デジタル疲れを防ぐには? 企業が今すぐ実践できるデジタルデトックスの具体策
2026年01月29日 07:00
この記事に書いてあること
近年、スマホやパソコンなどのデジタルツールを日常的に使うビジネスパーソンが増えています。その一方で、長時間のデジタル機器利用による「デジタル疲れ」と呼ばれる心身の不調を訴える人も少なくありません。厚生労働省も、急速なデジタル化やSNS利用が現代社会のストレス要因となり、心身の不調につながる可能性があると指摘しています。
こうしたデジタル疲れは、従業員の体調不良による休職や、睡眠不足、パフォーマンス低下につながる可能性があるため、企業にとっても無視できない課題となっています。
そこでこのコラムでは、企業ができる「デジタルデトックス」や、働く人の健康を守るための具体策を、取り組み事例とともにご紹介します。
令和6年版厚生労働白書-こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に-(本文)|厚生労働省
働く人の「デジタル疲れ」が課題に
パソコンやスマホの長時間使用が、脳や身体の疲労を引き起こす「デジタル疲れ」。そして、デジタルツールと距離を置いてリフレッシュする「デジタルデトックス」の必要性が話題になっています。
デジタル疲れは、パソコンやスマホが必携のビジネスパーソンも悩ませる課題です。インターネットやデータ活用ツール、AIなどのデジタル技術が急速に普及したことで多くの情報を処理する仕事が日常化。さらに、リモートワークの浸透によって、体を動かす機会や対面でのコミュニケーションが減少し、デジタルツールに触れる時間が増加したことが、働く人の心身の不調につながっています。
スマホなどのモバイル端末の浸透で、勤務時間外の電話やメールの対応が可能になったことも、ストレスの要因に。うつ病による休職や生産性低下を防ぐため、企業も働く人もデジタル疲れに対処する必要があるのです。
デジタル疲れの症状とは?
では、働く人のデジタル疲れは、どのような症状や問題を引き起こすのでしょうか。
膨大な情報に対応することによる脳の疲れ
デジタルツールの進化によって、働く人は日々、膨大な量の情報や新しい情報に晒されています。大量の情報の処理に追われることで脳の疲労が蓄積するだけでなく、脳が受け入れの限度を超え、記憶力や判断力が低下。仕事の生産性が落ち、創造性も発揮しにくくなります。
目や身体への負担
パソコンのディスプレイやキーボードを長時間使用することで身体的な不調が現れるVDT症候群も、働く人を悩ませています。VDT症候群とは、VDT(Visual Display Terminals)機器の過度な使用が引き起こす不調のこと。眼精疲労や頭痛、首や肩の凝り、腕、手の痛みやしびれなどの身体的症状のほか、単調な作業の繰り返しや光や音に触れ続けることが、倦怠感やイライラなどの精神的症状も引き起こすと言われています。
マルチタスクによるストレスとプレッシャー
業務効率化のためのマルチタスクが、働く人のストレスを引き起こしています。デジタルツールの機能の多様化によって、働く人は、複数のアプリケーションやコミュニケーションツールを切り替えながら一度にさまざまな業務に取り組めるようになりました。しかし、多くの仕事に追われるプレッシャーが、高ストレスやメンタルの不調の要因に。空いた時間もスマホでタスクをこなしたり、休憩中にSNSをチェックするなどのデジタルと絶え間なく接している環境が、心身の不調を引き起こします。
睡眠不足による生産性低下
パソコンやスマホのディスプレイの光が脳を覚醒させ、寝つきの悪さや、浅い眠りなどの睡眠障害を引き起こす可能性があります。また、デジタルツールの使用が引き起こす脳疲労が日中の倦怠感にもつながります。業務中の眠気が生産性低下につながるため、対策が必要です。
企業ができる「デジタルデトックス」の具体策
体調不良や睡眠不足の問題から、生活の中でスマホやパソコンとあえて距離を置くデジタルデトックスの必要性が注目されています。では企業は、どのような方法で従業員のデジタル疲れの問題に対処できるのでしょうか。その具体策は以下のとおりです。
長時間労働の抑制
デジタル疲れの最大の要因は、長時間ディスプレイに向き合うことや、夜間のパソコン業務です。デジタルツールを使う時間を減らすため、長時間労働の抑制に取り組むことが重要です。単純作業の自動化や業務フローの見直し等を進めて、心身に過度な負荷をかけずに働ける環境を整えましょう。
業務時間外のメール・電話を禁止
