年5日の取得が義務化。有給休暇取得率を高める方法は?
2025年11月10日 07:00
この記事に書いてあること
従業員に年5日の年次有給休暇を取得させることが法律で企業に義務化されています。働き方改革の取り組みとしての重要性はわかっているものの、なかなか有給休暇の取得が進まないという企業も多いのではないでしょうか。そこでこのコラムでは、ルール作りや、休みづらさの要因へのアプローチなど、有給休暇を取得しやすい職場を作るための具体策を解説。働きやすく、休みやすい環境作りに、ぜひご活用ください。
有給休暇の取得が働く環境を改善する理由
働き方改革の一環として取り組むべき課題のひとつが、年次有給休暇の取得推進です。有給休暇は、働く人の心身のリフレッシュのために、企業が従業員の希望するタイミングで与える休暇です。しかし、有給休暇を十分に活用しきれていない人が多いのが現状で、厚生労働省の調査「年次有給休暇の現状について」でも、労働者ひとりあたりの平均有給休暇取得率は2017年までは50%を下回るなど、その低さが問題視されていました。
その状況を受けて、国は有給休暇の取得率を上げる施策として、企業に、従業員に年5日の有給休暇を確実に取得させることを義務化しました。有給休暇の取得は、働く人の休息時間の確保やワークライフバランスを実現するだけでなく、心身への負担が原因の休職・離職の防止や、従業員の満足度やエンゲージメントも向上します。また、リフレッシュによる生産性やモチベーションの向上が組織全体にも好影響を与えます。企業側にもメリットが大きい有給休暇の取得は、積極的に進める必要があるのです。
有給休暇の取得に関するルール
労働基準法で定められている年次有給休暇に関するルールのポイントは、以下のとおりです。
年次有給休暇の発生条件
企業で働く人は、雇用されてから6ヵ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤すると年次有給休暇を取得できます。企業は、この2つの条件を満たした従業員に原則、年10日の年次有給休暇を与えなければいけません。それ以降は、継続勤務1年ごとに、前の1年間の全労働日の8割以上に出勤した従業員に、年次有給休暇を与える必要があります。
このルールは、パート・アルバイトや、外国人技能実習生も含むすべての労働者に適用されます。パートなどの所定労働日数が少ない従業員は、有給休暇は労働日数に応じて比例付与されます。
年5日の年次有給休暇取得が義務化
2019年4月から、従業員に対して、年5日の年次有給休暇を取得させることが企業に義務付けられています。その対象者は、有給休暇が年10日以上付与されている労働者です。
取得時季の指定
企業は、労働者ごとに、有給休暇を付与した日から1年以内に、取得時季を指定して有給休暇を取得させる必要があります。時季の指定については、労働者の意見を聞き、希望に沿った時季に取得できるよう努めなければいけません。
年次有給休暇管理簿の作成
企業は、労働者ごとの年次有給休暇管理簿を作成し、取得日数や日時を管理する必要があります。また、年次有給休暇管理簿は3年間の保存が義務付けられています。
有給休暇取得が進まない職場の特徴
有給休暇の取得が進まない企業や職場には、どのような特徴があるのでしょうか。そんな企業が抱える、有給休暇取得を妨げる主な要因は、次のとおりです。
人材不足や業務過多
有給休暇取得が進まない理由のひとつが、企業内の人材不足や業務過多です。人員が不足していて、ひとりが休むと他の従業員に負担がかかってしまうという配慮から、従業員が休暇の取得を申し出ることができないというケースもあります。また、自分にしかわからない仕事があるため休むと業務がストップしてしまう、休むと業務が遅延してかえって前後の残業時間が増えてしまうという理由から、取得をためらう人も多いでしょう。
有休取得の仕組み作りができていない
社内に有給休暇を当たり前に取得できる環境や仕組みがないことも、有給取得率が上がらない要因です。有休取得の判断を従業員に任せて組織的に管理していないことに加え、社内に有休取得推進体制や、取得時の業務フォローに関するルールができていないため、取得が進まないという現状があります。
有休取得が不利益につながるという不安
有給休暇を取得すると上司や周りからの印象が悪くなるという懸念も、取得を妨げています。社内に社員が有休をしっかり取得すべきという風土がない中、自分だけが休めば、評価が下がるなどの不利益を受けるのではないかという不安から、取得を申し出にくいというケースもあります。
有給休暇取得を推進するための方法は?
