介護事業所に求められるBCPとは?必要な対策や作成例、実施しておきたい研修・訓練を紹介
2024年11月01日 07:00
この記事に書いてあること
【2025年9月9日更新】
BCP(事業継続計画)の策定は、すべての介護事業者に課されている義務の1つです。一方で、BCPをどのように策定すればよいのか、現状BCPを適切に策定できているのか、不安に感じている介護事業者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護事業所におけるBCP策定の基本的な流れや、サービス別の策定ポイントをわかりやすく解説しています。具体的なBCP作成例や、円滑に策定するために実践しておきたい点もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
介護事業所におけるBCPとは

はじめに、そもそもBCPとは何か、関連用語とあわせて基本事項を整理しておきましょう。
BCPとは
BCP(Business Continuity Plan)とは「事業継続計画」のことです。地震や津波、豪雨といった自然災害への対策のほか、感染症対策などもBCPに含まれます。こうした予測不能な事態に直面した際、企業が自社の従業員を守り、事業の復旧と継続を実現するには、事前の計画策定が不可欠です。
BCP策定に際して、自然災害発生時と感染症発生時の対応がそれぞれ必要になります。厚生労働省が公表した、介護サービス向けのガイドラインに示されている策定事項の例は下記の通りです。
【自然災害発生時のBCP策定事項の例】
| 平常時の対応 |
・自施設、事業所の安全対策 |
| 緊急時の対応 | ・初動対応の事前準備 ・人命安全確保対応の徹底 ・重要業務の継続 ・復旧対応 など |
| 他施設・地域との連携 |
・連携体制の構築 |
参考:厚生労働省「業務継続計画(BCP)自然災害編(介護サービス類型:共通)」
【感染症発生時のBCP策定事項の例】
| 平常時の対応 | ・体制構築・整備 ・感染防止に向けた取り組みの実施 ・防護具、消毒液等備品の確保 ・研修・訓練の実施 |
| 初動対応 | ・第一報の報告先、報告方法の徹底 ・感染疑い者への対応 ・消毒・清掃等の実施 |
| 感染拡大防止体制の確立 | ・保健所との連携 ・接触者への対応 ・職員の確保 ・防護具、消毒液等の確保 ・情報共有 ・業務内容の調整 ・過量労働・メンタルヘルス対応 ・情報発信 |
参考:厚生労働省「業務継続計画(BCP)感染症編(介護サービス類型:入所系)」
BCPとBCMの違い
BCMとは、Business Continuity Managementの略で、「事業継続マネジメント」と訳されます。BCPを策定した上で運用し、マネジメントすることまでを含めた概念です。マネジメントの内容には、以下の項目が含まれます。
- ・BCPの維持更新
- ・事業継続のための予算と資源の確保
- ・被害を防ぐ、もしくは軽減するための事前対策
- ・緊急事態が発生した際のマニュアル作成などの事後対策
- ・企業内にBCPの取り組みを浸透させるための教育訓練
BCP対策は策定するだけでなく、適切運用することが重要です。したがって、BCPを策定する際には、BCMについてもあわせて考えておく必要があります。
BCPと防災対応マニュアルの違い
災害に備えるために防災マニュアルを作成するケースもあります。ただし、BCPは防災だけでなく、事業継続の対策が上乗せされている点が大きな違いです。防災は「人命や建物を守るもの」、BCPは「人命や建物を守るだけでなく、事業の継続を実現するためのもの」である点を押さえておきましょう。
介護事業所におけるBCP・BCM策定義務
BCPおよびBCMの策定は、すべての介護事業所において義務付けられています。BCPを策定するだけでなく、緊急事態が発生した際のマニュアル策定や研修・訓練の実施など、さまざまな対応が求められているのが実情です。介護事業所はこれらの準備や対応を継続的に進めていく必要があります。
介護事業所において求められる取り組みのうち、とくに重要度が高いとされているのは下記の4点です。
- 1.担当者を事前に決めておくこと
- 2.連絡先を整理し、速やかに参照できる状態にしておくこと
- 3.必要な物資を整理し、準備しておくこと
- 4.上記1〜3を組織で共有し、定期的に見直すとともに訓練を実施すること
