コールセンターの後処理時間を短縮する9つの方法!改善策を徹底解説

From: 働き方改革ラボ

公開日:2026年03月26日

この記事に書いてあること

コールセンターの管理者として日々の数値管理を行う中で、オペレーターの後処理時間(ACW)が長いことに頭を悩ませていませんか?通話時間は適正範囲内なのに、その後の入力作業に時間がかかり、結果として次の入電を取るまでの待機時間が長くなってしまうというケースは多くの現場で見られます。この記事では、後処理時間が長引く原因を深掘りし、今日からすぐに実践できるコストのかからない改善策から、最新のITツールを活用した抜本的な解決方法までを網羅的に解説します。この記事を読み終える頃には、自社のセンターに最適な短縮手法が見つかり、生産性向上への具体的なアクションプランが描けるようになります。 

コールセンターにおける後処理時間とは?

コールセンターにおける「後処理時間」とは、電話を切った後にオペレーターが行う事務作業時間のことで、専門用語でACW(After Call Work)と呼ばれます。 

具体的には、以下のような作業が含まれます。 

  • 応対履歴(ログ)のCRMへの入力 
  • 関係部署へのメール送信や伝票起票 
  • 資料の発送手続き 
  • 通話内容の振り返りと上長への報告 

この後処理時間と「通話時間」を合算したものはAHT(Average Handling Time:平均処理時間)と呼ばれ、センターの生産性を測る最重要指標の一つとなります。 

後処理時間の平均はどれくらい?

一般的に、コールセンターにおける後処理時間の目安は数分程度とされることが多いものの、扱う商材や業務内容によってその適正値は大きく異なります。 

業務内容 

後処理時間の目安 

簡易的な受付・取次 

1分〜2分以内 

一般的な通販・テクニカルサポート 

3分〜5分程度 

金融・保険などの複雑な契約業務 

5分〜10分以上 

もし自社のセンターで、特定のオペレーターだけでなく全体的に5分〜10分以上の後処理時間が常態化している場合は、入力フローやシステム環境に何らかの課題が潜んでいる可能性が高いと言えます。 

コールセンターの後処理が長引くことの経営リスク

Stressed call center staff overwhelmed with after-call work

後処理時間の短縮は、単にオペレーターの作業スピードを上げることが目的ではありません。 

生産性や応答率、コスト構造、さらには離職率にも影響する、センター運営上の重要な経営課題です。ここでは、後処理が長引くことがセンター運営や経営全体にどのような悪影響を及ぼすのか、そのリスクを整理します。

リスク項目 

影響の内容 

経営へのインパクト 

生産性低下 

1時間あたりの対応件数(CPH)が減少する 

収益性の悪化 

応答率低下 

待ち呼が増え、電話が繋がりにくくなる 

顧客満足度(CS)の低下 

コスト増加 

同じ件数を処理するために多くの人員が必要になる 

人件費の高騰 

離職率上昇 

残業の恒常化や業務負担感が増す 

採用・育成コストの無駄 

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オペレーターの生産性が著しく低下する

後処理時間が長引くと、当然ながらオペレーター1人が1時間に処理できるコール数(CPH)は減少します。例えば、通話時間が5分で後処理が5分かかると1件の処理に合計10分を要し、1時間で対応できるのは最大6件となりますが、もし後処理を2分に短縮できれば合計7分となり、対応件数は約8.5件にまで増加します。このように後処理時間の長さはセンター全体の生産能力に直結しており、放置することで見えない機会損失を生み出し続けることになります。 

応答率が下がり顧客満足度が悪化する

後処理中はオペレーターが「離席」や「後処理中」のステータスになるため、次の入電を受け取ることができません。すべてのオペレーターの後処理時間が長い状態が続くと、入電数に対して稼働できるオペレーター数が不足し、結果として応答率が低下します。電話が繋がらない状態はお客様にとって最大のストレス要因の一つであり、商品やサービスへの不満だけでなく、企業ブランドそのものの毀損につながる重大なリスクです。 

人件費の増加が利益を圧迫する

生産性が低い状態で必要な応答率を維持しようとすると、必然的にオペレーターの人数を増やす必要が出てきます。また、日中の業務時間内に処理しきれなかった事務作業を残業でカバーすることになれば、残業代という形で追加のコストが発生します。コールセンター運営において人件費はコストの大半を占める要素であるため、後処理時間の肥大化は利益率を直接的に圧迫する要因となります。 

オペレーターの離職率が高まる

後処理がスムーズに進まないことは、オペレーター自身にとっても大きなストレスです。通話内容を思い出して記録することに苦戦したり、入力作業が終わらず休憩時間が削られたりする状況が続けば、業務への疲弊感は蓄積していきます。働きにくい環境はモチベーションの低下を招き、結果として離職率が高まる要因となります。採用難が続く昨今において、既存のオペレーターに長く働いてもらうためにも業務負荷の軽減は急務です。 

後処理時間が長くなる4つの主な原因

改善策を講じる前に、まずはなぜ後処理時間が長くなってしまうのか、その原因を特定することが重要です。多くのセンターで共通して見られる主な原因は以下の4つに分類されます。 

