"エアコン温度上げ下げ戦争"に終止符!?生産性を上げるエアコン温度とは
2024年07月22日 07:00
この記事に書いてあること
あなたのオフィスのエアコンは、現在何℃に設定されていますか?
毎年夏に起こりがちな、オフィスの“エアコン温度上げ下げ戦争”。ある調査によれば、ビジネスパーソンのおよそ6割が「夏場、黙ってこっそり空調の設定温度を変更したことがある」と回答したとの結果も。
猛暑日が続く中、オフィスの温度管理に悩んでいませんか。
この記事では、オフィスで最適なエアコン温度について考え、具体的にどのようなアクションを取ればよいか考えていきます。
国が「エアコンは28℃」と決めてるんじゃないの?
「エアコンは28℃」という設定は、かつて環境省が推進していた「クールビズ」の中で、室温28℃を目安として案内されていたことに由来します。ただし、これはあくまで「目安」であり、義務ではありません。また、現在のクールビズでは、室温に関する具体的な呼びかけは行われていません。
ここで注意したいのは、「28℃」というのは室温のことであり、エアコンの設定温度とは異なるという点です。エアコンを28℃に設定しても、部屋の広さや外気温、機器の性能などによって、実際の室温が28℃になるとは限りません。快適な環境を保つためには、温度計などで室温を確認しながら調整することが重要です。
なお、室温の管理については「事務所衛生基準規則」により、事務所の室温は18℃以上28℃以下が望ましいとされています(※令和4年に改正)。
参考: 適切な室温管理について/COOLBIZ|COOL CHOICE
生産性の観点では何℃がベスト?
オフィスの温度は、仕事の生産性に影響を与えると言われています。暑さや寒さの感じ方には個人差がありますが、暑いと眠気が増したり、寒いと風邪をひきやすくなったりと、室温によっては本来のパフォーマンスが発揮できないことも。
生産性の観点で最適な温度は諸説ありますが、例えば以下のような研究があります。
室温が25℃から26℃に上がると、作業効率が2.1%低下?
例えば、空気調和・衛生工学会大会で発表された「コールセンターの室内環境が知的生産性に与える影響」という研究では、とあるコールセンターで通年実測した、134日、13,169人分のコールデータを対象に、室内温度と1時間あたりの平均応答件数の関係を調査。その結果、室内温度が25.0°C?から26.0°Cに1.0°C上昇したとき作業効率が2.1%低下する、との調査結果が得られたと発表しています。
室温を20℃から25℃に上げると、タイピングミスが44%減?
逆に、寒すぎることが生産性低下につながるとの調査結果もあります。2004年に、コーネル大学のアラン・ヘッジ教授がアメリカの保険会社で行なった調査によれば、室温が20℃から25℃に上昇すると、タイプミスが44%減少し、タイピング量が150%に上昇したとの結果がでています。
結局、何℃が最適なの?
自分たちの職場にとっての「最適温度」を決めていくことが大切です。最適な温度は仕事の内容によって異なるとも言われます。
建物の立地や、社員の男女構成、年齢構成、外出の頻度、社員自身の要望を踏まえ、「28℃」という設定にこだわらず、最適な温度を見つけていきましょう。
また、生産性を保ちかつ快適なオフィス空間にするには、湿気対策もポイント。湿度が低ければ体感温度も下がるといわれていますので、除湿を心がけることでオフィス環境の改善も期待できるでしょう。
快適に働くためには
設定温度についてオフィス全体で話し合って決めたとしても、やはり「暑い」「寒い」の感じ方には個人差があるもの。より快適に働くためには、各自で暑さ・寒さ対策をする必要が出てきます。ここからは、具体的な対策について考えていきましょう。
エアコン対策グッズを個人で用意
今すぐできる個人的な対策として、エアコン対策グッズの持参が挙げられます。今の環境を暑いと感じているなら、ミニ扇風機などの冷却関連グッズを持参するとよいでしょう。一方、寒い場合はブランケットなどで調整するなどの工夫が手軽ですね。
服装規定の緩和
COOL BIZでも提唱されているように、オフィスでの服装規定の緩和が可能であれば、より快適な服装で仕事ができます。上着を脱いでネクタイをはずすと体感温度が2℃下がるという研究結果もあります。暑い場合はより涼しい服装を選択し、寒い場合はカーディガンなどの羽織りもので調整するとよいでしょう。
フリーアドレスの導入
暑さ・寒さの感じ方は、オフィス内のどの場所にいるかによっても差が出てきます。エアコンの位置や、熱源(プリンター、コーヒーマシン等)との距離、さらには照明や直射日光なども影響することは、経験として実感されている方も多いかもしれません。
対策の方法としては、扇風機やサーキュレーターなどでエアコンの空気を循環させるといったことも効果的でしょう。また、温度計をオフィス内の複数のスポットに配置して場所による気温のムラを把握するのも一つ。フリーアドレスを導入し、それぞれに快適な場所で作業するというのも効率的ですね。
温度設定に関するルールを決めておく
冒頭でも触れましたが、オフィスのエアコンの設定温度をこっそり変更した経験のある人は、意外に少なくないようです。各個人の感覚でオフィス全体の温度を勝手に変える“エアコン温度上げ下げ戦争”が始まってしまう前に、エアコンの温度設定について共通のルールを設けておくと安心ですね。
あまりにも暑い日は在宅勤務を許可する
猛暑日など、あまりにも暑い日は、従業員の健康と業務効率を考慮し、在宅勤務を許可することを検討しましょう。これにより、オフィスでの過剰な冷房使用を避けると同時に、従業員が快適な環境で作業し、生産性を維持することができます。
まとめ
生産性にも直結する、オフィスの温度設定。今回の記事で、「室温28℃」はあくまでも目安だということがお分かりいただけたかと思います。
暑さや寒さの感じ方には個人差がありますが、オフィスの温度が生産性に影響を与えることも事実。オフィス内の気温のムラや湿度にも気を配りながら、自分の会社や職場にとって最適な「環境」について、今一度考えてみてはいかがでしょうか。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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