BCP未策定の事業所は「業務継続計画未策定減算」の対象となります。具体的には、BCP未策定の事実が判明した時点までさかのぼって基本報酬が減額されるというルールです。減算幅は下記のように定められています。
【減算幅】
- ・施設系・居住系サービス:所定単位数の3%
- ・その他サービス:所定単位数の1%
なお、基本報酬減算の措置には経過期間が設けられていましたが、経過期間は2025年3月31日で終了しており、現在はすべてのサービスでBCP・BCMの策定が義務化されている点に注意が必要です。
BCPを策定する5つのメリット
BCP策定は介護事業所が取り組むべき義務ではあるものの、策定することによって得られるメリットもあります。具体的なメリットは次の通りです。
- ・人命と会社の事業を守れる
- ・業務効率化・リソースの最適化につながる
- ・税制優遇や金融支援、補助金の対象となる
- ・ワクチン接種が優先される
- ・多くのリスク回避につながる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 人命と会社の事業を守れる
BCPを策定することにより、入居者や職員の命を守れる可能性が高まります。予測不能な事態に直面した際にも、人命を守るための適切な対応を取るとともに、事業の早期復旧に向けて行動できるでしょう。経営面での被害を最小限に抑えられるだけでなく、安全面に配慮された事業所として利用者・家族・地域の信頼を得られる点が大きなメリットです。
2. 業務効率化・リソースの最適化につながる
BCP策定は災害発生時の備えに役立つだけでなく、平常時の業務効率化やリソースの最適化にもつながります。BCP策定にあたって、万が一の事態が発生した際には限られた人員と資源で業務を継続する方法を考えなくてはなりません。結果として、平常時にもできるだけ効率よくリソースを活用するためのヒントが得られます。優先すべき事業が明確になることは、事業戦略・経営戦略を見直すきっかけにもなるでしょう。
3. 税制優遇や金融支援、補助金の対象となる
BCPを策定し国の認定を受けると、「中小企業防災・減災投資促進税制(特定事業継続力強化設備等の特別償却制度)」にもとづく税制優遇や金融支援、補助金の適用対象となります。対象となる措置や支援は下記の通りです。
【税制措置】
事業継続力強化計画や連携事業継続力強化計画の認定を受けた事業者が、計画の認定を受けた日から同日以後1年を経過する日までに、計画に記載された対象設備の取得等を行い事業に使用した場合、特別償却16%の税制措置を受けられます。
参考:中小企業庁|税制優遇(中小企業防災・減災投資促進税制の優遇措置)について
【金融支援】
BCPなどにもとづき防災のための施設・事業所の整備を実施する際、基準金利よりも低金利での貸付を受けられます。対象となる資金の使途は、設備投資および長期運転資金です。
参考:日本政策金融公庫|BCP資金
【補助金】
BCP策定には、地域によって対応する補助金制度が用意されている場合があります。たとえば東京都の場合、BCPを実践するために必要となる物品・設備等の導入に要する経費の一部が助成されます。助成率は中小企業者の場合は1/2、小規模企業者の場合は2/3以内です。
※申請受付期間については、下記リンクにてご確認ください。
参考:東京都中小企業振興公社|BCP実践促進助成金
補助金・助成金に関しては、自治体によって制度の有無や内容が異なります。詳細については各自治体のWebサイトなどを参照し、対象となる補助金・助成金を確認しておくことが大切です。
4. ワクチン接種が優先される
BCPを策定している介護事業所の職員は、感染症拡大時にワクチンを優先的に接種できます。新型インフルエンザ等対策特別措置法第28条において、「国民生活・国民経済安定分野の業種に該当する事業者」を対象とした特定接種が認められているからです。
【特定接種の対象基準】
- ・業種基準:医療分野、もしくは国民生活・国民経済安定分野の業種に該当する事業者
- ・事業者基準:産業医を選任しており、かつ業務継続計画を作成している事業者(※)
- ・従業者基準:対象業務に従事する者を登録対象者として申請すること
※介護事業者の場合、産業医の選任は必須ではなく業務継続計画の作成のみでも申請可