原因の分類 

具体的な状況 

解決の方向性 

入力作業 

記録すべき項目が多い、文章作成に悩む 

フォーマット化、定型文活用 

情報検索 

マニュアルやFAQが見つからない 

ナレッジベースの整備 

個人スキル 

タイピングが遅い、要約力が低い 

研修、ツールの補助 

業務フロ 

二重入力が必要、承認フローが複雑 

フローの見直し、システム連携 

応対履歴の入力に時間がかかっている

最も多い原因として挙げられるのが、通話終了後の応対履歴(ログ)の入力に時間がかかりすぎているケースです。お客様との会話内容を一言一句正確に残そうとしたり、どのような形式で書けばよいか迷ってしまったりすることで時間を消費します。特に新人オペレーターは、要点をまとめて簡潔に記録するコツを掴んでいないことが多く、文章作成そのものに悩み込んでしまう傾向があります。 

必要な情報の検索に手間取っている

後処理には入力作業だけでなく、お客様への回答内容の確認や、他部署へのエスカレーションに必要な情報の検索も含まれます。マニュアルやFAQが整理されておらず情報が散在している場合、オペレーターは正しい情報を探すために多くの時間を費やすことになります。また、CRMシステム(顧客管理システム)の画面遷移が複雑で、必要な顧客情報にたどり着くまでに何度もクリックが必要な環境も、時間のロスを生む大きな要因です。 

オペレーター個人のスキルに差がある

タイピングスピードや文章の要約力といった個人のスキル差も、後処理時間に大きく影響します。ブラインドタッチができるオペレーターとそうでないオペレーターでは、同じ文章量を入力するだけでも数分の差が生まれることがあります。また、パソコンの基本操作やショートカットキーの活用に不慣れな場合、ウィンドウの切り替えやコピー&ペーストといった単純作業にも時間がかかってしまいます。 

非効率な業務フローが定着している

現場の努力だけでは解決できない原因として、業務フロー自体の非効率さがあります。例えば、CRMシステムとは別にエクセルでも管理表をつけているため二重入力が必要だったり、後処理完了のためにSVの承認印を貰いに行く必要があったりする場合です。こうした構造的な問題は、どれだけオペレーターがタイピングを速くしても解消されないため、管理者による業務設計の見直しが必要です。 

まずはコストをかけずに後処理を短縮する方法

Call center agent handling customer inquiries at a desk

システム導入には予算と時間がかかりますが、運用面の工夫であればすぐに取り組むことができます。ここでは、コストをかけずに明日から実践できる改善策を紹介します。 

改善策 

期待効果 

難易度 

テンプレート化 

文章作成時間の短縮、品質均一化 

 

ルール明確化 

迷う時間の削減、要約力向上 

 

FAQ整備 

検索時間の短縮 

 

スキル研修 

タイピング速度向上 

 

目標設定 

意識改革、モチベーション向上 

 

入力テンプレートや定型文を標準化する

応対履歴の入力時間を短縮する最も即効性のある方法は、入力フォーマットのテンプレート化です。「お問い合わせ内容」「回答内容」「今後の対応」といった項目があらかじめ記載されたテンプレートを用意し、オペレーターは空欄を埋めるだけで済むようにします。また、頻出する案内や定型的な記録文言については、単語登録(辞書登録)機能を活用して「あり」と打てば「ありがとうございました」と出るようにするなど、入力を支援する工夫も有効です。 

応対履歴に記載する内容のルールを明確化する

「何をどこまで書くか」の基準が曖昧だと、オペレーターは不安から過剰に詳細な記録を残そうとします。そこで「主観や感情は書かない」「事実は5W1Hで簡潔に」「略語の使用ルール」といったガイドラインを策定し、周知徹底することが重要です。必要な情報だけをピンポイントで残す訓練を行うことで、記録の質を落とさずに文章量を減らし、結果として入力時間を短縮することができます。 

FAQやマニュアルを整備し検索しやすくする

オペレーターが情報を探す時間を減らすために、FAQやマニュアルの検索性を高めることも大切です。よく使われる資料をフォルダの分かりやすい場所に配置したり、ファイル名に検索されやすいキーワードを含めたりするだけでも効果があります。また、紙のマニュアルを使っている場合はPDF化してキーワード検索(Ctrl+F)ができるようにするなど、デジタル化を進めることも検索時間の短縮に直結します。 

オペレーターのタイピングスキル研修を実施する

基礎的なスキルアップとして、タイピング研修を取り入れることも検討してください。業務の合間や待機時間にタイピング練習ソフトを利用させたり、ショートカットキーの一覧表をモニター横に掲示したりして、PC操作の習熟度を高めます。地道な取り組みですが、全オペレーターのタイピング速度が少し上がるだけでも、センター全体で見れば大幅な時間短縮効果が得られます。 

