福祉業(介護)

アセスメントシートの書き方を解説!記載項目、作成時のポイントとは?

From: 働き方改革ラボ

2024年12月26日 07:00

この記事に書いてあること

アセスメントシートは、介護の現場で欠かせない重要な書面です。利用者1人ひとりに最適なケアプランを作成するため、ケアマネージャーは、さまざまな情報をもとにアセスメントシートを作成します。

本記事では、アセスメントシートの定義から、主な様式や重要性について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

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アセスメントシートとは?

アセスメントシートは、利用者の状況や状態を評価する「アセスメント」を記録する重要な書面です。アセスメントには、厚生労働省が指定する23の課題分析標準項目が含まれており、利用者の課題やニーズの明確化に役立ちます。

適切に作成されたアセスメントシートは、ケアの質と介護の効果を向上させる基盤となり、よりよい介護サービスの提供につながります。

アセスメントシートが利用される施設

アセスメントシートは、主に下記のような介護施設、医療施設で利用されます。

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 特定施設入居者生活介護

施設の目的に応じて、アセスメントシートの内容は変わります。

アセスメントシートの役割

アセスメントシートの役割を解説します。施設利用者のニーズ把握や関係各所への情報共有に、アセスメントシートを役立てましょう。

利用者のニーズ把握

アセスメントシートは、利用者の状態や、必要とするケアの把握に使われます。アセスメントシートを使用すると、利用者の好みや関心、生活習慣、社会とのつながり、人生観などの個性をケアに反映させられるためです。

ケアマネージャーは、利用者から聞き取った情報も含めてアセスメントシートを作成し、1人ひとりに適したケアプランを立案します。

関係各所への情報共有

アセスメントシートは、介護士、家族、他の介護サービス間での情報共有にも使われます。アセスメントシートは、厚生労働省が定めた標準項目に基づいており、適切なケアに必要な情報が漏れなく記録されています。関係各所がスムーズに連携できると、利用者1人ひとりに適した質の高いケアが可能になります。

アセスメントシートの活用方法

アセスメントシートの活用方法は、主に以下のとおりです。

  • 利用者の状態把握、適切なケアの提供に役立てる
  • 健康状態や環境が変化した際に記録する
  • ケアプランに状況の変化を反映させる

上記のように、アセスメントシートは単なる記録ではなく、質の高い介護サービスを実現するための重要な書面といえます。

アセスメントシートの種類

アセスメントシートには複数の様式があり、各施設は目的に応じて適切なものを選ぶ必要があります。アセスメントシートの主な種類を解説します。

アセスメントシートには複数の様式がある

アセスメントシートには統一された様式がありません。厚生労働省が指定する23の課題分析標準項目を含んでいれば、アセスメントシートとして認められます。

以下では、一般的に使用されている主な7つのアセスメントシートの様式について、それぞれの特徴を紹介します。

全老健版ケアマネジメント方式R4システム

全老健版ケアマネジメント方式R4システムは、公益社団法人全国老人保健施設協会によって開発された様式です。この様式は、絶対値評価により利用者の状態を定量的に把握可能です。

ケアマネジメント実践記録方式

ケアマネジメント実践記録方式は、公益社団法人日本社会福祉士会による様式です。この様式の特徴は、利用者の状況だけではなく、ケアマネージャーが考える課題も記録できる点にあります。多面的な分析が可能なため、より細やかなケアプランの立案につながります。

日本介護福祉士会方式 

日本介護福祉士会方式は、公益社団法人日本介護福祉士会によって開発された様式です。この様式は、訪問介護の実践に基づいて作成されており、利用者の身体的な状態に加え、精神的・社会的な側面も重視しています。

日本訪問介護振興財団版方式

日本訪問介護振興財団版方式は、訪問看護の実績に基づいて開発された様式です。この様式は高齢者だけではなく、さまざまな在宅介護や介護施設の利用者に適用できます。

包括的自立支援プログラム

包括的自立支援プログラムは、要介護認定の認定調査票と連動可能な様式です。この様式は主に介護施設で使用され、利用者の退去後も想定した一貫したケアプランの作成に役立ちます。

居宅サービス計画ガイドライン

居宅サービス計画ガイドラインは、社会福祉法人全国社会福祉協議会が開発した様式です。この様式は、要介護者のその人らしい個性や強みをケアプランに活かし、課題を自らの力で解決するよう支援する、「エンパワメント支援」の考え方を取り入れています。

MDS-HC方式

MDS-HC方式は、在宅介護・介護施設を併用する利用者を分析する様式です。高精度なアセスメントが可能なこの様式は、アメリカで開発された「MDS RAPs」の導入に関わった、国際的な研究組織interRAI(インターライ)や、各国の研究者などによって開発されました。