リモートワークが普及し、私生活と仕事の時間が切り替えにくくなったことも、デジタル疲れの要因の一つです。業務時間外のメール・電話への対応、またスマホの頻繁な通知に晒される環境がストレスにつながります。リモートワーク中の明確な出退勤ルールや、勤務時間外のメールや電話を禁止する等のデジタルポリシーを定めて、従業員が業務と離れる時間を確保しましょう。
業務中のデジタルデトックス時間を設定
業務時間内に、デジタルツールと離れるデジタルデトックスの時間を設けることも有効です。1時間~30分のデジタルツールを使わない時間を設定する、パソコンでの連続作業の上限時間や、10~15分の休息ルールを作る、デジタルツールを使わないコミュニケーションの時間を設けるなどの取り組みが可能です。デジタルと離れる時間が、従業員のリフレッシュや創造性の発揮につながります。
休息時間を確保できる働き方の実現
従業員の休息時間を守るための働き方のルール作りも進めましょう。翌日の出社までの間に一定の休息時間を必ず確保する勤務間インターバル制度や、出退勤時間を自由に決められるフレックスタイム制など、デジタルツールや業務の情報と離れて、休息を確保できる労働環境作りが必要です。
運動やストレッチができるスペースの設置
パソコン作業による眼精疲労や体の疲労を防ぐために、運動やストレッチができるスペースを設けることも有効です。社内に、気軽に体を動かせる運動器具や、体を伸ばせる休憩室を設置することで、デジタルツールで疲れた体を休めることができます。デジタル疲れを解消しながら生産性を高める企業内ジムの設置サポートや、健康知識やエクササイズの方法を習得できるプログラムを提供するサービスもあります。
デジタルデトックスに取り組む企業事例
では実際に、デジタルの悪影響や心身のストレスを軽減するため、企業ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。企業の成功事例をご紹介します。
心身の健康を維持するためのデジタルデトックス研修
宿泊業を手がける香川県の穴吹エンタープライズ株式会社では、新入社員を対象に、スマホを一時的に手放す「デジタルデトックス」を取り入れた1泊2日の研修を実施しています。デジタルネイティブ世代が抱く意思疎通への苦手意識や、表情や態度で伝え合う非言語コミュニケーションへの意識不足といった課題から、コミュニケーション能力や考察力を養うことを目的に、26時間、スマホと離れて講習やフィールドワーク等を実施。従業員の心身の健康維持や、顧客サービスの質向上を目指しています。
ニュースリリース 新入社員に「デジタルデトックス研修」を実施~スマホを一時的に手放し、対面でのコミュニケーション能力を鍛える~ | 穴吹エンタープライズ株式会社
瞑想できるメディテーションルームで心をリセット
東京都のオフィス家具メーカー・株式会社イトーキは、「活動×居心地」をコンセプトに、活動に適した働き方と適度な休憩が可能な自社オフィスを構築しています。リラックスできるカフェスペースや、休憩しながら軽い作業ができるリチャージスペースのほか、瞑想のためのメディテーションルームも整備。心をリセットして、次の活動に向かえる環境を整えています。
ITOKI DESIGN HOUSE TOKYO | 株式会社イトーキ
長時間労働やデジタル疲れを防ぐ「つながらない権利」を保障
メンタルヘルスケア事業を手がける東京都の株式会社ラフールは、リモートワークの浸透で公私の時間が曖昧になることへの対策として、従業員の「つながらない権利」を守る取り組みを進めています。つながらない権利とは、勤務時間外や休日に仕事の連絡を拒否できる権利で、フランスやイタリア、ポルトガルでは法律でも保障されている権利。同社では、勤務時間外に同僚にメールをしようとすると「通常業務時間外です」というアラートを出すなど、時間外の連絡を防ぐ施策を実施しています。そのほか、リモートワーク中の長時間労働を防ぐテキストコミュニケーションの心得を策定するなどの取り組みを進め、高ストレス者の割合が半減しました。
デジタル疲れに着目して労働環境を改善しよう
業務効率化やビジネスのアイディア創出のために欠かせないデジタルツール。上手に使いこなす方法だけでなく、スマホやパソコンが引き起こすストレスにも着目して対処することで、働く人の生産性をさらに高めることができます。大切な従業員の健康を守るためにも、戦略的にデジタルと距離を置くデジタルデトックスの取り組みを進めてみてはいかがでしょうか?
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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