介護事業者は業種基準のうち「国民生活・国民経済安定分野の業種に該当する事業者」に含まれます。したがって、職員が優先的にワクチンを接種し、利用者が安心して施設を利用できる環境を維持しやすくなります。
5. 多くのリスク回避につながる
ここまでに紹介したメリット以外にも、BCP策定は多くのリスク回避につながります。たとえば、緊急時になんらかの問題が発生した際、法的・社会的な責任を追及されたり、賠償責任を負ったりすることになる可能性は否定できません。BCPを策定していることは、従業員の健康と安全に配慮するための安全配慮義務をしっかりと履行していることの証しとなります。
また、計画に沿った研修・訓練を着実に実施することにより、平常時から職員のリスク対策への意識が高まる点も大きなメリットです。同時に、職場の安全が確保されていることはすべての職員が安心して働ける環境づくりにもつながるでしょう。
BCP策定の基本的な流れ

ここからは、BCP策定の具体的な進め方について見ていきましょう。まずはBCP策定の基本的な流れを押さえておくことが大切です。
1. 基本方針を決める
第一に取り組むべきことは、BCP策定の基本方針の決定です。災害や感染症が発生した際、介護事業所としてどのような考え方やスタンスで対策を講じるのか、明確にしておく必要があります。
BCP策定の基本方針には、自施設の運営方針や地域性、地理的特性のほか、地域の災害経験などが密接に関わっています。こうした要素を踏まえて基本方針を定めることは、現実的かつ実践的なBCPを策定する上で非常に重要なポイントです。
2. リスクと課題を洗い出す
次に、今後発生し得るリスクとその課題を洗い出していきます。起こり得る災害や感染症をリストアップした上で、現状の組織体制で対応できる状況・対応が困難な状況を整理しましょう。
この段階では、すべてのリスクへの対策を検討するのではなく、あくまでも「どのようなリスクが想定されるか」「現状の課題は何か」を明確化しておくことが重要です。あらゆるリスクに対して万全の対策が講じられているのが理想ですが、現実的な発生頻度や業務上の優先順位を考慮して対策を講じていく必要があります。
3. 業務に与える影響について検証する
洗い出したリスクが、それぞれ業務にどのような影響を与え得るのかを検証していきます。実際に災害や感染症が発生した際、優先的に復旧すべき業務の優先順位を定めた上で、優先度の高い業務に深刻な影響がもたらされるかどうかを見極めることが大切です。
【優先順位の分類例】
- ・重要かつ業務への重大な影響が懸念されるもの:優先業務
- ・業務への影響が懸念されるが、優先度はあまり高くないもの:縮小業務
- ・優先度が低いと判断されるもの:一時休止業務
4. マニュアルを整備する
優先度が高いと判断された業務について、初期対応と緊急対応のマニュアルを作成します。既存の防災対応マニュアルなどがある場合には、その内容をあらためて吟味した上で、BCP対策マニュアルとの整合性が取れるよう考慮することが重要です。
マニュアルは一般的な記載にとどめるのではなく、担当者・責任者や手順、報告手段などを明記します。必要に応じてフローチャート化し、担当者と責任者をプロセスごとに記載するなど、責任の所在が明確にわかるようにしておくのがポイントです。
5. 事業継続のための計画を文書化する
ここまでに検討してきたことを、事業継続に向けた計画書としてまとめます。災害別の被害レベルの分類や、職員が取るべき行動を明文化しておくことが大切です。
BCP計画を文書化しても、現場で共有されなければ有効に機能しないおそれがあります。趣旨の説明や内容の読み合わせを実施するなど、職員の誰もがその存在を認識している状況になるよう働きかけましょう。初動対応など迅速な行動が求められる事項に関しては、すぐに確認できるよう内容を抜粋したカードを作成し、常に見える場所に貼っておくことをおすすめします。
6. 訓練を通じて改良を重ねる
計画に沿って研修や訓練を複数回実施します。計画通りに行動できるか確認するだけでなく、実際に運用したことで顕在化した課題を洗い出し、改善策の検討を経て計画に反映させましょう。
こうした研修・訓練を定期的に実施することが、災害や感染症への意識を高めることにもつながります。BCPが「絵に描いた餅」にならないよう、現場の実態に合わせて改良を重ねていくことが大切です。
サービス別のBCP策定ポイント(災害対策編)

通所系介護サービスと訪問系介護サービスについて、BCP策定のポイントをそれぞれ解説します。
