門用語が多くて理解できない場合、顧客は確認のために問い合わせざるを得ません。企業側が「これで伝わるはずだ」と思っていても、顧客視点では分かりにくい表現になっていることは多々あります。特に、契約内容や料金体系などの複雑な情報は、認識のズレが生じやすいポイントです。顧客の理解度に合わせて情報を噛み砕き、平易な言葉で伝える工夫が必要です。
製品やサービス自体の不備
製品の不具合やサービスの使いにくさが原因で、問い合わせが発生するケースです。これはサポート部門だけで解決できる問題ではありませんが、最も根本的な原因といえます。問い合わせ内容から「使いにくい」「分かりにくい」という声を拾い上げ、開発部門やサービス企画部門へフィードバックすることが重要です。製品そのものの品質が向上すれば、自然と問い合わせは減少します。
自己解決を促す問い合わせ削減施策
顧客が自力で疑問を解消できる環境を整えることは、双方にとってメリットがあります。ここでは、自己解決率を高めるための代表的な4つの施策を解説します。
FAQサイトを構築・改善する
最も基本的かつ効果的な施策は、FAQ(よくある質問)ページの充実です。単に質問と回答を羅列するのではなく、検索窓を目立つ位置に配置したり、カテゴリを分かりやすく整理したりする工夫が求められます。
また、FAQは一度作って終わりではありません。問い合わせデータをもとに、「検索されているが見つからないキーワード」を分析し、定期的に記事を追加・更新する運用体制を整えることが重要です。常に最新かつ需要の高い情報を掲載し続けることで、FAQの利用率は向上します。
チャットボットを導入する
24時間365日、即座に回答を提供できるチャットボットは、自己解決の強力なツールです。定型的な質問にはAIが自動で回答し、解決できない場合のみオペレーターに切り替えるという運用が一般的です。これにより、営業時間外の問い合わせニーズを吸収できるだけでなく、オペレーターの対応件数を大幅に削減できます。
最近では、あらかじめ設定したシナリオに沿って案内するシナリオ型とユーザーの入力内容をもとに柔軟に回答するAI型を組み合わせたハイブリッドなタイプも登場しており、自社の課題に合わせた導入が可能です。
マニュアルや動画を整備する
文字だけでは伝わりにくい操作方法や手順については、図解入りのマニュアルや解説動画が有効です。特にシステムの使い方や製品の組み立て方などは、視覚的な情報の方が直感的に理解できます。YouTubeなどの動画プラットフォームを活用したり、画面キャプチャを用いたチュートリアルを作成したりすることで、問い合わせの手前でつまずく顧客を救うことができます。「百聞は一見に如かず」の通り、リッチなコンテンツは強力なサポートツールとなります。
ユーザーコミュニティを活用
顧客同士が疑問を解決し合うユーザーコミュニティを設置する方法もあります。製品の活用方法やトラブルシューティングについて、ユーザーが質問し、熟練ユーザーが回答する仕組みです。企業側が全ての回答を用意する必要がないため、サポートコストを抑えつつ、ユーザー間のエンゲージメントを高める効果も期待できます。
ただし、情報の正確性を担保するためのモニタリングや、コミュニティを活性化させるための運営努力は必要となります。
問い合わせ発生を防ぐ能動的な施策

問い合わせが来てから対処するのではなく、そもそも問い合わせが発生しないように先回りするアプローチも有効です。ここでは、発生そのものを抑制する3つの施策を紹介します。
サービスのUIやUXを改善
Webサイトやアプリの使い勝手(UI/UX)を見直すことで、操作に迷うユーザーを減らせます。申し込みフォームの入力項目を分かりやすくしたり、エラーメッセージを親切な表現に変更したりするなどの改善が挙げられます。ユーザーが直感的に操作できれば、「使い方が分からない」という問い合わせは自然と減少します。
ヒートマップツールなどを用いてユーザーの行動を分析し、離脱や迷いが生じている箇所を特定して改善を繰り返しましょう。
メルマガ等で事前に周知する
メンテナンス情報や仕様変更など、問い合わせが予想されるトピックについては、事前にプッシュ型で情報を発信します。メールマガジンやアプリの通知機能、Webサイトのトップページでの告知などを活用し、顧客が疑問を持つ前に答えを届けるのです。「これから何が起きるのか」を事前に知っていれば、顧客は不安を感じず、問い合わせをする必要もなくなります。こうした顧客から問い合わせを受ける前に先回りして情報を届ける取り組みは、企業の誠実さをアピールする機会にもなります。
IVRで適切な窓口へ誘導する
電話問い合わせにおいて、IVR(自動音声応答システム)を活用して用件ごとに窓口を振り分けることも重要です。音声ガイダンスで「料金については1番、故障については2番」と案内することで、専門知識を持った担当者に直接つなぐことができます。これにより、たらい回しを防ぎ、一次解決率を向上させることが可能です。
また、SMS送信機能を組み合わせ、音声ガイダンス中にFAQページのURLをショートメッセージで送るといった、Web誘導への活用も進んでいます。