では、有給休暇の取得を推進するためには、どのような取り組みを進めれば良いのでしょうか。取得率向上に有効な具体策は、次のとおりです。
有給休暇取得目標を立てる
まずは、有給休暇取得推進に関する社長や経営層のメッセージを全社に発信して、取得目標を明示しましょう。業務の状況次第で取得を判断するのではなく、具体的な数値目標を目指すことが、計画的な取得につながります。
全社の数値目標を受けて、部署やチームごとに、年間や半期ごとの有休の取得計画表を作成することも有効です。業務への支障を抑えるためにも、繁忙期や各メンバーの事情を考慮した有給休暇取得計画を立てることが重要です。変更の必要が生じた際も、チームの業務の状況に応じて柔軟に取得日を調整することで、メンバーの確実な取得を目指しましょう。誕生日や入社日などに有給休暇取得を推奨する「アニバーサリーホリデー」の仕組みも、計画的な取得に役立ちます。
計画的付与制度を導入
有給休暇の取得率向上には、「年次有給休暇の計画的付与制度」の導入も有効です。「年次有給休暇の計画的付与制度」とは、労使協定を結ぶことで、計画的に従業員の有給休暇取得日を割り振ることができる制度です。病気などの不測の事態も含めて自由に取得できる5日を残した日数について、休暇日をあらかじめ決めた上で取得することができます。
従業員にとっては、休暇の予定を立てやすい、決定しているため休みやすいといったメリットがあり、企業側も計画的な業務運営が可能です。厚生労働省によると、計画的付与制度を導入している企業は、していない企業よりも有給休暇の平均取得率が8.6%高く(2008年)、有休取得推進に効果があがっています。
計画的付与制度は、企業で以下のような方法で活用されています。
①一斉付与方式
全従業員に対して同一の日に一斉に付与する方法。製造業など、工場の操業を止めて全従業員を休ませることができる企業で活用されている。
②交替制付与方式
班やグループ別に、従業員が交替で取得する方法。流通業やサービス業など、定休日を増やすことが難しい企業などで活用が可能。
③個人別付与方式
年次有給休暇付与計画表を使って、個人ごとに年次有給休暇を指定して付与する方法。
業務量や仕事の体制を適正化
業務量が多いため休みづらいという状況を解消するため、仕事の体制の見直しや、業務量の適正化を進めることも重要です。業務を棚卸して従業員間の仕事の偏りを平準化したり、属人的な仕事をなくすためのマニュアル整備や業務のチーム制など、休みやすい環境を意識した体制作りを進めましょう。
業務量自体を減らすための省力化も有効です。定型業務をツール導入によって自動化する、外部に委託するなどの取り組みで、有給休暇を無理なく取得できる業務量への調整を図りましょう。
多様な働き方を認める制度の導入
多様な働き方の導入も、労働環境の改善や、有給休暇取得推進につながります。リモートワークやフレックスタイム制など、個人が自分にとって合理的な働き方を選べるようにすることで、業務の効率化が進み、有給休暇が取れるゆとりある働き方が可能になります。また、半日や時間単位での有給取得を認めることで、リモートワークと半休を組み合わせるなどの働き方・休み方の選択肢が広がり、有給休暇の取得が進むでしょう。
安心して休暇をとれる職場環境作りを進めよう!
今回、ご紹介したように、数値目標やルール作りだけでなく、「休みにくさ」の原因を知って対処することが、有給休暇取得率の向上と、働きやすい職場環境を実現します。有給休暇取得を推進した結果、従業員のリフレッシュから生まれる生産性向上やアイディアが、企業に大きな成果をもたらしてくれるでしょう。取得が義務化されている5日という日数にとらわれず、業務や仕事の仕組みをさまざまなアプローチでチェックして、働く人がさらに休める環境を作ることが大切です。自社を成長させるための「休み方改革」を進めてみてはいかがでしょうか?
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
「働き方改革って、こうだったんだ!」「こんな働き方、いいかも!」
そんなきっかけ『!』になるコンテンツを提供してまいります。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。
記事タイトルとURLをコピーしました!