平時対応のポイント
平時対応とは、自然災害が発生していない平常時に備えておくべきことを指します。
【通所系介護サービスの場合】
緊急事態発生時に家族とスムーズに連絡が取れるよう、あらかじめ緊急連絡先を把握しておくと同時に、安否確認方法を整理しておきましょう。また、自施設では対応しきれない問題が発生することも想定し、日頃から地域の居住介護支援事業者と連携を取れる体制を整えておくことが重要です。
【訪問系介護サービスの場合】
サービス提供中に災害が発生した場合の対応については、前述の通所系介護サービスと同様です。これに加えて、移動中の対応方法や、避難先でのサービス提供を想定した対策を練っておきましょう。あわせて、地域の避難方法や避難先の情報についてもまとめておくと、いざというときにスムーズに行動できます。
災害が予測される場合の対応のポイント
災害が予測される場合の対応とは、台風や豪雨の予報などから被害の発生が想定される際に備えておくべきことを指します。
【通所系介護サービスの場合】
大規模な災害が発生した場合、サービスの一時停止や縮小などの検討が必要です。あらかじめ対応すべき基準を定め、利用者やその家族、ならびに地域の居住介護支援事業所に共有しておきましょう。
【訪問系介護サービスの場合】
災害が予想される場合、あらかじめ決めた基準に合わせ、サービスの一時停止や縮小を検討します。場合によってはサービスの前倒しなど、柔軟に対応することも大切です。
災害発生時の対応のポイント
災害発生時の対応とは、実際に災害が発生した場合に対応すべき事項のことです。
【通所系介護サービスの場合】
安否確認を行ったのち、緊急連絡先に安否状況を連絡する必要があります。利用者や家族の状況に応じて帰宅の準備を進めましょう。状況によっては施設に宿泊したり、近隣の避難所へ退避したりする選択肢も視野に入れておきます。
【訪問系介護サービスの場合】
災害による被害が大きい場合、他施設でのサービスに移行したほうがよい可能性もあります。万が一に備え、日頃から他施設と連携を取っておきましょう。場合によっては避難先でサービスを提供することも考えられるため、地域の関係機関や居住介護支援事業所との協力も必要です。
サービス別のBCP策定ポイント(感染症対策編)
感染症が発生した際には、利用者や他の職員への影響を最小限にとどめるため、業務縮小や一時閉鎖などを検討する必要があります。厚生労働省老健局が公開している感染症発生時の業務継続ガイドラインを参考に、策定方法を解説します。
平時対応のポイント
【通所・入所・訪問系サービス共通】
- ・意思決定者や各業務担当者の役割を整理する
- ・感染者の早期発見のため、利用者の体調評価を行い、日々記録する
- ・消毒液等の備蓄品の確保と発注ルールを取り決める
- ・BCPの研修・訓練の実施方法を決める
- ・BCPを定期的に見直し、改善する
感染疑い者が発生した際の初動対応のポイント
利用者の体調不良が見られる場合、感染症にかかっているおそれを考慮し対応する必要があります。感染症の疑いがある人を見つけた際の初動対応は以下のように行いましょう。
【通所・入所・訪問系サービス共通】
- ・報告ルート、報告先、報告方法を整理する
- ・感染の拡大を防ぐ方法をまとめる
- ・消毒と清掃方法を決定する
検査、感染拡大防止体制構築のポイント
検査結果を待っている間、該当者が陽性だった場合に備えて感染拡大防止体制の確立に向けた準備を行います。感染拡大防止体制を確立するための項目は以下の通りです。
【通所・入所・訪問系サービス共通】
- ・保健所と連携し、適切な対応をするための内容確認を行う
- ・濃厚接触者の対応方法をまとめる
- ・職員確保の方法をまとめる
- ・消毒液や防護具などの備蓄量を決めておく
- ・感染者が発生した際の情報共有先を整理しておく
- ・業務内容の優先順位を決め、職員の数に合わせた業務調整を検討する
- ・利用者のストレスの軽減や解消する方法を検討する
- ・情報発信時の対応方法と注意事項をまとめる
なお、通所系介護サービスの場合、状況によっては休業を検討する必要があります。休業を検討する条件や、休業を通知する際の案内方法についてまとめておくことが大切です。休業の条件を決める際は、感染者数や濃厚接触者の体調、稼働できる職員の人数を基準に考えるとよいでしょう。
介護事業所におけるBCP作成例