問い合わせ削減の成功事例
実際に施策を導入し、大きな成果を上げた企業の事例を知ることは、自社の取り組みをイメージする上で役立ちます。具体的な事例を通じて、どのような施策が効果を上げているのかを確認していきましょう。
差し戻しや確認作業の削減により業務効率化を実現
株式会社西部プロセスでは、社内規定や業務の申請手順に関する問い合わせが特定の担当者に集中し、業務が中断される課題を抱えていました。この状況を改善するため、AIチャットボットを導入して、従業員が自ら情報を検索できる環境を整えています。導入後は、申請書類の不備による差し戻しや、基本的なルールに関する重複した質問が目に見えて減少しました。担当者は電話やメールでの個別対応に追われる時間が減り、本来注力すべき専門業務に時間を割けるようになっています。さらに、チャットボットが24時間稼働することで、夜間や外出先からでも即座に疑問を解消できる体制が整いました。
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煩雑な社内申請への問い合わせ対応をAIチャットボットで効率化
株式会社トーエルでは、社内の申請手続きや各種規定に関する問い合わせが人事総務部門へ集中し、担当者の業務を圧迫していました。この課題を解決するため、AIチャットボットを導入して従業員が自己解決できる仕組みを整えています。導入後は、これまで電話やメールで寄せられていた初歩的な質問が大幅に減少しました。担当者は定型的な回答作業から解放され、より専門性の高い実務に集中できる環境を構築しています。24時間いつでも即座に回答が得られるようになったことで、問い合わせる側の従業員にとっても利便性が向上しました。組織全体の生産性を高める成果につながっています。
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煩雑な学内手続きの自動回答で職員の業務負担を軽減
国立大学法人福岡教育大学では、教職員からの旅費精算や人事・給与に関する問い合わせが事務部門に集中し、担当者の業務を圧迫していました。この課題を解決するため、AIチャットボットを導入して、よくある質問への自動応答体制を整えています。導入後は、電話や窓口での直接的な問い合わせが目に見えて減少し、事務職員が本来注力すべき専門業務に専念できる環境が構築されました。24時間いつでも即座に回答が得られる仕組みにより、問い合わせる側の教職員にとっても利便性が向上しています。学内全体の事務効率化と、迅速な情報共有の実現に大きく寄与しました。
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施策を進める際の重要な注意点

問い合わせ削減は強力な施策ですが、進め方を誤ると顧客からの信頼を損なうリスクもあります。最後に、施策を実行する上で必ず押さえておくべき2つの注意点を解説します。
顧客接点を完全になくさない
問い合わせ先を隠したり、電話番号を削除したりして、無理やりコンタクトを断つことは避けるべきです。顧客は「解決したい」という切実なニーズを持って連絡しようとしています。その手段を一方的に遮断されると、不満は一気に高まり、SNSでの悪評拡散や解約につながる恐れがあります。
目指すべきは「問い合わせしなくても解決できる快適な状態」であり、「問い合わせできない状態」ではありません。有人対応の窓口は最後のセーフティネットとして必ず残し、分かりやすく提示しておく姿勢が信頼を生みます。
導線を複雑にしすぎないこと
Webサイト上の案内が複雑で、どこに解決策があるのか分からない状態も避けるべきです。FAQ、チャットボット、問い合わせフォームへのリンクが整理されておらず、ユーザーがサイト内をたらい回しにされる状況は大きなストレスとなります。「困ったらまずはここを見る」という入り口を明確にし、そこから最適な解決手段へとスムーズに誘導する設計が必要です。ユーザーの視点に立ち、最短距離で答えに辿り着けるシンプルな導線設計を心がけましょう。
まとめ
この記事では、問い合わせを削減するために取り組みたい施策について解説してきました。
- ・現状の問い合わせ内容を詳細に分析・分類することが、全ての施策の出発点となります。
- ・FAQやチャットボットによる「自己解決の促進」と、UI改善などの「発生防止」の両輪で対策を進めます。
- ・顧客接点を維持しつつ、ユーザーにとって快適な解決ルートを設計することが成功の鍵です。
問い合わせ削減は一朝一夕には達成できませんが、正しい手順で取り組めば確実に成果が出ます。まずは自社の現状分析から始めてみましょう。
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記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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