アセスメントシートの作成方法

アセスメントシートの作成方法を解説します。利用者の状態を正確に把握し、客観的なアセスメントシートを作成しましょう。

利用者に関して情報収集する

利用者の健康状態・服薬中の薬・医療記録などに関して、情報収集します。利用者の生活習慣、趣味や好み、価値観や人生観なども情報収集しておくと、利用者1人ひとりに合わせたケアプランの立案に役立ちます。

アセスメントシートに記録する

収集した情報をアセスメントシートに記録する際は、客観性の確保に努めてください。観察した事実や具体的な数値を中心に記載し、主観的な解釈は避けるようにしましょう。

また、利用者の状態や状況、ニーズは変化するため、定期的なアセスメントが必要です。利用者の状態に大きな変化があった際もアセスメントが求められます。

アセスメントシートの基本項目

アセスメントシートの基本項目である、生活状況・サービス利用状況・主訴について解説します。

生活状況

生活状況とは、利用者の現在の生活状況や生活歴などのことです。住環境や生活習慣、家族構成、趣味など些細な情報も記録します。一見些細に思える情報でも、実際のケアに予想外の形で役立つ場合があります。知り得たさまざまな情報を、漏れなくアセスメントシートに記録しましょう。

サービス利用状況

アセスメントシートには、利用者が使っているサービスを全て記載してください。サービス間の連携や重複を把握すると、利用者のニーズに最も適したケアプランの作成が可能になります。定期的に利用しているサービスだけではなく、ショートステイといった一時的なものも含めて、サービスの利用状況をまとめましょう。

主訴

主訴とは、利用者や家族による要望のことです。主訴が曖昧だとケアプランの方針が定まりません。また、主訴を記載したときは誰の要望かの紐づけが重要です。利用者と家族の要望が異なる場合もあるため、それぞれの視点を慎重に考慮し、バランスの取れたケアプランの作成につなげましょう。

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アセスメントシートの重点項目

アセスメントシートの重点項目を解説します。専門用語を適切に使用しながら、正確かつ詳細なアセスメントシートの作成を心がけましょう。

ADL

ADLは、日常生活動作(Activities of Daily Living)の略で、基本的な日常生活を送るうえで必要な動作の自立度を示します。ADLの一例を、以下に示しました。

  • 寝返り
  • 起き上がり
  • 歩行
  • 着衣
  • 入浴
  • 排泄

ADLは、それぞれ3段階で評価されます。

IADL

IADLは、日常生活関連動作(Instrumental Activities of Daily Living)の略で、やや複雑な日常における活動を指します。IADLの一例を、以下に示しました。

  • 電話の使用
  • 買い物
  • 食事の準備
  • 洗濯などの家事
  • 移動手段の利用
  • 服薬管理
  • 金銭管理

ADL と同じく、IADLも3段階で評価されます。

認知能力 

認知能力は、日常生活における意思決定や判断に関わる能力です。認知能力には、記憶力、注意力、問題解決能力などが含まれ、日常生活を安全かつ適切に送るうえで重要な役割を果たします。介護施設での受け入れ判断において、認知能力の評価は特に重視されます。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力については、言葉による意思伝達力だけではなく、視力や聴力の状態、ジェスチャーの使用能力なども評価対象となります。介護施設での受け入れ判断において、認知能力と同様にコミュニケーション能力は重視されます。コミュニケーション能力に課題がある場合は、その原因や特徴を詳細に記録してください。

アセスメントシート作成時のポイント

アセスメントシート作成時のポイントを解説します。利用者や家族に配慮しつつ、正確なアセスメントシートを作成しましょう。

聞き取りを1時間程度に抑える

アセスメントの聞き取りは、1時間程度に抑えましょう。面談が長引くと利用者や家族が疲労を感じるうえに、集中力が切れた結果、正確な情報を得られないかもしれません。利用者や家族が話しやすい雰囲気を作り、効率よく聞き取りを進めましょう。

他業種と連携する

アセスメントシートは多岐にわたる項目で構成されているため、正確かつ包括的な情報を記載するには、他業種間の綿密な連携が不可欠です。介護士、看護師、ソーシャルワーカーなど業種を超えて連携し、アセスメントシートを作成しましょう。特に、健康状態の把握には主治医の意見書が参考になります。

まとめ

アセスメントシートは、利用者の状況や状態をまとめた書面です。利用者の生活状況やサービス利用状況、主訴を丁寧かつ正確に記載したアセスメントシートは、利用者1人ひとりに合わせた質の高いケアプランの立案に役立ちます。

アセスメントシートの作成時は、短時間で速やかに聞き取りを行い、主治医や介護士、看護師などとも連携し、正確かつ包括的な情報を記載しましょう。

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記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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