介護事業所における自然災害に対するBCP作成例を紹介します。
BCP発動基準の作成例
管理者:施設長
代替者:事務長
【地震発生時の発動基準】
- ・震度6弱以上の地震が発生し、被災状況から施設長が必要と判断した場合
- ・震度6弱未満の地震が発生し、建物の一部倒壊や電気・水道・ガスの停止、通信手段の途絶、道路の寸断などが発生し、通常業務の持続が困難になった場合
【水害発生時の発動基準】
- ・警戒レベル3の大雨警報・警戒レベル3の避難情報(高齢者等避難)が発令された場合
- ・建物の一部倒壊や電気・水道・ガスの停止、通信手段の途絶、道路の寸断などが発生し、通常業務の継続が困難になった場合
- ・その他、被災状況から施設長が必要と判断した場合
対応体制の作成例
|
地震防災活動隊 |
隊長:施設長 副隊長:事務長 ・地震災害応急対策の実施については、隊長が一切の指揮を担う ・副隊長は隊長を補佐し、隊長不在時には指揮の代替役を担う |
| 情報班 | 班長:事務長 メンバー:介護主任 ・行政機関等より正確な情報を収集する ・各機関の指示を隊長に報告する ・緊急連絡網にもとづき、職員に指示事項を共有する ・利用者の状況について、家族や居宅介護支援専門員に連絡する ・活動内容を記録する |
| 消火班 | 班長:〇〇〇〇 メンバー:〇〇〇〇(職員を選定) ・火元やガスを確認し、発火防止に必要な措置を講じる ・発火が確認された際にはただちに消火活動を行う |
| 応急物資班 | 班長:〇〇〇〇 メンバー:〇〇〇〇(職員を選定) ・食料や飲料水を確保する ・炊き出しや飲料水配布を実施する |
| 安全指導班 | 班長:〇〇〇〇 メンバー:〇〇〇〇(職員を選定) ・利用者の状況を確認し、報告する ・施設設備の損壊状況を報告する ・隊長の指示に従い、利用者の避難誘導を実施する ・利用者の家族に引き継ぎを実施する |
| 救護班 | 班長:〇〇〇〇 メンバー:〇〇〇〇(職員を選定) ・傷病や体調不良が生じていないか確認する ・必要に応じて救護や手当を行う ・状況によっては医療機関などへの搬送も含めて検討する |
| 地域班 | 班長:〇〇〇〇 メンバー:〇〇〇〇(職員を選定) ・近隣の福祉施設や地域住民と協力して救護活動を行う ・ボランティアの受け入れ体制を整備する |
BCP策定を円滑に進めるポイント
BCP策定を円滑に進めるには、次の2つのポイントを押さえておくことが大切です。
ポイント1:BCP委員会の設置
現場の状況を把握し、現状の課題を見極めるには、BCPに特化した委員会を設置することをおすすめします。事業所内の各セクションから委員を選出するほか、事業所が複数ある場合には各拠点に委員が配置されている状態にするのが望ましいでしょう。委員は現場の声を収集したり、課題を洗い出したりする際に中心的な役割を担います。また、BCP策定後に訓練を実施する際には現場を統率するとともに、計画の見直しにつながる改善点を取りまとめる役割も果たします。
ポイント2:厚生労働省『業務継続ガイドライン』の活用
BCPをゼロベースで作成すると、膨大な労力を要することになりかねません。厚生労働省が公開している「業務継続ガイドライン」には、BCP策定に活用できる雛型が収録されています。雛型をベースに事業所の実態や地域事情を反映させていくことで、漏れのないBCP計画を効率よく作成できるでしょう。
参考:厚生労働省|介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン
参考:厚生労働省|介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン
BCPの策定義務を正しく理解し、適切な対応を
介護事業所におけるBCP策定が義務化された今、自然災害や感染症のリスクに備えて対策を講じておくことは必須の取り組みです。一方で、はじめから完璧なBCPを目指す必要はありません。研修や訓練を重ねる過程で改善を図り、より実効性の高いBCP計画へとブラッシュアップしていきましょう。今回紹介したBCP策定方法や作成例を参考に、緊急事態に備えた体制づくりをあらためて検討してみてはいかがでしょうか。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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