後処理時間の目標値を設定し意識づける

オペレーター自身が自分の後処理時間を意識していないケースも少なくありません。まずは現状の平均時間を測定し、「来月までに平均〇秒短縮しよう」といった具体的な目標値を設定して共有します。日々の朝礼やフィードバック面談で個人の数値を伝え、意識的に時間を管理する習慣をつけることで、自然と効率的な動き方を模索するようになります。 

ITツール活用で後処理をさらに効率化する

Digital tools improving call center operations and reducing after-call work

運用改善で一定の成果が出たら、次はテクノロジーの力を借りてさらなる短縮を目指します。近年はAIを活用した便利なツールが多く登場しており、大幅な効率化が期待できます。 

ツールカテゴリ 

主な機能 

短縮効果 

音声認識システム 

通話のテキスト化 

非常に高い 

CRM連携・刷新 

情報の一元管理 

高い 

生成AI(ChatGPT等) 

要約・分類の自動化 

非常に高い 

音声認識システムで通話内容を自動でテキスト化する

音声認識システムは、お客様とオペレーターの通話内容をリアルタイムでテキストに変換してくれるツールです。通話が終わった時点で会話の全文が文字起こしされているため、オペレーターはゼロから文章を入力する必要がなくなります。テキスト化された内容をコピー&ペーストして微修正するだけで応対履歴が完成するため、入力作業の大半を削減できる可能性がある画期的なソリューションです。 

CRM連携で顧客情報へのアクセスを迅速化する

電話システム(CTI)と顧客管理システム(CRM)を連携させることで、入電と同時にお客様の契約情報や過去の履歴をポップアップ表示させることが可能になります。これにより、通話開始前の検索作業や、通話中の情報確認にかかる時間を大幅に短縮できます。また、入力画面を一元化することで複数のシステムを行き来する手間を省き、スムーズな後処理を実現します。 

要約生成AIで報告書作成の時間を短縮する

最新のトレンドとして、生成AIを活用した要約機能の導入が進んでいます。音声認識でテキスト化された通話ログをAIが解析し、「要約」「重要事項」「ネクストアクション」などを自動で抽出して履歴案を作成してくれます。オペレーターはAIが提案した内容を確認し、承認ボタンを押すだけで後処理が完了するため、人が要約や整理に費やす時間を大きく削減することが可能です。 

後処理時間短縮を進める上での注意点

後処理時間の短縮は重要ですが、やり方を間違えると新たな問題を引き起こす可能性があります。施策を進めるにあたって、管理者が必ず押さえておくべき注意点を確認しましょう。 

注意点 

懸念されるリスク 

対策 

品質の低下 

記録漏れ、誤字脱字 

品質基準を維持する 

目的の形骸化 

早く終わらせることが正義になる 

CSとのバランスを見る 

現場の反発 

「管理強化」への抵抗感 

メリットを丁寧に説明 

応対品質を絶対に低下させない

時間を短縮しようとするあまり、必要な記録が漏れてしまったり、雑な入力が増えてしまったりしては本末転倒です。正確な応対履歴は、次回の対応時やクレーム発生時の重要な証拠となります。短縮施策を実行する際は、入力内容の正確性や情報の網羅性が保たれているかを定期的にモニタリングし、品質と効率のバランスを崩さないよう注意が必要です。 

時間短縮自体が目的化しないようにする

「後処理時間を〇分にする」という目標数値だけが独り歩きすると、オペレーターは通話を無理に切り上げようとしたり、お客様への案内をおろそかにしたりする可能性があります。後処理短縮の真の目的は、空いた時間でお客様への対応をより手厚くしたり、応答率を上げて繋がりやすくしたりすることです。数値目標はあくまで手段であることを忘れず、顧客満足度(CS)を犠牲にしない姿勢を貫くことが大切です。 

オペレーターへの十分な説明と合意形成を行う

新しいルールの導入や目標設定を行う際は、オペレーターに対してその背景や目的を丁寧に説明することが不可欠です。一方的に「早くしろ」と命令するだけでは現場の反発を招き、モチベーションを下げてしまいます。「皆さんの残業を減らすため」「お客様をお待たせしないため」といったポジティブな理由を共有し、現場と管理者が同じ方向を向いて改善に取り組める体制を作ることが成功の鍵です。 

まとめ

この記事ではコールセンターにおける後処理時間の短縮方法について解説してきました。 

  • 後処理時間(ACW)の短縮は、生産性向上だけでなく離職防止や経営リスク回避に直結する。 
  • 課題解決の第一歩として、入力テンプレートの標準化やFAQの整備による運用改善を図る。 
  • 抜本的な効率化には、音声認識システムや生成AIを活用した自動入力・要約ツールの導入が有効である。 
  • 数値目標の達成だけを目的化せず、応対品質の維持と顧客満足度の向上を前提に取り組む。 
  • 現場のオペレーターと目的を共有し、モチベーションを維持しながら段階的に施策を進める。 

自社の状況に合わせた改善策を優先順位をつけて実行し、生産性の高いコールセンター運営を実現しましょう。コールセンターの業務効率化において、後処理時間の短縮は喫緊の課題です。  

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